No.452307

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ヒーラギさん

10話『町へ』

2012-07-13 22:09:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2482   閲覧ユーザー数:2347

俺達が学院長と話し合って数日立った後の放課後に、ルイズと才人が走ってきた。

 

「おい!ヴェル、ちょっと待ってくれ!」

 

「どした、そんな切羽詰った顔して……面倒なことじゃないよな?」

 

うぐっ……と才人が喉をつまらせた。

 

面倒事ですか、そうですか。

明日は虚無の曜日(お休み)だったから休みたかったんだけどな……

 

「助けて欲しい人がいるのよ」

 

ルイズが、気まずそうに言った。

 

「いやいや、何で俺のところにに来るんだよ?

水のメイジでも呼んでくれよ。」

 

「サイトから聞いたんだけど……」

 

その言葉を聞いたときに、才人を睨むと目を逸らした。

 

「……どんな事を聞いた?」

 

「あんた、げーむってところから来たのよね?」

 

「ちょっと違うけど、そんな感じだな」

 

「どんな万病でも治せるって……」

 

「…………そうか」

 

そりゃあ、ゲームに出てくる状態異常なら治せる。

回復アイテムもあるからな。

 

……でもさ、才人……万病って……

 

「なぁ、才人?」

 

「な、なんだよ……」

 

「お前、あのゲームやったことあるのか?」

 

「いや……ない。友達から話を聞いたことあるんだ」

 

「それでどうして俺が治せると?」

 

「で、治せるの!?」

 

ルイズが話に割り込んできた。

 

「わかんないな、こっちとあっちの病気が同じかどうか分からない。

持ち合わせていない材料もあるから……あれば治せるかもな」

 

「明日……」

 

「ん?」

 

ずっと本を読んで、終わるのを待っていた……と思ったタバサが顔を上げた。

 

「明日、街に材料を買いに行けばいい」

 

……あれ?ずっと会話に参加しないと思ってたんだけどな。

何で行く気になってるんだよ……

 

「タバサがそう言うんだったら構わないけど……お前達もそれでいいか?」

 

「あぁ、俺達もちょうど行く予定だったからな」

 

「そうなのか?」

 

「武器を買いに行くんだ」

 

「ふーん……扱えんのか?」

 

「前みたいになってくれれば……できると思う」

 

「そうか……んじゃタバサ、そろそろ戻ろう?

明日の昼前ぐらいでいいだろ?」

 

「えぇ、構わないわ」

 

「分かった」

 

才人とルイズがそれぞれ頷き、俺達は分かれていった。

 

 

 

 

 

晩飯を食って、タバサの部屋に戻るとタバサが口を開いた。

 

「万病も治せる……?」

 

「あぁ、こっちの世界ではできる」

 

「どのぐらい?」

 

「どのぐらいって言われてもな……前も言っただろ?

回復する人が死んでなければ全部治せた」

 

「……本当?」

 

「本当本当。重症でも瀕死でも治せた」

 

……何て言っても数が少ないんだよなぁ……

片手で足りるぐらいの数しか持ち合わせてない。

 

「そう……」

 

「どうした?治して欲しい人でもいるのか?」

 

「私の……母親」

 

「……前もそんな事言ってたな……

分かった。できる限りはやってる」

 

「……ありがとう」

 

「そういうのはちゃんと治ってからな……

んじゃ、お休み」

 

俺は壁に寄りかかり、ゆっくりと眠っていった。

 

 

 

―――――

 

 

 

「――――で、何でアンタがいるのよ!キュルケ!」

 

「あら?ルイズ……別にいいじゃない」

 

「よくない!!」

 

 

いつのまにかキュルケが加わってた。

というか、いつの間に名前で呼び合うくらい仲良くなったんだ?

 

「ヴェル……何で行くんだ?」

 

「ん?言ってなかったか?ドラゴンだよ」

 

「あの白いドラゴン?」

 

あぁ……皆は一回見たんだっけ。

 

「いや?今回は違う奴だ……離れててくれ」

 

皆を少し離れさせた後に剣を構え、魔力をこめる。

地面に大きな魔方陣が現れる。

 

「決闘のときはもう少し早かったよな?」

 

才人の声が聞こえてくる。

そりゃそうだ……決闘では巻物で省略したからな。

この事も後で教えないと……

 

俺が魔方陣を描き、詠唱をして数十秒。

やっと詠唱が完成する。

 

「―――――ワイバーン!」

 

魔方陣から風が吹き荒れ、風が形を作り竜の形になる。

少しずつ色がついて、そこには緑色の竜が飛んでいた

 

「よっし……皆、行こうか」

 

 

俺は振り返り、皆をワイバーンに乗せ、街の方向へとワイバーンを飛ばした。

 


 
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