No.448481

相楽家の七夕

谷牙さん

相楽家はマジで良い家族なんだよ。
楽しんでくれたら幸いなんだよ。

ちなみに今年の私の願い事は紗雪のねんどろいど化なんだよ。
グッ○マさん、はよっ!

2012-07-07 22:22:14 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:905   閲覧ユーザー数:896

サクラ「わーーい、七夕なんだよ、七夕なんだよ」

 

相楽家の庭にそびえ立つ全長2メートル50センチほどの

七夕用に着飾られた竹の周りを一人と一匹…

サクラとまお太がぐるぐる周っている。

 

その様子を縁側で零二と紗雪、そしてこの家の家主である苺が

温かく見守っている。

 

苺「こういうのもいいもんじゃな」

零二「そうですね」

紗雪「…うん」

今から時を遡ること一日前

 

サクラ「短冊に願い事を書きたいんだよ」

夕食中に突然立ち上がり、そんな提案をしだした。

 

零二「何言ってんだ、サクラ」

サクラ「明日は七夕なんだよ、マスター。私はね、ずっと七夕に憧れてたんだよ?」

サクラ「年に一回だけ会えるカップルなんて、ロマンチックなんだよー」

サクラ「そんな特別な一日に他の人の願い事まで叶えてくれるなんて、とってもいい人達なんだよ」

零二「だからって、前日に言うなよなぁ~。用意も何も出来ないじゃねえか」

と、紗雪からも言い聞かせてくれと助けを求めるように紗雪を見ると

紗雪「(コクコクと肯きながら薄らと頬を染めて)…素敵」

零二「…紗雪まで…」

困ったように髪をいじりながら苺を見る零二

すると苺は

苺「そうじゃな、せっかく家族も増えたことじゃしな、今年はパァーっとやってみるかの」

零二「苺さん、いいんですか?」

サクラ「さすが苺さんなんだよ、大人の貫録なんだよ」

紗雪「……うん」

苺「そうと決まれば、早速準備じゃ!零二、紗雪!食事が終わったら短冊を作っておくのじゃ」

苺「ワシは今から竹を調達してくる!とびきり上等なやつを持ってくるから楽しみに待っておれよ」

と言うやいなや弾丸のごとく相楽家の玄関から飛び出す苺

零二&紗雪「…あっ」

二人は苦笑しながらも、もう既に見えなくなってしまった背中に感謝したのであった。

苺がどこからか竹を手に帰ってくると既に夕食の片づけも終え

三人がテーブルで短冊を書いていた。

零二「あ、おかえりなさい、苺さん」

苺「おう、零二。今戻ったのじゃ。どんな塩梅かのう」

零二「ちょうど今書き始めたところですよ。まあ俺はこの一枚で終わりですけど」

紗雪「私もこれでお終い」

零二と紗雪はほぼ同時に一枚だけ短冊を書き上げる。

苺「なんじゃ、お主ら、せっかくなんじゃから、一枚とは言わずにもっとたくさん書けばよかろうに」

零二「いえ、これだけで十分なんですよ、実際」

紗雪「…私も」

苺「まったく…欲がないというかなんというか、もったいないのう」

と、苺は二人の書いた短冊をこっそり見てみると

『皆がいつまでも笑ってにいられますように』

『兄さんや皆といつまでも一緒にいられますように』

そんな些細な事…それでも二人にとってはこれ以上にない願い事が書かれていた。

そんな実の家族ではないが、どんな家族にも負けないくらいの素晴らしい絆を感じ

自然と笑みがこぼれてしまう苺であった。

そして、まだ一心不乱に短冊を書いているサクラに声をかけ

苺「お主は何を書いたんじゃ?」

と尋ねると

サクラ「じゃ~~ん、これなんだよ」

と短冊を誇らしげに掲げ

『まお太をなでたい』

『まお太に頬ずりをしたい』

という己の欲望に特化した短冊を見せた。

それを見た零二と紗雪は

零二「…サクラ、神様が叶えてくれる願いってのにも限界があると思うんだ」

サクラ「えっ?」

紗雪「サクラちゃん、そんな無理難題の願い事されちゃったら、神様も困ると思うよ」

サクラ「えっ、えぇぇぇぇーーーーーーーーー」

サクラ「わ、わ、私の願いって、そ、そんなに無茶苦茶なお願いなのー」

サクラ「ただ、まお太をなでなでしたいだけなんだよーー」

零二「紗雪、無駄だと思うが、俺達の方でももサクラがまお太を撫でられる様に短冊を書いてやるか」

紗雪「そうね、兄さん。多分私達が協力したところで実現は出来ないでしょうけど…夢を見させてあげるくらい、いいよね」

サクラ「マスターも紗雪ちゃんも、ひどいんだよー!!」

すっかり拗ねてしまったサクラを後目に

苺「どれ、ワシも一つ書かせてもらうかの」

とマジックペンを取って短冊と向き合う苺であったが

苺「(さて、ペンを取ってみたはいいが、何を書いたらいいものかのぅ)」

苺「(ワシの願いは零二と紗雪に書かれてしまっているし)」

苺「(ワシもサクラと同じように己が欲望をそのまま書いてみるか)」

そう思って、苺が短冊に書いた願いは

『ボンキュッボンなセクシーダイナマイトボディになりたいのじゃ』

 

その短冊を見てしまい堪え切れずに噴き出してしまった零二が

危うくその存在ごと消滅してしまう一歩手前まで追いつめられたことは言うまでもなかった。

そして、時は再び戻って7月7日

 

サクラ「よーし、それじゃあ願い事が叶ったかどうか、試すんだよ」

サクラ「まお太ー、こっちに来るんだよー」

そうして、まお太の頭を撫でようと延ばしたサクラの手に

まお太がいつも通りにガブリと噛みつき

サクラ「うほぁぁあああああああああああ~~!ちっっとも願いが叶ってないんだよっーーーー!」

というサクラの叫び声が辺りに響きわたった。

 

その絶叫を聞きながら

苺「やれやれ、こりゃまた来年リベンジじゃのう」

と微笑む苺に

零二「えぇ、是非そうしましょう!」

紗雪「うん!」

同じく笑顔を浮かべ頷く零二と紗雪であった。


 
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