No.453681

魔法少女リリカルなのは〜『紅き修羅の力を持つ者』〜第二話「新たなる生き方を」

白さんさん

母を失った龍牙。だが、運命は残酷にも、彼に更なる悲劇を迎える。

2012-07-15 22:40:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:7017   閲覧ユーザー数:6732

『母さんが死んだ』

 

 

 

父さんからそう言われた後、俺はショックで気絶したらしい。ショックで気絶しかけるなんて初めてだな……。

 

 

俺は今ミッドチルダの葬儀場にいる、母さんの葬儀をするためだ。

 

 

「……」

 

 

俺は椅子にもたれ掛かりただただ沈黙している。未だに信じられない、あの母さんが死んだ、元気で優しくて、頭が良くて、けどちょっとどこかが抜けている母さん、俺は母さんの亡骸を見て思った。綺麗だなって。死んだ人があんな綺麗で安らかなんて思わなかった。

 

 

 

俺は転生前も、両親を失っている。母親は、俺と妹を生んで息を引き取った。父親は通り魔に襲われて殺されてしまった。

 

 

 

つまり、俺は二回目の両親の死を迎えた。人が死ぬっていうのはいいもんじゃない。こう…なんだ…胸にぽっかり穴が空いたような……変な感覚が来るな。

 

 

 

 

そうこう考えているうちに、次第に目頭が熱くなる。だが俺は泣かない、泣いたって母さんは戻ってこない。すると父さんに

 

 

「無理をしなくていい、泣きたい時は泣け」

 

 

と言ってくれた。だけど俺は

 

 

「大丈夫、父さん」

 

 

所詮強がりだ、俺はそう思った。弱いな俺は…。

 

 

 

 

 

 

 

そして、母さんが死んで5年が過ぎた。俺と父さんはミッドチルダを離れ、『魔法少女リリカルなのは』の原作の舞台、海鳴市に居る。ミッドチルダを離れたことはプレシアさん達には言ってない、父さんが

 

 

「あいつにはもう迷惑はかけられんからな」

 

 

と言っていた。俺は父さんのすすめで私立聖祥大学付属小学校に通ってる。

 

 

そうあのリリカルなのはの主人公『高町なのは』が通ってる小学校だ。運命のイタズラか、あのバカ神様の仕業かおんなじクラスだ、しかも隣の席だ。

 

 

「父さん行って来ます」

 

 

「ああ、気をつけていけよ」

 

 

俺は家を出た。母さんが死んだことから俺は立ち直った。いつまでもへこたれてはいられないだろ。父さんが頑張って仕事してくれてるんだ、俺もがんばらねぇと。

 

 

 

 

「おはよー!」

 

 

「おう、おはよう」

 

 

「おっはー」

 

 

「ああ、おはよう」

 

 

俺はクラスの自分の席で突っ伏して、他の生徒の朝の挨拶を適当に交わす。ぶっちゃけ言う。俺朝苦手なんだよな…。

 

 

「真崎君おはよ」

 

 

「お、おう高町さんおはよ」

 

 

不意に声をかけられてあせった、まさかなのはが俺に挨拶してくるなんてな。

 

俺のクラスの印象は「暗いやつ」「話しても素っ気無いやつ」と思われている…あながち間違いじゃねえがな。人付き合いあんま得意じゃねえし。コレばっかりは転生前からの性格だから直せないな。ってか直すきねえし。

 

 

「どうしたの?なんか元気ないみたいだけど…」

 

 

心配してくれるなのは。優しいなこいつは。まあその優しさがたまぁに裏返るんだよなぁ。

 

 

「大丈夫だよ高町さん、ただたんに眠いだけだから」

 

 

「それならいいんだけど・・・」

 

 

「ちょっとなのは、何でそんなやつに話しかけてるのよ」

 

 

「アリサちゃん、そんなこと言っちゃだめだよ」

 

 

なのはの後ろに金髪の髪を腰までのばしている女の子と紫でウェーブがかかった髪の女の子が立っている。『アリサ・バニングス』『月村すずか』だ。

 

 

