―――放課後―――
「さぁアリサ、帰るとするか!」
「何一緒に帰るのが当たり前のように言ってんのよ!今まで一度たりともアンタと帰ったことないじゃない!」
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないか。これからはそうなるんだからさ・・・」
かっこいい感じのことを言ったようだけどさ、アリサの反応を見る限りそれは駄目なセリフのようだよ?まあ、アリサに限らず僕の隣で帰る準備してるなのはちゃんも身震いしてるし、よく見たらすずかちゃんは目に色彩がなくなってるけど、自分のことじゃないのにダメージ受けるなんて大丈夫かな?
「絶対にならないわよ!なのは!すずか!ついでに神那!帰るわよ!」
「あ、うん分かったよアリサちゃん」
「・・・ハッ!私は今何を・・・。あ、ちょっと待ってアリサちゃん!」
僕はついでなのね・・・。あっとそれよりも・・・。
「ゴメン3人とも。今日はちょっと図書館に行きたいと思ってたから、一緒に帰るのはまた今度ね」
「はぁ?まったくしょうがないわね・・・。次は必ずよ?約束したからね!」
「はいな、了解」
バイバーイ。と言って3人は仲良く教室から出ていった。さて、僕も図書館に向かおうかな。
「フッ・・・、相変わらず恥ずかしがりやさんだなアリサは・・・」
君も相変わらず発言ですべて台無しにするイケメンだね裕樹。
―――図書館へ向かう途中―――
<<そういえば神那、柳殿が近頃ここ海鳴市で未確認の魔力を感知したって言ってましたよ?>>
「え、マジで?それいつ父さんから聞いたの?」
<<昨日神那が寝静まった頃に聞きました。なので朝はともかく、帰り道は特に気をつけてあげてくれって言われました>>
「そっか・・・」
未確認の魔力・・・、父さんは言っちゃ悪いけど母さんより感知能力が低いんだけど、それでも反応したってことはそれなりに危険なものってことだよね・・・。
「できるだけ関わりたくないんだけど・・・そうも言ってられないよね・・・」
<<ですね。自ら関わろうとしなくても、向こうから飛び込んでくる可能性もあるわけですから>>
「ですよね~。ま、そのときはその場の判断ってことで。ロストロギア?だっけ、そういった物の場合はいったん封印処理して父さんのところに持っていこう」
<<そうしましょう。ロストロギアであれば管理局のほうで預かってくれるでしょうから、柳殿もしくは雪乃様に持っていってもらえばいいですし>>
「それもそうだね。所でどうでもいいんだけど、なんで父さんは「殿」で母さんは「様」なの?」
<<そうですね・・・、なぜでしょう?>>
「いや僕が聞いてるんだよ!?」
とヴェルジュと離しながら図書館まで歩いていると、頭に何かが当たった感触がした。
「ん?なにか頭に当たった?」
<<足元を見てください神那。何か落ちてますよ>>
「お・・・なんだこれ?宝石・・・みたいだ。でも・・・」
ふと上を見上げても少し夕焼けに染まった空しか見えなかった。
「・・・怪奇現象?」
<<科学の時代にそんなことあるわけないじゃないですか。ちなみにその宝石から魔力が発せられています>>
「マジで?てことはこれが父さんの言っていた感知したやつかな?」
<<それは本人に確認してみないことには・・・>>
だよね~。魔力が感じられるってことはそんなもしかしてロストロギア?・・・そんなわけないか。
「すいませんそれを渡してください」
「へ?」
急に後ろから声をかけられたから振り向いたがそこには誰もいない。・・・マジ怪奇現象じゃないのこれ?
「・・・あの、上を向いてくれませんか?」
「え?あぁ、上ね・・・上!?」
あ、金髪のツインテールの少女がこっちを見てる。というか、デバイスらしきものをこっちに向けてんだけど・・・。あれ?これ脅されてんのか俺?
