No.450529

IS〈インフィニット・ストラトス〉 ~G-soul~

ドラーグさん

番外編! IS学園ドキドキパニック! ②

2012-07-10 19:29:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1197   閲覧ユーザー数:1141

「じゃあ、えっくん!今までありがとう!バイバイ!」

 

そう言って篠ノ之博士はウサ耳をピコピコさせながら廊下へと出て行った。

 

この日の夜。何事もなく時間は過ぎ、俺は無事に篠ノ之博士を送り出し、ほっと一息ついた。

 

「しかしなぁ・・・・・、博士、妙に元気そうだったな」

 

・・・・・・・・・・・あれ?

 

「もしかして嘘だったのか!?」

 

くそっ!してやられた!まさかあんな芝居に引っかかるなんて!

 

「くぅ・・・、悔しいがもう行っちまったからどうにもできないしな・・・・・」

 

大人しく負けを認めるとしよう。さて、もう寝るか・・・・・。扇風機もあるから寝苦しくはないか。

 

コンコン

 

「?」

 

こんな夜に誰だ?

 

「瑛斗・・・・・」

 

「シャル?」

 

部屋に入ってきたのはシャルだった。しかし、様子が変だ。

 

「どうした?」

 

「瑛斗・・・、体が・・・・・」

 

「体?」

 

目の前のシャルは頬が赤く、目もとろんとしている。明らかにおかしい・・・。

 

「体の奥が熱いの・・・・・。ねぇ、どうして?」

 

「は?え?ええっ!?」

 

いきなりシャルが制服の上着を脱いでその下に着ているワイシャツのボタンも外し始めた。シャルの下着が少しずつ見え始める。

 

「ま、待て待て待て!どうしたんだよ!?」

 

ボタンを外そうとするシャルを必死に止めると、新たな来訪者がやってきた。

 

「瑛斗はいるか・・・」

 

来訪者はラウラだった。

 

「ラウラ!シャルの様子がおかしいんだ!」

 

「そうか・・・・・」

 

そう言って俺の隣に立つラウラ。しかしシャルを止めるのを手伝ってくれると思っていたラウラの手はまったく別の方向に伸びた。

 

「!?」

 

そう。俺のズボンのベルトを外しにかかったのだ!

 

「ラウラッ!?」

 

「どうした?何か変か・・・・・?」

 

よく見ればラウラもシャル同様に頬が赤く目もとろんとしている。

 

「あ・・・ラウラずるい。僕も・・・・・」

 

シャルも俺の腰に手を這わせる。ヤバい・・・!非常にヤバい!

 

「あぁっ!」

 

明後日の方向を指差す。

 

「「?」」

 

二人は指差した方向を向く。今だっ!

 

「うおおっ!」

 

二人を振り切り、部屋の外に出る。すると、部屋の外にいた女子が一斉に俺の方を向いた。

 

「あ~、桐野くんだぁ~・・・」

 

「見つけたぁ~」

 

「えへ、えへへへへへへ・・・・・」

 

迫りくる大勢の女子。全員シャルとラウラと同じような状態だ。

 

「待て・・・。どこに行く・・・・・?」

 

「瑛斗・・・熱いの・・・・・」

 

チィッ!二人も部屋から出てきやがった!こうなったら・・・・・!

 

「G-soul!!」

 

G-soulを背部と脚部を展開し、一気に離脱する。

 

(くそっ!なにがどうなってやがる・・・・・!)

