No.450047

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 61

soranoさん

第61話

2012-07-09 22:10:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:864   閲覧ユーザー数:796

~遊撃士協会・ルーアン支部~

 

「いらっしゃい。遊撃士協会へようこそ!おや、クローゼ君じゃないか。」

エステル達がギルドに戻ると先ほど席を外していたルーアンの受付――ジャンがクロ―ゼの姿を見て、声をかけた。

「こんにちは、ジャンさん。」

「また、学園長の頼みで魔獣退治の依頼に来たのかい?ああ、判った!学園祭の時の警備の依頼かな?」

「いえ、それはいずれ伺わせて頂くと思うんですけど。今日は、エステルさんたちに付き合わせて貰っている最中なんです。」

「あれ、そういえば……。学園の生徒じゃなさそうだけど。……待てよ、その紋章は……」

クロ―ゼの言葉にジャンはエステル達の服装とエステルとヨシュアの左胸についている準遊撃士の紋章に気が付いた。そしてエステル達が自分達の顔がよく見えるように、受付に近付いた。

「初めまして。準遊撃士のエステルです。」

「同じく準遊撃士のヨシュアです。」

「お二人の旅に同行させてもらっているプリネです。こちらは私の姉代わりのエヴリーヌお姉様です。」

「ん、よろしく。」

「余がリフィアだ!ジャンとやら、よろしく頼むぞ!」

「ああ、君達がエステル君とヨシュア君か!それにあなた達がメンフィルのひ……おっとと……失礼。君達がサポーターを申し出てくれたメンフィルの方達だね。いや~、ホント良く来てくれた!ボース支部から連絡があって今か今かと待ちかねていたんだ。」

エステル達が来た事に嬉しいジャンは事情を知らないクロ―ゼがいることに気付かず、思わずリフィア達の事を言いそうになったが、すぐに気付き言い直して答えた。

 

「そっか、ルグラン爺さん、ちゃんと連絡してくれたんだ。」

「感謝しなくちゃね。」

エステルとヨシュアはすでに連絡をしていたルグランに感謝した。

「僕の名前はジャン。ルーアン支部の受付をしている。君達の監督を含め、これから色々とサポートさせてもらうよ。5人とも、よろしくな。」

「うん!よろしくね、ジャンさん。」

「よろしくお願いします。」

「はい。」

「ん。」

「うむ!」

ジャンの言葉に5人は頷いた。

「はは、君達には色々と期待しているよ。何といっても、あの空賊事件を見事解決した立役者だからな。」

「空賊事件って……。あのボース地方で起きた?私、『リベール通信』の最新号で読んだばかりです。……そう言えば先ほどエステルさん達がハイジャック事件を担当したとおっしゃていましたが、あれ、エステルさんたちが解決なさったんですか?」

ジャンの言葉を聞いたクロ―ゼは驚いた表情でエステル達を見た。

「あはは、まさか……。手伝いをしただけだってば。」

「実際に空賊を逮捕したのは王国軍の部隊だしね。」

「ええ、私達がした事は人質の安全を確保したぐらいです。」

クロ―ゼに驚かれ、エステルは照れ、ヨシュアとプリネは実際自分達がやった事を話した。

 

「謙遜することはない。ルグラン爺さんも誉めてたぞ。さっそく転属手続きをするから書類にサインしてくれるかい?さあさあ、今すぐにでも。」

ジャンはいつの間にか書類を出して、エステル達を急かした。

「う、うん……?」

「それでは早速。」

「うんうん、これで君たちもルーアン支部の所属というわけだ。いやぁ、この忙しい時期によくルーアンに来てくれたよ。ふふ……もう逃がさないからね。」

2人のサインを確認したジャンは含みのある言葉で笑った。

「な、なんかイヤ~な予感。」

「先ほどから聞いてるとかなり人手不足みたいですね。何か事件でもあったんですか?」

ジャンの言葉を聞いたエステルは弱冠不安になり、ヨシュアは気になって尋ねた。

「事件という程じゃないけどね。実は今、王家の偉い人がこのルーアン市に来ているのさ。」

「王家の偉い人……。も、もしかして女王様!?」

ジャンの言葉にエステルは受付に身を乗り出して期待した目で尋ねた。

「はは、まさか。王族の1人であるのは間違いないそうだけどね。何でも、ルーアン市の視察にいらっしゃったんだとさ。」

(……お姉様、リベールの王族でアリシア女王陛下以外の方達は確か……)

(うむ。アリシア女王陛下の孫であるクロ―ディア姫ともう一人は確か……甥のデュナン公爵という者だったな。)

エステルの疑問にジャンは苦笑しながら答えた。また、プリネはリフィアにリベール王家の人間に関して小声で確認した。

 

「へー、そんな人がいるんだ。でも、それがどうして人手不足に繋がっちゃうの?」

「何と言っても王家の一員だ。万が一の事があるといけないとダルモア市長がえらく心配してね。ルーアン市の警備を強化するよう依頼に来たんだよ。」

「なるほど、先ほど2階で話し合っていた一件ですね。それにしても市街の警備ですか。」

「まあ、確かに港の方には跳ねっ返りの連中がいるからね。そちらの方に目を光らせて欲しいという事だろう。」

ジャンはダルモアに頼まれた事を思い出し、溜息をついた。

「跳ねっ返りって……。さっき絡んできた連中のことね。うーん、確かにあいつら何かしでかしそうな感じかも。」

「なんだ、知っているのかい?」

事情を知っている風に見えるエステルに不思議に思ったジャンは尋ねた。

「実は……」

そしてエステル達はジャンに先ほどの出来事を話した。

 

「そうか……。倉庫区画の奥に行ったのか。あそこは『レイヴン』と名乗ってる不良グループのたまり場なんだ。君たちに絡んできたのは、グループのリーダー格を務める青年たちだろう。」

「『レイヴン(渡りカラス)』ねぇ……。なーにをカッコつけてんだか。」

ロッコ達のグループ名を知ったエステルはロッコ達がグループ名に負けていると思い、呆れた表情をした。

「少し前までは大人しかったんだが最近、タガが緩んでるみたいでね。市長の心配ももっともなんだが、こちとら、地方全体をカバーしなくちゃならないんだ。……とまあ、そんなワケで本当に人手不足で困っていてね。君たちが来てくれて、感謝感激、雨あられなんだよ。……特にメンフィルのお嬢さん達には期待しているよ。なんたって3人は僕達人間より身体能力が遥かに高く、魔術も使える”闇夜の眷属”なんだから。」

「フフ、まだまだ修行中の身ですが精一杯がんばらせていただきます。」

「余がいるのだ!大船に乗った気分でいるといい!」

「ま、疲れない程度にがんばってあげる。」

「あたしとヨシュアも3人に負けないようがんばるわよ!それじゃあ、明日からさっそく手伝わせてもらうわ。」

「何かあったら僕たちに遠慮なく言いつけてください。」

「ああ、よろしく頼むよ!」

そしてエステル達は英気を養って明日に備えるため、ギルドを出てホテルに向かい、部屋を取った後クロ―ゼを街の入口まで送り、ホテルに戻った………

 

 

 


 
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