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HUNTER×HUNTER 柔拳使いに転生 第2章

天空闘技場での金策も終わりシャナはどこへ向かうのか?

2012-07-09 15:02:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:14015   閲覧ユーザー数:13390

 

☆ 第6話 ☆

 

 

 

やはり、大した使い手は少ない、手加減の練習にはなったけど実戦の練習には物足りない相手ばかりだ。天空闘技場で稼ぎ始めて2年、貯金は50億ジェニーほどになり地道なオーラの特訓。

 

オーラの総量、精孔への攻撃の的確さで相手を絶(ゼツ)にする時間や瞬時に凝(ギョウ)をする流(リュウ)の速さが腕を振るうより、さらに速く、体に物が当たると認識した瞬間にはオーラがすでにガードを行っている・・・という、熟練の能力者に勝るとも劣らずな技術に達するまでに昇華している。

 

2年でこのレベルに到達できたのは正直嬉しい。

 

 

正直、あと1年ちょいでココにキルアが放り込まれてくる。そしてその後すぐくらいにヒソカも来るだろうことは予想できるが正直に言うとまだ会いたくない・・・

 

ココに来る前は原作介入のために関わってみたいとも思ったが、今は修行に時間をつぎ込みたいと思っている。せっかく神様の特典で限界の排除を貰ったのだ、限界を超えてみたいと流(リュウ)を限りなく熟練者に近づけた今だからこそ、もっと強くなりたいと思い直した。

 

 

貯金も溜まった、ココでは修行には不自由すぎる。

 

 

まずは、ジャポンに行こうかな・・・。こっちの食事も悪くないけど、寿司とか食べたいし。

 

 

今後のことを考えながら荷物をまとめていく、天空闘技場は今日で出るつもりだからだ。

 

 

 

建物を出て数分、好奇の視線がやっと少なくなってきた。

ジャポンに行くために空港まで歩く、これから原作開始までの第287期ハンター試験まで修行を重ねとりあえず、柔拳法を完璧に扱えるようにしよう。

 

オーラ量もジンさんとの修行とこの2年で増えたがもっと修練すればまだまだ伸びるはず。

 

 

僕の強さには限界が存在しないはずなのだ、とりあえず二次創作の定番としてDBなどの修行法も試してみるつもりだ。中国拳法も続けているし、試験では汗もかかないほどのスタミナも手に入れたい

 

 

 

頑張ろう。

 

 

 

 

☆ 第7話 ☆

 

ジャポンで目立たず観光気分で1年くらい放浪しながらこの世界に来て初めて娯楽らしいことをしてみた。

理由としては、僕は今までこのHUNTER×HUNTERで修行以外のことをあまりしていないからだ。

 

 

できれば原作に介入もしてみたいけどココは僕にとってもう現実なのだ、それ以外の楽しみがないのは《生きてる》という楽しみがないように感じたのだ。

 

 

 

そして今、僕は電脳ネットで調べた、とある樹海に来ている。

 

ココは強力な魔獣が多数存在し、プロハンターでも敬遠する場所らしい・・・

殺気を受ける訓練や命がけの修行をするには実戦が1番だが、生憎と今の僕にはそうそう相手に恵まれない、経歴や信用なんかもそうだが、容姿の問題もあって僕は雇い主に舐められやすい。

 

ジンさんの命令でカイトとアマチュアハンターとして仕事を請けたときの話になるのだが、雇い主の雇った他のボディーガードさんにいきなり小脇に抱えられてお持ち帰りされそうになったときは僕も一瞬、なにが起きたのか理解できなかったくらいだ。

 

ボディーガードさんも苦虫噛んだ様子で僕を攫ってるようだったので少女らしい抵抗の素振りをしながら目的地まで送ってもらったら案の定、挨拶のときに不躾な視線を向けてきた雇い主がバスローブ姿でベットに座っていたのには流石に僕も唖然とした・・・

 

この僕に手を出すってことはロリコンって実在するもので、しかも僕自身が対象になるとは悪い冗談かと心の中で苦笑いしていた。

 

 

まぁ、ボディーガードさんが出て行ったあとで雇い主さんを気絶させ、ジンさんに連絡を入れて仕事を中断したが、そんなこともあってアマチュアハンターとして仕事をして実戦を積むのは僕には難しいということだ。

 

 

魔獣との戦いや樹海でのサバイバルで僕は獣のように気配を絶つ技術、死闘での戦闘で得られる戦いの勘による反射神経より、致命傷をさける流(リュウ)の技術の向上、あとは洞察力を鍛えたりしていた。

 

 

毎日の食料調達は魔獣の肉だがこれは技術を上げるために『念』を使わずに中国拳法で狩る。そして、柔拳の修行のために魔獣の血を撒き、あらわれた魔獣を柔拳法により駆逐していく。

 

そういう修行を原作開始第287期ハンター試験の1ヶ月前まで続けたのだった。

 

 

 

第287期ハンター試験の会場の場所は原作知識は絶対のものではないと思い、きちんと調べた。というよりもうキーワードの『ステーキ定食、弱火でじっくり』としか覚えてなくて店の名前や試験会場の地名もあやふやにしか覚えていなかったのだ。

 

僕はイレギュラーだ。試験の番号は最後になるように時間を調整して406番になるように主人公であるゴンたちが入るのを確認していっしょに入ることにした。

 

「おじさん!僕もステーキ定食をお願い」

 

「焼き加減は?」

 

「「弱火でじっくり」」

ゴンたちを連れてきたナビゲーターさんと声が被った。

 

「へいよー、奥に入りな」

店員のおじさんが不敵な笑みで言った

 

「坊ちゃんも受験者かい?」

ゴンたちを連れてきたナビゲーターが僕にも声をかけてきた

 

「ん?坊ちゃん?」

たぶんレオリオだと思われるサングラスをかけた見た目オジサンな人が首を傾げている。

 

「そーだよ、そういうあなたはこの人たちのナビゲーターさんですか?」

見た目オジサンなレオリオ、金髪で美少年なクラピカ、黒髪のツンツン頭のゴン・・・かな?、を見回しながらこちらも質問した。確認のために

 

「あぁ、そうだ。1万人に1人・・・ここにたどり着くまでの倍率さ、お前たち新人にしちゃ上出来だ、それじゃ頑張れよルーキーさん達、お前らなら来年も案内してやるぜ」

 

