No.447420

魔法戦記リリカルなのは 二人の転生者の願い 無印編

DFGNEXTさん

今回は疲れた・・・。

なのはVSフェイトです。

そろそろ無印終わらせたいね。

2012-07-06 20:01:36 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:921   閲覧ユーザー数:910

第一章 無印編

第十九話「Star Light Breaker」

 

 

 

 

結界に囲まれた臨海公園の中

 

なのはとフェイトは空に舞い上がり、戦っている。

開始から既に10分ほどたったが状況は依然として変わらない。

 

なのはが遠距離に持ち込もうとするが、フェイトは速さでそれを許さない。

 

広大な結界は、海と市街地、両方をちょうど同じぐらいの面積で覆っている。

戦闘の場所は開始当初の海の上から、海沿いのビルが立ち並ぶ市街地へと移っていた。

 

 

「「はぁあああああああーっ!!!!」」

 

レイジングハートとバルディッシュを打ちつけ合う。

 

なのははむやみにレイジングハートで近接に応じるつもりはない。

その攻撃を技術と魔力コーティングで滑らせるように流した。

フェイトは流された勢いのまま、なのはの後ろに回りこみ、

バルディッシュで斬撃を振るった。

 

なのはは振り返ることなくそのまま前に飛んでかわす。

 

《Divine Shooter》

「シュート!」

 

そのまま前に移動して距離を取りつつ、

素早く7つの魔力弾を作り、フェイトに放った。

 

フェイトに向かっていく7つのディバインシューター。

 

しかしフェイトは止まらない。

金色の魔力弾がフェイトの周りにつくられた。

 

「フォトンランサー、ファイアッ」

 

すぐさま放つ。

なのはの魔力弾はすべて打ち消される。

 

「なら、これはどう!? シュートッ!」

 

先ほどの弾より魔力を込めたディバインシューターを4つ射出した。

さらにそれはランダムにフェイトの元へと向かう。

 

しかしフェイトは冷静に対処した。

 

フェイトは1発目を鎌で切り裂く、

そして間髪なくなのはの所に移動し、鎌で一閃した。

 

「はぁぁああッ!!!」

 

《Protection》

 

なのはは咄嗟にバリアを張って防御し、

新たに作り上げたディバインシューター3つで

フェイトの後方から攻撃させる。

 

フェイトは背後の弾に気づくと、

被弾する寸前に高速でなのはの背後に回り込んだ。

 

なのはは自分の3つの弾とフェイトに挟み打ちにされる形となるが、

すぐさまそれを避けてレイジングハートでフェイトを叩きつけようとする。

 

フェイトはとっさにバルディッシュで受けた。

そして受けると同時に魔法を発動させる。

フェイトの周りには10個のフォトンランサーが作られていた。

 

 

「ファイヤッ」

 

《Flash Move》

 

なのははそれを紙一重でかわした。

外れた弾がビルに当り、ガラガラと音を立てて倒壊する。

 

フェイトは見失ったなのはを急いで探す。

すると桜色の魔力光が視界の下から見えた。

 

「・・・・・・・・・・・・!」

 

それは砲撃の準備は完了していたなのはの姿だった。

なのははカノンモードのレイジングハートをフェイトに向ける。

 

「お返しだよ!ディバイーン」

《Buster》

 

その言葉とともに引き金を引く

桜色の砲撃がフェイトを襲う。

 

「くっ!」

《Sonic Move》

 

高速移動を使いすぐさまその場から離れるフェイト。

過ぎ去った桜色の砲撃はビル3棟を爆散させた。

 

その威力にほんの一瞬気をとられていると・・・

 

「もうあんなところに!?」

「やっと離れられた・・・。」

 

離れた距離でお互いが呟く。

 

この距離ならばフェイトはなのはに対して有効な攻撃手段がなく、

なのはだけが一方的に攻撃できる間合いだった。

 

「いくよ!!ディバイィン・・・・・・バスタァァアアアーー!!」

 

桜色の太い砲撃がフェイトを襲う。

 

「なんて威力・・・ッ!」

 

《Sonic Move》

 

一瞬のうちに加速し、紙一重でかわす。

だがなのはに隙はなく、フェイトのかわす先をすでに先読みしていた。

 

