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テイルズオブエクシリア~転生者はイレギュラー

第37話 ア・ジュール王ガイアス

2012-07-07 18:05:04 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1367   閲覧ユーザー数:1348

~レオンSIDE~

 

 

俺達は今、人の行列のできている城の門にいる。中に入って行った。

 

 

「お城の前、行列だったね」

 

 

「みんなの声をちゃんと聞いてくれる、いい王様なんだね」

 

 

「現在のア・ジュール王は、かつて混乱を極めた国内をその圧倒的なカリスマで統率した人物だと言われています」

 

 

ローエンのア・ジュール王の話しを聞いたレイアは目を光らせた。

 

 

「それなら、わたしたちに協力してくれるよ」

 

 

そう意気込むレイアに対してミラが言う。

 

 

「だが、影でエリーゼのような境遇の人間を生み出しているのであれば許せはしない」

 

 

「ミラ……ありがとう……です」

 

 

ミラが自分のことを思っていってくれているのが嬉しいエリーゼは礼を言った。

 

 

そんな話しをしていると城からユルゲンスが出てきた。

 

 

「ごめんなさい、待ちきれなくて」

 

 

ユルゲンスには宿屋で待っていると言ったのにここまで来てしまったことを謝るジュード。

 

 

「いや、ちょうどよかったよ」

 

 

「ワイバーンの方はどうなった?」

 

 

「問題なしだ。それと、ミラさんに頼まれた謁見の件だが、ちょっと驚いたよ」

 

 

「…………?」

 

 

ミラはユルゲンスが何を言いたいのかがわかんないようだ。

 

 

「みんなの名を伝えたら、逆に陛下が会いたいと仰ったんだ。特にレオン、君の名を言ったら驚いていたよ」

 

 

皆が俺を見る。俺は目を逸らす。

 

 

「ひょっとして、ラ・シュガルじゃ有名人なのか?」

 

 

「あ、いえ、そんなことはないと思うんですけど……」

 

 

慌てるジュード。ジュードよ、そんな風に慌てると色々とばれるぞ。俺なんか、折角言わないでいたのに……ユルゲンス、恨むぞ。

 

 

「闘技大会の結果が陛下に届いたのかな。それならキタル族にとっても栄誉だ。じゃ。私は一足先にシャン・ドゥに戻って、ワイバーンの用意をしておくからな」

 

 

俺たちにそう言ったユルゲンスは先にシャン・ドゥへ帰って行った。

 

 

「ふむ、思わぬ歓待だな」

 

 

「何かの罠だったりしないよね?」

 

 

「あまりいい予感はしませんね」

 

 

「そうかなー。会えないで帰るよりはよかったんじゃない」

 

 

「…………」

 

 

皆が色々と言っている中、また何かを考えるアルヴィン。

 

 

「また隠しごとかアルヴィン?」

 

 

皆がアルヴィンを見る。 

 

 

「ったり前だよ。だから俺は魅力的なんだ」

 

 

「…………?」

 

 

首を傾げるミラ。呆れて何も言えないジュード。

 

 

「レオン、今のはどういう意味だ?」

 

 

「ああ、秘密のある男はよりかっこよく見える……とかだろ?」

 

 

俺も呆れて言うのがバカバカしくなってきたぜ。

 

 

「さっさと、王様に会いに行こうぜ」

 

 

先に進むアルヴィンにジュードは言った。

 

 

「アルヴィン、ウソはイヤだからね」

 

 

「お前たちが俺を信じてくれてるってのは知ってるよ」

 

 

そう言うと階段を上って行くアルヴィン。

 

 

そのアルヴィンの後ろ姿を見ながらジュードは笑っていた。

 

 

……無駄にカッコいいことを言うやつだねアルヴィンは。

 

 

俺達はアルヴィンに続いて城に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

城に入った俺達……いや、俺はミラやレイアに問いただされていた。

 

 

