放課後もまた善吉と半袖は隣で歩きながら雑談と買い食いを楽しんでいる 善吉は先日に半袖に奢らされたために金欠なので少量の駄菓子、半袖はいつも通り大量の袋に菓子パン、アイス、ホットドック、スナックパン、おにぎり、ドーナツを詰め込んで食べている 今はアイスの二本同時食いをしている途中だ
「お前よく金あるな 毎日どれだけ使ってんだよ」
「プライベートには首つっこまないほうがいいよ人吉 あたしは理事長の孫だしいつでも請求可能だから☆」
「あーそっか、なんか今は羨ましいぜ」
半袖に奢らされたことで今月はピンチになっている善吉、昼食代ならなんとかなるが買い食いは控えたいところ だけど半袖のためにつき合って毎日買い食いをしているのだ
「次は~ ドーナツにでもしよっと」
「つーか不知火、よくそんな甘いもんばっか食えるな 甘ったるくならないのか?」
「愚問だね人吉、なるわけないじゃん このあたしは今まで一度も食べたいものを食べなかったことはない」
「虫歯の時もか?」
「虫歯になったことがないね☆」
「子供の夢実現!」
子供なら誰でも思ったことがあるだろう 「どれだけ甘いものを食べても虫歯にならないといいな~」と それをあっさりと善吉の真横で実現している半袖だった
「じゃあお前歯医者とかは?」
「ナニソレ、クエンノ?」
「食うなよ……」
一応善吉が聞いてみるが片言で返された
そのまま手に持つドーナツを大きな口でパクッと一口かじる半袖
ズキンッ
「………………甘~い、やっぱドーナツはいいね☆」
「不知火、今の間はなんだ?」
「な、なんのことかな人吉~ あたしは歯が痛いなんてこと」
「痛いんだな」
「だから痛くなんてーーーー」
そう言う不知火の口の中に袋から取り出したガリガ○君を突っ込む その冷たさとガリガリという音のなる食感が人気なのだが
ガリッ ズキンッ
「どうした? 食べないのか?」
「………………」
「今まで食べなかった物はないんだろ?」
「…………痛い」
ついに本音を出した半袖、目には初めての痛みだからだろうか滴が溜まっていて今にもこぼれ落ちそうである
そんなことはおかまいなしに口を開けさせてのぞく善吉
「虫歯だな 早めに歯医者行った方がいいぜ」
「人吉、一個聞いていい」
「何だよ不知火」
「歯医者って痛い?」
ニヤリと善吉が笑ったのは言うまでもない 今までおちょくられたぶんまとめて返す
「俺は嫌だったな あの歯を削る機械が出す音、迫るドリル、絶叫ジェットコースターより怖かったぜ あれが嫌でおやつは食い過ぎないようにしてるからな」
「あたし行か「行かなきゃ買い食いできなくなるぞ」…………」
「お前が行かないならそれでいいが治すまで買い食いはお預けだ」
「ちっ…… わかったよ行けばいいんでしょ」
諦めた半袖はちょっと不機嫌そうだった 善吉は携帯を取り出して歯医者へと連絡を入れる 明日に予約を入れておいた
翌日、半袖人生初の虫歯治療を迎える
「たっだいまー、ひっとよしー」
「おぉお疲れ どうだった?」
「確かに音は怖かったけどあとは大したことなかったね☆」
「やっぱ母さんのツテはいい腕してるな」
「へ?」
善吉の母、人吉瞳は元心寮外科医だ 医者つながりで幅広い医者(例えば皮膚科、眼科、小児科など)と面識を持っている 善吉はその中で歯科の連絡先を持っていたのでそこに予約をした 腕のいい医者なら痛くはないだろうと善吉の計らいである
「それじゃあ人吉、あたしのために」
「カッ お前と買い食いするのが楽しいからだぜ 変な考え方すんなよ?」
「ふっうーん、やっさしいね人吉は☆」
「だから変なこと考えるなって」
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人吉善吉と不知火半袖オンリーの話です 作者は恋愛好きなので書きたかったんだ