夜天の主とともに 7.新たな舞台
健一とはやてが友達となってから早くも4年が過ぎた。
あれからというもの暇さえできれば毎日2人は図書館でおしゃべりをした。
いつも図書館ではと、互いの家にも遊びに行った。
健一の両親は我が子の初めての友達をこころよく歓迎し、はやてもその歓迎に心地よさを感じた。
時間があればレストランにお邪魔になって面白い話を健一の父親にしてもらったり、健一の母親に料理を直々に教えてもらったりしていた。
はやては一人で暮らしていた。両親を亡くしたこと、それによって一人で暮らしていること。
はやての家に健一が行った時、それを初めて打ち明けた。
気味が悪いとか友達をやめられると思っていたはやてだったが、それを聞いても健一は「そんなこと関係ない、僕ははやての友達でいたいんだ」と言った。
今まで数々の男の子にも言い寄られたことがあった。自分をいやらしい目というかなんというか、とにかくいやな視線を向けて話しかけてくる来る男の子たちからいつも逃げていた。
でも健一は違った。初めて会った時から何となく今までの子たちとは違うと思っていたが実際に接することで健一の人物像はよくわかった。それだけに、はやてには健一のその気持ちがありがたかった。
それまでは友達と言いつつもどこかで遠慮し合っていた2人だったが、その後は以前よりもずっと仲が良くなった。
楽しく話したり、読書をしたり、料理対決をしたり、からかいあったりもした。時には喧嘩をすることもあったが最後にはいつも仲直りをし遊んだ。
お互いにとってのこのかけがえのない初めての友達と過ごす日々が本当にどうしようもなく楽しかった。
こんな至って普通で平凡、だけど楽しく幸せな毎日が心地よかった。そしてこの心地よさはこれからもずっと続くものだと2人は信じて疑わなかった。
2人に迫りくる新たな舞台が近づいていることに気づかず‥‥。
某日、とある公園にて
「ありがとう、なのは。」
「フェイトちゃん‥‥。」
「きっとまた。」
「うん、きっとまた。アルフさんも元気でね。」
「ああ、色々ありがとね。ユーノ、なのは。」
「ナリン君もまたね。」
「またな~。」
「それじゃあ僕も。」
「クロノ君もまたね。」
「ああ。」
転送ポートが青白く光り3人を包み込み手を振ったと同時に虚空へと消え去った。
(またね‥‥。クロノ君、アルフさん、ナリン君、フェイトちゃん。)
事件が一つ解決し、新たな友情を作り出した少女たちは知らない。これから始まるであろう新たな舞台が、数多の人々を飲み込んでいった闇が迫ってきていることを。
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