「それで、レオン。お前はア・ジュール王と知り合いなのか?ユルゲンスの話しを聞くと知り合いみたいに感じたが?」

 

 

「そうだよ!もし、知り合いなら王様のことを知っているんでしょ?どうして話してくれなかったの~」

 

 

2人が詰め寄る。こころなしかジュード・ローエン・エリーゼ・アルヴィンが笑って俺を見る。

 

 

「あ~、どの道これから会いに行くやつの話しをしても意味ないだろ?それに一々、話すのが面倒だったんだよ」

 

 

「………そんな、理由で?」

 

 

レイアが呆れて俺を見る。

 

 

「当り前だろ?聞くお前たちはともかく俺は話すから疲れるんだぞ?」

 

 

そういうと、納得するレイア。

 

 

「仕方ないな。そう言うことにしておこう」

 

 

ミラも何とか納得してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し進み、王座の間へ階段のあるところにいる兵士に呼びとめられた。

 

 

「お待ちください。王への謁見は、城の外で順を待って頂かなければなりません」

 

 

「ア・ジュール王が僕たちに会いたがっていると聞いたんですけど」

 

 

ジュードがそう言うと兵士2人はお互いに見合う。

 

 

「ミラ様とレオン様ですか?」

 

 

「私だ」

 

 

「俺だ」

 

 

「わかりました。このままお進みください」

 

 

そういうと道を開ける兵士2人。

 

 

進んでいく俺達。が、ローエンとエリーゼが動かないのを不思議に思ったレイアが話しかけた。

 

 

「どうしたの?」

 

 

「王との謁見にぬいぐるみはどうかと思いますので、預かって頂こうかと」

 

 

「いいの、エリーゼ?」

 

 

レイアの問いに、

 

 

「はい」

 

 

大丈夫だと答えるエリーゼ。

 

 

「責任をもって私が預からせて頂きます」

 

 

2人いる1人に兵士にティポを預けるエリーゼ。

 

 

「さあ、参りましょう」

 

 

そうローエンが言うと改めて俺達は進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

進んでいくと広い王座の間に出た。

 

 

そこにはジャオもいた。

 

 

「ジャオさんがどうして?」

 

 

何故王座の間にジャオがいるのかと疑問に思ったジュードがそう聞いた。

 

 

「わしは四象刃(フォーヴ)が一人、不動のジャオじゃ」

 

 

「四象刃(フォーヴ)?」

 

 

「王直属の四人の戦士です。あの方がその一人だったとは……」

 

 

ローエンはジャオが四象刃(フォーヴ)の一人であることにとても驚いていた。

 

 

ガシャァ

 

 

すると、奥の扉が開き、2人の男が出てきた。一人は王座にアグラを掻きながら座り、もう一人はその男のすぐそばに立っている。

 

 

「イルベルト元参謀総長。お会いできて光栄だ」

 

 

「まさかア・ジュールの黒き片翼。革命のウィンガル……」

 

 

黒衣の男……ウィンガルのことがわかったローエンはそう呟いた。

 

 

「お前がア・ジュール王か」

 

 

「我が字(あざな)はア・ジュール王、ガイアス。よく来たな、マクスウェル、そしてレオン」

 

 

ガイアスは自分の名前を皆に告げ、俺とミラを見ていう。。

 

 

「お前たちは陛下に謁見を申し出たそうだが、話を聞かせてもらおうか?」

 

 

ウィンガルが謁見しにきた理由である話を聞いてくる。

 

 

「ア・ジュールでつくられた増霊極(ブースター)はすでにラ・シュガルに渡っています。もし両国で戦争が始まれば、とりかえしのつかない事態になってしまうんです」

 

 

ジュードが皆を代表して話をする。

 

 

その話をガイアスは眉ひとつ動かさないで言う。

 

 

「ほう……それを伝えるためにわざわざ来たというのか?」

 

 

「は、はい……」

 

 

ジュードはガイアスの威圧感を肌で感じているのか言葉に力が入らなくなっていく。

 

 

