No.449408

天の迷い子 第三話

どうも、ド素人です。
連続投稿になります。
自分基本へたれなので悪口だけはご勘弁を。
今回かなり短いです。

2012-07-08 22:06:53 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1611   閲覧ユーザー数:1488

Side 静護

 

パァン!  バサリ。

「よっし!洗濯終わり!とりあえず一通りやるべきことは終了。なんか他にやることが無いかフォンさんに聞いてくるか。」

使用人の休憩室に向かって廊下を歩く。

途中、他の使用人の人達から声をかけられ、「おう、流騎。昼の残りの饅頭あるけど食うか?」とか「流騎君、お茶でも飲んでいかない?」というお誘いをうける。

仕事中だからと笑顔を返しながら断り(饅頭は貰ったが。だって美味いんだもん)、歩いていると、

「あっ!ちょうど良かった!流騎君、ちょっと頼まれてくれない?」

と呼び止められた。

「はい、何ですか?」

「董卓様にお茶をお出しする時間なんだけど、ちょっと用事が入っちゃってね。代わりにお願いできないかな?」

「いいですよ。えっと、お茶は厨房に行って取ってくれば良いんですよね?」

「ううん、もう用意はしてここにあるから、…はいこれ。じゃあ、よろしくね♪」

茶器を受け取り執務室へGO!!

 

というわけで、仲頴の執務室の前にいた。

「≪コンコン≫董卓様、お茶をお持ちしました。」

「…どうぞ、入ってください。」

「失礼します」と言いながら中に入る。

するとそこには、真剣な顔で政務に取り組む仲頴がいた。

(笑顔か慌てた顔しか見たこと無かったからこんな真剣な表情は新鮮かも。)

「………へえ、綺麗だな≪ボソッ≫」

「!?へうぅ!?き、綺麗だなんて、そ、そんな、って流騎さん!?いつの間に!?それに綺麗って!?へう、へうぅぅううう!?≪ぷしゅうぅぅぅうう≫」

うわ!顔真っ赤だ!っつか、声に出てたか、俺!?何考えてた!?確か綺麗だって…ぐあ、恥ずかしい!

真っ赤になった仲頴は机に突っ伏してしまった。

負けず劣らずおそらく俺も真っ赤になってるんだろうけど。

 

しばらくして、「申し訳ありませんでした」と小さくなる仲頴に、お茶を淹れる。

ゆっくりと口をつけると「ほおぉぉ」っとため息。

よかった、口に合ったみたいだ。

「流騎さん、このお茶とても美味しいです。とても落ち着く優しい味で。お茶の葉を変えたんですか?」

「へっへ~~、じつはいつも仲頴がいつも飲んでるお茶なんだぜ?お茶って淹れ方でずいぶん変わってくるから、淹れる人が違うだけで味も変わるんだ。じいちゃんがお茶にうるさかったから、結構自信あったんだ。」

と、胸を反らして目一杯のドヤ顔をする。

すると、くすくすと仲頴が笑い出した。

「ふふっ、ごめんなさい。なんだか自慢げな顔が可愛くて。」

むう、可愛いといわれるのはなんか変な感じだけど、まあいいか。

笑顔なのはいいことだ。

 

「月~、この書簡なんだけど…ってあんた何してんのよ。」

仲頴と雑談をしていると文和が入ってきた。

「あっ、詠ちゃん。あのね、今流騎さんにお茶を淹れてもらってたんだけど、すごく美味しいんだよ。流騎さん、詠ちゃんにも淹れてあげて貰えますか?」

「あいよ!ちょっと待ってな。」

威勢のいい返事をしてお茶を淹れる。

文和は「ほんとに美味しいの?」と言っているが、見てなさい、ギャフンと言わせて見せましょう。

 

うん、いい感じだ。

それを茶碗に注いで文和に渡し、空になっていた仲頴の茶碗にも注ぐ。

「ん、ありがと。ふ~ん匂いと色は悪くないわね。でも、味のほうはどうかしら。……≪コクリ≫…ふわぁ、美味しい…ハッ、わ、悪くないわね、って笑うなぁ!」

いや、だって飲んだ瞬間険がとれて子供みたいな表情になるんだもんな。

可愛くて思わず笑っちまうって。

「くっくっくっ、全く素直じゃないなぁ、く~ちゃんは。」

「ふふっ、そうですねぇ。」

「く~ちゃんゆうなぁ!!もう、月まで一緒になって笑わないでよ~。」

ひとしきり笑った後、仲頴と文和は政務に戻った。

のだが、

 

「何で俺はここまで引っ張ってこられたのかな?」

連れてこられたのは文和の執務室。

「あんた、元の世界で学校ってところに通って学んでたって言ったわよね。じゃあそれがどの程度のものか見てあげる。侍女たちから有る程度の読み書きは出来るようになったって聞いてるわ。比較的簡単なものを回してあげるからやってみなさい。」

そうして差し出される書簡。

街の揉め事やら、警備の改正案やら、ちょっとした収入支出の計算やら確かに比較的、そうあくまで“比較的”簡単なものだった。

(とは言ってもついこの間まで単なる学生だった人間に政務なんか出来るのかなぁ。)

 

Side 月

 

部屋の中に残るお茶の香り。

余韻がありながらもすっきりとした後口。

流騎さんのお茶をいただいてから、とてもゆったりとした気分で政務を続けていた。

こんなに落ち着いて仕事が出来るのは初めての経験だった。

出会ってそんなに経っていないのに、一緒に居るととても落ち着く。

そんな不思議な空気を纏った男の子。

私も詠ちゃんもこの洛陽に来てからは、ずっと気を張っていた。

周りには自分の保身しか考えていない官吏や、私たちを利用しようと裏で暗躍している宦官、国の為に何とか良い政策案を出そうとしても上役に潰されやる気を無くしていく文官、そんな人ばかりで正直、飾らずに自分を出せるのは詠ちゃんや霞さんを含めて数人しか居ない。

その中にするりと入ってきた人。

立場を気にせず友達になろうと言ってくれた初めての人。

 

いつも私たちの為に周りを警戒してくれている詠ちゃんですら、流騎さんの前だと素の自分を出せている。

いつも言い合いをしているけど、話題の中に流騎さんの事が入ってきていて、どんどんその割合が多くなっているから。

 

そんなことを考えながら頬を緩ませていると、

「月、ちょっと良い?流騎の事で話があるんだけど。」

流騎さんのことで?何だろう?