「え~と、そんなものを向けられる覚えがないんですけど・・・」
「・・・それを渡してください」
「・・・はぁ」
ただ青い宝石を拾っただけなのに、何でデバイスを向けられて脅されてるんだろ・・・。仮にこれがあの子のものだとしても、頼む態度ってもんがあるんじゃないかな?まったく・・・。
「あのさ、これが君のものかどうかは置いといて、もう少し頼む態度ってのがあるんじゃない?」
「それについては謝ります、ごめんなさい。でも私には時間がないんです」
「時間?それはどういう「アンタには関係ないだろ」・・・はぁ?」
急に口調というかガラが悪くなったな・・・。いやそれ以前に声質が違うっぽかったから・・・。と後ろから声がしたのでさっきの金髪ツインテの子とは逆方向を向いてみるとそこには・・・
「・・・コスプ「違う!」違うのか。というかコスプレが分かるんだ・・・」
<<・・・そろそろ問題の先送りは止めませんか?>>
「やっぱりあんたもデバイスを持ってんだね・・・。管理外世界っていっても、魔法とまったく関係ないわけじゃないってことだね。フェイト、気をつけなよ!」
「うん、アルフもだよ」
ふむふむ、金髪ツインテの子はフェイトで犬耳コスプレ娘はアルフさんって言うのか。アルフさんはよく見たら尻尾まで生えてるし・・・。てかそろそろ時間稼ぎは止めようか・・・助けがきそうにないしね。
てことで・・・
「OKOK。君たちに質問だ、話し合いで終わらせる気は?」
「さっきも言いましたけど時間がないんです、ごめんなさい」
「同じく。というより魔力持ちで見ず知らずの人間の言うことは信用できないね」
「なるほど、フェイトって子はともかくアルフさんの言うことは一理ある。いいだろう、ならばこの宝石をかけて戦おう。勝った方がこれを好きにできる。勝敗の基準は相手を戦闘不能もしくは、負けを認めさせること。これでどう?」
「・・・」
「フェイトの好きなようにしていいよ」
「それじゃあ、その決まりでやろう」
「承諾したね?もう後には引けないよ。・・・ヴェルジュ」
<<はい、いつでも>>
すぅ~・・・はぁ~・・・。めっちゃ緊張してきた・・・。これが実践の空気ってやつかね・・・、肌がピリピリする感じだ・・・。でもそれが今は心地いい。・・・さあ、行こう!
「誓いの言葉をここに。我らは常に一心同体!」
<<どんな困難も二人なら必ず突破できると信じて>>
『ゆえに共にあることは我らの願い、我らの誓い!この誓いは誰にも破られはしないと信じて!』
『セット・・・アップ!』
フェイトside
・・・セットアップの言葉と共に彼はバリアジャケットを展開した。その色は純白に近い白を基調としていた。
(・・・きれい)
そう思えるほど見とれてしまった。戦闘中にもかかわらずに・・・。
[フェイト?ボーっとしてるけど大丈夫かい?]
[・・・ごめん、大丈夫・・・]
アルフに声をかけられてハッとした。いけないいけない・・・。戦闘中に余計なことを考えちゃだめだ。相手に集中しないとやられる。そう思っていたら、彼は両手に持っていた銃を私とアルフに向けて構え始めた。
(来る・・・)
side out
神那side
なんかフェイトがボーっとしてたから先手を打とうかと思ったら急に構えたよ。ぬぅ・・・アルフさんだな・・・。ちゃんとサポートしてるんだね~。でも、先手はもらうよ!
[ヴェルジュ、結界よろしく!それとアレをステルス発動状態で展開]
[了解です]
念話でヴェルジュに結界の発動とアレの展開をお願いすると、すぐに発動してくれた。そしてすぐさま二人に向かって銃弾を数発撃ち放った。結界を張った理由は単純に、いろいろ壊すわけにはいかないからだ。この結界の中なら現実世界には影響を及ぼさないらしいし・・・。
「ふっ!」
「よっと~!」
にしても二人とも早いな・・・。特にフェイト・・・、もしかしてあの子僕より早いかも・・・。
「さすがによけるね~」
「様子見で撃っておきながらよく言うよ」
「今度はこっちから」
<<ソニックムーブ>>
「!!」
「いくよ・・・」
フェイトが消えたと思った次の瞬間、声は後ろから聞こえた。早っ!ちっ、けどまだギリ避けられる範囲だ!こちらの意識を刈り取るのが目的なのか、フェイトは僕の側頭部を狙って右から左へと横なぎにデバイスを振るった。けれど僕はそれをしゃがんで避けた。あっぶな~。ほんとギリギリだった・・・。僕は避けると同時に距離をとった。
[少し引きつけようか・・・]
[後ろから撃たれますよ?]