「それでわたしたち、ラ・シュガルの兵器を壊そうと思っているんです。それがなくなれば、ラ・シュガル王は戦争を始められないんじゃないかって……」

 

 

「協力とか……してもらえ……ませんか?」

 

 

レイアもジュードと同じでどんどん、声に力が入らなくなっていく。

 

 

「要件はそれだけか?」

 

 

ウィンガルの言葉に黙るジュードとレイア。

 

 

「もう一つお伺いしたいことがあります。以前、王の狩り場にあったという増霊極(ブースター)の研究所についてです」

 

 

増霊極(ブースター)の研究所……これを聞いたジャオが一瞬、顔色を変える。

 

 

「あの場所に親を亡くした子供を集め、実験利用していたというのは本当か?」

 

 

ミラが少し目の色と変えながらそうガイアスに聞く。

 

 

「ふっ、何を言い出すかと思えば。精霊のお前に関係があるのか?」

 

 

一歩前に出るミラ。

 

 

「私はマクスウェル。精霊と人間を守る義務がある」

 

 

「精霊が人を守るとは。実に面白ことを言ったな」

 

 

「貴様は王でありながらも、民を自らの手で弄んだ、違うか?」

 

 

ミラが言いきるとウィンガルが話しだした。

 

 

「その件はすべて私に任されている。あの研究所に集められた子どもたちは、生きる術を失った者たちだった。お前たちが想像するようなことはない。実験において非道な行いはしていない」

 

 

「ウィンガル」

 

 

今度は俺が話す番だな。

 

 

「なんだ、レオン?」

 

 

「エリーゼの事はどうなんだ?」

 

 

俺はそう言うとエリーゼを前に出す。

 

 

「わ、わたしは……」

 

 

エリーゼをみたウィンガルは目を細め、ジャオを見る。

 

 

「この娘……例の被験体か?」

 

 

「そうじゃ」

 

 

「エリーゼはハ・ミルの村でも閉じ込められていたんですよ。それじゃ、あまりにも……」

 

 

「非道だと?」

 

 

ジュードが言いかけるとガイアスがそれを遮って言った。

 

 

「え、あ、はい……」

 

 

すると、また声に力のなくなるジュード。ジュード、一々そうなるなよ。

 

 

「お前は民の幸せとはなんなのか、考えたことがあるか?」

 

 

「幸せ……?」

 

 

「人の生涯の幸せだ。何をもって幸せか答えられるか?」

 

 

「それは……」

 

 

ガイアスの問いに答えないジュード。

 

 

「己の考えを持ち、選び、生きること」

 

 

「そ、そう、僕もそう思う」

 

 

………ミラに乗せられたなジュード。

 

 

「マクスウェル……お前はレオンと同じことを言うのだな。だが、俺は違う」

 

 

そう言いながらガイアスは立ち上がる。

 

 

「人が生きる道に迷うこと、それは底なしの泥沼にはまっていく感覚に似ている」

 

 

「生きるのに迷う……?」

 

 

「そう。生き方がわからないくなった者は、その苦しみから抜け出せずもがき、苦しむ」

 

 

「…………」

 

 

ガイアスの人の生き方についての話を聞いたジュードは黙り込む。

 

 

「故に民の幸福とは、その生に迷わぬ道筋を見出すことだと俺は考える。俺の国では決して脱落者を生まぬ。王とは民に生きる道を指し示さねばならぬ。それこそが俺の進む道……俺の義務だ」

 

 

「ふっ。変わらないな、その考え方は……」

 

 

3年前に会った頃と何にも変わっていないな。

 

 

俺は密かにほほ笑んだ。

 

 

「お前たちをここに呼んだ理由を、単刀直入に話そう。マクスウェル、レオン。ラ・シュガルの研究所から『カギ』を奪ったな?それをこちらに渡せ!」

 

 

「断る。あれは人が扱いきれるものではない。人は世界を破滅に向かわせるような力を前に、己を保つことなどできない」

 

 