かわした先には追撃の砲撃がフェイトを待ち受けていた。

 

「なっ!!??くっ!!」

 

《Round Shield》

 

フェイトはかわせないと判断し、防御魔法を使って受ける。

体に目に見えるダメージまだはないが、かわりに魔力をガリガリと削られた。

 

《2射目は直撃ですね》

 

レイジングハートが言った。

 

「でも油断は禁物・・・まだまだいくよ!」

 

なのはが再び砲撃の構えをとる。

カノンモードの先端に再び魔力が集まる。

 

「ディバイイィィン、バスタァァア!!!」

 

先ほどよりも特大の砲撃が勢いよく撃ちだされた。

 

フェイトはなんとか高速移動でかわした。

 

「はぁ・・・、はぁ・・・」

 

(だめだ・・・なんとか・・・距離を詰めないと、勝ち目はない・・・)

 

すでに息も切れはじめている。

"このまま"戦えば勝機はない。

だがフェイトにはこの日のために用意したものがあった。

 

「バルディッシュ、あれをやるよ。」

《Yes sir. Barrier jacket. Sonic form》

 

その言葉とともにフェイトのバリアジャケットが変わる。

マントとスカートがなくなり、レオタードとスパッツだけという姿になった。

手足にバルディッシュのフィンブレードやなのはのフライアーフィンのような

光の羽「ソニックセイル」を生やしている。また、右手にも装甲が追加されていた。

 

そう、それは本来ならばもう少し後で登場するフェイトの姿。

 

「ソニックフォーム!!??」

 

(なんで?このときにはまだ・・・いやこの世界のフェイトちゃんは前世よりも強い

 私たちと同じく、前に向かってちゃんと進んでいるんだ!)

 

《おそらく軽量化してさらに速度を上げるようです。

 ですが彼女のあの防護服は一撃もらったら終わりです。》

 

「でもあれはものすごく早く動けるよ。多分そろそろ限界かもね。」

 

《準備はしておきます。》

 

「頼んだよ!」

 

そう会話しているとフェイトは弾丸のようなスピードでなのはに向かってきた。

 

「せっかく離した距離があっという間に!?でもまだ・・・」

 

なのはは距離を離したとき、フェイトが近づいてくる場合に備えて、

向かってくるだろう進路上のいくつかに、設置型バインドを仕掛けていた。

 

しかし数は余り多くない。

来る前に打ち抜く!!

 

なのははもう一度砲撃の準備をする。

なのはは正確に、狙いを定めて撃つ!

 

「ディバインバスター!!」

 

体力と魔力の温存のための溜めのない速射型。

しかしそれは、フェイトの速さにかなわず避けられた。

しかし、それもなのはの予定通りだった。

 

「――ッ!」

 

設置型バインドが発動する。フェイトはそれに気づくやいなや、行動を起こした。

 

フェイトが加速したのだ。バインドが完全にフェイトを縛る前に、

常人には理解不能な速度で効果範囲から抜け出してしまった。

なのははそれを見て焦りや恐怖よりも先に、歓喜や興奮をその身に覚え、

瞳の輝きが増し、そして笑った。

 

「やっぱりフェイトちゃんは強い!でも負けない!!」

 

《Flash Move》

 

なのはは加速して迎え撃った。

 

空中で、デバイス同士がぶつかり合い、本来ありえない爆発音が響く。

 

「―――ツッ、」

 

なのははフェイトの勢いに負け、後ろに弾き飛ばされる。

しかしその勢いを利用してその場を離れる。

 

レイジングハートに魔力を流し破損箇所を修正。

すぐさま砲撃を放とうと構えようとした瞬間。

 

「―発動。プロテクト・ホールド・・・。」

 

《Yes,sir Protect Hold!》

 

フェイトのその掛け声と共にバルディッシュが瞬間的に魔力を運用し足場を作る。

フェイトは吹きt場された衝撃に体を持っていかれつつも体勢を立て直し、

 

その魔法陣に着地して膝をかがめ・・・・・・

 

遠距離魔法を撃とうとしていたなのはに飛び掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

アースラでは2人の戦いをアースラのブリッジから、

クロノ、エイミィ、リンディ、アルフ、ユーノ、彩斗で見守っていた。

目の前には、いくつものカメラからの、様々な角度や距離の映像が映し出されていた。

 

