No.447942

真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第六部『水着と水とHE∀ting Sφul』 其の一

雷起さん



遂に来ました水着回!
今回はそのプロローグ。
二話構成となっております。

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2012-07-07 10:52:42 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3635   閲覧ユーザー数:2998

 

第六部 『水着と水とHE∀ting Sφul』 其の一

 

 

【風turn】

え~、最初に風から解説なのですよ~。

今回の第六部は『萌将伝』でお兄さんが龍の皮を獲ってきたお話が、

この外史でも行われたという設定なのですよ~。

公式とおんなじ話をお兄さんの数が増えてるだけという、そんな一歩間違えば只のパクリ話をここにお届けしてもしょうがありませんので、すっ飛ばしてしまいますね~。

「なぁ風よぅ。お前が外史とか言って大丈夫なのかぁ?」

良いのですよ、宝譿♪この風は解説の風なので本編とは一切関係ないのです~♪

だからこ~んなことや\(^^@)/、こ~んなことも(´・ω・`)できるのですよ。

「程ほどにしねぇと読者からクレームが来るんじゃねぇか?」

(=-ω-)zzZZ乙乙

「・・・・・まあ、いいけどな。おっとそろそろ本編で一刀たちが何やら始めたみたいだぜぇ。」

おぉ!それでは本編をどうぞ~。

 

 

 

第一話『男達は斯して戦場へ向かう』

房都警備隊詰所

【赤一刀turn】

「さて、今日みんなに集まって貰ったのは重大任務を伝えるためだ。」

 今、この詰所に居るのは俺、緑、紫。

 そして董の兄ぃを筆頭とした魂の兄弟たち。

 俺たちをここまで護衛してくれた凪は、数人を連れて街の警邏に行っている。

 凪が戻ってくるまでこの詰所から出ないよう釘を刺されたが、兄弟たちとの特別警備会議を行わなければならない俺たちはここを出て行くはずがない。

 むしろ凪が戻って来るまでに会議を終わらせなければならないのだ。

「赤の大将。その重大任務ってのは・・・・・アレですか!?」

 俺と一番付き合いの長い孫呉の尻好きが身を乗り出してきた。

「孫呉の、そう焦るんじゃない。今から北郷様たちが説明して下さる。」

 董の兄ぃが制止するがこいつらがそんなことで止まる奴らじゃない事は重々承知している。

「だけどこの間の水遊びの警護じゃ遠くてよく見えなくて・・・・・」

「そうだな・・・・・だから今回は水遊びじゃあない。」

 俺は勿体ぶって言葉を切った。

 全員の喉が緊張から唾を飲み込む音が聞こえる。

 

「北郷学園水泳教室!その護衛任務の命令を伝えにきたあああああああぁぁぁああっ!!」

 

『サー・イエス・サーッ!!』

 全員座ったままだが、背筋を伸ばす。

 沙和の訓練を受けたのは曹魏のシスターズファンだけだが、今この時だけはそんなことは関係なく全員が魂から叫んだのを俺は確かに聞いた!

「それでは先ずこの水泳教室が如何なるものか説明する!」

 兄弟たちは俺の言葉の一言一句を聞き逃さない様、微動だにしなかった。

「先の戦いでは水上戦が行われる事は無かったが、移動に河川を使うことが何度かあった。そして孫呉の者以外の殆どが船酔いを経験している。この事を踏まえ今後水上戦を想定した水上調練を行う必要ありと陸遜大都督よりの進言が有った!」

 一度彼らを見渡すがその集中力は乱れていない。

「その進言を受け三国会議において合同水上調練実施が決定した。しかし!現在武将と軍師の中に泳げない者が居る事が判明!兵の範たる将がこれでは示しがつかんと魏王曹孟徳の号令の下、この水泳教室が開始される運びとなったものであるっ!!」

 

『サー・イエス・サーッ!!』

 

「第一回目の日時は明後日!場所は房都近隣の川に特別水練場を設営する!」

 

『サー・イエス・サーッ!!』

 

「ではお前達に問う!お前達は泳げるか!?」

 

『サー・イエス・サーッ!!』

 

「よしっ!それではここに居る全員に特別監視員を命ずるっ!!」

 全員が立ち上がり最敬礼を行う!

