No.451868

魔法少女リリカルなのはDuo Ifストーリー ~月村家の和メイド~

秋宮のんさん

魔法少女リリカルなのはDuoのIfストーリー。月村すずか一筋のカグヤくんが、和メイド姿で御奉仕三昧!笑いあり! 悲しみあり! バトルあり! シリアスあり! なのは無印から始まるカグヤ視点のお話! 視点がころころ変わるのはご愛嬌で許せ!気持ちを軽く、遊び半分で見るべし!

2012-07-12 23:58:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2901   閲覧ユーザー数:2770

 

可能性の物語

 

カグヤが時渡りを行わなかった世界……。

 

 

 

 

 シトシトと、空から雨粒が降りしきる。

 大切な人を失って、悲しみに暮れて……、何もできなくなって……、

 シトシト降る雨に打たれて、滅入った気力は起き上らない。

 僕はどうすればいいんでしょう? 義姉さんを失った僕は……。

 

「ねえ君? もしかして東雲さんの弟さん?」

 

 声がしたので振り向いてみました。それが自分だったから振り向いたわけではありません。

「あれ……? 違ったかしら? ねえ、こんな所でどうしたの? お父さんやお母さんは?」

 一人ぼっちの子供を見ると、大人はどうして同じ事を訪ねるのでしょう?

 ……そんなの決まっています。子供に『保護者』なんて言葉が解るかどうか怪しいから、だから解り易く親を出してくる。

 ……。どうでもいいですね、そんな事。

 僕はその場を離れます。人に慣れ合うのはちょっと苦手なんです。向かった場所は御墓。東雲神威と墓石に彫られた御墓です。

 お参りしに来たのではありません。ここしか拠り所がなかったから、この人の傍しか、自分を肯定できなかったから……、だから僕は、ずっと付いてきた二人の男女の事なんて考えませんでした。

 雨に打たれ続けながら、墓石の隣に座り込み、瞼を閉ざします。

 別に死のうとしたわけではありません。ただ、もう少しだけ長く、この人の傍に居たいと考えていただけだったのです。

 

「あの……、風邪引くよ?」

 

 声がしました。

 閉じていた瞼を開くと、傘を差した女の子が、怯えながら僕に話しかけているのが見えました。

 瞼を閉ざします。話す事なんてありませんから……。

 不意に身体を打っていた雨粒がなくなりました。どうしてだろうと思ってもう一度瞼を開くと、女の子が僕に傘を差しだしていました。他人に近づくのが怖いのでしょうに、僕を気にかけ、傘をさしかけています。自分の体が少しはみ出て、濡れていますが、あまり気にしないようです。

 どうでも良かったので再び瞼を閉ざして、今度こそゆっくり眠りに付きました。

「ありがとう……」

 何か考えの纏まらない声で呟いた気がしますが、何を言ったのか自分でも思い出せません。別にどうでもいい事です。

 ただ、目が覚めた時には何処かの家のベットに寝かされていた時は、多少びっくりしました。

「ねえ君? この家で暮らさない?」

 その家の主、最初に僕に話しかけてきたあの女の人は、そんな事を僕に言ったのです。

 どうでもいい事ですねどね。

 

 

 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
3
5

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択