「ガイアス。お前が何を言いたいのかはわかる。が、あれを渡すわけにはいかない。いくらお前の頼みでもな」

 

 

俺とミラは思っていたことを言いきった。

 

 

「俺の言葉が、お前たちには理解できなかったとみえるな」

 

 

「ふふ、どれだけ高尚な道とやらを説いたところで、人は変わらない。二千年以上見てきた」

 

 

「ま、俺は数年だけどな」

 

 

睨みあう俺とミラ、ガイアス。

 

 

「では、あなたに『カギ』の所在を聞くとしよう」

 

 

ウィンガルがそう言うとアルヴィンが前に出ていく。

 

 

「え……?」

 

 

「アルヴィン……ウソ……だよね?」

 

 

「……ひどいです」

 

 

「……アルヴィン」

 

 

俺とローエン以外は口に出して信じられないものを見ているかのように言う。

 

 

「すまんね。これも仕事ってやつなのよ」

 

 

「アルヴィン。マクスウェルは『カギ』を誰に預けた?」

 

 

「巫女のイバルだ。今頃はニ・アケリアでおとなしくしてるんじゃないか」

 

 

アルヴィンの奴、普通に言いやがった。

 

 

そう、話をしていると、

 

 

ガシャ!

 

 

ガイアス達が出てきた扉からブレザが出てきた。

 

 

「アル……どうしてあなたが!?」

 

 

「よ、プレザ。久しぶり」

 

 

プレザに挨拶をするアルヴィン。

 

 

「プレザ。何用だ」

 

 

ウィンガルに聞かれたプレザだが、俺達がいるので話すのを躊躇している。

 

 

「構わん。報告しろ」

 

 

「ハ・ミルがラ・シュガル軍に侵攻されました」

 

 

プレザの報告を聞いた俺達は固まった。

 

 

「なんですと……」

 

 

「村民の大半が捕えられ、ラ・シュガルへ送られた模様。殺害された者も多数おります。そして、その場には大精霊の力と思わしき痕跡が多数ありました」

 

 

プレザの報告に眉をひそめるガイアス。

 

 

「大精霊?四大召喚は二十年前から、召喚できなくなっているはずだったな」

 

 

ガイアスはミラを見る。

 

 

「……バカな、四大が解放されていれば感知できるはずだ。まさか、クルスニクの槍の力……ナハティガルは新たな『カギ』を生み出したのか!?」

 

 

驚いているミラを余所にガイアスは指示を出す。

 

 

「すべての部族に通告しろ。宣戦布告の準備だ。我が民を手にかける者は何人たりと許しはしない!」

 

 

そういい、王座の間から離れていくガイアス。

 

 

ウィンガルが俺達を見る。まずいな、この状況は……。

 

 

「さて、あなたたちはもう用済みになってしまったが……陛下が精霊マクスウェルを得たとなれば、反抗的な部族も従わざるを得ない」

 

 

「くっ!」

 

 

俺達は兵士に後ろを取られたが、

 

 

「エリーゼさん!」

 

 

ローエンの言葉を聞いたエリーゼが行動を開始する。

 

 

「ティポ!」

 

 

兵士の一人の腕の中にいたティポが動き出し、その兵士は動揺してしまい、手を離してしまった。

 

 

「今のうちだー、逃げろー!」

 

 

俺達はティポが作った穴を利用し、ここから逃げることにした。

 

 

「悪く思うなよ。ライトニング!」

 

 

数名の兵士たちの上から小さな雷を発生させ、動きを止める。

 

 

「いくぞ!」

 

 

俺も走り出す。

 

 

ジュードは走りながら後ろで手を振っているアルヴィンを見た。

 

 

「マクスウェルとレオンを捕らえろ!実験体も回収するんだ!」

 

 

「って、俺も捕獲対象なのか!?」

 

 

ウィンガルの指示が聞こえた俺は突っ込んでしまった。

 

 

俺達はそのまま、城の外を目指しいていった。


 
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