「うっ・・・此処は・・・?」
生い茂る森林の中、一人の青年が目を覚ます。
青年は上半身だけ起こし、長座の体勢へとなりながら周りを眺める。
「何処だ此処? 確か俺はさっきまでチャンピオンロードに居た筈じゃ・・・でも此処は全くポケモンの気配を感じない。どうなってるんだ?」
青年は立ち上がり、横に落ちてあった自分の荷物を手に取って持ち上げる。
「取り敢えず荷物は有るし、旅をするには困らないけど・・・もし此処が俺の知らない地方の土地だったらどうしよう・・・いや! 弱気で居てどうする! これ位の困難を超えてこそ、ポケモンリーグへ挑戦し甲斐が有るというもの!! 兎に角はこの森を上空から見てみようか」
青年は沈む気持ちを無理矢理ポジティブにして張り切り、腰の左側に付いている赤と白のピンポン球サイズの球を1つ手に取る。
そして球の真ん中に在るスイッチを押すと、球は大きくなってソフトボールと同じくらいに膨張する。
「出てこい! フライゴン!!」
青年はボールを投げると、パカッとボールが真ん中で割れてボールの中から光が溢れる。
光が止むと其処には、蜻蛉のような身体に黄緑色に菱形の翼、そして目の所には複眼のような赤く丸いカバーを有した2m程の大きさをした竜のようなポケモン=フライゴンが現れた。
「飛んでくれ」
青年がそう命令すると、フライゴンは命令に従って翼を羽ばたかせ、空に浮かぶ。
フライゴンの背中に乗る青年は周りをキョロキョロと見渡す。
しかし、街も村も集落も見当たる事は無く、360度一面全てが森が生い茂っている光景が見えるだけだった。
「何だよコレ・・・こんな広い森が存在したのか・・・?! チッ・・・だったら、フライゴン! 取り敢えずこのまま真っ直ぐ飛んでみてくれ!」
青年からの指示を受けたフライゴンは首を動かして了承すると、身体が向いている方向にそのまま飛行する。
「(これはかなり深いな・・・こんなに深くて空気も新鮮なのにポケモンの気配が一切しないなんて可笑し過ぎる!! きっと何か有ったに違いない!)」
青年は頭の中で推理し、その結果で事件と断定して一人、解決する為に空を駆ける。
しかし、進めど進めど続くのは森。
その森の深さには不気味と怪奇感を覚えた。
それでもフライゴンに静止を呼び掛けずに進ませる。
すると、しつこい森の先に海が見えて来た。
「おおっ! 海だ! サザナミ湾やカイナシティの砂浜並みに綺麗だ! きっと人の手によって汚れて無いんだな! スゲェ!!」
青年は歓喜し、その海の美しさに感動する。
だが、そんな気分に浸ってる場合では無いと自分に言い聞かせ、気を引き締め直す。
そして海の向こうの景色を注意深く見てみると、黒い粒と青い粒が追い掛けっこのように青い粒が黒い粒を追跡しており、青い粒と黒の粒の間でなんか閃光が行き来していた。
「・・・何だありゃ?」
青年は頭に疑問符を浮かべながら首を傾げる。
自分が居る場所と粒が見える場所の距離はかなり離れているだろう。
だったら簡単だ、近付いてしまえば良い。
それにイッシュ地方では空飛ぶ船が存在するという。
ならばこの地方ではそういう船は一般的で、あの閃光はポケモンバトルでもしているのだろう。
そう考え、フライゴンに更に加速して近付いて貰うように言うと、フライゴンは文句一つ言わずに翼を更に速く動かしてスピードを上げる。
青年はフライゴンが加速した事によって身体にブチ当たる風圧が叩きつけるように向かって来て身体が少し痛むが我慢する。
徐々に粒に近付いて行くと、粒の形がクッキリと視認出来て来た。
「!? ッ何だありゃ?!」
視認出来た粒は船と言うよりは飛行艇で、飛び交っていた閃光は飛行艇から発射されており、飛行艇の上には人がポケモンを使わずにまるで魔法のように空中に浮いていた。
「・・・まるでファンタジーだ。映画撮影でも無さそうだし・・・一体どうなってるんだ?」
青年は一人、混乱していると――――
「ッ!? うわぁっ?!」
―――閃光が此方に向かって来た。
フライゴンは反射に近い感じで閃光を回避すると、閃光を放った主は飛行艇では無く、赤く長い髪に半袖半ズボン、そして両腕には可愛らしくてワイルドな顔立ちに合ったような巨大なガトリング砲とミサイルキャノンを手に持った少女や、黒髪に黒くて露出の激しい服装をした少女、白いドレスのような服に青いカノン砲を引き連れた女性、そして異質なまでの全身に赤いタトゥーが痛々しく描かれ、黒い服を着て大剣を手に持つ少年が居た。
「・・・どういう状況なの?」
異様なまでの光景を目にして青年はポツリと混乱する頭のまま呟いた。
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突然、ポケモン世界では無い見知らぬ世界で目を覚ました青年。
彼は人が居る場所を目指してフライゴンの背中に乗って移動してると、突如襲撃を受ける。
その攻撃の主の方へ顔を向けると其処に居たのは全身に赤色のタトゥーと黒色の服を着て、デカい大剣を手に持った少年だった。