「失礼なヤツだぜ、まるで俺たちが今年受からないみてぇじゃねぇか」

レオリオがキリコさんに噛み付くように文句を言っている。

 

「キリコさん、ありがとう」

ゴンがキリコにお礼と共に握手のために手を差し出す

 

「あぁ、どういたしまして」

キリコがゴンに笑みを返しながら手を握り返した。

 

「縁があったら、また会おう。じゃあな」

手を上げてドアを閉めながら出て行った。

 

 

しばらくして、エレベーターが動き出す。ゴンやクラピカとレオリオのハンターに関する議論をスルーしながら僕はエレベーターが止まるのを待っていた、ココで仲間に入るのも手だが僕はヒソカと対峙はできればしたくないと思っている。

 

打算ずくだが、本格的に仲良くするのは2次試験後くらいにしようと決めている。

 

自己紹介くらいはココで済ませることにしたけどね。

 

エレベーターが降りていく合間にゴンのハンターになりたい理由の話から始まり、クラピカとレオリオの意見のぶつかり合いに発展、そしてこっちにも飛び火してきて

 

「そういや、そっちの嬢ちゃんはさっきからパンを咥えて一言もしゃべらねぇが名前は?」

 

あまりにも暇だったのでカバンに入れてあったメロンパンに噛り付きながら考え事をしていたらこっちにも関心がきたようだ。

 

「僕の名前はシャナ、年齢不詳だけどなかよくしてねッ☆」

 

暗に見た目道理の年齢じゃないことを告げてから最後にウインクを飛ばす。

こっちにきてから学んだ女の子らしく振舞うための演出だったりする。

 

察しが良いクラピカなどはセリフの意味を正しく受け取ったようだがレオリオとゴンは微妙な反応かな?でも、

 

「俺はゴン、よろしくねシャナ!」

 

握手を求めてきたのでそれに応じた。

 

と、クラピカとレオリオが続いて自己紹介を済ました後にエレベーターが目的の階に到着したらしい。

 

ドアが開き僕たちが一歩踏み出した瞬間シーンと静かになった。

 

「君たちで406番目だね、よう!俺はトンパ、今年は16番だ」

原作では405番だったが僕が増えてセリフも若干変わったが、概ねいっしょのセリフだ。

 

「今年は・・・?」

 

「よろしく!」

 

まずはゴンへ手を伸ばし、握手

そして僕にも手を伸ばすがレオリオと同じように握り返さず、少し怯えたフリをしてレオリオの後ろへ、こうしておけば新人つぶしのトンパのことだ、僕も標的の一人として勘定に入れるだろう。

その証拠に少しこちらをみて口の端が少し釣りあがった。

 

「新顔だね~、きみたち・・・」

 

ここから先の会話は聞き流した、さして重要なことを言ってた記憶をないし聞くだけ無駄だと判断したからに他ならない。

 

そして、そう何分もしないうちに

 

「ではこれより、ハンター試験を開始いたします」

けたたましいベルの後、試験官であるサトツはそう自己紹介のあとに宣言した。

 

1次試験はサトツについて行く事。原作と変わらない流れでほっとした、今は合計550キロの錘もすべて外して荷物は治療用の針のセットと水筒・携帯食料、あとは飴などの保存しやすいお菓子などしかもってきていない。布槍術に使う布は腰に巻いてあるので荷物にはならない。

 

最初はゆっくりペースだったけど、スタスタと途中から速度が速くなり、走り出す受験生が増えていく。

ひたすら走り続けて5時間ほど経過した頃・・・

 

通路は平地から階段になり脱落者も増えてきた。やっぱり『念』の修行だけじゃなくキチンと普通の体力づくりもしていてよかった・・

 

ゴンたちと離れて先頭近くを走っていたが、ココでキルアとも仲良くなってるはずだし合流しようかな・・と思って後ろにペースを落とし始めていたら、後ろから「うおおおおおおおお」と奇声を上げながら、下品な言葉を吐きながら走ってきたレオリオと苦笑気味のクラピカ。

 

僕を追い越して追い抜き駆け上がるも、疲れたのか周りにあわせ走行を始める。

 

「レオリオさん、大丈夫?」

 

「あぁ!シャナか、呼び捨てでかまわねぇぜ!それと、まだ大丈夫だ」

 

そこで、並走してきたクラピカも加わり・・

 

「レオリオひとつ聞いていいか?」

 

レオリオの顔を数秒見つめてから1つ確認を取り、クラピカが話しかけた。周りはみんな走るのに集中していて苦しそうな息遣いばかりで多少は声を潜めていたのだろうがよく響いて周りも耳を傾けている。

 

「ハンターになりたいのは本当に金目当てか?」

 

この遣り取りは・・・ココで原作を少し外れるかもしれないが、介入しよう。

 

「私はクルタ族d「ねぇ!クラピカ!」り、なんだ?シャナ、今は大事な話を・・・」

 

クラピカの服の端を引っ張り、耳に口を寄せて小さな声で

 

「ここはハンターの試験会場だよ?プロハンターこそ居ないけどアマチュアハンターくらいはいる。街中の雑踏とは違って声も響く・・・なに言おうとしたかわかんないけどココで言っていいこと?それを確認したいんだ」

 

「っう!?」

クラピカは僕の忠告を聞き入れ、周りを見渡し納得した。

《危なかった・・・シャナが忠告してくれなければ自分がクルタ族だ、なんてココにお宝があります!と宣言しているようなものではないか。》

 

今は試験中で受験者同士が殺しあっていてもおかしくない状況、命を奪ったところで罪にならない。

 

「危なかった、ありがとう。感謝する」

心底ホッとした顔でこちらに笑いかけてきた。

 

「いいよ、気にしないで」

 

「あン?おいクラピカ、なんの話だよ?」

 

「すまないレオリオ、話しはこの1次試験が終わってからでいいか?」

 

「ん?あぁかまわねぇが・・・」

 

なんとかこの流れは変えられた、これでヨークシンのクラピカの介入がなくなれば嬉しいんだけど・・

ヨークシンに現れない未来、なくなればグリードアイランドでの旅団の介入もなくなるかもしれないし。

 