[それを何とかするために訓練してたんじゃないか。撃ち落とすのは得意でね・・・]
「それじゃあ鬼ごっこと行こうか、よ~い・・・どん!」
その掛け声とほぼ同時に、僕はきびすを返して走り出した。
「え?」
「な!逃がすもんか!」
そう言ってアルフさんはオレンジ色をした魔力弾を自分の周りにいくつか生成しこちらに向かって撃ちだした。おおぅ、やっぱりそういったこともできるのね。って悠長なこと考える前に・・・。
「そうは問屋がおろさないってね!」
そう言って、僕はアルフさんが撃った魔力弾を振り向き様に全て撃ち落とす。このくらいの速度の魔力弾なら余裕だね♪
「な!?」
「魔力弾で足止めは難しそうだね・・・。アルフ、接近して叩こう!」
「分かったよフェイト!」
お、釣れた釣れた♪後はタイミングだね・・・。うまいことこちらに向かってきてくれる二人。しかし、フェイトはさっきより少し遅めでこちらに向かってきている。ある程度近づいたら一気にソニックムーブで僕の前に出ようって魂胆か、もしくはアルフさんと同時に仕掛けるつもりなのかな?まあそんなことはさせないけどね!と、アルフとフェイトがほぼ横並びになる寸前・・・、
[ヴェルジュ、サポートビットのステルス解除]
[了解、二人の少し後方に魔力弾を撃ちます]
[OK、さすが分かってるね~]
[フフッ、ここまでやればさすがに分かります。後詰めは任せますよ]
[了解]
次の瞬間・・・、二人の後方で爆発が起きる。
「ッ!?」
「な、なんだい!?」
突然後ろで爆発音がしたので二人は振り返ってしまった。
「・・・チェックメイト、だね」
「え?」
「しまっ!?」
二人が振り返った瞬間、僕も方向転換をしてソニックムーブを使い、二人に近づいて後頭部に銃を突きつけた。
「まさかこの状態で負けを認めないなんてことしないよね?」
「負け・・・た?」
「くそっ!」
どうやら認めてくれるみたいだね。アルフさんはともかく、フェイトは信じられないって顔してるな。まあ、今回は二人の油断を誘って勝ったみたいなもんだから、次はないだろうね~。
「フェイト・・・」
「・・・・・・」
「さて、僕が勝った訳だし、この宝石はもらってくね。それから二人とも僕についてきてくれる?」
「何でアンタについていかなきゃならないんだい!」
「さすがにこのまま帰すわけにも行かないし、時間がないって割にはこっちに付き合ってもらったんだから、せめて事情を聞いて手伝えるのなら手伝ってあげたいしね」
「え?」
「・・・アンタ何考えてんだい?」
あれ?善意で言ったのに、何言ってんのこいつ?みたいな顔で見られたよ。失敬な!人の善意は素直に受けるもんだよ!?
「今ならおいしいご飯つけるけど・・・」
「行こう、フェイト!さすがに携帯食ばかりじゃ栄養が無さ過ぎるってもんだよ!」
「そうだねアルフ!おなかいっぱいご馳走になろうね!」
・・・普段何食ってんのさ、そっちのほうが心配だよ・・・。ともかく・・・。
「来てくれる?」
『もちろん!』
人間やっぱり空腹には勝てないってことなんだね・・・。図書館は・・・この場合仕方ないね。ここで図書館行きたいって言ったらどんな顔するか分からないし、また次の機会にしよう。
Tweet |
|
|
6
|
0
|
追加するフォルダを選択
はい!というわけでちょっとずつではありますが、むこうを更新しつつこちらに転載しております!全部終わるまで少々かかるので、待ったりお待ちください(笑)