「本当にお世話になりました」
俺は医者に礼をして、病院を後にした。
「それにしてもアンタ・・・どれだけ回復力あるのよ?アレは絶対に心臓当たってたでしょう?」
アイエフが問う。
「・・・俺も知らんな。俺の回復力は昔から異常だからな」
「あぁ~私も少しでいいからその回復力ほしいよ。ねぇ、シロシロ?」
ネプテューヌが白雪に聞く。その白雪はというと・・・
「神様、兄さんを生き返らせてくれてありがとうございます」
まだ泣いていた。
「もう泣くなよ・・・。生きてるんだったらそれでいいじゃないか・・・」
「うぅ・・そうだけど・・・・」
「ほら、もう泣くな」
俺はそういって白雪の頭を優しくなでる。
「・・・」
泣き止んだが今度は頬が赤くなっていく。
「「「・・・」」」
そしてなぜだろう。
後ろから冷たい目が俺の背中に突き刺さる。
だからなぜに?
--コロ・・・・ス--
「!?」
俺は殺気を感じて後ろを振り返る。
だが誰もいなかった。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
気のせいか?
まぁいいか。
今はティラ・スフィリクスがいつ頃来るかということを考えないとな・・・。
--クスクス・・・--
「!!」
今度ははっきりと聞こえた。
アイツだ、アイツの声だ。
もう・・来ているというのか!?
「どうしたの?」
白雪が聞いてくる。
「いや・・・・・・なんでもない。それよりもお前たちは先に帰ってくれ」
「なんで?」
「ちょっと用事を思い出した」
「「「「ふ~ん」」」」
「なんだよ?」
「「「「別に・・・」」」」
本当になんなんだ?
「ゼロっち・・・あの黒い女の子の所に行くのかな?(ボソボソ)」
「えぇ、多分そうでしょうね(ボソボソ)」
「どうする?止める?(ボソボソ)」
「いや、今回は行かせてあげましょう。あの黒い女の子にもゼロさんが生きてることを報告しなくちゃいけませんし・・・(ボソボソ)」
「何をさっきからぶつくさ言ってるんだ?」
「「「「別に・・・」」」」
・・・
まぁいいか・・・
「それよりもお前たちはさっさと宿に戻れ」
「「「「・・・」」」」
ジト目で睨んで四人娘は帰っていた。しかしなぜジト目?
さて・・・四人娘も帰っていてもらったことだし
俺は人気のないビル裏に行き、屋上までジャンプをした。
屋上に足を着け、町を見渡す。
「いないか・・・仕方ない、神眼開放!」
俺は神経を集中させ、ラステイションの町全体を読み取る。
なんらかの神気や妖気などの力を持っているならば分かるはずなんだが・・・
「おかしい・・・なんの力も感じない?」
そう、なんの気配も感じなかった。
なら、あの俺が感じたものは気のせいなのか?
いや、しかし・・・
「誰かお探しですか?それとも私を探してくれていたんですか?」
俺の背後から声をかけられ、振り返るとそこにはヤツがいた。
「お久しぶりですね、零哉様。それともまだ私の記憶は取り戻していないんですか?」
「お前は誰だ?・・・・・・・と言いたいが生憎思い出してな。ティラ・スフィリクス」
「フフフフ。あぁそうやって名前も呼ばれたのも何年ぶりでしょうか」
「さぁな。俺の本当の年も分からんしな。それよりもいつからここに来た?」
「零哉様がここに来てから半年ぐらいでしょうか。もうだいぶ前なので覚えていません」
半年も前から?