 

『サー・イエス・サーッ!!』

 

 ふっ、みんないい面構えじゃねぇか。

「あ~、みんなノってるトコ悪いけど、実際どのぐらい泳げる?」

「おいおい!紫、ノリを崩すなよ。」

「いや、赤は孫呉で暮らしてたから『泳げる』のレベル感覚が俺たちとズレてるからな。これは重要だぞ。」

「え?そうなのか緑?」

 そりゃ、この外史に来てから結構経つけど・・・・・そうかぁ、経験の違いでそんなことが起こってたのか。

「それなら心配ありません北郷様。ここに居る者全員が十里は泳いで見せます。」

「あ、兄ぃ、本当か!?十里って・・・・・4km!?」

「袁の兄者も?前に川で流されかけてたけど・・・・・」

「うむ、あれから特訓したからな。なあ、弟者。」

「そうだな、兄者。」

 袁家軍の兄弟が頼もしく頷き合っている。

「北郷様。我々はこんなことも有ろうかと連日特訓をしていたのです。」

 蜀のインテリも自信たっぷりに、ニヤリと笑ってみせる。

「連日特訓・・・・・・あれ?もしかしてその特訓場所って・・・・・」

 

『ぎくぅっ!!』

 

「『すぱ』か・・・・・」

 つまりこういう事らしい。

 彼らは女の子の水着姿を拝む為に、『すぱ』に通いつめていた。

 女の子の水着姿に進退窮まる事態に陥った彼らは水から上がれず、そのまま泳ぎ続ける事になり、気が付いたら十里は泳げるようになっていた・・・・・・と。

 実にこの変態達らしい。

「まあ、何にせよそれだけ泳げれば問題無い。みんなの任務は泳ぎの練習をしている軍師達をいざという時助けるのが仕事だからな。」

「た、助ける!?我々が!?」

「た、たた、助けるという事は、そ、その、水着姿の・・・・・」

「ぐ、軍師様達に、ふ、触れる・・・・・」

「「「うん、そういう事だ。」」」

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!』

 

「お、お任せ下さいっ!!例えそれが長江の対岸であっても即座に駆けつけて見せましょうっ!!」

「た、大将っ!!正に重大任務!!そのような大任を俺たちに・・・・・・うぅ・・・」

「大将っ!あなた達は神ッス!!・・・うぅぅう・・・・・」

 そうかみんな・・・血の涙を流すほど喜んでくれるなんて・・・・・この魂の兄弟達なら練習をするみんなに何かあっても必ず救い出してくれると俺は確信したぞっ!!

「い、いつまでも泣いてるんじゃ無い・・・・・うぅ・・・・・」

「そ、そう言う兄ぃだって泣いてるじゃないですか・・・・・ぐすっ・・・」

「ほ、北郷様!それで練習に参加される方は・・・・・」

 そ、そうだ!いつまでも感動してる場合じゃない。

 仕事の話をしなくては!

「よし!聞いてくれ。泳げない子は・・・・・蜀からは先ず桃香!」

『おおおおおおおおお!』

「朱里!」

『おおおおおおおおお!』

「雛里!」

『おおおおおおおおお!』

「ねね!」

『おおおおおおおおお!』

「星!」

『おおおおお・・・・・・お?』

 う~ん、やっぱり気が付いたか。

「ちょっと待って下さい!趙雲将軍が泳げないなんて信じられませんよ!」

「・・・・・まあ、そうだよなぁ。俺たちもそう言ったんだけどさぁ。」

 

『主たちは私が泳いでいる所をご覧になったことがお有りか?』

 

「なんて言われちゃ、言葉が返せなくて。」

「どう考えてもサボる口実ッス・・・・・」

「だけどみんな!星の水着姿が見られると思えばそんな事は些細な問題じゃないか!」

 

『それもそうですね♪』

 

「では続けよう。魏からは風!」

『おおおおおおおおお!』

「稟!」

「郭嘉様泳げないんスか!?」

「まるっきり泳げない訳じゃ無いけど、息継ぎが出来ないって。」

「・・・・・・泳ぎが達者そうに見えてたんスけどねぇ・・・・・」

 そういえばこいつメガネっ娘萌でもあったよな。

 稟みたいなクールビューティー系って泳ぎが巧そうと思うのは、俺たちの偏見だろうか?