 

 

そんな会話も終わりが前方に見えてきた。

 

「うわぁ・・・」

ゴンがつぶやいた声にサトツさんが、

 

「ヌメーレ湿原。通称"詐欺師の塒"。 二次試験会場にはここを通って行かねばなりません。この湿原にしかいない珍奇な動物達、その多くが人間をも欺いて食糧にしようとする狡猾で貪欲な生き物です。十分注意してついて来て下さい。・・・騙されると死にますよ?」

 

後ろのシャッターが閉まっていく。

それをしり目にサトツの声が響いた

 

「この湿原の生き物はありとあらゆる方法で獲物を欺き捕食しようとします。標的をだまして食い物にする生態系――詐欺師の塒と呼ばれる所以です。騙されることのないよう注意深くしっかりと私の後をついて来て下さい」

 

それだけ言って再び、サトツは歩き出そうとしたが・・・

 

「嘘だ!そいつは嘘をついている!そいつはニセ者だ試験官じゃない!俺が本当の試験官だ!」

あぁこのシーンか・・・つまんない、オーラで丸分かりだ。白眼(びゃくがん)で見てみるとオーラの流れで操作系で操られていてもわかる優れた瞳術なのだから、

だが、面倒なので原作の流れに身を任せる。

 

そして、僕はサトツさんの真後ろを見失わずについていく。

白眼(びゃくがん)があれば見失っても真後ろ以外のほぼ全方向を見渡す視野、数百メートル先を見通す視力に物体の透視が可能な僕なら迷わない自身はあるんだけど・・・

こんなとこでオーラを減らすのも少しもったいないしね。

 

 

 

そうして、二次試験会場に着いたシャナはヒソカがレオリオを担いで戻ってくるまで、息は全く乱れていないが絶(ゼツ)による気配消しと疲労回復を行った。

 

 

 

 

 

 

 

☆ 第8話 ☆

 

 

ざっと100人ぐらいはいるのかな?《詐欺師の塒》とヒソカにだいぶ減らされたようだ。

ほとんどの受験者が息を上げてるなかヒソカがレオリオを担いで戻ってきた・・・

 

「うぅ、どうなってんだ。いったい」

 

レオリオが気づいたようだ、そしてゴンとクラピカも会場に到着した

 

「ココは2次試験会場だよ?ヒソカが担いできたみたいだけど覚えてないの?」

 

「レオリオ~、大丈夫?」

ゴンが心配して駆け寄ってきて、クラピカもレオリオの怪我の具合を確かめている。

 

 

「くそっ!どうなってんだよ」

レオリオが腫れた顔を手で覆いながらつぶやくので

 

「一応、手当てするね。顔には少し沁みるけど薬塗るからね」

 

僕は持ってきてた薬をレオリオの顔に塗り、周りを見渡す。

ココに着いた受験者は149人・・・かな?原作通りの人数、になるのかな?イレギュラーの僕を含めて

 

試験会場の方で、大きな音が鳴った

 

「どお?もう大分お腹はすいてきた?ブハラ」

 

「聞いての通り、もーペコペコだよメンチ」

 

「そんな訳で、2次試験の審査員は私たち美食ハンターが担当するわ」

 

やっぱり原作通りの流れかぁ、どうしよっかな?

 

ブハラからの出題で、課題は「豚の丸焼き」

瞬殺だった、やっぱりグレイトスタンプはそんなに強くない捕獲には苦労しなかった。

 

確か、寿司のネタは魚と決まってなかったから、グレイトスタンプは2匹狩って1匹捌いてもう1匹を丸焼きにした。

 

「あたしは、ブハラと違ってカラ党よ!審査も厳しくいくわよー!2次試験後半!あたしのメニューはスシよ」

 

周りの受験者が困惑しているなかでクラピカがスシについてレオリオに説明し、レオリオの馬鹿みたいな大きな声により魚を使う料理だと周りの受験者にバレて受験者全員が走っていくのを確認してから、2人の試験官のほうへ歩いていった。

 

「あら?あなたは行かなくていいのかしら?」

 

「質問、いいですか?」

 

メンチさんが魚を捕りに行かない僕を警戒している様子だったが

 

「なに?スシがどんなものかは教えないわよ?」

 

「いえ、スシのネタはなんでもいいのか聞きたくて」

 

「ネタって言葉が出るんだからスシはわかるのね?いいわよ、作ってみなさい」

 

「ありがとうございます!」

 

許可はもらった、そこで初めて僕も森へ走る。材料を採りに行くためだ

 

 

材料はそろった、樹海でのサバイバルの経験が役に立つ。岩塩と香りつけの薬草は取れた・・

あとは魚を捕ってきた受験者に紛れて試験場に戻った。

そして、絶(ゼツ)で気配を殺し目立たない適当な調理台を陣取った。

 

ジャポンに行ったときに軽く調べたけど、前世の回転スシのようなメニューはなかった・・・。

 

お櫃(ひつ)のご飯で酢飯を作りグレイトスタンプを薄く切る、そして塩をまぶしてグレイトスタンプを軽く炙り握ったスシの上にのせて香りつけの薬草を上に置く。

見た目は悪くない仕上がりかな?

ハゲゾーが余計なコト言わないうちに早いとこ持ってかなきゃ!

 

「もーどいつもこいつも、観察力や注意力以前にセンスが無いわ!やんなっちゃう!」

 

「試験官さん、できました!試食お願いします。醤油はつけずにお召し上がりください」

 

メンチはやっと形だけはまともなスシが出てきて少し機嫌良さげに口へ運ぶ

 

「お、美味しいわ・・・合格よ!あんた合格なんだから大人しくしてなさいよ?」

美食ハンターにおいしいって言われた、少し嬉しい。

 

「はい、わかりました」

 

そのあと、しばらくして自信満々な表情浮かべたハンゾーの顔がメンチの反応に

 

「メシを一口サイズの長方形に握って、その上に山葵と魚の切り身を乗せた、お手軽料理だろーが!!こんなもん、誰が作っても味に大差ねーべ!!はぁ!しまった!!」

 

