No.451733 魔法幽霊ソウルフル田中 ~魔法少年? 初めから死んでます。~ 普段丁寧語喋る人ほど怒ると恐いな7話タミタミ6さん 2012-07-12 21:27:07 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1268 閲覧ユーザー数:1253 |
高町なのはは混乱していた。
夜中に謎の声に助けを求められ、走って駆け付けてみたら真っ黒な化け物とゆうべ助けたフェレットと遭遇し、極めつけはフェレットが喋るという事態にあえば誰だってそうなると思う。
ちなみにちらっとみた人魂らしき炎については考えないようにしている。
いくら不屈の心をもっていても小学生、友人のアリサ程ではないがオカルトは怖いらしい。
「これを使って、僕の後に続けて言ってください」
「え、えっと……一体何を……?」
そして現在、動物病院から少し離れた場所でユーノから赤い宝石――――レイジングハートを渡されるなのは。
思わず受け取ってしまったが、一体何が始まるのか見当もつかないのでその場で固まってしまう。
「あっ、すみません、説明は後でちゃんとしますから! さっきの人があいつを足止めしている内に早く!」
「えっ?」
なにか、聞き捨てならないことを聞いた気がした。
「あの……私、一人で来たんだけど……?」
「えっ?」
そう、確かに自分は一人で来たはずなのだ。
家族にばれないようにコッソリと家を抜け出したはずだし、道の途中では誰にも会っていない。
「でも、さっき君の頭上に黒い服を着た人がいたんだけど……? すぐに見えなくなったけど飛んでたからてっきりこの世界の魔導師かと……」
「私の上に? 魔導師?」
「み、見えなかったの?」
見えないどころか、魔導師がなんなのかすら知らなかった。
沈黙がその場を支配する。
「「…………」」
ちなみになのはは、周りから『憑かれてる?』と言われてるのがコンプレックスな少女である。
「み、見間違えたんだよきっと!」
「え? でも確かに炎の弾を見たんだけど」
「わー! わー! 見てないっ! 人魂なんて見てないからっ!」
パニックに陥るなのはと、田中の人魂を『炎の魔力弾』と勘違いしたユーノの押し問答がしばらく続く。
この時、田中は割と真面目に時間稼ぎをしていたのだが、台無しである。
しかも事態はどんどん悪い方へ向かっていく。
「――――ギヤァァァ……!」
5分後、田中の渾身の人魂に吹っ飛ばされて暴走体が吹っ飛んできたのだ。
再び現れた脅威に二人は気付いて――――
「だから、ホントにいたんだってば! 黒い服着た、頭に白い三角頭巾をつけてる男の人が!」
「いないいないっ! たとえ君が妖怪猫又ならぬフェレ又だったとしても、ゆうれいなんていないんだって!」
「なんで僕が妖怪扱いなのっ!? 最初あった時人間だったよね!?」
「う、嘘だー! 最初からフェレットだったもん!」
――――いなかった、それどころか話題が脱線している。
このままでは直撃である、しかしこの危機に気付く『モノ』が一人いた。
〈ジュエルシードが接近しています、危険です〉
そう、なのはの手の中にある彼女、レイジングハートである。
自らの発見者であるユーノと、使い手にふさわしい素質のあるなのはを助けるため、自分の意志で動いたのだった。
「ええっ! そうだったっけ!? あ、そういえばそんな気が……?」
「そうだよ、私を騙そうったってそうはいかないの!」
「いやいや! 人間なのはホントなんだってば! 信じてよ!?」
しかしガン無視である、これが現実っ……!
それでもレイジングハートは、その名の通りにめげず呼びかける。
〈始動キーを唱えてください〉
「じゃあ今から人間の姿に戻ってよ! そうしたら信じてあげるから!」
「今は魔力が足りないから無理だよ!」
〈暴走体と接触まであと数秒もありません、急いで〉
「ほらできない! やっぱりウソなんでしょ!」
「ええっ、そんなあ!? いやでも、ただのフェレットが喋るわけないじゃないか!」
〈戦闘のサポートは私が全面的にやりますから早く〉
「にゃっ!? でもでも、『百年生きた猫は猫又という妖怪になって喋ることも出来る』って本に書いてあったの!」
「それは猫の話じゃないか! それに僕はまだ9年しか生きてない!」
「わ、私と同い年だったの!?」
〈もしもし? 二人ともワザと無視していませんか?〉
なんかもう、駄目だった。
本人たちは大真面目な論争を繰り広げているつもりなのかもしれないが、どうみても仲良くお話してるようにしか見えない。
――――――――――ブチッ。
レイジングハートの、何かが切れる音がした。
〈…………セットアップ(怒)〉
ビッカアァァァァァッッ!!! と眩いピンクの光がなのはを中心に広がる。
「えええええっ!? なに! なに! 急に光ってぇぇぇぇっ!!?」
「ちょ、ええええっ!? まだ始動キー言ってないのに!?」
二人が喚いているが、もちろん緊急事態なので無視する。
決してさっき無視した仕返しとかではないのだ(棒)。
なのはの意識を探って、適当に思いついた服のイメージをバリアジャケットにして強制展開する。
レイジングハートが選んだのは聖祥の制服、原作と同じく白いバリアジャケットだ。
「なにこれ制服!? なんで!? なんでぇっ!?」
ただし、なのはの混乱度は原作以上だが。
「ギイアアアアアアア!!!」
「「ええええええええっ!? もう来てたあっ!?」」
〈やっと気付きましたか〉
咆哮を間近に聞いて、ようやく暴走体がこちらへ凄まじい勢いで向かってくることに気付くユーノとなのは。
今更慌てふためいても遅すぎるのだが、レイジングハートは冷静だった。
〈プロテクション〉
直後に、ズゴガアアアアン!!! とすんごい衝突音が響き渡る。
レイジングハートの張ったプロテクションに暴走体は吹っ飛んできたままのスピードで激突した。
「グゴガッ!?」
そして見事にプロテクションに弾かれ、地面に投げ出される暴走体。
余程のスピードで飛んできたのか、ピクリとも動かなくなってしまった。
「「ええーー……」」
〈ジュエルシード、封印〉
「ガア、アアア……!」
余りの呆気なさに呆然としている二人を置いてけぼりにして、さっさとジュエルシードを回収してしまうレイジングハート。
「……え、もう終わっちゃった?」
「デバイスを使いこな……されてる?」
驚きのキャパシティを超えたのか、もはや疑問符しか浮かんでいないなのはとユーノ。
しかし、まだ終わっていなかった。
なぜなら。
〈二人とも(怒)〉
「「は、はいっ!」」
とても怒っているように聞こえたレイジングハートの声に、二人は声をそろえて返事をする。
その顔に大量の冷や汗がみられるのは、チカチカ光る彼女が発する圧倒的プレッシャーのせいだろう。
〈後で、『お話』があります。拒否権はありません(怒)〉
「「サ、サー! イエッサー!!!」」
レイジングハートさんのスーパーお説教タイムが幕をあけるのだった――――。
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7話投下です。
レイジングハートさん最強伝説の幕開けである。