「それから当日間に合えば桂花も参加する。」

 

『・・・・・・・・・・・・・』

 

「・・・やっぱりみんなは桂花が苦手か?」

「荀彧様って俺らの事、空気か石ころみたいに扱うよな・・・・・」

「それならまだいいッス・・・・・以前オレすごい目で睨まれたッスよ・・・・・」

「まあ、桂花は俺たちが担当するから大丈夫だ。それに・・・」

「それに?」

「桂花の水着姿が見られると思えばそんな事は些細な問題じゃないか!」

 

『それもそうですね♪』

 

「それから美羽と璃々ちゃんも参加する。」

「「そ、それはもしかして・・・・・」」

 ロリコンのインテリが食いつくより早く、兄者と弟者が反応した。

「七乃は華琳の決めた隔離政策の為参加しないが・・・・・紫苑は参加する!」

「・・・・・うぅ・・・袁紹様達が行方不明になってからというもの・・・・・大きなおっぱいの傍に行く機会が減っていたが・・・・・」

「・・・・・よもやこのような形で劉備様と黄忠様の御側に行けるとは・・・うぅ・・・」

 二人は一度止まった涙を再び流し始めた。

「そして最後に・・・・・月だ。」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

 兄ぃの魂の咆哮が!

 この前も月の作ったドーナツをあげたら、家宝にするって持って帰ろうとしてたもんな。

 ちゃんと食べさせたけど。

「以上が教わる組で、次は教える組の参加者だけど今言った通り紫苑は教える組での参加だ。」

「それから泳ぎと言えば何と言っても思春だろう。」

 

「げぇっ!甘寧将軍っ!?」

 

 緑の口から出た真名に尻好きが激しく反応した。

 こいつ甘寧隊にいた事有ったっけ?

「お、おい孫呉の。甘寧将軍は確かにおっかないけど・・・・・そんなにか?」

「・・・・・あの人・・・江賊出身だから船上、水中問わず動きが素早いんだ。熟練した船乗りの三倍の速さで駆け回るんだぞ!俺達兵の間では陰で『赤い水棲』と呼ばれているぐらいだ。」

 思春はシャア専用ズゴックか?

「船での模擬戦の時、気が付いたら背後に立っていて『この船は沈んだ。即座に戦線から離脱しろ。』って、あの剣を首に当てられながら言われるんだぞ・・・・・」

「こ、こえぇ・・・・・」

「そ、それじゃあ俺達が邪な行動を少しでも見せたら・・・・・」

 尻好きが無言で首を刎ねられるジェスチャーを見せる。

 

『ひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!』

 

「た、大将。甘寧将軍は泳ぐ時いつも服着たままか、サラシに締め込みなんですが・・・」

「大丈夫だ!今回は水着を着ることを承諾してもらってる!」

 

『なら問題無いですね♪』

 

 言っといて何だが、お前らそれでいいのか?

 

 

 

「あ~、思春の事は最注意事項なので先に言ったけど。孫呉の将全員が教える組になっているので心しておくように!」

「え?それってもしかして・・・・・王族も・・・・・」

「あぁ、蓮華はもちろん、隠居した雪蓮と冥琳もだ!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

 今度は尻好きが魂の叫びを!

「赤北郷様!孫尚香さまも来られるのですよね!」

「ああ、シャオがこんなイベント逃すはず無いだろう♪」

 インテリが喜びの表情を見せたのは一瞬。

 直ぐに思案顔でむむむと唸り始めた。

「どうしたんスか、蜀の旦那?」

「いや、よく考えたらこれは私達にとって、とんでもない苦行になりましたよ。」

「うん?どういう事か分かるか?兄者。」

「いや、よく分からんぞ、弟者。」

「それは先ほどの甘寧将軍の事か?」

「ええ、それも有りますが・・・・・北郷様、この水練は軍師様達が上達されていけば参加される方々が増えていくのではありませんか?」

「ああ、最終的には全員参加になるだろうな。なにせ武将は戦装束で水に入って武器を扱える様になるまで鍛える事になってるから。」

「つまりこの水練は何日も続き、しかも日を追う毎に将軍方が増え、我々には嬉しい状況が増加する一方、于禁将軍や夏侯惇将軍、更に関羽将軍といったおっかない方々も増加していくのです。そんな場所で少しでも邪な所を見せれば・・・・・」

「最悪はその場で首と胴が泣き別れ・・・・・良くても次の日から水練の場に行けなくなるな・・・・・」

「・・・・・確かに苦行ッスね・・・・・」

 話の流れが悪くなってきたぞ!