「クロノくん、あたし、フェイトちゃんの姿が見えてる時間の方が少ないと思うんだ」

 

「サーチャーの性能はいいはずなんだがな・・・・・・」

 

クロノは若干現実逃避気味だ。

 

「俺も結構いい感じに改造したカメラを設置してるけどぎりぎり見えるか見えないかだな。

 というかこの時期にソニックフォーム?アルフは知ってる?」

 

彩斗もちょびっとだけ現実逃避したくなっていた。

アルフはその質問に対し

 

「あたしも、あれほどまでに疾いフェイトは初めて見る。

 あの姿もね・・・。」

 

アルフもフェイトの速さに驚きを隠せないでいた。

 

「そうね。まったくすごいわ2人とも・・・・・・。

 さっきまでは教材に使えそうなほどに模範的な戦闘だったのに、

 今はそのレベルを飛び越えてしまっているわ。

 

 だって1人はほとんど見えてすらいないんだもの

 それになのはさんは彼女にとっては一番にいいとはいえ

 莫大な魔力量に頼った戦闘をしている。」

 

「でも、なのははフェイトの攻撃をちゃんと受け止められているっ」

 

ユーノはなのはを擁護する。信頼でもあるし、なによりも現実にそうだった。

 

「だけどなのはちゃんのバリアジャケットがどんどん削られちゃってる・・・・・・

 このままじゃなのはちゃんが・・・・・・」

 

「いや、よく見ろエイミィ。なのはもかわしきれない攻撃はあるが、

 致命打になる攻撃はすべて防いでいたり、避けている。」

 

「それって、なのはにフェイトの動きが見えてるってこと?」

 

「多分ね。そうだと思うよユーノ。まあ俺ほどの動体視力はないけど。」

 

「でも!フェイトだってこんな攻撃してて疲れないはずないんだ!

 今だって相当無理してるはずさ!」

 

アルフは叫んだ。

フェイトの怒涛の攻撃は、ソニックフォームになってから

すでに7分間も続いている。

 

「そうね。フェイトさんが攻めきるか、なのはさんが粘り勝つか・・・

 このままならそのどちらかね」

 

リンディがそう口にした途端、2人の動きが止まった。

一同はより一層モニターに集中する。

 

「まああいつにはまだ三つほど切り札がありますがね・・・・・・」

 

 

 

 

「!!その剣は!!??」

 

フェイトは驚いてた。

前回通用したプロテクト・ホールド。

今回さらに洗礼させていたそれならば確実に当たると思っていたからだ。

 

しかしその一撃はなのはがもつ白い刀身を持つ剣・・・。

 

ブレイズ・ハートによって防がれていた。

 

「はあああ!!」

 

「っ!!」

 

二刀流であるブレイズ・ハートの空いてあるほうの刀をフェイトに向け放つ。

フェイトはそれを避けつつ、攻撃を続けた。

 

なのはもまた本領発揮といったところで先ほどとは違い

超近距離戦((クロスレンジ))の戦いを始めた・・・。

 

 

 

 

「はあ、はあ・・・っ・・・はァ・・・」

 

その戦いで先に動きを止めたのはフェイトだった。体力が続かなかったのだ。

 

そもそも原作のソニックフォームですら完成はしていなかったものを

この時期にたった三日で完全にすることは不可能だった。

 

それによる莫大な魔力の消費もあった。

 

苦しそうに呼吸を乱しながら、それでもなのはへの警戒は怠っていない。

構えだけは解かず、バルディッシュをなのはに向け続ける。

 

だが、同じようになのはにも疲れはあった、フェイトほどではないものの、

余裕はもうない。なのははフェイトに引きずられるように、同じように動きを止めた。

 

「・・・キミのその剣は?」

 

フェイトはなのはの持つ小太刀がとても気になった。

なにせなのはには近接戦闘での決定打がないと思っていたのだ。

 

フェイトはこの日までのなのはとの戦いで、

自分に有利な間合いは近接しかないと感じていた。

 

だから問題は近接戦闘でどうやってダメージを与えるかだ。

そしてフェイトはもっと疾くなればいい、と思った。

なのはが追いつかないほどに速く動き、そしてしとめる。

 

そのためのソニックフォーム。

 

