「……あ、あれ?」
顔を庇いながら強く目を瞑っている青年は、周りを見渡す。
真っ白だった。床も空も、壁……はあるかどうかわからないが、
とりあえず全部白だった。
「俺、どうなって……?」
おかしい。こんなのおかしい。
当惑している青年……彼は死んだはずの存在だった。
バイトからの帰り道、信号無視のトラック。
気づいた時には、避けられる距離じゃなくて、頭だけでも守ろうとして……。
「それから……どうなったんだ?」
『記憶が混乱しているようだな』
突然声が聞こえる……直接頭の中に聞こえるような……
「だ、誰だよ!?」
周りを見渡すが、真っ白だけで何も分からない……
『いや、俺はここにはいない。
直接頭に離しかけている』
―――は?それって……
『そうだな……神とでも思ってくれればいい』
「それで、俺がこんなとこにいるのと、どんな関係があるんだよ」
『まずは謝らなくてはいけない』
「……何をだよ?」
『お前が死んでしまった事だ』
「……死んだのか?」
『あぁ』
「ふっざけんなよ!?俺の日常をかえせよ!!」
『そうしたいのは山々だが……生きかえる事はできない』
「くっそ……何で俺は死んだんだよ?」
『本当は、お前が死ぬ予定はなかったんだが……部下の手違いでな、
お前が死んでしまった』
「んだよそれ……手違いで死ぬのかよ……」
『お詫び……と言っては何だが、転生をさせよう』
「……何だそれ」
『お前達人間が作った、空想の世界に入れてやる、という事だ』
「おい、好きな奴なんて特にないぞ?」
『転生先はこちらで決めてある。お前は欲しいものを言えばいい』
「決まってんのかよ!?そこは俺が決めるんじゃねェの!?それに欲しいものって何だよ?」
『すまないな、だが転生先は決まっている』
「はぁ……転生先はどんな世界なんだ?」
『魔法が存在する世界だ。お前はそこで好きなように暮らすといい。
要望は?』
「はぁ……んじゃ『ドラゴティック・オンライン』のキャラクターで行きたい」
『他には?』
「他ァ?じゃあ、男で転生を頼む。それに……記憶引継ぎ、これくらいだな」
『他には?』
「ねぇよ……そう思いつくかっての」
『そうか……』
「そうだ、俺はどんな感じに転生するんだ?」
『お前は……使い魔だな』
「……使い魔?」
……何だ?使い魔って……?
物語に関係あるのか?
『あぁ、ある人物の使い魔に転生してもらう』
「ん、大体分かった……んじゃ、転生頼めるか?」
『いいだろう……』
真っ白な空間の天井に位置する場所から、光が降り注いでいく。
「じゃあな、神」
『あぁ、達者でな』
俺の体は、足元から消えて行った……
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率直に言うと、俺は死んだ。
どうやら神……の手違いだったらしい。
転生させてくれる、といったが原作を知らない俺にどうしろと?
まぁ、昔やってたオンラインゲームのキャラで行かせてくれるらしい。
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