 ここは一つ活を入れてやらねば。

「おい!みんなは何のために命を賭けてまで龍を倒したんだっ!!将軍や軍師たちの水着姿をその目に焼き付けるタメじゃないのか!?そのチャンスがようやく訪れたんだぞ!!ここに来て怖気付いてどうする!?」

「ですが北郷様、前の水遊びの時に遠目で見てさえ、初めは悶えていたのですよ。」

「初めは、だろ。さっき尻好きも遠目だったのを不満がってたよな。」

「それは・・・・・徐々に慣れていけば・・・・・だけど孫権様が『びきに』で一丈先に立たれたら俺・・・絶対に気を失う!」

「そこでだ。第一回目は全員大人しい目の水着で来てもらう。どうだ?これならまだ耐えられそうだろ。」

「成程、それならばまだなんとか・・・・・」

「う~ん、まだ弱いな・・・・・よし!俺たちから秘策を伝授してやるっ!!」

 

『秘策!?』

 

「いいか!お前達はカメラだっ!!自分が物を考えないカメラだと思い込めっ!!そして目に捉えた水着姿を脳に焼き付けるんだっ!!そうすれば自分の命を守れる上に、帰ってからも鮮明に思い出すことが出来るぞっ!!」

「す、凄いッス・・・・・大将は三人ともそれを・・・」

 

「「「やっているに決まってるだろうっ!!」」」

 

 俺たちの言葉を受けて、再びみんなの魂に火が点いた。

 それからは『誰々にはどの水着が似合うか?』という議題で熱い舌戦を繰り広げ、凪が戻ってくる頃には全員が異常なテンションになっていた。

 凪に思いっきり引かれたけど・・・・・。

 

 

 

 俺たちはこの場ではこんな感じで盛り上がっていたが、実はひとつ問題を抱えていた。

 

 それは大喬の事だ。

 

 この外史の大喬は泳げなかった。

 身体に秘密を抱える大喬が泳ぎに行くなど絶対できなかったからだ。

 前回の水遊びの時は普通の女の子用の水着ではさすがにバレると思い、キュロット型のセパレートで誤魔化した。

 だが他の子の水着を羨ましそうに見ていた大喬に気付いてしまった俺たちは、何とかしてあげようとあれこれ考え、水着を仕立ててくれた服屋の親父さんに相談を持ちかけた。

 この親父さんの口の堅さは華佗並みだ。

 どんなにみんなの下着のサイズを訊いても、絶対に教えてはくれなかいぐらいだからな。

 実はこの親父さんにこの手の相談を持ちかけたのは二度目で、前回はブルマの時だった。

 あの時はサポーターパンツを開発してもらい事無きを得たのだ。

 今回はそのサポーターパンツを水着の下に着れるように改良すると、親父さんは張り切ってくれたが・・・・・・・今頃大喬と小喬は親父さんの所に行って試着をしているはずだ。

 サポーターに問題が無ければ、好きな水着を買うようにも言ってある。

 

 気に入った水着を手に入れ喜ぶ大喬。

 

 その姿を想像して俺たちは詰め所を後にした。

 

 

 

