その後空賊達は帰って来たキール達と合流した後、自分達のアジトに飛行艇で帰って行った。飛行艇の中に侵入者がいるとは気付かずに……
~空賊団アジト~
「ふわ~、眠い、眠い。ここに来てから昼夜逆転の生活だからな。」
「まあ、もう少しの辛抱でこんな生活ともオサラバさ。ドルンのお頭に付いていけば間違いなしってもんだぜ。」
見張り役の空賊が欠伸をして愚痴を言っている所を、もう一人の見張り役の空賊が耐えるように言った。そして空賊は思い出したかのように口を開いた。
「しかし最近のお頭……ちょっとばかり変じゃねえか?おっかないっていうか気安く話せねえっていうか。」
「お前ね……そんな滅多なこと言うなよ。兄貴やお嬢に聞かれたらぶっ飛ばされるぞ?」
「で、でもよ……」
「寝不足で疲れてるんだよ。とっとと片づけを終わらせて、ゆっくり休むとしようぜ。」
相方の注意に空賊は反論をしようとしたが流された。そして2人が空賊艇の整備をしようとした時
「今すぐ休んでもオッケーだけど?」
オリビエのアイデアで空賊艇に忍び込み、潜んでいたエステル達が現れた!
「あ。」
「お前たちは……!」
一方それを知らずにエステル達を見た空賊達は驚いた。
「遅いってば!」
空賊達が驚いている隙を狙ってエステル達は戦闘を仕掛け、空賊達を気絶させた!
「フッ、無事、潜入できたようだね。」
「まったく……こんなに上手くいくとはね。今回ばかりはあんたに感謝しなくちゃいけないわね。」
シェラザードはオリビエのアイデアの成功に半信半疑だったが、実際成功したのを見て驚いた。
「で、でもさ~。メチャメチャ焦ったわよ。隠れてる所を発見されたらどうするつもりだったの?」
「いや、発見されたとしても、その時は空賊艇を制圧すればいい。飛行船の内部は狭いから多数との戦いにも有利に働くしね。オリビエさん……そこまで考えていたんですか?」
エステルの疑問にヨシュアは答えた後、オリビエに尋ねた。
「いや、まったく。敵地潜入というシチュエーションが単に面白そうだと思っただけさ~。」
「あ、あんたねぇ……」
オリビエを見直したエステル達だったが、オリビエの考えていたことを知ると脱力した。
「まあ、いいじゃない。こうして無事潜入できたんだし。それよりも……ここは『霧降り峡谷』みたいね。」
気を取り直したシェラザードは周りの風景を見て場所の詳細を言った。
「『霧降り峡谷』ってボースとロレントの境にある?そっか……だから外が白く霞んでるのか。」
自分達がいる場所をギルドや街の住民の情報で知っていたエステルは霧が深い外を見て、納得した。
「それと、大型船は侵入できない高低差の激しい入り組んだ地形……。シェラさんの推測、どうやら当たってたみたいですね。」
「ま、せっかくの推測もあまり役に立たなかったけどね。」
ヨシュアの言葉にシェラザードは溜息をついた。
「そういえば、プリネ達を置いてきちゃってよかったの、エヴリーヌ?」
空賊艇に侵入する際、あまり大人数だとばれる恐れがあったのでプリネやリフィアはその場で残り、エヴリーヌだけをエステル達に同行させたことを思い出したエステルは尋ねた。
「大丈夫。今連れてくるから。」
そう言ったエヴリーヌは転移して、プリネ達と共に再び転移して戻って来た。
「え!」
「なっ……」
「ほう。」
エヴリーヌがその場で消えた後、一瞬でプリネ達を連れて来たことにエステル達は驚いた。
「こういうことだ!だから、後で追いつくと余も言ったであろう?」
驚いているエステル達にリフィアは胸をはって答えた。
「ちょっ……今の何!?」
驚きがまだなくなっていないエステルはプリネ達に詰め寄って聞いた。
「フフ……時間もありませんから、簡単に説明しますね。」
そしてプリネは驚いているエステル達に簡単に転移魔術の事を説明した。
「ふえ~……魔術ってそんなこともできるんだ!」
「魔術はどんな場面でも役に立って、本当に万能性があるね……」
「師匠から転移魔術のことも知識として教えてもらったけど、実際にこうして見てみると驚きを隠せないわ……」
転移魔術の説明を聞き魔術が使えないヨシュアはもちろん、魔術が使えるエステルやシェラザードも驚きを隠せなかった。
「ほほう……これはボクも本気で魔術習得を考えようかな♪」
「ハァ?なんでアンタがそんなことを?」
オリビエの言葉に疑問を持ったエステルは聞いた。
「そんなの決まっているじゃないか♪その転移魔術ができればいつでも、ヨシュア君やシェラ君、可愛い女の子達の傍にいけるんだよ♪」
「……そんなことだろうと思いました。」
「あ、アンタってやつは……」
「あはは………」
「まさか、転移魔術をそのようなくだらないことに使うことを考える輩がいるとは……」
「……言っとくけど、エヴリーヌは教えないよ。」
冗談か本気かわからないオリビエの答えにヨシュアやエステルは呆れて白い目で見て、プリネは苦笑し、リフィアは呆れて溜息をつき、エヴリーヌは冷ややかな視線でオリビエを見た。
「ハァ……さてと……あまりグズグズできないわ。空賊たちを制圧しつつ、監禁されている人質の安全を確保するわよ。もちろん……カシウス先生もね。」
「うん……!」
「了解です!」
「フッ……では行こうか!」
「フフフ……ついに余の異世界での活躍の時が来たか!」
「いやな予感……面倒なのはエヴリーヌ、嫌だよ。」
「リ、リフィアお姉様……お願いですから力の加減を間違って砦を崩壊なんてことをしないで下さいね……」
溜息をついた後、気を取り直したシェラザードの言葉に全員は頷いてアジト内部に潜入した。
「……………………………………」
さらにさまざまな場所でエステルを観察し、エステル達が空賊艇に忍び込むのを見て、空賊艇が飛ぶ瞬間、船に飛び移り潜んでいた狐らしき生物も現れ、エステル達の後を追って行った……………
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第46話