「お手軽!?味に大差ない!?ざけんなてめー!スシをまともに握れるまで10年の修行が必要って言われてるんだ!キサマら素人が、いくら形だけ真似したって、味に天と地ほど味が違うんだよボケ!さっきのあの子はオリジナリティ溢れて美味しかったわ!くやしかったらアンタもあの子くらいのもん持ってきなさいよ!!」

 

なんか原作のセリフに僕を褒めるセリフが追加されて僕の存在がこの世界に認められた気がして感慨深くなった。

しかし、ココで僕の存在はバラして欲しくなかった・・・

 

 

「んじゃ、そんなもんテスト科目にするんじゃねーよ」

 

「うっせーよ!コラ!ハゲ!殺すぞ!文句あるのか!おお!?あん?」

 

「もーハゲのせいで作り方が皆にバレちゃったじゃない!これからは味で審査するしかないわね」

 

次々ともっていかれる、受験者達のスシだが、どれもシャナがもっていったスシに及ばず試験官の舌を満足させられなかった・・・それから次々もってくるスシを完食し終えて

 

「悪!!おなかいっぱいになっちゃった!試験終~了~~!!合格者は1人よ!!」

 

「納得いかねぇな、とてもハイそうですかと帰る気にならねぇな!あんなチビが受かって俺がうからねぇなんて!俺が目指してるのはコックでもグルメでもねぇハンターだ!!しかも賞金首ハンター志望だぜ!!美食ハンターごときに合否を決められたくねぇーな」

 

今、さりげにこっちみてチビって言いやがった・・・

そりゃ、僕はチビだよ?たまに今も成長しない体にため息つくこともあるけどさ~・・・

 

 

「それは残念だったわね、今回の試験では試験官運がなかったってことよ、来年また頑張ればーー?」

 

「きみが料理の勉強もしないのが悪いんだよ」

 

僕もチビって言われたし、メンチさんの横から追口する。

 

「こ・・・この!ふざけんじゃねぇ!!!」

 

ココで原作ではブハラの平手打ちで受験者を殴っていたが、僕の実力を見せるのにこの状況は全員がこちらを見ていて好都合なので

 

「フッ!!!」

相手の前に2割程度の速さで入り、手加減した寸勁(すんけい)を腹に一撃だけ入れた。

あまり関心がなかった僕の動きにヒソカの口元が愉悦に歪んでいるが、背筋が冷えるので考えないようにする。

ハンゾーやキルアは影くらい見えただろうが、

他の受験者は僕の実力に唖然とした表情で見てるけど・・レオリオなんかは顕著にソレを表してる。目をこすり口をポカンとさせ、一瞬僕を庇おうと動こうとしたゴン、クラピカと同じように体が固まっている。

トンパは予想外の動きをした僕をもう獲物とは見れないようだ、冷や汗をダバダバと流してこちらを注視しないようにしてる。

 

「406番、余計なマネしないでよ」

 

「でも、僕が手を出さなかったら試験官さんは殺してたでしょう?試験官が受験者を殺すのは不味くないですか?」

 

「ふん、まーね、どのハンター目指すとか関係ないのよ、ハンターたる者、誰だって武術の心得があって当然!武芸なんてハンターやってたら嫌でも身につくのよ!あたしが知りたいのは、未知のものに挑戦する気概なのよ!!」

 

「それにしても、合格者1は、ちとキビシすぎやせんか?」

 

上から声が聞こえた。たぶん会長が来たのだろう。

 

「なんだ?あの飛行船は?」

 

「あれはハンター協会のマーク!!」

 

「審査委員会か!?」

 

他の受験者は建物の外に出て飛行船を指差しながら叫ぶ

 

空の上から老人が飛び降りてきた。あれがネテロ会長か・・・

ジンさんクラスの化け物だな、戦っても勝ち目はないだろう

 

「なに者だあの爺さん!?」

 

「あの位置からから飛び降りて足は!?」

 

唖然としている受験生に、メンチがあの人がハンター協会の会長よ、と付け加えた。

 

「ま、責任者といってもしょせん裏方。こんな時のトラブル処理係みたいなもんじゃ。ワシはハンター協会のネテロという、メンチくん、今回の試験は事前に報告されたものとは大分ちがうな?」

 

「・・・はい、すみません料理のこととなると我を忘れるんです、審査員失格ですね・・・私は審査員を降りますので試験を無効にしてください」

 

「ふむ、審査を続行しようにもメニューの難易度が少々高かったようじゃな、よし!こうしよう!審査員は続行してもらう、そのかわり新しいテストには君にも実演というかたちで参加してもらう、というのでいかがかな?その方がテスト性も合否に納得がいくじゃろ」

 

「そうですね、それじゃ!ゆで卵!会長わたし達をあの山まで連れて行ってくれませんか」

 

「ふむ、いいじゃろうて」

 

と、ネテロ会長がこちらをみている、面白そうに目を細めていたが・・・

 

「ところで、1人合格者が出たみたいじゃがどの受験者かの?」

 

あきらかに僕をみてメンチに向き直り尋ねている

 

「そっちの406番です、会長」

 

なんの確認だろう?ネテロ会長、少し笑ってたるみたいだったけど

 

 

 

 

それから、しばらくして山に到着すると共に、メンチは崖にダイブすると、卵を持って帰ってきた。

 

「よっと。この卵でゆで卵を作るのよ」

 

「こーゆうの待ってたんだよね」

 

ゴンが一番乗りで崖をダイブする。僕も卵を食べてみたいのとスシに件に納得してない受験者が僕を睨み付けているのがわかっていたのでメンチさんに許可をもらって

 

「走るのやら、民族料理を作るのなんかより、よほどはやくて分かりやすいぜ」

 

というレオリオの言葉に続いて、僕もいっしょに飛び降りた。

 

 

 

「残りは?ギブアップ?」

 

「やめるのも勇気じゃ、テストは今年だけじゃないからの」

 

飛び降りた参加者達がクモワシの卵を食している。

 

「うっうまいっ!」

 

「濃厚でいて、舌の上でとろける様な深い味わい!」

と、受験者たちが声を上げるのと同時に

 

「美味しいものを発見したときの喜び!少しは味わってもらえたかしら?こちとら、これに命をかけてるのよね」

 

こうして、第二次試験後半のメンチ料理対決は合格者43名。イレギュラーの僕以外の原作でのズレは生じなかったのは修正力が利いてるのかな?