第二話『小喬と春蘭の水着選び勝負?』

房都 服屋店内

【エクストラturn】

 色とりどりの婦人服が並ぶ店内の奥。

 大喬と小喬がこの店の親父さんと一緒に仕立て部屋から出てきた。

「ありがとうございました♪前の物も良かったですけど、今回のは更に良くなってました。これで水にも入れるなんて驚きです♪」

 大喬は満面の笑顔で親父さんにお礼を言っている。

「今回は機能重視で仕上げたから見た目にちょっと不満があるんだよなあ、今度はもっと可愛いのを作っておくからね。」

「そ、それは・・・その・・・・・ありがとうございます・・・」

 自分の秘密を知っている親父さんに言われては、なんとも恥ずかしかったが大喬は何とかお礼を口にした。

 初めて大喬の下着の注文を受けた時、親父さんは驚いていたが直ぐに職人魂に火が点いて、キッチリと仕事をこなしている。

 実はこの親父さん、緑一刀とは青洲の平原からの付き合いで、緑一刀が徐州、成都、房都と引っ越す度に一緒に付いて来て店を構えている。

 月と詠のメイド服に始まり、ブルマや水着も手がけた親父さんは、今ではこの難注文に答えるのが生き甲斐となっていた。

「お姉ちゃん!早く水着選ぼうよ♪うんと可愛いの選んで一刀さまたちに見せに行こう♪」

「う、うん。そうだね小喬ちゃん♪」

 喜び勇んで水着売り場に来ると、先客が二名いた。

 春蘭と秋蘭である。

「むぅ!夏侯と・・・しゅんらんさまじゃないですか・・・こんなところになにをしにいらしたのかしら・・・?」

 小喬の無理やり捻り出した言葉と引きつった口角、額に浮かぶ汗と血管。

 顔の筋肉と精神力を総動員して何とか笑顔を作り出している。

 これが何を意味するかというと。

 華琳から『春蘭を真名で呼ぶこと』『喧嘩をしないこと』と厳命を受けていた為だった。

 もし命令違反を犯した場合は・・・その日一日、『一刀抜き』となる。

「ふん!ちび・・・しょうきょうか・・・みずぎをかいにきたに・・・きまっているでは・・・ないか・・・・・」

 春蘭も小喬と同じ様に引つりながら答えた。

 こちらの罰は『一日華琳抜き』

「あ、あ~ら・・・そうですの~?・・・あたしはてっきり・・・くまでも狩りにきたのかとおもいましたわ~・・・・おほほほほ~・・・」

「ふふふ・・・・おもしろい・・・じょうだんだ・・・・・女狐なら即座に狩れそう・・・だがな~・・・・・あははははははは・・・・」

 この場を写真にでも写せば、談笑している様に見えなくも無かったが、この場にいる人間には空気がギシギシと音を立てる程の緊張感を感じていた。

「しょ、小喬ちゃん・・・・・抑えて!抑えてね・・・一刀さまの為!一刀さまの為!」

 大喬が小喬の手を握り、耳元で一刀の名前を繰り返す事で小喬は次第に落ち着いていく。

「姉者も落ち着け・・・・・華琳様の為。華琳様の為。」

 秋蘭も春蘭の耳元で囁き続けた。

 大喬と秋蘭のお蔭で場の空気は何とか通常値に戻る。

「すー、はー・・・・・で、どんな水着を選んだの?」

「・・・・・唐突だな・・・だが、なんでそんな事を訊いてくる?」

 小喬の切り替えの速さに春蘭は戸惑いながらも、素直に疑問を口にした。

「あたしたちも今から水着選ぶのよ。同じような水着を選んだらお互い恥ずかしいじゃない。」

「ふむ、それもそうだな。私が選んだのは・・・・・これだ!」

 春蘭は手にした包を広げ、買った水着を見せる。

「へぇ、配色はいいけど・・・・・おとなしいのを選んだわねぇ・・・」

 春蘭の見せた水着はごく普通のワンピースタイプでフリル等の装飾は一切ない。

 色は赤を基調に黒と紫を鋭角的に配置し、春蘭らしいデザインとなっている。

「これは遊び用ではなく、水中で武器を使う鍛錬用だからな。本気で動いた時脱げない様に・・・」

「あぁ、そこまで考えて・・・」

 

「秋蘭が選んでくれたのだ♪」

 

 得意満面で言う春蘭を小喬は呆れた目で見ていた。

「・・・・・これなら別に心配する必要無かったわ。水練用のは用意してくださるって聞いてるし。あたしたちは遊び用を探しに来たんだもの。」

 小喬の呟きに秋蘭が気を止めた。

「ん?二人も明後日の水練に参加するのか?」

 秋蘭が聞いていた話では二人の名前は参加者名簿には無かった。

「は、はい。小喬ちゃんは泳げるんですけど、わたしが・・・・・ただ、今回は身体が・・・その・・・参加出来そうになかったんです。でも・・・その、間に合いましたので・・・」

 大喬の秘密をまだ話していない秋蘭に、本当の事を言う訳にはいかない。

 それでも大喬は秋蘭に嘘を吐きたくなかった。

 苦肉の策として、敢えて勘違いをさせる言い方をするしかなかった。

「月のものか、ならば仕方ないな。」

 秋蘭は大喬の思惑通りの解答を出したが、大喬の心は曇る。

「・・・・・はい。」

「参加出来て嬉しいか?」

 優しく言われたその言葉に大喬は、ハッと顔を上げる。

 

「はい♪」

 

