No.451065

恋姫外伝~修羅と恋姫たち 九の刻

南斗星さん

いつの時代も決して表に出ることなく

常に時代の影にいた

最強を誇る無手の武術『陸奥圓明流』

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2012-07-11 16:31:24 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:4481   閲覧ユーザー数:4167

【九の刻 武人の性】

 

 

 

 

 

趙雲 子龍と名乗った女性は疾風に近づくと、興味深げな表情で話しかけてきた。

「陸奥 疾風殿と申されましたか、失礼ながら先程の腕前といい貴殿は只者ではないと見ましたが、ひとつ私の願いを聞いてくれませんかな?」

そういいながら、楽しそうに顔を近づけてくる。

後ろの連れの二人を見ると、また始まったかと言うような表情をしていた。

「何だ?」

そんな趙雲に疾風は事も無げに、問いかけた。

疾風と手を繋いでる璃々は遊びつかれたか少々眠そうだ。

趙雲は背筋を伸ばすと真面目な声で

「私と立ち合っていただきたい」

と持っていた槍を疾風に向けながら、そう誘ってきた。

「ほう…随分と唐突、だな。」

と疾風が口元をにやりと歪めると、趙雲の連れの一人であろう頭にオブジェを乗せた少女、確か程立と言ったか、が近づいてきて

「そうですよ星ちゃん、それではなんの脈絡もなく喧嘩を売ってるとしか思えないのです。」

と言ってきた。

そして疾風の方に向き直ると

「すみませんね、星ちゃんがいきなり失礼なことを言いまして~」

そう言って疾風に頭を下げてくる。

「ですがお兄さん、星ちゃんがこうなったらもう誰にも止められませんので、犬に噛まれたとでも思って諦めて付き合ってくださいませんか?」

「風よ、それでは私は躾のなってない野良犬みたいではないか?」

「……」

「……」

「…ぐう~」

「寝るな!」

いきなり眠った程立にもう1人の連れ眼鏡をかけたを女性、こちらは戯志才と名乗ったか、が突っ込みを入れる。

「おおう、あいからわず凛ちゃんの突っ込みは的確なのです。」

と、緊迫しかけた雰囲気は一瞬にして砕け散った。

 

 

「それで何で俺と戦いたいんだ?」

乾いた空気を入れ替えるごとく、改めて疾風が趙雲に問いかけた。

「それは貴殿が強いからだ。」

それに対しての趙雲の答えは至極単純なものだった。

「貴殿も武人なら判るだろう?己よりも強いかも知れぬ者と戦いたいと思うのは、武人の性と言うもの」

そう言って、にやりと笑いながらあなたもそうでは?と視線で問いかけてくる趙雲。

そんな趙雲の挑発とも取れる態度にも、飄々たる態度を崩さない疾風。

「それでどうですかな、私の願い聞き入れてはもらえませんでしょうか?」

挑発は無駄だと思ったか、一転して真面目な眼差しを向けながら疾風に頼み込む趙雲。

そんな趙雲に対して疾風は

「ああいいぜやろうか。」

と口元に軽い笑みを浮かべたままそれを受けた。

「いいのですか?そんなに勝負を簡単に受けてしまって。」

疾風が簡単に勝負を受けてしまったことに疑問を感じたか、戯志才と名乗った少女がそう問いかけてきた。

疾風は眠ってしまった璃々を背負いながら、「かまわんさ」と心配そうに見る戯志才に肩を竦めながらむしろ面白そうに答えた。

そんな疾風を見ながら趙雲は興奮気味に、

「凛よ、陸奥殿がいいと言ってるのだからかまわんではないか、では陸奥殿さっそくお手合わせ願おうか!」

と持っていた槍を構える

「ちょ、ちょっと星、あなたこんな街中でいきなり決闘を始める気ですか!?」

そんな趙雲を見て、慌てて止めに入る戯志才

「む、それもそうか」

と自身が先走ったことを恥じたか、顔を赤らめながら構えていた槍を下ろす趙雲。

「それにその背負った娘さんまで巻き込むつもりですか?」

と言いながらトコトコと疾風に再び近づいた程立が

「すみませんねお兄さん、星ちゃんはこうなると周りが見えなくなる猪さんですから、悪気はないんで許してくださいね?」

と再び疾風に向かって頭を下げた。

「…風よ、誰が猪だと?」

「……」

「……」

「ぐう~」

「だから寝るな!」

都合の悪くなった程立が再び眠ると、戯志才が再び突っ込む。

そんな様子を疾風は楽しそうに見ていた。

 

 

 

「それでは明日改めて立ち合わせていただくと言うことでよろしいかな?」

結局今日は璃々を連れて帰らないといけない為、明日にしてほしいとの疾風の要望により明日改めてということになった。

趙雲は納得しがたい様子だったが、ニ人に諌められて明日と言うことで引き下がったようだった。

「では明日、日の出の頃城門前でお待ちしてますぞ。」

「ああ」

さすがに街中で戦うわけにも行かず、郊外でという戯志才の提案で城門で待ち合わせと相成った。

「それでは御免」

と意気揚々と引き上げていく趙雲、申し訳なさそうに頭を下げる戯志才、ぼ~とした表情でニ人についていく程立達を見ながらどこか楽しげに笑った疾風は璃々を背負いながら帰途についたのであった。

ストックが尽きそうなので、連日投稿は次あたりで限界かも。

まあなんとか趙雲戦までは早めに投稿しちゃいたいけど、今書いてるその後の展開がいまいち気に食わないので全体的にプロットから見直したいと思ってます。

 

 


 
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