No.450358

化物になっちまったようです act8

やれるだけの事は、やらないとな……byフォース

2012-07-10 12:24:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:896   閲覧ユーザー数:860

~sideフォース~

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ」

 

左手に力を込める。

冷気が俺の左手を包み込む。

 

……よし、とりあえずだいぶ安定して魔力変換素質・氷結は発現出来るようになったな。

 

「ジャッ!」

 

左手を振るう。

 

キィィィン!

 

氷壁、生成完了。

俺にとっちゃ「プロテクション」に代わる貴重な防御手段だ。

練習しといて、間違いなく損は無い。

 

「リャアッ!」

 

それを解除した後、もう一度左手を振り下ろす。

 

氷の弾丸が数発生成、発射された。

 

「うん、だいぶ良い感じだよ」

 

後ろから、俺にかけられる声。

 

声の主は、フェイト・テスタロッサ。

 

いやー、やっぱこうやって見るとフェイト可愛いよね。美少女と言われたら普通に納得出来るわ。

 

とと、そんなんはおいといて。

俺は只今、フェイトに魔法の扱いのレクチャーをしてもらっていた。

 

研究所じゃ、あくまで基本みたいな事しかやってなかったからな……魔力をきちんと制御して扱う方法、すなわち魔法を学ぶことにした。今までの戦い方じゃ、燃費も悪い方のようだし。

 

さっきの氷の弾丸も、フェイトのフォトンランサーを見様見真似でやってみたのだ。

 

魔法って、確かデバイスの演算補助機能もあって普通は使用するものだったと思うが……俺はデバイスは無いけど出来る訳で。

 

まあ、どうせまたあのクソバカ博士の仕業だろうと納得しておく。

ホントに俺の身体に何しやがったんだあの野郎……まったく。

 

(ありがと。ま、これで単なる足手まといにはならずにすむ……と思う)

 

そうそう。

俺、正式に(?)原作介入出来る様になりました。

 

あの後、マンションに帰ってから、フェイト&アルフと話し合ったんだ。

 

まあ、俺がもう傷も治ってそこそこ(?)戦える、という事と、相手側にいたあの鎧野郎の強さも考慮し、俺の協力したい、という提案は受け入れてもらえた。

 

んで、少しでも足手まとい脱却を目指す為、ここ2、3日、魔法についてフェイトさんに見てもらっていた訳だ。

 

「ねえ、気になってたんだけど」

 

(?何?)

 

 

 

 

「その、両腕とか、顔とかにある模様は……何なの?」

 

 

 

 

あー……これか。

 

最近、魔力を使うと頻繁に俺の身体に浮き上がるようになった、幾何学的な、灰色に鈍く輝く紋様。

 

これも間違いなく博士の仕業である。何なんだアンタ。

 

ていうか、顔にも浮かび上がってんの?前、両腕両足、胴体とかは確認したけど……結果、俺のホントの意味での全身に紋様が浮かび上がってる事に。

これはちょっと端から見てりゃ怖いかもな。事実、フェイトの顔が軽くだけど引きつっている。

 

(まあ、その……俺の体質、みたいなもんでさ。怖がらせて悪いね)

 

「あ、いや、別にそんな事は……」

 

(はいこの話は終了……気分転換がてら、買い物行こうか?)

 

「え、あ、うん……そうだね。アルフはどうしようか?」

 

(さっき見たら爆睡してたし……メモ残していけば良いかな)

 

「うん、解った。じゃあ、準備するね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーパーにて食材を買う。

 

買い終わってからの帰り道。

 

(ねえ、フェイト。聞きたい事が有るんだけど)

 

「何?」

 

(君は……何でジュエルシードを集めてるの?)

 

意味の無い確認だし、聞くべきではないようにも思う。

だけど、少し、ある期待を俺はしていた。

 

 

 

転生者、というイレギュラー過ぎる存在。

それも俺だけじゃない、他にもいる。

それにより、この世界で何らかの改変が行われているのではないか……そう思ったんだ。

 

 

 

もし。

もし上手くいってくれていたら、この先に待ち受ける、あの悲劇位は……!

 

 

 

 

 

「……母さんが、それを望んでるから」

 

 

 

 

 

…………。

 

……駄目か。

 

転生者というイレギュラーがあっても、運命は変えられないのか。

 

ましてや、俺は人を救える力を持ってはいない。

どうしようもない……。

 

(……そっか。フェイトは母さんが好きなんだな)

 

なんとか、これだけを伝える。

 

「……うん。大好きだよ」

 

そう答えるフェイトの顔に陰がよぎるのも、確認した。

 

当然だろうな……この親子関係は歪みに歪みまくっているから。

そして、その訳をフェイトはまだ知らない。

 

どうしたもんか……って。

 

 

 

おいぃ!?

 

 

 

「ッ!」

 

「っ!?ふ、フォース!?」

 

フェイトの腕を引っ張り、慌ててちょうど近くにあった公園の茂みに隠れる。

 

理由?

 

 

 

 

遠くに下校途中と見られる魔王……じゃなくて、高町なのは御一行を見つけたからだ。

 

いやー、視力良くて良かったわ……っていうか、バリアジャケットじゃなくて普通の服だったから普通の美少女とスルーしかけたわ……こっちは判り易い金髪赤眼の美少女がいるっつうのに。

 

(ど、どうしたの?)

 

フェイトが異常事態に感づいたのか、念話を使ってくる。

 

とりあえず、口の動きだけでタンマ、と伝えてから、そっとあちらの様子を窺う。

 

……いない。

 

こちらに気付かぬまま、道を曲がったらしい。

 

……良かったー……つか、この可能性考慮しろよ俺……。

結構近くだし、この可能性はあり得るだろうが……。

 

(……あー、もう大丈夫。ちょっと怖そうな人が居たから、つい、さ。悪いね)

 

「あ、う、うん……」

 

ありゃ、少し離れて見てみると、フェイトの顔がちょいと赤い。どうしたんだ?

 

 

……あ。

 

 

そっか、さっき茂みに逃げ込んだ際、ついつい抱き締めちゃってた。そりゃそんな顔するわ。

 

(……えっと、ごめん)

 

「う、うん、大丈夫だよ。買った物も無事だし……」

 

(そっか)

 

そうやって、2人揃ってまた歩き出す。

 

 

 

今だけは、戦いとは無縁な、日常の世界に生きていると思う。

 

この先にある、悲劇は避けられない。

 

なら、せめて。

せめて、こんな時間を大切にしよう。

 

フェイトの方へ、空いている手を差し出す。

 

(さ、帰ろう。……帰ったら、食事の支度だ)

 

俺の言葉に良い笑顔を浮かべながら、フェイトはその手を握ってくれた。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択