「半年も前に来ていたのなら、なぜ俺に手を出さなかった?」
「恥ずかしながら本当にアナタなのか分からなかったからです」
なるほど・・・だが・・・・
「俺は途中から『神眼』を開放したんだがな」
「それでもいつものアナタの霊力リズムではなかったからです」
「なるほど・・・それで今回、俺が記憶を取り戻した時に気づいたのか?」
「はい。アナタがあの男に撃たれたとき、霊力のリズムがいつもの零哉様に戻りましたから」
それで俺の前に現れたということか。
「それでお前はどうするんだ?」
「それは零哉様が一番おわかりなのでは?」
「フン。俺もそう簡単には捕まるつもりはない」
「あの『ノワール』という女に捕まって私に言えますか?」
「・・・」
クッ。痛いところを突いてきやがる。
「それにあの四人娘・・・本当にかわいいですね」
「・・・何が言いたい」
嫌な予感がする・・・
「フフフフ、零哉様が気に入るのも分かりますよ?私もあの子達はほしいんですもの・・・。けど・・・」
俺の背中から嫌な汗が出始める。
「零哉様をたぶらかす『害虫』は誰であろうと消します」
そう彼女が言った瞬間
--ドゴーン!!--
「!?」
俺の背後から爆発音が鳴り響く。
振り返ると、爆発音の場所は四人娘が泊まっている宿だった。
「貴様!!」
「これも零哉様が私を見てくださるためにしたことですよ?」
「何をバカなことを!!」
「私にとってそれは大事なことなので。ですから・・・」
そう言った瞬間、ティラは俺の目の前からいなくなり
「もう一度私と契りなおしましょう?」
俺の目の前に現れた。
「スター・ゲイザ!!」
俺は瞬間的に反応し、スター・ゲイザを出して逃げようとした。
「フフフフ。どこに逃げようとするのですか?」
俺が現界した場所にティラも現れる。
「!?」
「フフフフ。何を驚いてるんですか?私は今『神眼』を使っているんですよ?あなたがやろうとしている事は全て分かるんですよ?」
「クッ!」
俺は内心焦っている。
俺の今、反対側にいるのは化け物なみの力を持っているやつだ。
「化け物なんてひどいですね」
「!!」
何だと!?
今、こいつ俺の心を読んできた!?
「それは読めますよ?だって私の神眼はあなたと同じ・・・いや、あなたが使っている神眼は元は私のですから」
「?」
何を言ってるんだ?
たとえこの神眼がティラのだとしても、ティラは今も神眼が使えている。
「わけが分からないって顔をしてますね。そうですね・・・・・今零哉様が使っている神眼は私の力を4割与えたものです」
そういうことか・・・
俺の神眼はあいつの力の一部だってことか。
「だけどだいぶ驚かされました。まさかあの時零哉様にその眼を与えたときよりも。力が強くなっている・・・フフ。だいぶ神眼と『同一化』してきましたね」
「神眼と・・・『同一化』?」
「えぇ、そうですよ。神眼と同一化すればもはや零哉様は人間ではなくなる・・・いわばこちら側につくということです」
「な!!」
俺は驚愕した。
神眼を使えば使うほど、人間じゃなくなる?
アイツは何を言ってるんだ!?
俺は・・・
「あなたはもはや人間じゃない。もうこちら側についている。そんな人がここにいてはこの世界は崩壊してしまう。だからこっちに来なさい『竜堂 零哉』!!」
彼女がめずらしく強く言う。
違う!!
俺は人間だ!!
お前らみたいな化け物と・・・
「一緒にするなぁあああああ!!」
俺は天照を引き抜き、ティラに斬りかかる。
「それじゃあ、あなたはその『化け物』と戦うんですか?そんな病み上がりな体で」
「うるさい!お前に心配される筋合いはない!!」
「フフフフ。なら少し遊んでいきましょう。『天使の宝在庫(リバイヴァル・エアー)』!!」
そう言うとティラの周りから数百個の剣が出てきた。
まるで『王の財宝』を見ているようだった。
「さぁ零哉様。この剣の数は防ぎきれますか?」
「クッ!」
「ちなみにあなたが防ぎきれなかったら、この町は蒸発しますよ?」
何だと!?
「お前正気か!?この町に住む人間はどうなるんだ!?」
「そんなもの知りませよ。私は零哉様を手に入れるためだったら、なんだってしますから」
「クッ!」
仕方ない。
病み上がりでどこまでやれるかは分からんが、やれることはやってやるさ!!
「トレース・オン!!」
なるべく多く創造するんだ。
ざっと見た数は数百個ぐらいだ。
ならその倍の数を創ればいい!!
「あら、すごい数・・・ではいきますよ?」
そういって彼女は手をゆっくりと俺の方に向け・・・
「いきなさい!!」
きたか!!
