ルゥイの情報の真偽を確かめるため、ラヴィンヌ村からさらに山道を登りエステル達は廃鉱山についた。
~廃坑~
「ここが廃坑の入口みたいだね。」
ヨシュアは頑丈な鎖が巻きつけてあり、南京錠によって封鎖されている入口を見て頷いた。
「確かに、マルガ鉱山と同じような雰囲気は残っているけど……。ずいぶん寂れちゃってるわね~」
「ずいぶん昔に閉鎖されたそうよ。鍵と鎖も錆び付いているわ。最近、開かれたことは無さそうね。」
エステルの言葉に頷いたシェラザードは入口の状態を見て言った。
「という事は、空賊たちが出入りした可能性もない……。だから軍も調べなかったのかな?」
ヨシュアはシェラザードの言葉から軍が調べなかった理由を推測した。
「確かに、岩山の中を調べても、何かの手掛かりが見つかるわけ………………………………あれ?なんか、風が吹いてきてない?」
「風って、廃坑の奥から?」
エステルの発言にシェラザードは不思議そうな表情をした。
「うん、そう。」
「ちょっと待って……」
2人の会話を聞いたヨシュアは真偽を確かめるため、人指し指を口に含んでから、そっと立てた。
「………………………………本当だ……微かだけど風が吹いて来ている」
ヨシュアは驚いた表情で呟いた。
「あ、やっぱり?」
「あんたって、時々驚くほどカンが冴えることがあるわねぇ。さすが先生の娘ってところかしら。」
「父さんは関係ないってばぁ。それよりこの中……メチャメチャ気にならない?」
シェラザードの言葉に呆れたエステルは話を本題に戻した。
「確かに、どこかに通じてる可能性があるかもしれないね。調べてみる価値はありそうだ。」
「よーし、そうと決まったら、さっそく鍵をブチ破って……」
ヨシュアの言葉に同意したエステルは嬉しそうな表情で棒を出し、構えて棒に雷を流し始めた。
「こらこら、止めなさい。というかそんなことしなくても、あんたしかできないことがあるでしょうが。」
エステルの行動をシェラザードは諌めた後、提案した。
「へ?あたししかできないって?」
シェラザードに諌められたエステルは棒に雷を流すのを止めて、仕舞いシェラザードの提案に頭に疑問符を浮かべた。
「あ……そうか。エステル、パズモならこの入口の隙間を通って先にある光景がわかるんじゃないかい?」
ヨシュアはシェラザードの提案にいち早く気付きそれをエステルに説明した。
「あ、な~るほど。オッケー、わかったわ。………おいで、パズモ!」
ヨシュアに説明されたエステルは何かに閃いたような表情をした後、パズモを召喚した。
(どうしたの?エステル?)
「ちょっとお願いがあるんだけど、いいかな?」
(……話はエステルを通して聞いてたわ。ちょっと行ってくるね!)
「うん、気を付けてね!」
エステルのお願いを聞いたパズモは小さな体で入口の合間を通り、奥へ飛んで行った。そしてエステル達が少しの間、待ってるとパズモが廃坑の奥から戻って来た。
「どうだった?」
(一番奥が開けた所になっているんだけど………そこに大きな飛行艇が一隻あったわ!)
「え!?」
パズモの報告を聞いたエステルは驚いた。
「……その様子だと何かあったようね。エステル、パズモはなんて?」
エステルの様子から何かあるとわかったシェラザードはエステルに聞いた。
「……この奥に大きな飛行艇が一隻あったって………」
「それって………」
エステルの報告を聞いたヨシュアは真剣な表情をして、シェラザードはその先の解答を答えた。
「定期船のことでしょうね……決まりね。急いで村に戻って村長に相談してみましょ。鍵を持っているかもしれないわ。」
そしてエステル達は急いでラヴィンヌ村に戻り、村長に理由を話して鍵を借りて入口の鍵を開いてパズモの案内の元、廃坑の中を進んで行った………
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第36話