 

 

 

 

 

☆ 第9話 ☆

 

「改めまして、受験者の皆さんお疲れ様でした。ココにいる43名が第2次試験の合格者です!次の目的地には明朝8時に到着する予定です、次に集合をかけるまで各自自由時間にします」

メンチが会長とネテロの秘書のマーメンが横槍入れながらも受験者に自由時間の連絡をいれ

 

「では、解散!」

 

メンチの解散の言葉で受験生がバラバラに移動し始める。

 

 

「ゴン!飛行船の中を探険しようぜ」

 

「うん!」

 

キルアとゴンが探検に行くようだ。僕はどうしよう?

 

考え事をしていたらゴンがこちらを向いて

 

「ねぇ!クラピカとシャナも飛行船探検いくよね?」

 

「いや、私は遠慮しておく」

 

「じゃ、シャナは?」

 

「僕もいくよ!そんなに疲れてないしね。クラピカ、僕の荷物もお願いしていいかな?」

 

「あぁ、私は少し休ませてもらうよ」

 

「ね、じゃぁレオリオは?」

 

「俺も遠慮させてもらうわ。そんな体力残ってないし3人でいってきな」

 

 

 

「うん!行って来るよ」

 

「じゃ、いってくるね」

 

僕はクラピカに荷物を預けてからゴンについていく、後ろから

 

「元気な奴等・・・俺は、とにかくぐっすり寝てーぜ」

 

「私もだ、おそろしく長い一日だった」

 

レオリオとクラピカのくたびれた声を背にゴンとキルアといっしょに探検へ出かけた。

 

 

 

 

ここで所変わって、試験官達の休憩室では・・・

 

「ねぇ今年は何人くらい残るかな?」

 

「合格者って事?」

 

「そっ、なかなかツブぞろいだと思うのよね。スシのあの子もなかなか良いオーラしてたし、他にも良いオーラ出してる子もいたし」

 

「でも、それは、これからの試験内容次第じゃない?」

 

「そりゃま、そーだけどさぁー、ね?サトツさんどう思う?」

 

「ふむ、そうですね、ルーキーが良いですね今年は」

 

「あーやっぱり!?あたしは断然406番!あの子、能力はわかんないけど近接戦闘じゃ私も敵わないと思ったわ、まだ本気じゃなかったみたいだし」

 

「あ~、あの子か。スシ、そんなに美味しかったの?」

 

「うん!なんか初めての味に出会ったって感じで新鮮だったわ」

 

「私は、断然99番の彼が良い、匂いが違います。素質もありますし、これからを考えると99番ですね」

 

「あいつきっと我がままで生意気よ、絶対B型!いっしょに住めないわ。ブハラは?」

 

「そうだねールーキーじゃないけど気になったのは、やっぱ44番かな、メンチも気づいてたと思うけど、あいつ俺たちが姿見せたときからずっと殺気はなってたんだよね」

 

「もちろん、知ってたわよ、あたしが、ピリピリしてたのは実はそのせい・・あいつずーっとあたしに、ケンカ売ってるんだもん!」

 

「私にもそうでしたよ」

 

「サトツさんにも?」

 

「彼も我々と同じ穴のムジナです、ただ彼は、我々より暗い場所に好んで住んでいる。我々ハンターは心のどこかで、好敵手を求めています。彼にとってハンター試験は賭け試しの場所なのでしょう」

 

「賭け試し?」

 

「はるか東のはての空手という格闘技の言葉です。型稽古に飽き足らず街中で強そうな相手を見つけては片っ端から勝負を挑んで腕を磨く、彼は危険です。我々ですらブレーキをかけるところで、ためらい無くアクセルを踏みこめる異端児中の異端児なのです」

 

 

 

 

「あんまり面白いトコなかったなー」

 

「そお?結構楽しかったけどな、ね?シャナもそう思うでしょ?」

 

「うん、こんな大きな飛行船って初めてだから新鮮で面白いよ!」

 

「そうだよね!あっ、見て見て!うわぁ、すっげぇ!宝石ばら撒いたみたいだね」

 

「夜景、見たことなかったのか?ゴン」

 

「こないだキリコさんに空を運んでもらったけど、こんなに明かりはなかったし。キルアとシャナは?」

 

「うち、自家用機とかあるから数えられないくらい」

 

「僕は、師匠との修行が自然の中ばっかりだったからこういう都会っぽいところは新鮮に感じるんだ」

 

「キルアの、ちょっとムカつく」

 

「無いと困るんだよ、山丸ごと1個うちの敷地だし。使用人200人くらい居るし」

 

「キルアん家ってお金持ちなんだ。お父さんとお母さん何してるの?」

 

「殺し屋」

 

「へぇ~、殺し屋かぁ。」

 

ゴン・・・僕は原作知識で知ってたけど、やっぱりその反応は僕には難しいな。

 

まぁ、黙って聞いてることにするけどね・・・

 

 

「あっははは、面白いなお前ら、マジ面でそんなこと聞いてきたのお前らが初めてだぜ」

 

「えっ?だって本当なんでしょ?」

 

お前らって僕は何も言ってないんだけどな。

 

「どうしてわかる?」

 

「なんとなく、かな」

 

「おっかしいなぁ、どこまで本気かわかんない子ってのがチャームポイントだったのに」

 

「チャームポイント?」

 

「うち、家族全員暗殺家業してんだ。金さえ貰えば誰でも殺す、そん中でも俺すげぇ期待されてるみたいでさ、ガキの頃から殺しの英才教育受けてきたんだけど・・でも俺ヤなんだよね。人にレール敷かれる人生ってやつ?”自分の将来は自分で決める”って言ったら親兄弟キレまくりでさ!俺がいかに人殺しとして素質があるか、涙ながらに力説するんだぜ!?ひでぇ親だろ?結局、喧嘩になってお袋と兄貴半殺しにして家出してきた。俺ハンターになったらまず、家族全員捕まえて売るんだ。良い値段になりそうだよな?」

 

「キルアって凄いね。俺はキルアみたいに親父を超えたいとか思ったことないもの」

 

「そうか。親父捕まえるってことは超えるってことだもんな」

 

「うん、できるよキルアなら」

 

「全然、説得力ないぞ?お前、俺の親父のこと知らないだろ?」

 

「でも、キルアのお父さんでしょ?なんとなくわかるよ」

 

「って、さっきから黙ってるけどシャナはハンターになって何するんだよ?」

 

キルアはゴンとの堂々巡りな会話を切り上げて、僕に聞いてくる・・・

 

 

「僕??」

 

「そーだよ!なんでハンターになりたいんだ?」

 

「んー、情報を集めるにはハンターになるのが手っ取り早いっていうのもあるよ?僕の目的は人探しだからね」

 

「へぇ~、シャナの探してる人って誰?」

 

ゴンが聞いてきてるけど言っても大丈夫だよね?

