No.449946

ONE PIECE —黒髪少年の描く世界— 第二十話 始まり

霧宮 海さん

にじファンからの転載です。感想、コメいただけたら嬉しいです♪

2012-07-09 20:33:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:33316   閲覧ユーザー数:32360

 

薄く笑ってみる。悪役らしく見えるだろうか。

「バロックワークスの幹部だったんだから知ってたでしょ?ボスが『スナスナの実』の砂人間ってことくらい」

同時にクロコダイルの体が砂となり消え、ビビの後ろに現れて体を拘束する。

「!!」

ビビが少し苦しそうに顔をしかめる。

 

 

 

「砂人間!?」

うわお、ウソップ顎!驚きすぎて(?)顎はずれそう!

「コラお前ぇ!!ビビから離れろぶっ飛ばすぞ!!」

ルフィそんなに檻叩いたら余計力抜けるって!!

クロコダイルがビビを放すとビビは椅子に座り込む。

 

 

 

「!ヤマトはどうしてここにいるの!?」

ナミが我にかえって檻にしがみつく。ナミは能力者じゃないから一安心だ。

「多分ナミが頭ん中で思ってることそのまんま。ナミは頭がいいから当たってると思うよ」

「そんな…」

「ん!?ん!?おぉ!ヤマトも到着してたのか!こっから出してくれ!」

ルフィもこちらに気づき笑って話しかけてくる。それに笑い返して言う。

 

 

 

 

「俺はこっちの幹部になったんだ」

「嘘よ!」

いち早く反応したのはナミだった。あー。心が痛む。これで後で本当の事言って信じてもらえなかったら俺のガラスの心は無惨に壊れるだろう(笑)あーあ。笑い事じゃないんだけど。

 

「嘘じゃねーよ。だったらそこのビビの傷は誰が付けたと思ってる?あ、でも俺もケガさせたかったんじゃなくて暴れるもんだからな」

肩をすくめる。

ナミの端から見たら無表情。でも仲間にはわかるざっくりと傷ついた顔に罪悪感がつのった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボス。……7時を回ったわ」

ミス・オールサンデーが時計を見て言う。

「ああ。パーティーの始まる時間だ。」

クロコダイルはそれを聞いてこれまた悪役らしい笑みを浮かべる。こりゃ悪役のベテランだな。

 

 

「…?何をする気!?」

ビビが顔を上げて聞く。

「クハハハ…そう慌てるな。少しいじらせてもらっただけだ。反乱軍を挑発して国王軍と戦わせるだけだ」

「!!?そんなことパパがさせない!」

「コブラ王か?コブラ王がその反乱を起こす引き金を引いたんだがな。本物かどうかは知らねぇがな」

 

 

!Mr.2か!

そう言って笑うクロコダイルにビビも何か察したようでクロコダイルを睨む。

「パパをどこにやったの!」

「さあな。死んではねぇさ。だが賽は投げられた。戦争は始まったんだ。耳をすますとアラバスタのうなり声が聞こえそうだ」

クロコダイルが嬉々として話すのをビビは俯き、歯を食いしばって聞いている。

「みんな心の中ではこう思ってるのさ。俺たちがアラバスタを守るんだ!アラバスタを守るんだ!!アラバスタを守るんだ!!!」

「もうやめて!!!なんてひどい事を…!!」

耐えかねたビビが叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アラバスタは戦ってる人達…土地じゃない…!あなた達が戦ったらアラバスタは守れないのに…!!」

誰に言ったでもなくビビがつぶやく。

そして後ろ手を縛られたまんま椅子から飛び、床に倒れ込む。

「おいおい…何をする気だミス・ウェンズデー」

「まだ間に合う!ここからまっすぐ東に行ったらアルバーナに着く!」

「奇遇だなミス・ウェンズデー。俺たちも丁度これからアルバーナに向かうところだ。来たければ一緒に来たらいい」

 

 

 

そしてクロコダイルが鍵を取り出す。恐らくルフィ達が入ってる檻の鍵だ。床に鍵を投げる。金属音がするはずだったがクロコダイルの投げた先の床が開き、鍵が下に落ちていく。そして随分下の方から鍵の落ちる音がした。そしてそれを下のバナナワニとやらが食べた。床に手をつき絶望を表情にするビビ。その顔を嬉しそうに見下すクロコダイルとミス・オールサンデー。二人によるとこの部屋は直に沈むらしい。笑いながら部屋を出て行く二人を睨みつける。

 

 

 

 

 

 

 

「あら、あなたは出て行かないの?」

ミス・オールサンデーがふいに振り返って問う。

「ああ。こいつらがどんな顔して沈んでいくのか見たくてな」

「でもあなたも危ないわよ?」

「ご心配どーも。でも楽しみを取らないでほしいね」

言うとミス・オールサンデーがくすりと笑う。

「あなたも残酷ね」

「褒め言葉ありがとう」

そういうとミス・オールサンデーはクロコダイルとともに出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてと

「ビビ、大丈夫か?」

ヤマトがビビに手を伸ばす。

「ヤマトさん…」

ビビもヤマトの手を掴みヨロヨロと立ち上がる。ケガはしていないから精神的にダメージを食らっているのだろう。今までこれだけの事があって立ち上がれるというのはそうとうな強さだと思う。

そんな事を思いながら少し放心しているとビビがギュッと強くヤマトの手を掴んだ。

 

「?」

「や、ヤマトさん…後ろ……!!」

「ん?」

振り返る。

 

 

 

 

「えー……まじ?」

 

おそらく俺の何倍もあると思われるバナナワニが後ろにそびえ立っていた。

 

「うおーーー!!逃げろビビ!ヤマト!」

「ちょっとヤマトは敵なんでしょ!?」

「んな事今はカンケーねーよ!あ、でも助けてくれ!!」

「どっちよ!」

「どっちも!!」

 

檻の中でナミとルフィが言い合っている。もはや支離滅裂な会話と化しているがルフィの気持ちは嬉しい。

 

「ビビ、下がってな」

「え…?う、うん」

ビビがルフィ達のいるおりの方へ逃げる。

 

 

 

 

「さてさてサンジがいたらワニの食い方教えてくれるかもしんねーのに」

手首を回す。さっきから動かしていなかった為かコキコキ鳴る。

目の前にいるワニは獰猛な目をしてこっちを見ている。

 

「食えないとしたらどうするか…無駄殺しだもんな…あ!革にして売るか!売れるなあ」

 

ワニがのそりのそりと近寄る。まったく戦う様子のない俺に檻の中でみんなは口をあんぐり開けている。

 

「売れたらやっぱ画材を買うかな。奮発してちと高いのを買うか」

 

ワニが耐えきれず口を開けてヤマトに襲いかかる。

 

「まったくさぁ。こっちが夢見てるって時に…少し待つ事もできねーのか、よ!!」

 

 

 

 

ヤマトが上に飛び、襲いかかってきたワニの目を思いっきり殴った。


 
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