No.453567

魔装機神インフィニットス・トラトス

女性しかISを稼働できなかったのが、突然男でISを稼働できるのが同時に二人も現れた!?その二人の名は織斑一夏と龍見雅樹。
この物語の主人公である龍見雅樹が女尊男卑の世の中に疾る『風』・・・その名はサイバスター!!


にじファンから移転してきた作品第二弾です。

2012-07-15 20:45:33 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:7348   閲覧ユーザー数:7006

プロローグ(表)

 

 

 

 

インフィニット・ストラトス、略してIS。

宇宙空間で活動出来る特殊なマルチフォームスーツとして開発されたがその性能は従来の兵器を軽く凌駕し、瞬く間に世界へ広まった。

だがそんな兵器にもある欠点がある。それは、『女性にしか扱えない』という事である。

そのおかげで男女の関係は逆転。女性が地球上で最も偉い存在となってしまった。

そんな中、女性にしか扱えないはずであるISにまさかのイレギュラーがそれも二人現れた。

 

 

 

 

 

 

 

~朝、とある一軒家~

 

ピピピッ!ピピピッ!

 

「んっん~~」

 

目覚ましが部屋中に鳴り響き、布団の中の住人はもぞもぞと動くと手だけを出し、ゆらゆらと目覚ましを

探していく。

 

ピピピッ!ピピ―――

 

ガシッ!

 

ようやく探し当て目覚ましを止めると布団の仲なの主はそのまま二度寝に入ろうとした。

しかし、そうは問屋がおろさないのが世の常。

 

ドタドタドタっ!

 

部屋の外からドタドタと走ってくる音が聞こえる。しかも、だんだんと大きくなってきて、

 

バンッ!

 

「マサキ~~~!!」

 

「ぐへっ!?」

 

部屋のドアを打ち破らんとする勢いで開けた人物はボフッと部屋の主目掛けてダイビングした。

お陰でその主はカエルのつぶれた様な声をあげたが、まぁ気にしないでおこう。

 

「ぐぐっ・・・い、イーニァ?も、もう少し優しい起こし方は無いのか?」

 

マサキと呼ばれたこの部屋の主、『龍見雅樹』は若干涙目になりながら自分に馬乗りになっている少女に問いかけた。

 

「マサキ、あさだよ?おきておきて!」

 

しかし、イーニャと呼ばれた少女は腰まである銀髪に儚げな雰囲気を醸し出す美少女『イーニァ・シェスチナ』は気にした風もなく笑顔で雅樹を揺さぶって来た。

彼女に悪気がない事も100%善意でやっている事もわかっている。分かっているから何も言えない。

 

「わかった、分かった。起きるからそこを退いてくれないか?このままじゃ起きられねぇよ」

 

「うんっ!」

 

雅樹の言葉にイーニァは元気に返事するとピョンとベットから飛びのく。それを確認すると雅樹はベットから抜け出しふぁ~と欠伸をしながら伸びをした。

 

「(じぃ~)」

 

「?・・・ああ、おはよう。イーニァ」

 

「うん!おはよう、マサキ!」

 

イーニャから視線を感じ、一瞬何のことかわからなかったが、すぐさま何の事か気付き彼女の頭を優しく撫でながら挨拶をすると笑顔で飛び付いてきた。

 

「おっと。ったく、甘えん坊だな~イーニァは」

 

「えへへへ~♪」

 

イーニャは一頻り雅樹に甘えると、思い出したように名残惜しそうだったが雅樹から離れた。

 

「マサキ、ごはんできてるよ!」

 

「ん、もうそんな時間か・・・わかった。先にリビングに行っててくれ。着替えたら直ぐ行くからよ」

 

「うん!」

 

雅樹の言う事にイーニャは素直に頷いて部屋を後にした。

 

「さてっと・・・・」

 

雅樹が着替える為に着替える為にハンガーにかかっている制服に手を伸ばそうとした時、机に立てかけてある、ある写真立に目がいった。

そこには幼い頃の道着姿の雅樹と雅樹と同年代で同じ道着を着た黒髪の少女が写っていた。

 

「アイツ、今頃どうしてんだろうな・・・・っと、ヤベ!さっさと着替えねぇっとな!」

 

一瞬昔の事を思い出したが、すぐさま時間がない事に気付き急いで着替えを始めた。

 

 

 

 

 

 

~リビング~

 

「おはよう!」

 

「あら、雅樹。おはよう、今朝は少し遅かったのね?」

 

そう言っておっとりした様な雰囲気で話しかけたのは雅樹の母『龍見夏樹』である。

 

「フンッどうせくだらない理由で遅れたのだろう」

 

「おいおい、クリスカ。こっちの理由も訊かずに勝手に決めんなって」

 

「フンッ」

 

新聞を読みながら横目で悪態をつくイーニャと違い肩口でざっくりと切った銀髪にダイナマイトバディの美少女『クリスカ・ビャーチェノワ』はしかし、何かあったのかと心配そうにチラチラと雅樹を見ていた。

 

「あら、クリスカちゃん。そんな事言って、さっきまで雅樹が来なくてそわそわして―――」

 

「は、義母上(ははうえ)!!と、突然何を言うんですか!!?」

 

夏樹の言葉をクリスカは顔を真っ赤にして慌てて遮り、夏樹に詰め寄った。

 

「んな事より、早く飯食おうぜ。腹減っちまった」

 

「おなかすいた~」

 

雅樹の一言で先ほどまでテレビを見ていたイーニャも雅樹の隣の椅子に座る。

 

「フフッそうね。朝ごはんにしようかしら」

 

「フンッ遅れてきた奴が偉そうに言うな」

 