 

「僕の探してる人はジン=フリークスっていうんだけど、師匠なんだ。弟子の最終試験でね、捕まえてみせろってさ」

 

「えっ?」

 

「あ?なんだよゴン、知り合いか?」

 

「えっと・・・俺も親父を探すためにハンターになりたいんだ。それで親父の名前がジン=フリークス。」

 

「はぁ!?」

 

「あ、やっぱりジンさんの息子なんだ」

 

知ってたけど目的がいっしょのほうが行動しやすいから、いいよね?

 

「え!?シャナはわかってたの?」

 

「そっくりだからね、なんとなくは・・・とは思ってたよ」

 

「そうなんだ。ね?親父ってどんな人?俺、親父を探すためにハンター試験受けに来たんだ!」

 

ゴンは案の定、僕に掴みかからん勢いで僕にジンさんのことを聞いてくる。予想はしてたけど、凄い勢いだ。

 

 

「どうでもいいけどよ、移動しようぜ?茶でも飲みに行こう」

 

「わかった!シャナ、あとで親父のこと聞かせてね」

 

「わかった。僕も話したいことあるし歩きながら話すよ」

 

ここからは、キルアが不穏な気配に気づいて走り出したり・・侵入者といざこざがあったりとほぼ原作と同じ流れでネテロ会長との玉取り遊びをすることになったらしいが僕は参加せずにキルアたちに断りを入れて白眼(びゃくがん)で飛行船の中を隈なく見渡し、人が少ない場所を確保し絶(ゼツ)で気配を殺してから眠りについた。

 

 

 

 

☆ 第10話 ☆

 

トリックタワーに着いたのはいいけど、さっきからレオリオが睨んできてる。

事情を詳しくクラピカに聞くと2次試験で見た僕の強さから力を借りるために探していたが見つからず、今になってようやく姿を確認したのはいいが見つけられなかったことが悔しくて納得できないようなのだ。

 

クラピカもレオリオよりはマシだが気にはなるようで僕にどこに居たのかを聞いてくるが僕は絶(ゼツ)で気配を絶っていた。樹海の獣達に気づかれることなく眠るために身に着けた熟練の絶(ゼツ)で、だ。

 

僕が『念』を身に着けてからもう10年以上。まだジンさんには敵わないだろうが、『念』も覚えていない者に見つけられては僕も落ち込む。なので内心で少し苦笑しながら「僕は体が小柄だからわかんなかったんじゃない?」と、誤魔化しておく。

 

クラピカは不承不承といった感じにうなずいてくれた。

 

 

試験官の説明も終わり、周りの受験生が下へ降りる通路を探して周りにバラけ始める。

僕は白眼(びゃくがん)を発動させ入り口を探しているゴンとキルアを目の端に捕らえながら穴を探すフリをしておく。そしてゴン・キルア・レオリオ・クラピカが穴に飛び降りたのを確認し、白眼(びゃくがん)で下に降りたゴンたちが〇×の付いたタイマーを腕に装着したのを確認してから残りの穴に飛び込んだ。

 

僕が降りてきた途端に一瞬だけこちらを警戒するレオリオとクラピカ。

 

降りてきた僕に警戒をせずに近寄ってきたゴンが

 

「シャナもココに降りてきたんだね」

 

自分達が降りてきてから然程時間をかけずに降りてきた僕に笑顔で話しかけてくれた。

 

「うん、ゴンたちもみたいだね」

 

白眼(びゃくがん)で確認してわかってたことだけど、周りを見渡してから返事を返す。

 

「シャナ、急かして悪いのだが時間も惜しい。ソコにあるタイマーを腕につけてはくれないか?」

 

時間制限を気にしたのだろうクラピカが僕にもタイマーをつけることを要求する。

 

タイマーをつけてから周りをもう一度見渡すと扉が出てきて、ボードを見ると原作どおり、開けるか開けないかが書いてあった。

 

当然開けるを選択して5対0でスムーズに通過した。

 

すると抜けたすぐ後に・・・

 

「扉を出てすぐまた設問かよ」

 

レオリオが悪態をついている。

 

どっちに行くか?という質問は僕は原作をわかっていたので迷わず右を押す。

そしたら、例の如く、レオリオとゴンが左を押し、右3左2の形で扉が開いた。

 

それを見たレオリオが、

 

「なんでだよフツーこういうときは左だろ?つーかオレはこんな場合左じゃねぇとなんか落ち着かねーんだよ」

 

「確かに行動学の見地からも人は迷ったり、道を選ぶときには無意識に左を選択するケースが多いらしい」

 

「オレもそれ聞いたことある」

 

と、クラピカとキルア。

おお、この場合僕がトンパの役をしなければ原作通りにならないのかな?

 

「それだと計算あわねーぞ。お前ら一体どっちだよ?」

 

「右」

 

「右」

 

「僕がもし試験官なら、こういう法則があると知ってたとして、きっと左の方を難易度の高い道にすると思う。そういうことだよね?クラピカ?」

 

「そういうことだ」

 

「ケッ、どうせ俺たちは単純だよ!なぁゴン?」

 

やっぱギャグとして笑える。というか声を殺して笑ってしまった。

 

広間に出ると、底が深い穴の真ん中に四角いリングがある部屋につく、とソコで・・・

 

「我々は審査委員会に雇われた試練官である!!ここでお前達は――」

 

僕はリングの周りの穴になにがあるのか好奇心に負け、説明を聞かずに白眼(びゃくがん)で穴を覗いていたので説明を聞きそびれてしまった。ちなみに穴はただ深いだけで底に剣があるわけでもなかった。

 

 

説明を逃し、誰が相手と戦うかの口論をゴンたちはしていた。原作でトンパが行ったこの相手、負けるのは癪に障るので勝つ気で行くが、戦うのをレオリオたちに邪魔されたくないので

 

「最初は僕が行くよ、2次試験で僕の実力は見たよね?腕には自信あるから大丈夫」

 

口論していたゴンたちの間に入って腕をまくって大丈夫、と微笑む。

 

「さて、勝負の方法を決めようか?俺はデスマッチを提案する」

 

やっぱり、この成長しない体とシャナの幼い顔は相手に油断させるらしい。わかってたけどね・・・

 

この相手、原作でキルアが元軍人か傭兵って言ってたから相手が幼い子供と見て馬鹿にした顔で僕を見ているが、この《僕は思わなかったけど》難関なハンター試験、ココまで無傷で合格してるのをまぐれで合格したと思ってるのか?