「そんなやつとは失礼だな、バニングスさん」

 

 

「ふんっ!」

 

 

うわぁおメッチャツンツンしてんな、アニメでもツンツンしてると思ったが、実際に見ると本当にツンツンしてんなぁ。まあたまにデレるとこが可愛いんだが。

 

 

「はぁーいみんな席についてー」

 

 

先生が教室に入ってきた。生徒がわたわたと席に座る。はぇえな、オイ。

 

 

いつもと変わらない授業を受け時間が過ぎていき、そして放課後。

 

 

「さて帰るかな」

 

 

俺は鞄を持ち、学校を後にし家に向かった。

 

 

 

 

 

「そういや今日俺の誕生日だったな」

 

 

誰にも聞こえない声でつぶやいた。まあ帰ったらいつも通りに父さんがケーキでも買ってきてるんだろうな、俺は少し足取りが軽くなった。そして自宅

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

 

シーーーン……

 

 

…父さん帰ってきてないのか?、いつも学校から帰ってくるときは居るのにな。俺は居間へ向かった。そして居間のソファーにもたれ掛かる。

 

 

「父さん残業でもしてんのかな?」

 

 

俺がそういった瞬間

 

 

カツーーン

 

 

俺の目の前に何かが落ちてきた。

 

 

「ん?なんだこれ?」

 

 

手にとってみるとそれは、蒼い宝石に真紅のフレームがついたペンダントだった。それはデバイスにも見えなくもなかった、父さんのじゃなさそうだし…

 

 

ブゥン!

 

 

「のわっ!」

 

 

突然宝石の部分が光り映像が流れ出した

 

 

どこかの荒野だろうか?

 

 

ドォオオオン!!

 

 

爆音と土煙が上がった、土煙が晴れるとそこに居たのは…

 

 

「と、父さん!?」

 

 

そう、まるでスパロボOG外伝のラハ・エクスティムに似たBJに身を包んだ父さんが居た。

 

 

「どうした!!俺を殺すんじゃなかったのか!!」

 

 

父さんの周りには見覚えがある服を着ている人たちが居た。その服は管理局の物だった。

 

 

「なんで管理局が…!?」

 

 

すると空中にモニターが現れた

 

 

「さすがは真崎靭君だ、並みの局員では歯がたたんか」

 

 

倒れている局員の上司らしき人が苦笑する。

 

 

「ふん!俺を殺したくばSクラスの魔術師100人は呼ぶんだな!」

 

 

「ふむ…だがもうその必要がなくなったがな」

 

 

「なに?」

 

 

「アルカンシェルを起動した」

 

 

「な…アルカンシェル…だと…!?」

 

 

『アルカンシェル』それは管理局の大型船に搭載される魔導砲で、弾を発射し、着弾後空間歪曲と物質消滅で対象を消滅する。

 

 

「貴様ぁ!!自分の部下諸共消滅させる気か!!」

 

 

「所詮そいつらは捨て駒だ、君さえ排除できればたいしたことでは無い」

 

 

「グレゼン!!この外道が!!」

 

 

「なんとでも言うがいい、さてあと3分で発射だ、せいぜい人生最後の3分間堪能するんだな。おっと転移はできんよ、君の居る場所に強力なジャミングをかけといた。いくら君でもこのジャミングの中では転移はできまい」

 

 

「くっ!!」

 

 

「それではさらばだ『剛拳の修羅神よ』」

 

 

モニターが消えた、父さんは拳を血が出るくらいに握り締めている。

 

 

「ここまでか…オウガ」

 

 

「何でしょうマスター?」

 

 

父さんが自分のデバイスに呼びかける。

 

 

「すまないなこんなふがいないマスターで」

 

 

「いえ、マスターは私の中で最高のマスターでした、消えるときも一緒です」

 

 

「ありがとうオウガ……龍牙」

 

 

俺は名前を突然呼ばれた。

 

 

「先ほどのやり取りを見ていたか?今の管理局は腐っている…管理局をあまり信用するな」

 

 

父さんは重い口調でしゃべった。

 

 