しかし、それは覆された形になる。

 

「これは私が最初に手にしたストレージデバイス、ブレイズ・ハートだよ。

 まあ私も今日のために用意したって感じかな・・・・・・。

 

 ・・・それともう一回名乗っておこうか、剣士としての

 永全不動八門一派・御神真刀流、小太刀二刀術。剣士、高町なのは」

 

「な、なが!!そ、それに近接武器のストレージ!?」

 

「そ、彩斗くんが作ってくれた。あなたと戦うために作ったデバイスだよ!!」

 

なのははそう言って、気を取り直す。

レイジングハートに持ち替え

ディバインシューター5つを出現させ、体の後ろで回転させた。

 

「そうだね。戦闘再開だ・・・。」

 

フェイトもそれに応じる。

なのはが剣を持ったところでやることは変わらない。

スピードで圧倒し、そして斬るだけだった。

 

《Scythe Form》

「アークセイバー!」

 

フェイトは鎌から三日月の斬撃を繰り出し、なのはの右半身を襲わせる。

 

それと同時に高速移動でなのはの左側に回り自らも斬撃を加える。 

普通ならばそんな攻撃は実現不可能だが、フェイトの異常な速さは、

それをこの世界に現出させることを可能にしていた。

 

「・・・ッ!」

 

なのははとっさに全シューターをフェイトに発射した。

フェイトは迂回してその攻撃をすべてかわした。

 

「はぁああ!!」

 

なのはは再びブレイズ・ハートを起動。

 

右の小太刀を振るい斬撃を飛ばしアークセイバーと相殺させた。

そしてフェイトの攻撃を左の小太刀で流すように受け止める。

 

そうしながら、もう一度作ったシューターで下からフェイトを攻撃する。

だがフェイトはその場から消えるように避け、なのはの右側に振り下ろした。

 

なのははギリギリで止め、反撃しようとするも、その時にはフェイトは次の攻撃に移っていた。

先ほどまでと同じ攻防戦・・・だが・・・

 

(止まったら、やられる!)

 

フェイトはすでに体力的に限界だった。だから気力で動き続けるのみだ。

 

だが、しかし、動きは徐々に、確実に落ちていた。

 

そしてついに・・・

 

(捉えた!!)

 

フェイトが斬撃を繰り出すのよりわずかに早く、全力でデバイスを叩き下ろした!

 ―――御神流、『徹』―――

 

「ッ!」

 

フェイトはとっさにバルディッシュで防御する。

 

「はぁああああああああああああああ!!!!!」

 

掲げられているバルディッシュを・・・そしてその向こうのフェイトを、バッサリと断ち斬った。

斬った肩口から腰までななめにバッサリと斬られ、その部分の肌があらわになる。

 

「あ・・・っ・・・あああァ」

 

そしてフェイトは力なく落ちていった。

 

なのはの斬撃は体の内面まで衝撃を与えるもので、あまりの痛みに気絶しそうになった。

 

だがフェイトはこのまま目を閉じて楽になりたい、という衝動に打ち勝ち、そしてカッと目を見開いた。

 

(こんなところで・・・・・・落ちるわけには・・・ッ!!

 母さんのためにも!!そして・・・私自身のためも!!!!)

 

フェイトは絶対にあきらめるわけにはいかなかった。

激痛を無視し、バルディッシュに魔力を流し込み、

修復し、さらに準備してあった魔法を発動する。

 

 一方、フェイトを斬ったなのはは動揺していた。

 

「『徹』で思いっきり斬っちゃったけど・・・大丈夫かな?」

 

《非殺傷設定です。外傷の心配はありません》

 

「そういう問題じゃ・・・。まあ最低限の配慮はしてあるけどね。」

 

そう言いつつレイジングハートに持ち替えて、降りようとした途端。

なのははバインドで拘束された。

 

「――ッ!! バインド!?」

 

「・・・・・・ライトニングバインド・・・」

 

金色のバインドはなのはの四肢を完全に押さえこんだ。

 

(まずい、多分あれがくる・・・だったら!!)

