No.449345

真恋姫†夢想 弓史に一生 第一章最終話 第十二話 旅立ち

kikkomanさん

どうも、作者のkikkomanです。

前話の十一話ですが…演説は、やはり書くのが難しいですね…。上手く書けてるか本当に不安です…。

後、二人が軽く壊れてますね…。今話では、元に戻ると思います。

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2012-07-08 20:58:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3607   閲覧ユーザー数:3226

~聖side~

 

先日の演説から一月。

 

村は、以前以上の活気を持ち、上に上がってくる案件も増えた。

 

それに対して、俺は天の知識を使って答えていった。

 

例えば、農耕面では屯田制の活用をしたり、米の二毛作。

 

工業的には、銅鉱や鉄鋼山の産出量の調整や生糸などを中国は北、幽州の方から取り寄せ、服などの製品として売り、利益を得た。

 

商業的には、大きなことはしなかった。商業は特に何かをするわけでもなく、皆の活気が市を拡大し、それが全てにいい結果をもたらしている。そこに口出しをするだけ無駄だろうと思い、何も言わなかった。

 

 

とにかく、村は発展した。

 

それこそ、この他の村に負けないほどに…。

 

これだけ発展すると、問題になるのは賊の侵攻だったり、村の治安だろう。

 

しかし、この村では自警団「新撰組」が目を光らせている。

 

その数は、この前の演説の影響もあり、すでに千人近い数となっている。

 

新兵にも、その精神をしっかりと伝承している点、勇は優秀な将ってことだろうな…。ともかく、この村は安全である。

 

これなら…。

 

俺は、はなから考えていた計画を実行に移す日を伺っていた。

 

しかし、意外と案件が尽きなかったことと、予想以上に初めのころは政策の成果が上がらなかったこともあり、上記のような発展した村になるのに、県令になってから三年という月日が経っていた。

 

このままでは、いつ世界が戦乱の世になるか分かったもんじゃない…。

 

確か、きっかけは黄巾の乱…。

 

これにより、朝廷内で権力争いがおき、現皇帝劉宏の崩御が拍車をかけた。

 

…世界は群雄割拠の時代に入っていく。

 

その前に、俺は一つの勢力として立たなければならない。その為にも…今は他国を知り、他国の国づくりを学ばなければならないのだ…。

 

その為に…。

 

 

「芽衣、奏、勇。実は、今日集まってもらったのは、ちょっと深い話しがあってのことだ。」

 

「「「「深い話??」」」」

 

「皆を呼ばずに、私たちだけってことは、相当なお話しってことですよね~。」

 

「確かにそうだよな。中心人物だけを集めたって言うのがそれを物語ってるし。」

 

「まさかお頭。これから悪いことしようって考えじゃあ…。」

 

「違ぇ~よ!! 良いか、これは大事な話だ。それこそ、今後の俺たちの身の振りを考える上で、だ。」

 

「そんなもったいぶらなくて良いから、さっさと言ってくんなぁ。」

 

「そうだよ、さっきから歯切れが悪いね。もっとこう、バシッと言ってくんなきゃ!!」

 

「そうですよ~…。」

 

「ふ~…。お前たちは相変わらずだな…。 まぁ良いや、よく聞いてくれ。 俺の天の知識では、これから先、戦乱の世になるのを避けて通ることは出来ない。その為にも、俺たちは一つの勢力として自分たちの足で立たなきゃならん。その為に…。」

 

「成程!!分かりやしたぜお頭!! この地域を治めてる張超をぶっ飛ばして、この広陵を拠点にしようって腹だな!!」

 

「その考えは確かに間違っちゃねぇ…。だが、それをするにはまだ時期尚早だ…。」

 

「何でだよお頭。あたいたちはそれなりに兵はいるし、大丈夫じゃないか?」

 

「仮に今の兵たちで勝てたとしても、その後をどうする? 俺たちは、あくまでも村程度の街しか治めたことがない。それがいきなり広陵郡を治めろと言われても無理な話だろ??」

 

「確かにそうですね~。規模が違えば扱うものがかなり変わってきますからね…。」

 

「その通り。 …そこでだ。俺は旅に出ようと思う。」

 

「「「…ええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」」」

 

「聖様!!意味が分かって言ってらっしゃるんですか?」

 

「そうだぜ、お頭。 あんたは県令なんだ!! 県令がこの地を留守にしてどうすんだよ!!」

 

「確かにそうだが、この地はもう安定してきた。だから、県令を勇に任せて、俺と芽衣、奏でこの国を一回りして、いろんな国の体制を見極めようと思ってるんだ。どうだろう皆、分かってくれたかい?」

 

「「「…。」」」

 

 

三人とも沈黙する。急なことに、いまいち頭が回ってない様子だ。

 

でも、これは今だからこそやっておかなければいけない事。

 

敵を知り、己を知らば百戦危うべからず。

 

今、敵となりえる他国を知るのは、今後において得策であり、今を逃せば、自国の欠点が浮き彫りにならない…。その為にも、皆には分かってもらわないければならないのだが…。

 

 

「どうだ皆…。分かってもらえただろうか…。」

 

「私は分かりました~…。聖様の深い考え、共感いたします。」

 

