No.453010 とある科学の自由選択《Freedom Selects》 第 一 話 始点と終点は紙一重2012-07-14 23:39:57 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1837 閲覧ユーザー数:1766 |
第 一 話 始点と終点は紙一重
学園都市———
東京都の西部に位置するその街は、東京都の3分の2の面積を占め、その人口は約230万人、その約8割が学生と言う学生の街。その内部は23の学区に分かれていて、学区ごとに特徴を持っている。またその科学技術は学園都市外部と比べ20年から30年ほど進んでいると言われる最先端都市である。
そこで行われているのは、「記憶術」や「暗記術」という名目での学生達での超能力研究。そしてその過程で特殊な能力を得た学生は、七つの段階でその力の程度を区切られている。
無能力者《レベル0》 測定不能や効果の薄い力
低能力者《レベル1》 スプーンを曲げる程度の日常では役に立たない力
異能力者《レベル2》 レベル1とほとんど変わらない程度の力
強能力者《レベル3》 日常生活において活用可能で、便利と感じられる力
大能力者《レベル4》 軍隊において戦術的価値を得られる程の力
超能力者《レベル5》 単独で軍隊と戦える程の力
そして学園都市の目的とされ、未だ誰も到達した者がいない領域である
絶対能力者《レベル6》 神の領域の能力
学生達はそのレベルに見合う環境を提供され、その力をより向上させるべく日々努力しているのである。
故に学園都市が彼らを評価する基準はその能力のレベルに因るところが大きく、レベルが低ければ他にどんな特技を持っていたとしても、その評価が上がることは稀にしかない。そしてその中にはそのことを不快に思う輩もいる訳で……
その少年は、ある裏路地を歩いていた。
ここは第十九学区———再開発に失敗し急速に寂れてしまった学区である。故に廃ビルや廃屋が多く。スキルアウトという多くがレベル0で構成された不良達の巣窟でもあり、あまり治安がいいとは言えない。
そんな学区の裏路地をその少年は歩いていた。当然そんな場所を歩いていれば不良に囲まれてしまうし、彼の体付きからして返り討ちにしてしまうなんてことができるとは思えない。
そして案の定、
「ねぇ、君。こんな所一人で歩いてちゃダメでしょ?」
「そうだよ。ここらにはね、僕らみたいな恐〜い人達が沢山いるんだから、用心しなきゃ。と言うわけで、君には少しばかり痛い思いをしてもらうんだけど準備は出来てるかな?」
とまあ、こんな感じに話しかけてくる訳だが、肝心の少年の方はというとそんな言葉は気にも留めず真っ直ぐ道の真ん中を歩いていく。
「おい何とか言ったらどうなんだ?」
しかし少年は答えず不良のいる方へ向かっていく。
「こりゃあ、少しばかりじゃ済みそうにねぇなぁ」
そう言って不良の一人が少年に殴りかかる。しかし、少年は身構えるどころか不良の事すら視界に入れようともしない。
そして不良の拳が少年に触れた時思わぬことが起こった。不良の拳が、腕が、体が、少年の体をすり抜けたのである。その出来事に不良は一瞬だけ呆然とした後に叫ぶ。
「てめぇ、能力者だったのか。くそ、一体何だこりゃあ幻影か!?」
そこでようやくその少年は口を開いた。
「違ぇよ。幻影なんかじゃない、俺はちゃんとここにいる。だがお前は俺に触れられない。待ち合わせをしているんだ、邪魔しないでくれるか?邪魔するんだったらここで全員殴り倒すがそれでもいいか?」
「へっ、威勢のいい餓鬼だな。お前にそんなことできんのかよ?」
少年はうんざりしたような顔をし、はぁという大きなため息をついた後「やっぱりお前ら、俺の事知らないのか。情報開示してないだけ知名度は全然高くないみたいだなぁ」と残念そうに呟く。
「ごちゃごちゃ、言ってんじゃねぇぞ」
再び不良達が襲い掛かると少年は、
「って言うかお前達が付けた『万物透過(リアリティゴースト)』って言う呼び名はどうしたんだ。まぁいいか。そろそろ本格的に活動しようとしてた所だしな。じゃあまぁ、お前達にはここでご退場願おうか?」
そう言って、その少年は不良の群れの中に突っ込んで行った。
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第 二 話 待ち合わせと唐突な遭遇 http://www.tinami.com/view/453373