 

フェイトは再び飛行し、なのはと同じ高度まで一瞬で移動して滞空する。

続いて両手を大きく広げながら、足元に出現した巨大な魔法陣に着地した。

 

「これで決める!!バルディッシュ!!」

《Phalanx Shift》

 

フェイトの横一面に数え切れないほどのフォトンランサーが並んだ。

なのははバインドを解く暇すらない。

 

「フォトンランサー、ファランクスシフト・・・。

 あの子を・・・撃ち・・・・・・砕けぇええッッ!!!!」

 

そして高々と上げられた腕を振り下ろしながら叫ぶ。

 

「えぁああああああああー!!!!!」

 

雷撃の魔力弾が次々となのはを襲い、爆煙に包まれていく。

 

一度になのはを襲う雷弾は38発。

当然、それだけで終わりではない。

 

フォトンランサーが一気に発射され打ち終えたらまた次を、そしてまた次を・・・

と一人を相手にするには過剰な弾数が発射される。

 

怒涛の攻撃。最後の切り札!

その数は合計でおよそ千。

 

だがまだ終わらない。

フェイトは腕を上にかかげ、千の弾を撃ち終わった後にさらに70発ほどのフォトンランサーを束ねていく。

やがてそれは身の丈の3倍はある金色の槍と化した。

フェイトはそれを容赦なく、なのはに投擲する。

 

「・・・スパーク・・・エンド」

 

フェイトの声とともになのはに雷撃の槍がぶち当たった。

刹那、大爆発が起こりまわりのビル群6棟が粉々に粉砕する!

爆炎はフェイトがいる場所まで来た。

 

(これで決まって・・・)

 

「それはどうかな・・・?」

 

 

 

 

 

アースラでは皆がそろってなのはとフェイトの映像を見ていた。

なのはの負けだと誰もが思っていた。

 

「なのは!!」

 

ユーノが思わず叫ぶ。

 

「これはフェイトの勝ちだね・・・。あれはフェイトの最後の切り札さ。

 あれをまともに食らって無事な奴なんていないよ・・・・・・」

 

アルフが複雑そうに言った。アルフはなのはに勝ってもらわなければ困るものの

同時にフェイトにも負けてほしくないのだった。

 

「いや・・・そうでもないさ。なのはを見てみろ」

 

クロノがモニターを指差す。

エイミィはそれに目を向けながら言った。

 

「そんなこと言ったってクロノくん。

 さすがにあれを食らったらさすがのなのはちゃんだって・・・。あっ」

 

なのはの周りの煙がなくなっていく。

現れたのは何発かもらったのかバリアジャケットが焦げているが、まだまだ健在のなのはの姿だった。

 

なのはは防御魔法を発動していた。

しかしそれは、普通のシールドではなかった。

 

「あれがなのはちゃんの二つ目の切り札・・・。」

 

「集束シールド・・・?」

 

 

 

 

少し時はさかのぼる。

なのはは今まさにファランクスを受けようとしていた。

見るとフェイトは腕を振り下ろし無数の雷弾を放とうとしているところだった。

 

なのはは急いで右腕のバインドを解除する。

 

(間に合って!!)

 

そういうとなのはは右腕を前に突き出し魔力を集束する。

少しづつ桜色の防壁が作り上げられていく。

 

「スターライト・シェード!!!」

 

シールド展開とほぼ同時に雷弾がなのはに殺到した。

 

「ぐっ・・・うぅっ」

 

最初の数発はシールドをすり抜けられて食らってしまった。

だがなのはにはもうダメージはない。

 

「フェイトちゃん、その攻撃はすでに対策済みだよ!!」

 

前世よりも確実に強くなっているフェイトの攻撃に勝つために

スターライトブレイカーを利用し創られた新たな魔法。

 

 集束防御魔法 「スターライト・シェード」

 

 その名の通り魔力を集束し傘のように攻撃を防ぐことができる。

 

 欠点として発動直後にはあまり防御力がないことが挙げられるが、

 この魔法は時がたつにつれて集束が進み、より強固になっていく

 

 

そして鉄壁の桜色の障壁はスパークエンドさえもやすやすと受け止めた。

やがて怒濤の攻撃が止んだ。そのうちに他のバインドをブレイクする。

そしてなのはは最後の切り札の準備を始める。

 

「さて、と・・・。いい感じに魔力が満ちてる・・・。

 残りの使用できる魔力も限界ギリギリだけど・・・

 レイジングハート、フェイトちゃんの全力に応えよう。

 こっちも全力全開で!!!」

 