「あたいは難しいことは良くわかんないけど、まぁお頭がやるって言うなら、やるしかないじゃんか。」

 

「俺っちに、そんな大役が務まるのかわかんねぇが、お頭が俺っちを見込んで頼んでくれたことだ。命を賭けてこの村を守って見せるぜ!!」

 

「良かった、お前たちは本当にいい奴らだよ。出発は明後日の朝にでもしようか…。それまでは皆やることをしっかりやっておくように!!」

 

「「「応っ!!!」」」

 

 

こうしてその日は解散した。

 

翌日、俺は一人で村長さんのところに行った。

 

村長さんとはあの一件以来、ちょくちょくご飯に誘われたり、そのお礼として畑仕事を手伝ったりと関係は良好だった。

 

「こんにちは村長さん!! ちょっと良いかな?」

 

「おぉ~これはこれは県令様。本日はどういった御用で?」

 

「そんなかしこまらなくて良いよ、ただの私用だし。」

 

「そうですか、では聖さん。今日はどうしたんじゃ?」

 

「実は明日の朝、この地を出ようと思っている。しかも、何年も帰っては来ないと思う。」

 

「…これはこれは…。急な話に驚きが隠せませんのじゃ。しかし、一体どうして?」

 

「村長さんもご存知の通り、最近は黄巾族共も増えてきてるし、皇帝劉宏様は床に臥している。 これから導き出されるのは乱世…。 この乱世を生き抜くため、俺は一勢力とならなきゃならない…。 しかし、俺には一勢力を束ねるだけの知識も経験もない…。でも、経験は仕方ないにしろ知識は他国から学ぶことが出来る。 そしたら、早めに学ばなきゃならない…。 その為に、俺はここをいったん出て行く。勿論、この村を防備するために自警団はこのまま村に残ってもらう…。分かってく頂けますか?」

 

「…聖さんの気持ちは分かりました。この村はあなた様のものです…。あなた様が決めればよろしい…。 それに、あなた様が作られた自警団は、ずいぶんこの村を救ってくれました。その人達が残っているなら…安心できますじゃ…。」

 

「ありがとう、恩にきるよ…。」

 

俺はその後、村長さんにご飯に誘われ、一日を過ごした。

 

明日の朝にはここを発つ…。名残惜しいが…この村を守るため…。

 

俺はその夜、この村を歩き回った。その町並みを目に焼き付けるように…。

 

 

翌朝、日もまだ昇ってないほどの時間に、俺たちは門の近くに集合していた。

 

「皆、やることはやってきたか?」

 

「はい~。今後問題になりそうな案件は、終わらせときましたし、後は勇さんが頑張ってくれるでしょう~。」

 

「あたいも。自警団のやつらには、しっかりこの村を守るように言っといたから大丈夫だろ。」

 

「そうか、じゃあそろそろ行こうか。」

 

「「応っ!!」」

 

そう言って二人と門を出る。門を出たところに、千人ほど居ようかという団体が、綺麗に整列しており、その先頭に勇がいた。

 

「お頭!!水臭いじゃないっすか!! せめて、俺っちたちに見送らせてくだせぇよ!!」

 

そう言って勇は拱手した。すると、皆いっせいに拱手し、

 

「「「行ってらっしゃいませ!!どうぞご無事で!!」」」

 

地鳴りのようなその言葉は、俺たちを吃驚させるには十分だった。

 

「…驚いたな、勇。まさか見送ってくれるなんてな。」

 

「俺っちたちだけじゃあ、実はないんすよね…。」

 

勇がそう言うと、

 

「御使い様!!行ってらっしゃいませ!!」

 

「嘗ての俺たちのように、苦しんでる人達を救ってやってきてください!!」

 

「あ~ん、御使い様~!!! 絶対帰ってきてね~!!!」

 

門の内側には、町民の皆さんが居て、そんな声があちらこちらから聞こえてくる。

 

その先頭には村長さん…。

 

「はっはっはっ。こりゃやられたね…。」

 

「はい~。ふふふっ、皆さん良い人達ばかりですね♪」

 

「そうだな~、こりゃ、あたいたちが帰ってこなかったらひどいね…。」

 

「帰ってくるさ、絶対…。」

 

そう俺は言葉にして決意する。絶対にこの村に帰ってくると…。

 

「じゃあな、皆!!! 数年後、立派になったこの村をまた見に来るからな!!! それまでこの村を任せたぜ!!」

 

そう言って振り返り、俺たちは歩き出した。その背中に多くの人の熱い声援を受けて…。

 

「…すごいじゃな~い、彼。天帝ちゃんが惚れるわけね…。 ふふふっ、ちょっと私も興味が出てきちゃったわ~ん。 でも、手を出したら天帝ちゃんが怒るし…もう少し観察してみようかしらん、ぬっふうううん。」

 

ぞくぞくっ!!

 

「!!」

 

「どうかなさいましたか、聖様?」

 

「どうかしたか、お頭?」

 

「いやっ、寒気が…。なんだか、筋肉隆々で、下着一枚の変態に見られていた気がする…。」

 

「「そんな馬鹿な~。(笑)」」

 

遠くで、「誰がムキムキ変態お化けじゃごるぅぁああ!!!!」と言った声が、聞こえたような聞こえないような…。

 


 
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