「…龍牙、復讐なんて馬鹿な事は考えるな。俺や母さんもそんなことは望んでいない…復讐の先にあるのは絶望だけだ……。そういえば今日はお前の誕生日だったな…誕生日だというのに帰れなくて、誕生日プレゼントも用意できなくてすまんな。だが母さんからの誕生日プレゼントがあるぞ、おそらく今お前が持っているペンダント、それは母さんが魔力が無いお前のために作った特殊なデバイスだ」

 

 

俺は手に持っているペンダントを見る。

 

 

「お前には魔力が無い代わりに何か特別な力を持っている、おそらくその力を使えば起動できるだろう…母さんの最後のプレゼントだ、大切にしろよ」

 

 

「……」

 

 

「母さんが死んでからお前に苦労をかけてばかりだったな…けどコレだけは言わせてくれ」

 

 

父さんが一息吸う

 

 

「父さんと母さんはお前のことを愛していた」

 

 

俺はその一言が、胸に響いた。

 

 

「さようならだ龍牙、強く生きろ、そして自分の信じた道を突き進め」

 

 

そう言った瞬間映像が終わった。

 

 

「……」

 

 

ガクンと膝から落ちペンダントを落とした。また…かよ……また、俺の両親が…。

 

 

「冗談じゃねぇえ!!!!」

 

 

机を思いっきり蹴飛ばした。痛みは感じた。だが、今の俺にはそんな事は関係ない。

 

 

「何だってんだよ……あっちでも…こっちでも家族が死んじまうのかよ…冗談じゃ…ねぇぞ…!!」

 

 

ピピピッ!

 

 

ペンダントのいや、デバイスのコアが光りだした。

 

 

「起動開始」

 

 

デバイスから起動音声が流れた。俺はデバイスを手に取った。

 

 

「質問します、あなたが私のマスターですか?」

 

 

デバイスが俺に問いかける、俺は迷わず

 

 

「…ああ」

 

 

「御意。マスター、あなたのお名前を」

 

 

「俺の名前は真崎龍牙だ」

 

 

「真崎龍牙…マスターの認証完了。マスター手数をかけますが、私に名前をつけて頂けませんか?」

 

 

「名前…か」

 

 

俺の頭に、一つの単語が過ぎった。

 

 

「『真紅』……お前の名前は真紅。見たまんまの名だが…」

 

 

 

「真紅…」

 

 

「気に入らなかったか?」

 

 

「いえ、とても良い名前です」

 

 

「そうか気に入ってよかった……」

 

 

「?どうしましたマスター?」

 

 

「いや、何でもない……ちょっと散歩してくる」

 

 

「わかりました、遅くならないうち帰って来てきてくださいね」

 

 

まるで母親だな…俺は笑顔で

 

「ああ、わかった」

 

 

 

 

 

俺は家を出て海鳴市のとある林に来た、ここは母さんがまだ生きていた時、父さんと母さんと来ていた。そして父さんの言葉を思い出した

 

 

「強く生きろ、そして自分の信じた道を突き進め」

 

 

「自分の信じた道…」

 

 

俺はその言葉をつぶやく、俺は原作ブレイクの為に転生した、だが転生しても俺には魔力が無く何もできなかった……どこがチートだよと思ってしまったなあの時は。けど今の俺ならわかる、俺の内に流れる力が。それは魔力じゃない。

 

 

「……まあ、何でもいい」

 

 

そのまま、俺は―――――

 

 

「おらあぁあ!!!!」

 

 

バギャアァァ!!!!

 

 

一本の木を殴ったら、その木は砕け散った。

 

 

「これは……」

 

 

 

俺の手には、蒼いオーラの様なものが纏っている。

 

 

「これ…見たときがあんな……」

 

 

それは、まるでスパロボOGの、修羅達が使う『覇気』に酷似している。

 

 

 

「親父…すまない。俺は……」

 

 

 

力いっぱい手を握り締める。

 

 

「許せねぇんだ……グレゼンってやつだけはよぉ……!!」

 

 

俺の中に、復讐という名の炎が、燃え滾っていた。

 

 

 


 
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