《All right my master.》

 

 

 

 

「それはどうかな・・・?」

 

爆煙が晴れるとそこにいたのはほぼ無傷のなのはだった。

 

「・・・そんな・・・・・・。」

 

なのはがいまだに健在なことにフェイトが愕然とした。

もうフェイトには度重なるなのはの砲撃や斬撃を受け、

魔力を削られたことでもうほとんど余力は残っていなかった。

残存魔力などもうほとんど残っていない。

ファランクスは最低限の魔力を残しての決死の攻撃だった。

 

なのはは防御魔法を消し、フェイトが動揺している間に砲撃の準備を整えた。

迷いなく、トリガーを引く。

 

「ディバイィィンン、バスタァァァァアアーーー!!!!!!!」

 

本日五回目のディバインバスターがフェイトを襲う。

範囲も大きく、距離もそう離れてはいないのでフェイトは逃げられない。

 

フェイトは前に手を伸ばしラウンドシールドを張った。

魔力が激しくシールドにぶち当たった。

 

「あの子だって・・・もう限界のはず・・・ッ!これを耐え・・・切ればッ!!」

 

ディバインバスターの性質と余りの威力にシールドが少し抜かれ、

フェイトの手を覆うバリアジャケットがはがれていく。

 

フェイトのバリアジャケットはソニックフォームになってからさらに薄くなっている。

左手のグローブはすべて消し飛んでしまった。だがその砲撃にフェイトは耐え抜いた。

 

「よし・・・これでなんとか。――ッ!!」

 

その瞬間にフェイトの左腕を除く手足が桜色のバインドで拘束される。

レストリクトロック。集束系のバインドだ。

 

発動から完成までの間に指定区域内から脱出できなかった

対象全てをその場に固定し、捕獲輪で動きや移動を封じるものだ。

 

そしてフェイトは自らが囚われているバインド以外に、

もう一つ魔法が発動していることに気づいた。

 

魔力の光が上に向かって集まっている。

 

フェイトは頭上を見上げた。

それは桜色の球体だった。

 

いやもうそれは星と言っても差し違えのないものだった。

 

それを中心に、周りの魔力がまるで無数の流星のように集まっていく。

フェイトのあちこち破けたバリアジャケットからも魔力が吸い取られていく。

 

「集束・・・砲撃・・・」

 

フェイトは絶望に彩られた表情で、呆然とつぶやいた。

それは異常な規模の集束魔法だった。

 

なのはが持つレイジングハートからその魔法の名が告げられる。

 

 

《STAR LIGHT BREAKER!!》

 

 

「使い切れずに・・・ばら撒いちゃった魔力を・・・

 もう一度自分のところへ集める。」

 

使いきれずに散らばった魔力がもう一度、なのはのところに集まってゆく。

辺り一帯が桜色に包まれた。

 

「レイジングハートと考えた。知恵と戦術、最後の切り札!!!」

 

着々と集束は進行し、そして段々とその球は大きくなってゆく。

その大きさで、もはやお互いの姿は見えていなかった。

 

「受けてみて!ディバインバスターのバリエーション!!」

 

そしてついにそれは完成した。集められた魔力が暴発寸前にまで圧縮されている。

 

「くっ!あぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!」

 

フェイトは叫びとともに最後の力を振り絞り、左手を突き出して

自分とスターライトブレイカーの間にまるで塔のように5重のシールドを張った。

 

「これが私の全力、全開!!!!!!!

 スターライトォオ、ブレイカァァアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

なのはは叫びながらレイジングハートを大きく振り上げ、自らの何倍もある巨大な球を叩き出した。

刹那、球が崩壊し、莫大なエネルギーの激流が一気にフェイトへと撃ち出される。

 

まるでそれは極太のレーザーのようだった。

文字通り魔力のビームだ。

 

「あっ・・・」

 

 バリン、バリバリバリバリ―――

 

フェイトのシールドを次々と破りながら突き進んでいく。

フェイトの必死の抵抗もむなしく、最後のシールドも破壊され桜色に飲み込まれた。

それと同時にフェイトも桜色が飲み込む。

 

砲撃はそのまま海に叩きつけられ、そこからまるで大きな爆弾でも落とされたかのような

光球と余波が広がってゆく。

 