 

「ん、デスマッチでいいんだね?」

 

この相手、僕の見立てでは天空闘技場での150階クラスの闘士と良い勝負かな?相手を見て考え事をしていた僕に

 

「おい!やめとけって!」

 

2次試験で実力を垣間見たレオリオだが、やはり小柄な僕が強いとは信じられないらしい。制止の声を出している。

それに僕は大丈夫だと振り返らずに手をひらひらと振って答える。

 

 

「一方が負けを認めるか、または死ぬかするまで戦う。いいな?」

 

「本当に殺しちゃっていいんだね?」

 

「あぁ、いいとも。できるかい?お嬢ちゃんに」

 

本当に舐めた態度にちょっとムカついたので

 

「いい・・・んだねッ?」

 

 

僕にへらへらした笑みを浮かべた相手に向けて僕は笑みを消した。

そして、壮絶な殺気と殺意を周囲に撒き散らした。

 

 

樹海を出る少し前に対峙した人語を解するほどの知能を持った樹海の主、その人語を解する主がこの殺気に怯えて一目散に逃げていった、その時よりもさらに濃い誰一人、息をつく事も許されないほどの強烈な殺意の篭った殺気・・・。

 

 

「ねぇ、開始の合図はまだ・・・かな?」

 

ココにいる、シャナの豹変した態度と噴出した膨大な殺気に元殺し屋のキルアでさえもが冷や汗が隠せないでいる。

 

そのシャナが開始の合図を待たずに1歩、前に足を踏み出した。と、同時に

 

 

 

「ま、参った・・・降参する」

 

相手は手を床について降参を宣言した。その、降参の言葉と同時に撒き散らしていた殺気を引っ込める。

 

そして、僕の試合を見ているゴンたちへ振り返り顔をぱあっと輝かせて、とととっ、と擬音がつくような小走りで呆然とした表情のレオリオたちの前へたどり着いて

 

「やったッ☆これで1勝だね♪」

 

さっきまでの無表情が嘘のような年相応にふさわしい無邪気な笑みで勝利のピースをしてみせた。

 

 

さっきまでの強烈な殺気が治まり全員が冷や汗を拭っていたところに殺気を出していた本人が子供らしい笑みで駆けてきたのだ、呆然ともする。

 

さすがの天然少年ゴンもあまりなシャナの豹変に驚いて声を出せないでいたが、すぐに気を取り直して

 

「やった、シャナって凄いんだね」

 

やっぱりジンさんの息子なだけあって悩むのは一瞬、あとは屈託のない笑みで労ってくれた。

 

 

僕が勝った変動で原作ではトンパ、ゴン、クラピカ、レオリオ、キルアの順だったのが僕、クラピカ、レオリオ、ゴン、キルアの順になった。

 

戦う相手に変動がなかったのは原作の修正力なんだろう。

 

 

さっきまでの僕の豹変にレオリオやクラピカからは1歩引かれた感じはしてたが、キルアの試合が終わってからはゴンのキルアは元殺し屋だという暴露で僕への態度も元のような穏やかなものに変わってくれた。

 

 

試合で負けた時間を過ごす小部屋で30時間弱、椅子に腰を下ろしたレオリオが自分が負けて時間を使ったことに謝ってクラピカが気にしないように言う。

 

「そういえばよ、キルアの元殺し屋ってのにも驚いたがシャナのにはもっと驚いたぜ。お前も元殺し屋とかだったりするのか?」

 

レオリオはさっき僕が出していた殺気を思い出したのだろう。少し震えながらたずねてきた。

 

「んーん、僕はちょっと特殊なトコに住んでたことがあってね。周りを警戒するためのけん制として殺気を撒き散らすのが癖になっちゃったんだよ」

 

そう、樹海に居たときは周りに潜む猛獣へ殺意をばら撒いて弱い猛獣をけん制するようにして無駄な戦いはしないようにしていた。面倒だったし・・・雑魚散らし。

 

 

そういうやりとりの後、試験に持ってきていたメロンパンをカバンから取り出し全部食べてしまう。

カビは生えてなかったが少し激しい動きをしたせいで潰れていた。

 

 

そうして30時間もの退屈な時間を過ごしたのち、僕は白眼(びゃくがん)でどっちの道が楽な道かを選んで皆には勘で選んでると言いながらレオリオとゴンを味方につけて難解そうな道は確実に避けた。ココまで僕が選んだ道にハズレがないとわかると最初は難色を示していたクラピカとキルアも最後のほうは僕の決めた道へ〇を押してくれるようになり、やっと最後の多数決の道、5人で行けるが長く困難な道、3人しか行けないが短く簡単な道という問題。

 

トンパが居ないからか、そこまで切羽詰まった空気ではないが〇で通って通過する45時間というのは最低限という意味でそれ以上かかると考えられる。僕達は原作より早くココへ着いたがそれでも残り時間は28時間しかないので時間が足りない・・・

 

 

トンパの真似をする気はないが、ココは原作通りに進ませたいのでゴンをうまく言葉で誘導して長く困難な道に入って壁壊すという解答に持っていき、壁自体は原作組4人と僕は斧に周(シュウ)を纏わせて破壊は容易く終わった。残り時間が原作よりかなり余ってるので短いほうの道で進んだが原作のようにキルアのスケボーを使うことはなく、スムーズに終了した。

 

 

 

しかし、やはり原作でのトンパの枠に僕が入ったせいか、原作より合格者がやや多い。

 

正確な数は覚えていないにしろ、確実に20数人、であったはずの合格者は今は30人ほど居て見覚えのない顔も7~8人いる。

まぁ僕というイレギュラーがいる時点でわかってたことだからあまり気にしないようにしよう。

 

 

 

 

ココは僕にとっても、もう現実世界なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

☆ 第12話 ☆

 

 

今日で4次試験開始から6日目になる。あと1日耐えれば、サバイバルも終了だ。

 

僕はアモリ3兄弟の末弟、イモリから掠め取った198番のプレート以外にも、採ってきた魚を焼くために火を使った煙に誘われて寄ってきた受験者3人組に襲われたくらいだろうか?

