No.453109

IS<白き天使と赤の騎士>

十河さん

2012-07-15 01:46:18 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4060   閲覧ユーザー数:3775

クラス対抗戦当日

 

「一回戦はセシリアと鈴か。」

「ある意味、注目の一戦だね。」

 

一夏と芽衣は観客席にいた。

 

「鈴のガンダム・・シェンロンにどこまで食らいつけるかが見物だな。」

「うん、シェンロンは駆動関節の良さが持ち味だから鈴の思い描いた動きを高い割合で再現できるし、近接の間合いに入られる事なく戦えるかがターニングポイントになる。」

 

シェンロンは右腕のドラゴンハングや火炎放射、ビームグレイブなど間合いの長い近接格闘に特化した装備を持つ反面、射撃武装が頭部バルカンしかないという火力不足が弱点のガンダムである。

 

上空

 

「待ってたわよ。」

「あなたも芽衣さんや一夏さんと同じガンダムタイプですか。」

「そ、BSAA中国支部が作り上げた傑作・シェンロンガンダムよ。」

 

鈴はこの間にも両肩アーマー前面の円形状のレンズで形成されるファティングサイトで情報を読み取っていた。

 

『試合開始』

 

「それじゃ、行くわよ!」

 

鈴はビームグレイブを展開して接近、振り下ろすがセシリアは焦る事なく回避。

 

「私を甘く見ないでもらいたいものですわ!」

 

セシリアはお返しとばかりに近距離でスターライトを放つが鈴はシールドで防ぎ距離を取る。

 

「やるじゃない。」

「あなたこそ。」

 

その後は拮抗した試合運びになった。

セシリアがビットを飛ばして牽制しつつスターライトで狙い打つ。

鈴も少し離れた間合いからビームグレイブを振るうが当たらない。

 

「なかなかやるわね。ならさ、これならどう!?」

「!?」

 

鈴はドラゴンハングを伸ばして殴打を行う。

不意を付いた攻撃を受け、セシリアは完璧に攻撃を受ける。

 

「くっ・・!」

「ほらほら!止めないとあんたの負けが決まるわよ?」

 

ドラゴンハングとシールドの連撃でセシリアのエネルギーがみるみる減っていく。

 

「止めよ!」

 

鈴が止めを差すため、ドラゴンハングを構えると同時に何かが突き破って侵入。

 

「・・何ですの?」

「あれって・・。」

 

侵入してきたのは青で巨大なキャノンを背負っているISと赤で後ろにでんでん太鼓らしき物を装備しているISだった。

一夏と芽衣はそれを見て驚いた。

 

「あれは・・!」

「メリクリウスとヴァイエイト・・!」

「バカな!束さんはあれのデータを破棄したはずだ!」

 

かつて束はウイングガンダムの設計に関わり、バスターライフルのカートリッジ制限を改良出来ないかと開発したヴァイエイト。

結果バスターライフルを上回り、同時に高い連射性も併せ持つ事に成功。

更にジェネレーター直結式とした事でカートリッジ方式のバスターライフルの欠点であった弾数制限の問題も解消。

性能試験で一夏が扱った。

しかし威力やコスト、大出力ビーム技術が外部に漏れる事を恐れた束たちの手によって破棄された。

 

メリクリウスは最強の盾を目指したIS。

特徴は背部に搭載されたプラネイトディフェンサーを駆使しヴァイエイトを守護する。

また接近戦にも秀でており、ヴァイエイトよりもパワーを重視したチューンが施されている。

性能試験で芽衣が扱った。

しかしこれもテロリストに悪用されることを恐れた束たちの手によって破棄された。

 

「一夏。」

「ああ。」

 

あれの性能を知っている二人はすぐさまISを纏い、バリアを破壊するために動き出す。

 

「一夏、僕がやるよ。」

「わかった。」

 

芽衣はビームソードを構え、最大出力の一振りでバリアを十字に切り裂く。

切り裂いたスペースから二人は侵入。

管制室ではバリアを簡単に切り裂いたエピオンに驚いた。

 

「何だ、あのビームソードは・・。」

「と、とにかく通信を入れます!」

 

真耶は慌てて二人に通信を入れる。

 

『天海くん、織斑くん、聞こえます?』

「山田先生、なんですか?」

『先ほど、緊急事態として政府に助勢を頼んで3年の精鋭の皆さんがシステムクラックを実行していて遮断シールドが解除され次第、教師部隊が突入しますからそれまで・・。』

「いや、教師部隊でもあれには勝てないし相手は攻撃体勢に入っている。だから俺たちで止める。」

『え、織斑くん!?』

 

一夏は強引に通信を切った。

変わりに別の場所から通信が入る。

 

『一夏くん、芽衣くん、聞こえる!?』

「レベッカさん!?」

 

通信の相手はかつてのSTARS隊員・レベッカ・チェンバースだった。

現在はBSAA北米支部に所属しており、今回素状を隠して保険医として赴任が決まっている才女。

 

「レベッカさん、何でメリクリウスとヴァイエイトが!?」

『わからない、とにかくよく聞いてね!・・権限により、ゼロシステムの使用を許可します!速やかに二機の撃破、出来れば回収を!』

「任務了解・・!」

「了解。」

 