その余波は、海を飲み込んだ。

消して狭くはない結界内の建物をすべて破壊しつくした。

結界内にあった街は、いまや影も形もない。

 

そこにあるのはただ一つ、広大な海だけだった・・・。

 

 

 

 

 

とてつもなく長い集束砲撃が終わって、しかしフェイトはまだバインドに縛り付けられたままだった。

そのままの状態でフェイトの意識は朦朧としている。

 

もともと薄いBJは、その大半が消し飛ばされていて、

かろうじて残りの切れ端が、見えてはいけない所を死守していた。

 

なのははフェイトのバインドを解きつつ抱きかかえて、

海に浮かぶ、かつて建物だったものの残骸に着地した。

さすがに心配になって声をかける。

 

「フェイトちゃん、大丈夫?」

 

「う・・・ん、なん・・・」

 

フェイトは最後まで言い切れず、そこで気絶した。

 

それも無理はなかった。

もともとフェイトのバリアジャケットはソニックフォーム。

はっきり言って生身と大して変わらない。そこにまともにスターライトブレイカーを食らったのだ。

 

今までかろうじてでも意識を保っていた事は、もはや奇跡に近い。

しかしなのはは自分で自分の砲撃を受けた事などないので、そんな事は分からなかった。

ただ、フェイトが意識を失った事に慌てた。

 

「あれ? フェ、フェイトちゃん?・・・フェイト!!えーっと、ヒール!」

 

なのははフェイトを少しゆすった後、治癒をかけ始めた。

 

《Put out》

 

そのときバルディッシュから8つのジュエルシードが出された。

なのはは一応レイジングハートからジュエルシードを一個取り出し

本物か確認する。・・・本物だった。

 

いろいろあったが勝負はなのはの勝利だ。

 

 

 

 

アースラではなのはの集束砲撃を見ていた誰もが、茫然とその威力に見入っていた。

彩斗もアニメで見ていたとはいえ、現実にあるそれを見て完全に硬直していた。

 

やがてクロノが目を見開きながら、

 

「・・・なんつーバカ魔力だ。本当に結界内の建物を全壊とは・・・」

 

「宣言通りだね。でもフェイトちゃん生きてるかな?」

 

「そんなことが起きたら非殺傷設定の存在意義って・・・」

 

「でも・・・本当にすごいわ・・・」

 

リンディはクロノと同じく驚きながら言った。

 

「前世のこともあるけど。今世での努力、そして資質。

 そのすべてを洗礼させたこそのこの威力だね。」

 

 そこに突然、

 ウウゥゥゥン―――

 とアラート音が響いた。

 

「転移魔法と次元跳躍攻撃だ! エイミィ!」

 

「了解!彩斗くん頼んだよ!」

 

「了解!!」 

 

 

 

 

 

バルディッシュがジュエルシードを出し、なのはが回収しようとした途端、

そこに発動した転送魔法で9つのジュエルシード全てが吸い取られてしまった。

 

(警戒してたのに!!しまった余分に一個取られちゃった。)

 

手際が以上に周到だった。転送魔法は発動され、

フェイトのジュエルシードは奪われてしまった。

 

『なのはちゃん! 次元跳躍攻撃がそっちにいくよ! 気を付けて!!

 今、彩斗くんが向かったよ!!!』

 

その言葉になのは『はい!』と答えつつ空を見上げると、大きく黒い穴が開いていた。

 

(とりあえず私にできるのはフェイトちゃんを連れて逃げるしかない!)

 

なのはは素早くそう判断すると、フェイトを抱えて飛んだ。

そして同時に雷が落とされる。

なのははそれを横目で見つつ必死に飛ぶが、当たることは確実に思えた。

なのはは衝撃を覚悟して、フェイトを自分でかばいつつ、目をつぶろうとした。

 

 だがその時

 

「うぉおおおおおおおお!!!!!!!!!!」

 

彩斗がシールドを展開しながらその一撃を防御した。

すごい圧力だが、防ぎきれないものではなかった。

 

そして攻撃は収まった。

 

彩斗はすぐに連絡する。

 

『エイミィさん、すぐに回収を!!』

 

『了解!』

 

三人はアースラへと転送された。

 

 

 


 
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