~ロレント市内~
ズドーン!ダダダダダ!キャア―!助けてくれ!逃げろ!
ディル・リフィーナとは異なる世界の大陸ゼムリア大陸にある小国、リベールの都市の一つロレント市内は戦場であった。なぜそのような事になったのは突如、エレボニア帝国がハーメルという村をリベール軍が襲ったと言い、戦争を仕掛けてきたのだ。リベール軍は劣勢ながらも軍人カシウス・ブライトが考えた作戦で反撃をし始めたのだ。この作戦でエレボニア帝国軍は崩れ始めたのだが、作戦により孤立した一部の部隊が半ばやけ気味にロレントを襲ったのだ。そしてあちこちで市民が戦闘に巻き込まれ、悲劇が生まれた。
そして、ある場所でも悲劇が生まれようとした。
「おかあさ~ん!」
「に……げ……て……エ……ステル……」
瓦礫に埋もれている女性はカシウス・ブライトの妻レナで呼びかけているのはその娘、エステルだった。
レナは砲撃によって崩れてきた瓦礫からエステルをかばい重傷を負い、正に命が風前の灯であった。
「誰か~助けて――!おかあさんが死んじゃう!」
エステルは必死で助けを呼んだが逃げる事に必死な市民達は誰も気付かなかった。
そこにリウイ達が転移してきた。
「ふ~ついたわね。あら、面白い事になってるじゃない。」
カーリアンは周りの戦闘を見て不敵に笑った。
「きゃは、久しぶりに遊べそう……」
エヴリーヌも周囲の状況を見て遊ぶ相手を見つけたような顔をした。
「報告では街中に出るというのはなかったんですがね……」
ファーミシルスは街中に出たのに気付いて呆れた顔をした。
「まだ、転移の固定が出来てないのだから仕方ないだろう……それより現状の把握をするぞ。」
リウイは周りを見て現状を把握しどう動くか考え始めたところ、その姿を見つけたエステルがリウイのマントをひっぱた。
「ねえ、おかあさんを助けて、お願い!」
「……なんだ、貴様は?」
マントをひっぱられた事に気付いたリウイはエステルに声をかけた。
「お願い!あそこにいるおかあさんを助けて!おかあさんが死んじゃう!」
エステルは瓦礫に埋もれているレナを指差してリウイに懇願した。
「リウイ!助けようぞ!それが余達王族の義務のひとつであろう!」
リフィアはレナを見てリウイに答えを求めた。
「(………母か)ああ。」
母の助けを懇願しているエステルを見て人間に追われ母に庇われた昔を思い出し、瓦礫のところに近寄った。
「さっさと片付けるぞ。カーリアン、ファーミシルス、悪いが手伝ってくれ。」
「しょがないわね~」
「ハ、了解しました。」
そして3人は協力して瓦礫からレナを出した。
「おかあさん!」
瓦礫から出された意識を失っているレナを見てエステルは縋りつくように泣いた。
「おかあさん!死なないで!お願い!」
「……リウイ様……」
それを見てペテレーネは懇願するような目でリウイを見つめた。
「わかっている。治療してやれ。」
「はい、わかりました!」
「余も力を貸そうぞ!」
リウイから許可をもらいペテレーネとリフィアはレナの所に近寄った。
「おかあさん、助けてくれるの?」
「ええ、今助けますからね。」
「安心するがよい。余の辞書に不可能という文字はない!」
泣きはらした顔をあげたエステルにペテレーネは優しく言ってリフィアと共に魔術を発動した。
「「暗黒の癒しを……闇の息吹!!」」
神格者であるペテレーネと、魔力の高いリフィアの手から放たれた紫色の光はレナの傷を完全に癒した。
そしてレナは目を覚ました。
「う……ん?あら、どうして傷が?」
レナは重傷だった傷が治っていることに気付き不思議がった。
「おかあさん!よかったよ~。」
「エステル……ごめんね心配をかけて……」
目が覚めたレナにエステルは抱きつき、抱きつかれたレナは受け止めエステルの頭をなでた。そしてそれを見ていたリウイ達に気付き話しかけた。
「あの……どちら様でしょうか?見た所帝国兵でもありませんし、かといってこちらに住んでいない方と見受けられていますが……」
「……ただの旅の者だ。」
レナの問いにリウイは適当に答えた。
「あのね、おかあさん。この人達がおかあさんを助けてくれたの。」
「そうでしたか……本当にありがとうございました。」
「礼はいらぬ。それが余達の義務であるからな。」
エステルから事情聞いたレナはリウイ達にお礼を言ったがリフィアのおかしな言動と
翼のついているファーミシルスを見てレナは疑問を持った。
「義務……?それにあなたは人間ですか?」
レナの疑問にどう説明するべきか考えていたリウイ達のところに複数の帝国兵達が包囲した。
「市民がいたぞ!殺せ!」
ズダダダダ!
帝国兵達は銃を構え一気に放ち、それを見たレナはエステルを抱きしめた。
「ハッ!」
「甘い!」
「遅いわよ!」
「させません!」
「させぬわ!」
「「「「「「「「な!!!!!!」」」」」」」
放たれた銃弾はリウイのレイピア、カーリアンの双剣、ファーミシルスの連接剣にはじかれ
リウイ達の横を通り過ぎた銃弾はペテレーネとリフィアの簡易結界に弾かれ兵達は驚愕した。
「まさか、いきなり攻撃してくるとはな……」
リウイが出す闘気に兵達は後ずさった。
「ク……臆するな!かかれ!」
「「「「「「「オオ!!」」」」」」
一人の兵の言葉に兵達はリウイ達の恐ろしさも知らずに襲いかかった。
後にこの一人の兵の判断がエレボニア帝国の衰退の原因となった……
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第4話