「ルフィ、お兄さんいたの!?」
ナミが驚いて言う。
「ああ。言ってなかったか?」
「いや別に驚きはしねぇが…なんでこのグランドラインにいるんだ?」
「エースもワンピース狙ってんだ」
「いや、おれは“白ひげ”を海賊王にしてやりてえんだ」
その後のエースの話を聞くとエースは今白ひげ海賊団にいて、その海賊団の2番隊隊長を務めているらしい。エースがごそごそして紙切れをルフィに渡す。
「ホラ。お前にこれを渡したかった。」
「ん?」
「そいつを持ってろ!ずっとだ」
「なんだ紙切れじゃねぇか」
ルフィが紙切れをまじまじとみて言う。
「そうさ。その紙切れがいずれまた俺たちを引き合わせる」
エースは捨てても構わないと言ったがルフィはもらう事にしたらしい。そらそうだ。次いつ会えるか分からない兄弟にもらったものであれば紙切れだろうと石ころだろうと宝のようなものだ。
…とおれは思う。
「出来の悪い弟を持つと
兄貴は心配なんだ。おめぇらもこいつにゃ手ぇ焼くだろうがよろしく頼むよ」
そう言うとまたボートに戻っていこうとする。ルフィはやはりまだいてほしかったらしいがエースもただルフィに会いにきた訳ではないらしく、“黒ひげ”と名乗る“仲間殺し”という大罪を犯した自分の部下を追っているらしい。
「そういやそこの兄ちゃん」
おれの方を見ながらエースが言う。俺なんかしたっけ。
「俺?」
「ああ。さっきは弟を助けてくれたみてぇで。助かった。礼を言う」
ああ。あれね。見られてたんだ。
「あのそっくりのやつ。どうやったんだ?」
エースが不思議そうに首を傾げて言う。
「種明かししたら面白くないんじゃないっすか?じゃ。記念にこれあげます」
チョークを取り出して甲板に5cmくらいの海賊旗を描く。
そういや俺無意識のうちにルフィのにいちゃんに敬語だな。俺も礼儀ってもんを知ってたんだな〜。
とか思いながら色を塗っていく。
「ちょっとヤマトさん!さすがにそれはまずいんじゃ…」
ビビが慌てて止めようとする。
「まあだいじょぶだから。見てなって」
舌でペロッと唇をなめると立ち上がる。
「うし!『WAKE UP』!」
描いた絵が甲板から浮き出して俺の手に乗る。そしてそれをエースに差し出す。
「これ。俺の能力で作ったもんです。なんで俺が死んだら消えます。俺が死にかけたるしたら欠け始めると思うんで、そんときは察してください」
なるべくエースに近づいてエースにしか聞こえない声で言う。
「おう。弟を頼むぜ」
「俺もそう簡単にくたばりたくないですしね」
互いに笑って言う。
「じゃあな、ルフィ。次会うときは海賊の高みだ」
ついにボートに乗っていってしまった。
「まったなぁぁぁぁーー!!」
ルフィはずっと手を振っている。
「ルフィにあんなまともなお兄さんがいたなんて…うそようそ!!」
「いやナミさん…世の中には不思議な事もあるもんだ」
「兄弟思いのいい奴なんだなー」
チョッパーも涙ぐんで言う。
「あ!なあナミ!」
ルフィが思い出したように言う。
「何?」
「さっきのエースの紙!おれの帽子のリボンの裏んとこに付けといてくれ!」
「確かにそれじゃなくさないわね。いいわよ、帽子と紙」
「なぁヤマト!さっきエースと何話してたんだ?」
ルフィがナミに帽子と紙を渡しながら言う。
「んー。男の約束?」
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