使い魔として召喚された夜、タバサから様々な説明を受けた。
ログアウト……というかコマンド自体開けなかった。
ギルドカードには、ログインしてたら赤、してなかったら黒で
ギルドメンバーが表示されるのだが、確認すると
―――ネットワークに接続できないため、表示できません―――
……だろうな、ここはゲームの世界じゃなくて『異世界』だからな。
「それで、そのサモンサーヴァントってのは、この世界の生き物を呼ぶって事だよな?」
俺の召喚魔法と違って、一生を共にするパートナー……だっけ。
「そう」
「じゃあタバサと、あのピンクブロンドの子は……」
「ルイズ?」
「多分その子、あの子も人間召喚したよな?」
髪の色が黒だったから、多分俺と同じ日本人だ……と思う。
「じゃあ帰す方法は?ここに呼び出せるんだから、
帰す方法もあるだろ?」
帰る方法があっても、俺は帰れないけど、
帰れる場所がある人は、帰ったほうが……
「ない」
「……は?」
「帰す方法はない」
……おいおい、それじゃあ、あの黒髪は……
「ま、まぁ……そのサモンサーヴァントで俺を呼んだんだよな?」
「そう」
「一生を共にするって言ったけど、どんな事するんだ?」
「……魔法使いなら知ってるはず。
貴方は魔法使いと自分で言った。」
「あぁ、悪いな……どうやらここは俺の知ってる場所じゃないらしい」
「……どういうこと?」
タバサが訝しげに見てくる
「まず、サモンサーヴァントなんて存在しない。
バサリアって所から来たんだ。知ってるか?」
「……知らない」
「だろ?俺もサモンサーヴァントなんて知らない。」
「……東方?」
「いや、分からないな……
で、使い魔って何なんだ?」
「使い魔は主の目となり、耳となる能力を与えられる」
俺はタバサから視線を外し、上を見つめる。
「どう?」
「……何も見えない」
「何でだろうな」
「分からない……」
二人で少し首を傾げるが、答えは見つからなかった。
「次に……使い魔は主の望む物を持ってくる……秘薬の材料など」
「それもまだ分からないな。
俺の知ってる場所じゃないし、図鑑とかあってもキツイかもしれない」
「そう……」
「あぁ、悪いな」
「別にかまわない……これよりも大事な事がある」
「何だ?」
「使い魔は主を守る」
タバサが俺のそばにある剣を見つめてくる
「貴方は剣が使える?」
「いや、魔法のほうが得意だな。
炎とか風とか闇とか光とか……」
「待って」
「ん?」
「さっき、何て言った?」
「魔法のほうが得意だな」
「もう少し先」
「炎とか風とか」
「もう少し」
「闇とか光とか」
「そこ」
「それがどうしたんだ?」
別に、これぐらいなら……って、そうだ。
考えたくないけど、もうこれはゲームじゃないんだな。
「どんな魔法?」
「闇なら、相手の視界を奪ったり、
闇を圧縮して爆発とかだな」
「光は?」
「光は、聖なる力でアンデッドを退けたり、
味方の回復だったりする」
「そう」
「そっ」
どうやら、闇や光はこの世界にないようだ。
「どのぐらい強い?」
「どのぐらいって……分からないな。
この世界の強さの定義が分からない」
「そう……」
今度は少し残念そうだな。
「あ、でも回復魔法は多分良いと思うぞ」
「……どのくらい?」
「そうだな……魔法をかける人が死んでなければ、
大抵は直せるな」
「……じゃあ、心は直せる?」
「心?」
よく分からないな……
「どういう事だ?」
「人形を娘だと思ってる」
「……そうだな」
【錯乱】か?
「見てみないと分からないな」
「そう……他にどんな魔法が使える?」
「後は……召喚魔法だな」
「……どんな?」
「その名の通り、魔物を召喚するんだ。
一時的なサモン・サーヴァンと思っていいな。
戦闘がキツイ時に召喚したりする」
「どんな魔物?」
「ん?ゴブリンからドラゴンまで何でも」
「……」
「俺はこんなもんだな」
「……使い魔にしてしまって、ごめんなさい」
「そうだな、契約は無効にできないのか?」
「できない。主人か使い魔が死ねば、契約は解除される」
「……流石に死なれるのは困るな」
ゲームでも、プレイヤーはなるべく殺さないようにしてたなぁ……あの頃が懐かしい。
「帰す方法、調べてみる」
「ん?いや、別に大丈夫だぞ?」
「どういう意味?」
「あぁ、別に帰れなくてもいいし、
今はこの状況を楽しみたいんだ」
向こうの世界のあいつらは元気かな?
元気だといいなぁ
「まぁ、これからよろしく頼む」
「よろしく」
とりあえず、この世界での強さの定義も調べないと……
そんな事を考えながら俺はタバサに魔法についてを教わったりした。
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三話『召喚』