 

俺は訳がわからないまま逃亡を開始する。

 

 

 

 

「ふんふっふ~ん♪」

 

天才、篠ノ之束はスキップしながらIS学園の一年生寮の廊下を進んでいた。目指すは愛しの妹、箒の部屋だ。

 

「いやあ、えっくんが真に受けてくれるとは思わなかったな~。まあそのおかげでこうしてられるんだけどね。うふふ」

 

言うまでもなく、先ほど束が瑛斗に言った不治の病というのは真っ赤な嘘である。彼女は健康以外の何物でもない。

 

「もうそろそろあの薬が効果を発揮するころだね。そしたら・・・・・」

 

束は妄想を膨らませる。

 

 

『姉さん・・・』

 

『どうしたんだい?箒ちゃん』

 

『体が火照って・・・、むずむずするんです・・・・・』

 

『そう・・・』

 

『姉さん・・・。私・・・・・もう・・・・・!』

 

『そっか。じゃあ私が和らげてあげる・・・・・』

 

『姉さん・・・』

 

『箒ちゃん・・・』

 

『姉さん・・・・・』

 

『箒ちゃん・・・・・』

 

 

 

「うへ、うへへへへへへ・・・・・」

 

よだれを垂らしながらそんな妄想をする束。今の彼女から天才の風格なんて感じることは不可能だ。

 

「待っててね!私の箒ちゃん!」

 

歩く速度を若干速めて廊下を進む束。すると・・・・・。

 

「うわあああああ!!」

 

「おや?」

 

前から誰かが走ってきた。目を凝らすと、その姿がはっきり見えた。

 

「いっくん?どうしたの?」

 

「!? 束さん!?一体どうして―――――」

 

「一夏~・・・・・・」

 

「一夏さ~ん・・・・・・」

 

「待ちなさいよ一夏ぁ・・・・・」

 

「ゲッ!?来た!?話は後だっ!行きますよ束さんっ!」

 

「へっ?えっ?えっ?」

 

血相を変えた一夏が白式を展開して束を抱えて走り出す。肩に担がれるように運ばれている束ははっきりと見えた。

 

「! 箒ちゃん!」

 

頬を赤くして、目をとろんとさせた箒を。セシリアと鈴もいるのだが、そんなことはお構いなし。束の目には箒しか映っていない。

 

「束さん!皆の様子が変です!とりあえず逃げましょう!」

 

「待っていっくん!あれは―――――」

 

「一夏っ!」

 

一夏の前方から瑛斗が来た。一夏同様にG-soulを展開している。

 

「瑛斗っ!うえぇっ!?」

 

「た、助けてくれー!」

 

瑛斗の後ろには大量の女子が迫っていた。二人は立ち止まって話し始める。

 

「おいっ!なんなんだよ!?皆どうしちまったんだ!?箒と鈴とセシリアが俺のズボンのベルトを外しにかかってきたぞ!?」

 

「俺もシャルとラウラに襲われたよ!博士っ!一体何がどうなってるんです!?」

 

「え・・・・・えっとね・・・・・」

 

言葉を濁す束。しかしそんなことはお構いなしに迫りくる女子。

 

「うわっ!もうそこまで来てる!」

 

「チッ!外に出るぞ!」

 

瑛斗は窓ガラスを割って外に出る。束を担いでいる一夏もそれに続いて外に出る。

 

「一夏ぁ~・・・・・」

 

「お待ちになってぇ~・・・・・」

 

「待ちなさいよぉ~・・・・・」

 

「瑛斗ぉ~・・・・・」

 

「こっちに来ぉ~い・・・・・」

 

窓から身を乗り出して手を伸ばす箒達。

 

「クソッ、あれじゃゾンビじゃねえか・・・!」

 

「屋上だ!この時間は屋上には寮の中からは入れない!」

 

「よしっ!行くぞっ!」

 

瑛斗、一夏、束は屋上に降り立った。

 

「さて・・・」

 

「ああ・・・」

 

無事屋上についた瑛斗と一夏は束の方を見る。

 

「な、何かな?」

 

「「どういうことか説明してくれませんか?」」

 

「ひぃ~~!」

 

ビームソードと雪片弐型を向けられ、説明を求められる束。

 

「じ・・・実はね・・・・・」

 

束は説明を始めた。

 

                     ~数分後~

 

「なるほど、よーするに束さんが作った変な薬のせいってわけか・・・・・」

 

「通気口の中にタイマー式で蓋が外れる薬が入ったケースをセット。その薬は簡単に気化するようになってた。そしてタイマーが0になって蓋が外れ、エアコンを通じて薬が寮中に蔓延。それを吸った女子たちはあんなことに・・・・・」