「全投影武器、目標に連続掃射ぁあああ!!」
俺が創った武器と、ティラが生み出した武器がぶつかり合い、爆発した。
「ハァ~、なんか釈然としないな・・・」
私はこれで何回目だろう。
さっきから私はこの言葉しか言ってない。
なんでこの言葉しか言ってないかというと兄さんのせいだ。
兄さんが何かを隠しているのは分かっていた。
でも兄さんが隠し事をしているとき、全て自分で片付けようとする。
もっと周りにうちあげればいいのに・・・
「シロシロ、さっきからそれしか言ってないよ?」
「うん、分かってる」
「ゼロのことだから心配ないんじゃない?ただあの子に会って生きてるって報告だけだと思うし」
「うん・・・」
「心配ないです!ゼロさんはきちんと帰ってくるです!!」
「うん・・・そうだといいんだけど」
そういって歩いてると私たちが泊まっている宿についた。
そして私たちが入ろうとした瞬間
--ドゴ-ン!!--
「「「「なっ!!」」」」
なんと私たちが泊まっていた宿が爆発したのだ。
「何?これ」
私たちは今起きたことが理解できなかった。
今何が起こって・・・?
「アレはなんだ!?」
誰かが声をあげた。
後ろを見ると、数百個の剣が空に浮かんでいた。
そしてその剣はまるで流星みたいに流れて・・・いや、発射していた。
「全投影武器、目標に連続掃射ぁあああ!!」
兄さんの声が聞こえた。
はっきりと・・・
「今の声って・・・」
「ゼロさん声です・・・」
「あいつ!病み上がりのくせになにやってんのよ!!・・・って、ちょっ白雪!?どこに行くの!?」
私は瞬間的に駆け出した。
兄さんを助けなくちゃ!今度こそ、絶対!!
「はぁはぁはぁはぁ・・・」
クソ。
いちようは全部なんとか防いだものの、俺の体がもう持たないぞ・・・
「もうそろそろ現界のようですね。ですがまだ立っている。さすがは私のご主人様」
彼女はウットリとしたような声をだす。
「・・・気持ち悪い声を出すな」
俺はそう言うが、言葉がうまく出せない。
体力が現界だった。
「さてもう終わらせますね。これ以上ココにいたらシェルに怒られてしまいますから」
そういって彼女は次元の割れ目に手を入れた。
そこからひとつの剣が出てきた。
その剣は全体的に紅く、ところどころ黒色も混じっている。
「なん・・・だ。その・・・・・剣は!?」
俺はこの剣から異常なほどにプレッシャーを感じていた。
「この剣は『破壊のための剣(ヴォルガイア・ブレード)』。その名のとおりただ破壊のための剣です」
「その剣で俺に何をしようと?」
「あなたを斬ります」
「殺すということか?」
「いいえ。殺したらいくら私といえどもあなたには一生会えなくなるので、殺しはしません。ただ気絶をしてもらうだけです。零哉様は昔からこの剣は苦手でしたもんね」
そう彼女が言った瞬間、剣からさっきよりも異常にプレッシャーを感じた。
「ヒッ!!」
俺は瞬時的に後ろに退いたが、フェンスにぶつかった。
「さぁ零哉様。覚悟してくださいね?」
そいて彼女は剣を振りかざす。
「させない!!」
--ダンダンダン!!--
どこからか銃声音がなった。
顔を上げるとそこには白雪がいた。
「お前・・・いったい!!」
「兄さんの声が聞こえてからここにきた」
「バカ!今すぐに逃げろ!!殺されるぞ!?」
「嫌だ!!もうあんな思いをするのはもう嫌!!」
こいつ・・・。
「いつの間にこんなに立派になった?(ボソボソ)」
「なにか言った?」
「いや、別に・・・。それでお前はどう立ち向かうつもりなんだ?」
俺は息を整えながら問う。
「・・・そんなの臨機応変だよ」
「ムチャだ!あいつにそんなことは無理だ!!」
「だけど・・・」
「すいませんが今日はこれで私帰ります。あっちに行って仕事をやってこなくちゃいけませんので・・・」
なぜか申し訳ないように言うティラ。
「それではまた来ます。そのときは絶対に連れて帰りますからね?零哉様」
そいうと彼女は消えた。
「くっ・・・」
俺もそろそろ限界か・・・
俺はそこで意識がなくなった。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
第十八話です
何かと記憶がもどらない・・・
俺はいったい何をしていたんだろう?
そして最近首がこる
続きを表示