 

 

そのときはせっかく採ってきた魚に砂を被せられた。相手は上がる煙を他の受験者にも見つかると思っての行動だったのだろうが・・・

 

朝と昼も食事を取ってなくて空腹で沸点が低くなってた僕は手加減も忘れて受験者たちを内部を破壊する掌打を全員に放って、再起不能にした辺りで

 

「あ・・・、やりすぎちゃった」

 

冷静になってみると、本気で掌打したせいか3人の受験者全員を林の果てまで吹き飛ばしていた。

 

 

だが、反省してない!あいつらが僕の魚を台無しにしたのが悪いんだ!『僕は悪くない!』っと、叫んでみたが、聞いていたと思われる、僕の後をついたきてた監視員さんが少し笑ったのを見て恥ずかしくなって頭をかかえてしまったりもした。

 

 

そんな、あまり大したことのなかった4次試験の最終日、あと数時間で試験も終わりを迎える頃に

スタート地点兼ゴール地点の近くまで移動する。

 

 

最後まで気を抜かないようにしなきゃ、と思いながらも『念』の使い手はヒソカとギタラクルしかいないのは受験者たちのオーラを見てわかっていた。なので白眼(びゃくがん)を発動したままで最後の刻まで過ごすことにする。幸い、僕の白眼(びゃくがん)はただの凝(ギョウ)より多少オーラを消費する程度、寝ずに使っても5日は持続させられる。

 

白眼(びゃくがん)で確認したところ、ギタラクルことイルミはまだ土の中で睡眠中でヒソカとは徒歩で2時間はかかる距離にいる。僕がこの場所であまり動かないもんだから僕に付いてる監視員さん、さっき欠伸してたよ・・・。暇でゴメンね。

 

 

その場で待機して約5時間、大きな汽笛の音が島中に響き、アナウンスが鳴った。

 

 

 

『只今の時間を持ちまして4次試験は終了となります。受験生の皆さんは速やかにスタート地点へお戻りください』

 

 

 

戻るまでの猶予時間が1時間と言われたが、スタート地点近くにいたのですぐに出て行く。

 

試験が終わったので、この常時警戒モードも疲れるのでホッと息をついたが、まだ油断は出来ないので白眼(びゃくがん)は発動したままでいることにした。

 

 

合格者は僕、ゴン、クラピカ、キルア、レオリオ、ハンゾー、ポンズ、ボドロ、ポックル、ヒソカ、イルミ。

 

やっぱり原作より4次試験を受けた受験者が多かったせいかポンズが合格者組に加わってるみたいだ。

 

 

最終試験への通過者は島にきた飛行船に乗って最終試験会場へと向かうらしい。

 

 

長かった4次試験もようやく終わり、飛行船の中では合格した受験者が一箇所に集まって最終試験について話しているが、4次試験中にハンゾーと出会った時に脅したことをまだ気にしてるのか、ハンゾーが僕へ目線を合わせようとしなかったのには、少し苦笑いを浮かべてしまった。

 

 

 

まぁ、ボドロさんの無責任なペーパーテストとの発言には苦笑いを深くしてしまったが・・・。

 

 

その後に、その場に居てはヒソカに絡まれるかもしれなかったので他の受験者と図書室に行き、まぁ勉強する気にはなれなかったので図書室で勉強してるレオリオ、ポンズ、ハンゾー、ポックルを眺めていただけなのだが・・・絶(ゼツ)で完全に気配を消して。

 

 

 

『えー、これより会長が面談を行います。番号を呼ばれた方は2階の第一応接室までお越しください』

ハンゾーをレオリオとポックルが取り押さえた辺りで、やっと面談の放送が鳴った。

 

 

 

 

ポンズの面談も終わり、406番、僕も呼ばれた。

 

 

「失礼します」

 

「よく来たの。まぁ座りなさい」

 

ノックをして扉を開けるとネテロ会長に出迎えられた。

この世界に来て、ジャポンには行ったことがないが、この和室を見ると日本でのことが思い出される。

 

久々の座布団に正座で座り、ネテロ会長の言葉を待つ。

 

「これからいくつか参考程度に質問をするがいいかの?」

 

「はい」

 

「ではまず、なぜハンターになりたいのかな?」

 

この質問か・・・。はっきり言うと原作介入のためであって、あまりライセンスには興味は薄いのだが

 

「ライセンスがあれば様々なことができるから、ですかね」

当たり障りがないように答えておく。

 

「なるほど、では、お主以外の10人の中で1番注目しているのは?」

 

「ゴン、ですかね。師匠の息子だけあって良いハンターになりそうですし」

 

「ほう?お主、やはりジンの弟子だったか」

 

「あれ?知ってるんですか?」

 

「ふむ、以前ジンからの」

 

「そうですか、今どこにいるかはご存知ですか?」

 

「あやつは気まぐれじゃ、探すんなら根気よく探しなさい」

 

やっぱりそう簡単に見つけさせてはくれないよね・・・

 

「そうですか・・・」

 

「して、最後の質問じゃが、10人の中で今一番戦いたくないのは?」

 

「44番かな。試験中も狙われてたくらいだし、相手にはしたくないです」

 

まぁ相性は良いか微妙なんだよね・・・

バンジーガムは付けられても八卦掌回天(はっけしょうかいてん)で防げるはず!

 

あまり自信はないが、『念』は心の強さも攻撃力になることがあるのだし弱気になるのはダメだと思い至ったからだ。

 

「うむ、ご苦労じゃった。下がって良いぞ」

 

面談の終了をネテロ会長から告げられたので、礼をして部屋を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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