私は扉を開けて詠ちゃんを招き入れる。

「それで詠ちゃん話って?」

「うん、まずこれを見て欲しいんだけど。」

これは、財政の書簡?

内容を見てみると、その通りの内容で特に変なところは見当たらない。

むしろ、とても見やすく纏められていて普段のものより判りやすいぐらい。

これがどうしたんだろう?

あれ?流騎さんの話だよね?…もしかして、

「えっと、もしかしてこれ流騎さんが?」

「そうよ、学校って所で学んでたって言ってたから、どの位できるのか確かめてみようと思ってやらせてみたんだけどね。まあ、他の案件に関しても、纏め方が雑とか色んな粗があるのは確かなんだけど、着眼点や考え方が柔軟で僕たちでは思いもよらない観点で解決策を導き出したり、何度も実験を繰り返したり沢山の経験を積まなきゃいけないような事を、まるでそれが当たり前のような書き方をしていたりするの。それに算術にいたっては、相当高度な教育を受けているように思えるわ。…つまり、あいつが未来から来たって話は眉唾じゃなく、おそらく本当のことなのよ。」

「じゃあ、流騎さんは御使い様って事なの?詠ちゃん。」

「ううん、管路の言う“天の御使い”って言うのは流星に乗って現れるらしいから違うと思う。それに、その御使いはすでに劉備って奴の所へ降りているらしいから。でも、もしかしたら同じところからこの大陸にやってきたのかも。それでね、霞たちにも話すつもりだけどこのことは僕たちだけの秘密にしておかないといけないと思うんだ。」

「どうして?もちろん言いふらすような事はしなくていいと思うけど隠すような事でもないと思うけど?」

「いいえ、よく考えてみて、月?“天”から来た男よ。そんな人間を僕たちが匿ってるって誰かに知られたら、皇帝陛下への反逆と取られかねないわ。ただでさえ洛陽の町を少しでも良くするために色々働きかけて疎まれているんだから、余計な隙を見せれば今までやってきたことが無意味になるかも知れない。それだけは避けたいのよ。」

確かにそうだよね。本来天を名乗れるのは皇帝陛下だけ。

なのに、陛下の臣下であるはずの私たちが、天を名乗る人を傍に置いてるなんて許されるわけが無い。劉備さんのところは洛陽から離れているし、直接的な害は今のところ無いから、黙認されているようなものだし。

「…うん、そうだね。でも、じゃあどうするの?このまま流騎さんには屋敷の使用人をやってもらっておけばいいのかな?」

「………本当はそれが一番安全なんだろうけど、これだけの計算力と柔軟な思考力を遊ばせておくだけの余裕は、今の僕たちには無いわね。だから、表向きは使用人として雇っておいて、この屋敷で出来る案件だけ流騎にも手伝ってもらう方向で考えているんだけど。表舞台に出さなければ目をつけられることも無いと思うし。」

私もその意見に賛成した。

本来なら、争いの火種になりそうなものは、排除すべきなんだろうけれど。私も、そして詠ちゃんも、そんなことはしたくないって、そう思ったから。

だって、お友達を裏切ることなんて出来ないから。

それに、この前流騎さんの居た場所には、身近に人の死を感じることは無いって言っていた。

そんな所から来た人に、急にこの世界の辛い現実を見せてしまったら、きっととても傷つけてしまうから。

あの優しい笑顔を無くして欲しくないから。

きちんと準備が出来るまで、表舞台に立って欲しくない、口には出さないけど詠ちゃんもそう思っているんだと思う。

 

数ヵ月後、私たちはこのときの想いを違えることになる。

避けることの出来ない、大きなうねりに飲み込まれることによって。

 

 

あとがき

 

前話であとがき忘れて投稿してしまいました。

 

あかん、難しい。

けどまあ、自分の想像(妄想とも言いますが)を形にするのは楽しいものですね。

 

今回はちょっと主人公(一応)の流騎君についてのイメージを書きたいと思います。

まず、黒髪の短髪(ウイイレではミディアムか?)で瞳の色は黒で切れ長奥二重。

典型的な日本人です。

容姿的には決して美少年ではありません。

原作一刀君が上の中とすれば、流騎君は中の中から中の上の間くらいでしょうか。

 

潜在的な才能はほとんど無いです。

ただ、根気と努力は誰にも負けない生粋の努力家。

うまく表現できませんが、空いた時間は大方鍛錬や勉強に当てていると思ってあげてください。

ただ、家事に関してだけは類稀な才能を発揮します。天才主夫です。

 

あと、真名に関してですが、原作では「仲間になるから真名を預けよう」みたいになっていますが、自分は何か軽くないかなぁと思ってたので、しばらくは流騎君に真名を呼ばせる事はありません。

と、こんな感じでしょうか。

 

下手糞な文ですが一人でも楽しんで頂ければ幸いです。

 

では、これにて。


 
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