 

「う、うん。ごめんなさい・・・・・」

 

シュンとする束。それを見て瑛斗はため息をつく。

 

「で、どうして一年の女子全員を巻き込むような方法を?」

 

「それは箒ちゃんが寮のどの部屋にいても確実に薬を盛るためだよ!」

 

束は得意そうにに胸を張った。

 

「発想がもはやテロリストだな・・・・・」

 

一夏は呆れてつぶやく。

 

「しかし・・・、俺と一夏の部屋のエアコンが壊れてたのが不幸中の幸いだったな。俺達まであんな状態になったらIS学園の歴史に残る大事だ」

 

「ああ・・・ん?束さん」

 

「なにかな?」

 

「その薬を男が吸ったらどうなるんですか?」

 

「あー、多分なんともならないよ」

 

「「多分?」」

 

怪訝な顔をする一夏と瑛斗。

 

「うん。あの薬は束さんが箒ちゃんとあんなことやこんなことをするためにつくったものだから。男が吸った場合なんて考えたことなかったよ」

 

「えー・・・」

 

「じゃあまさか博士は薬の効果を受けないように俺の部屋に?」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・、てへっ」

 

「てへじゃねえっ!」

 

ゴン!

 

瑛斗はビームガンのグリップで束の頭を殴った。

 

「あうう・・・・・まあでも!夜が明けるころは薬の効果は切れるから、それまでの辛抱だよ!」

 

頭をさすりながら涙目で答える束。

 

「そうですか・・・・・」

 

「まあ、あいつらも屋上までは流石に―――――」

 

ビュン!

 

「「「!?」」」

 

突然五つのISが姿を現した。

 

「一夏ぁ~・・・」

 

「一夏さぁ~ん・・・・・」

 

「いた、一夏ぁ~・・・」

 

「瑛斗ぉ~待ってよぉ~・・・・・」

 

「なぜ逃げる・・・・・お前は私の嫁だろう・・・・・」

 

「おいおい・・・・・」

 

「マジかよ・・・・・」

 

一夏と瑛斗の前には箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラがISを展開して浮遊していた。

 

(そうだった。コイツらもIS持ってたんだ・・・・・!)

 

いきなりの超展開でそんな単純なことを忘れていた二人。しかしそんな二人とはまったく別の反応をしている者がいた。

 

「箒ちゃん!」

 

一人だけ目をキラッキラさせている束だ。

 

「箒ちゃぁ~ん!」

 

「あっ」

 

「博士!」

 

紅椿を展開している箒に抱きつこうとジャンプする束。ISらしき何かを装着しているのか簡単に箒の浮遊しているところまで届いた。しかし・・・・・・。

 

「へへへ・・・・・邪魔・・・」

 

「はぶっ!?」

 

思いっきり裏拳を顔面に受け、地上に墜落していく束。これで正気を保っているのは瑛斗と一夏だけとなった。

 

「なあ、一夏、朝までコイツらの相手できる自信あるか?」

 

「正直言うと・・・・・ない」

 

「だよなっ!Gメモリー!セレクトモード!」

 

瑛斗はGメモリーを起動した。

 

「セレクト!シェラード!」

 

シェラードを発動させた瑛斗は一夏に手を伸ばす。

 

「一夏っ!手を!」

 

「え?あ、ああ!」

 

言われるがまま、一夏は瑛斗の手を掴む。

 

「行くぞっ!声を出すなよ!」

 

ステルスフィルムを起動し、一夏も同様に姿が消える。

 

「ふふ・・・、逃がさないぞ~・・・・・」

 

ドオォン!

 

ラウラが肩のカノン砲を一発発射する。

 

「・・・・・・」

 

土煙が晴れる。だが瑛斗と一夏の姿はどこにも無かった。

 

「あれ~・・・・・瑛斗がいないや・・・」

 

「一夏ぁ~・・・・・逃がさんぞ~・・・・・」

 

五人は一夏と瑛斗を捜すために散り散りになった。


 
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