 そして満面の笑顔で答えた。

「そうか、良かったな、大喬♪」

 秋蘭もまた笑顔で言った。

 勘の鋭い秋蘭は何か気が付いているのかも知れない。

 大喬はふとそう感じたが、秋蘭が何も言わない以上大喬には真偽がわからなかった。

 

 

 

「そういえば水着を買ったのに、なんでまだ水着を見てたの?」

「うむ、華琳さまに似合う水着が無いか見ておったのだ♪」

 華琳の水着と聞いては、小喬は黙っていられない。

「何か良さそうなのは有った?」

「ふふふ、これだぁっ!!」

「・・・・・・え”?」

 春蘭が見せた水着は確かに可愛かった。

 ピンクのワンピースでスカート状のフリルが付いている。

 見るからに子供向けのデザインだが、小喬はこれを着た華琳を想像してみる。

「・・・・・・・・こ、これは確かになかなかの破壊力があるわ・・・」

「だろう♪華琳さまの可愛らしさに重点を絞って選んだのだ!これを着た華琳さまに・・・・・お仕置きされたら倒錯感が数倍に・・・・・」

 ハァハァしながら説明する春蘭。

 水着選びの趣旨がおかしな方向に向かっている様だ。

「だけどコレ、璃々が同じようなの着てたわよ・・・・・・」

「なにぃ!?しまったあっ!!先を越されていたか!!」

「可愛い華琳さまも素晴らしいけど、ここは格好いい華琳さまを主題に選んでみたらどうかしら?・・・・・ほら、これなんかどう?」

 そう言って小喬が選んだのはエナメルの様な光沢の有る黒のマイクロビキニだった。

「そ、それは大胆過ぎでは・・・・・これを合わせてはどうだ?」

 春蘭が持ち出したのは黒エナメルのロングブーツとロンググローブ。

「そうなるともう少し何か欲しいわね・・・・・あ、これなんかどう?」

 次に小喬が持ってきたのはアメリカンポリス風の帽子。

「おお!良い感じだ!・・・・・しかし少々全体の釣り合いが・・・これを着けてはどうだ?」

 黒エナメルのコルセットが追加される。

「そ、それじゃあ手にはこのムチを持って頂いて・・・・・」

 更に小喬が持ってくる。

「「おぉっ!!完璧だ!」」

 何故服屋に鞭が有るのか?という疑問も思いつかない程、春蘭と小喬は興奮していた。

「ハァハァ・・・こ、これを身につけた・・・ハァハァ・・・華琳さま・・・」

「ハァハァ・・・か、華琳さま・・・ハァハァ・・・格好いい・・・」

 実はこれらのアイテムは一刀たちが密かに服屋に潜り込ませ、バラバラに配置した物なのだが、二人は見事に全てを見つけ出したのだった。

「なあ姉者・・・・・」

「しょ、小喬ちゃぁん・・・・・」

 秋蘭と大喬は二人が喧嘩をせず意気投合していたのでこれまで黙って見ていたのだが。

 

「それは果して『水着』と言って良いのか?」

 

「「え?」」

 

 この後、大喬と小喬は本来の目的である水着を手に入れ、春蘭と秋蘭は華琳用の水着を数着買い、服屋を後にしたのだった。

 

 当然先程の『女王様セット』も購入されていた。

.

 

 

あとがき

 

 

水着回と言っておきながら未だに誰も水着を着ていませんwww

今回のサブタイトルに、恐れ多くも「HE∀ting Sφul」を使わせて頂きました。

いつもの様に変な方向に熱くなっていますがw

 

 

泳げない子

この企画を考えた当初

カナヅチの武将が一人くらいいるんじゃないかな?

と、考えていましたが・・・・・どう考えても泳げない武将はいませんでした。

かといって軍師ばかりじゃブルマ回と同じになってしまうので星の登場となりましたw

たんぽぽや鈴々は翠と愛紗にバレているのでダメでしたw

 

「サボる」

多くの人が指摘してきた様に「サボタージュ」が語源の言葉ですね

これまでは使わないよう心がけて来ましたが

一刀たちが使っているのがみんなに浸透した頃だろうと思い、

解禁しました。

 

 

小喬と春蘭

春蘭が一刀の話をしなければある程度仲良く出来る様です。

一刀に対して春蘭が照れたりデレを見せた時

小喬は対抗意識から大暴走することでしょうw

今回はまだ「春蘭様」と呼んでいますが今後は呼び捨てに

 

 

次回は水練初日をお送りする予定です。

 

 

 


 
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