二人の様子を見て夏樹はご飯をよそいクリスカがおかずを配膳し始めた。因みに今日の献立は白飯、焼き鮭、金平牛蒡、白菜の漬物、肉じゃが、みそ汁だった。

 

「はい、いただきます」

 

「「「いただきます(!)」」」

 

夏樹の号令の元、雅樹達は手を合わせていただきますをするとそれぞれおかずに箸を伸ばす。そして、雅樹が肉じゃがに箸を伸ばそうとした時、それは起った。

 

「な、なんだ?」

 

雅樹はこの空気を何度も経験した事がある。これはそう、達人と真剣勝負をした際に起る雰囲気だ。しかも、気になる事に向かいに座っているクリスカが穴があくほどこちらを、いや、こちらの箸を凝視しているのだ。

 

「お、おい、クリスカ?ど、どうしたんだ?」

 

「っ・・・気にせず食事をしろ」

 

(いや、無理だって・・・)

 

雅樹がクリスカに尋ねるとクリスカはそっぽを向いて、焼き鮭を口に入れた。しかし、そんな雰囲気の中イーニァだけはもぐもぐと自分のおかずを食べていたが、いつもみたいに喋りながら食べない所を見ると、空気を呼んで黙っているようだ。

 

「雅樹。あまりゆっくりしてられないんでしょ?なら早く食べなさい」

 

「ん、おう。そうだった」

 

夏樹の指摘に思い出したように肉じゃがに箸を伸ばし、じゃがいもを一つ摘み口に入れた。

 

「っ!?」

 

「んぐんぐ・・・お、コイツは」

 

雅樹が漏らした声にクリスカが息を飲んだ。

 

「お袋、いつもと若干味付けが違くねェか?」

 

「あら、美味しくなかった?」

 

「いや、俺的むしろこっちの方が好きだな」

 

「ほ、本当かっ!?」

 

「うおっ!?」

 

肉じゃがの感想を述べるとクリスカが身を乗り出して確認してきた。しかも、お互いの顔の距離がかなり近く後数センチでキスしそうな位だ。

 

「いまの言葉に嘘偽りは無いな!!」

 

「な、無いって!無い!本当の事だ!!」

 

「そ、そうか・・・」

 

フゥッとため息を吐き安堵するクリスカ。しかし、そのため息は雅樹の首筋を擽り、彼女から漂う女性特有の甘い香りで顔が真っ赤になってしまう。

 

「あらあら、クリスカちゃん。その辺で止めておいたら?雅樹が茹でタコになってしまうわ」

 

「なにを言って――――」

 

言って、クリスカは今の状況を理解した。目の前に雅樹の顔があり、しかも、間が数センチしかない状況に、少しでも押されたらキスできそうな状況に!おまけにさっきからイーニャが羨ましそうにこちらを見ている事に気付いたクリスカは、

 

「~~~~~~/////!!!!」

 

ドガッ!

 

「ぐわっ!?」

 

「マサキ!?」

 

ものすごい勢いで赤面したクリスカは拳を雅樹の顔面に叩きこんだ。運動神経抜群の雅樹すら避ける事の出来なかったクリスカの幻の左。その威力は世界チャンピョンも真っ青な威力だった。

そして、そんな一撃をくらった雅樹はあっさり気絶してしまった。

 

 

 

 

「イッテ~」

 

「マサキ、だいじょうぶ?」

 

真っ赤になった頬を押さえると、イーニァが心配そうにのぞいていた。

 

「ふ、フンッ!あ、アレぐらい避けて見せろ!」

 

「お、おまえなぁ~自分の身体能力、理解してんのか?幾らなんでもアレはかわせるかってのツツッ」

 

「あ・・・」

 

雅樹がクリスカに文句を言うと殴られた頬が痛むのか、頬を押さえながら呻いた。

そんな彼を見て、クリスカは後悔した気持ちがおきた。

 

「あらあら、雅樹?それより時間はいいの?」

 

「へっ?」

 

現在、8時25分。

雅樹の友人との待ち合わせ8時40分。

ここからその待ち合わせ場所まで早くて15分。

結果、完全に遅刻・・・。

・・・・あ、今一分進んだ。

 

「遅刻だぁーーーーーー!!!?」

 

「ひゃっ!?」

 

雅樹の突然の叫びに、イーニァはビックリしたが今の雅樹にそんな事を気にしている余裕は無い。

雅樹はドタドタと身支度を整え、玄関に向かった。

 

「ま、雅樹っ!」

 

「ん?どうしたクリスカ?悪いが急いでんだ。用なら早く言ってくれ」

 

玄関で靴を履く雅樹にクリスカが呼び止め振り向くと、

 

「こ、コレ・・・」

 

「これはハンカチ?しかも湿ってる・・・」

 

差し出されたの女物のハンカチ、しかも程よく湿っている。

 

「さ、さっきは済まなかった。私の所為で遅刻する様なものだからな、だからその・・・・」

 

「・・・サンキュ、クリスカ」

 

「あ・・・」

 

雅樹は礼を言ってクリスカの手にあるハンカチを受け取り、玄関のドアに手をかけた。

 

「ああ、それと」

 

「?なんだ??」

 

「みそ汁、美味かった」

 

「なっ////!」

 

「んじゃ、いってきまーす!!」

 

そして雅樹は家を出た。後ろは振り返らない。ただ、ドアが閉まる時にチラッと見えたクリスカの顔が真っ赤に染まっているのに不覚ながら少しときめいたのは、彼だけの秘密にしておこう。

 

 

そして、この後、彼の幼馴染みの一人である『織斑一夏』と藍越学園の入試会場で世界初の男でISを動かした人間なる事はこの時、まだ誰も知らない。そして、それが彼の人生を大きく変えた事は今はまだ知る由もない。

知っていたとすれば、それは神か、それとも・・・・

 

 

 

 


 
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