二人は精神を集中、ゼロシステムを起動。

ゼロシステム、それは分析・予測した状況の推移に応じた対処法の選択や結末を操者の脳に直接伝達するシステム。

簡単に言えば操者の脳に勝利するための行動を見せるシステムである。

それだけを聞けば便利なシステムと思えるが目的達成のためであればたとえ操者の意思や倫理に反する行為も平然と選択する。

状況によっては操者自身の死や味方の犠牲もいとわない攻撃など非人間的な選択が強要されることもあり、これが操者の精神に多大な負担をかける。

そのためこのシステムを使いこなすには自身の感情をコントロールし、かつシステムの命令を押さえ込むだけの強靭な精神力が要求される。

そのためゼロシステムを使いこなせるのは今の所一夏と芽衣の二人だけである。

 

「・・セシリア!」

 

ゼロシステムで未来を見た芽衣は変形してセシリアの元に向かう。

 

「何ですの、このISは!?」

「あれはあらゆる攻撃を無効化する鉄壁の盾。あんたのライフルじゃ破れないわ。」

「何ですって!」

 

そう、セシリアは先程からビットやスターライトで攻撃しているがいずれもプラネイトディフェンサーで防がれているのだ。

レーザーを無効化するプラネイトディフェンサーは正にセシリアの天敵とも言える。

そしてメリクリウスの横にいるヴァイエイトがビームキャノンを構えて撃つ。

 

「!?」

 

セシリアは間一髪でよけるがバリアを破ってアリーナの壁が簡単に破壊される。

 

(何て威力・・!?)

 

セシリアはその威力に恐怖した。

当たれば絶対防御など役に立たない。

 

「セシリア!止まらないで!」

「はっ!」

 

ヴァイエイトは動きを止めてしまったセシリアに照準を合わせる。

そしてヴァイエイトはビームキャノンを放つ。

当たる寸前、セシリアは何かに押し出される感覚を感じた。

 

「・・芽衣さん!」

「間に合ったね。」

 

間一髪で芽衣がセシリアを押し出した。

 

「鈴、セシリアを連れてここを離脱。レベッカさんもいるからケガの手当てをしてもらってね。」

「エネルギーも心もとないし、あとはあんたたちに任せるわ。負けるのは許さないわよ。」

「わかってる。」

 

鈴はセシリアを連れて離脱、ピットへと向かう。

メリクリウスはクラッシュシールドの中央部のビームサーベルで攻撃を試みるも・・。

 

「ゼロが君の動きを教えてくれる・・。それに中に人がいないこともね。」

 

芽衣は宙返りで攻撃を避けて蹴り落とし、出力を高めたビームソードで縦に斬り、メリクリウスは機能停止。

しかし次の未来を見て急いで管制室に通信を繋ぐ。

 

「先生!そこに篠ノ乃さんはいますか!?」

『・・織斑先生!篠ノ乃さんがいません!』

『何だと!?』

 

真耶が管制室を見てみると箒がいない。

芽衣は最悪の未来を見てしまったのだ。

上空では一夏がツインバスターライフルを構えていた。

 

「・・ターゲットロックオン。」

 

あとはツインバスターライフルを放てば終わると思っていた。

 

『一夏ぁっ!!』

「・・!?まさか箒!?」

 

突如スピーカーから流れてきた大声に驚愕しながらも一夏はハイパーセンサーで中継室を確認した。

そこには肩で息をしながらマイクと木刀を握っている箒と気を失っている審判とナレーターの姿があった。

 

「くそが!」

 

一夏はツインバスターライフルのチャージを中断、急いで管制室へと向かう。

 

『そんな相手に何で後れを取っている!』

『何をやっているの!?』

 

その状況を気付いた教師が慌てて中継室に入り、箒を取り押さえようとするが箒は木刀を振り回しそれを妨害する。

 

『離せ!私にはこれしか出来ないんだ!』

『いい加減にしなさい!』

 

さらに数人の教師が加勢に加わりようやく箒を取り押さえるが、箒は取り押さえられてもマイクだけは手を放さずさらに続けた。

 

『男なら・・この程度のこと位乗り越えて見せろ!』

 

ヴァイエイトが中継室の方に向き直りビームキャノンを最大出力で発射しようとした。

 

「させない!」

 

芽衣が中継室の前に立ち、シールドを展開。

ビームキャノンを受け止める。

 

「うく・・!いくらコーティングしてあってもこれ以上は・・!」

 

特殊なコーティングを施してあるエピオンのシールドでも大出力のビームキャノンを長時間受け止めるのはこれが初めてであり、少しずつ融解していく。

 

「う、うああ!」

 

長時間受け止めたせいでシールドが変型してしまったが何とかビームキャノンを受け止めた芽衣だが少しだけ絶対防御を越えてしまい左腕に火傷を負ってしまった。

 

「芽衣。あとは俺が・・!」

 

一夏は芽衣の上に来ており、ツインバスターライフルを連結で放つ。

それはヴァイエイトを飲み込み、爆発が起こる。

 

「任務完了・・。」

 

一夏はライフルを下ろしながらこう言った。

残骸は教師部隊が回収。

こうして乱入事件は幕を閉じる。

なぜ破棄したはずの機体が出てきたのか・・。

メリクリウスとヴァイエイトは束が作りました。

 

しかしコスト面や各国やテロリストに大出力ビーム技術やプラネイトディフェンサーの技術を見られる事を恐れたので機体のデータは破棄しました。

 

各BSAAはこの技術を生かしてパワーアップパーツを制作中。

 

そして箒の暴挙。

 

芽衣の左腕はただの火傷だけで済んだのか・・。

 

次は事後と更なる転校生。

 

感想待ってます!

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
4
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択