No.446904

ハイスクールD×D~魔乖術師は何を見る?~

ロキさん

これから説明なしでいきます。

2012-07-05 23:42:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6356   閲覧ユーザー数:6057

俺が目を醒ますと、そこにはたくさんの死骸があった。そしてその先には強大な力を振るう2体の白と赤の龍に加え、4人の悪魔と1人の天使が戦っていた。俺の腕の中で桜さんは眠っていた。

 

「なあ、神様。これは一体どういう事なんだ?」

『すまんな。お前を受け入れてくれるこの世界の神があそこにいてな。助けてやってくれ』

「分かりました。俺のお願いは叶えてくれたんですよね?」

『ああ。14種類の【マホウ】だったか?魂に入れておいた』

「ありがとうございます。それなら何とかなるでしょう」

 

はてさて、まずは何を使おうかな?…よし、決めた。

 

「【神討つ拳狼の蒼槍|(フェンリスヴォルフ)】!」

 

うっすらと俺の拳が蒼くなり、それを放つと蒼い魔力の塊が赤い龍の顔面に直撃した。そして爆発。

 

『…今のは何だ?』

「空気中の魔力を収束した後に圧縮させて放った、ただの魔力の塊ですよ。昔、一回やったら母さんにこっぴどく叱られたんですよ。いやあ、懐かしいな」

『あれだけの威力なら当然だろう…。(よくやったぞ、シュトレンベルグ!)』

「さて…俺はもう行きます。桜さんを守っていてください」

『うむ、分かった。頼んだぞ』

「はい」

 

俺が赤い龍の目の前に現れると、予想通りかなり怒っていた。

 

『貴様か!?我に傷を負わせたのは!』

「だったらなんだ?その程度で怒るとは、器が知れるぞ」

『ほざくなよ、小僧!二天龍であるこの赤い龍帝を嘗めるでないわ!』

 

【Boost|(ブースト)!】

 

いきなり赤い龍のオーラが増大化した。これが赤い龍帝、ねぇ…。

 

「何にも面白くないな」

『なんだと!?』

「もういいから果てろ!」

 

俺は右腕に白い籠手を出現させた。同時に赤い龍が炎を吐き出した。まあ、魔術障壁で7割強を防いだ後籠手で残り2割弱を取り込んだ。

 

『何だ、それは!?』

「【雷光を打ち砕くもの|(イルアン・クライベル)】。ま、お前には関係ないがな!」

『くっ!』

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

籠手に一本の雷の槍が出来上がった。それに大量の魔力を注ぎ込んだ。槍の密度はみるみる上昇した。自慢ではないが、俺の魔力総量は世界でも比肩しうる存在がいない程らしい。なんでも父さんが昔倒した源祖よりも上だと言っていた。

 

「【総てを射抜く雷光|(トール・ハンマー)】っ!!!」

 

【Divide|(ディバイド)!】

 

その音声と共に、雷光の槍が半分の大きさになってしまった。その所為で殺すつもりの一撃を防がれた。何が起こった!?

 

『このような小童に圧倒されるとは情けないぞ。赤いの』

『すまんな、白いの。だが、そこの小僧は面白い。四大魔王と神でも苦労しているのに、我だけとはいえ二天龍を1人で圧倒しおった』

 

龍の相手なんてそれこそ腐るほどやったからな。今の【総てを射抜く雷光】は、一番防御に長けた龍すらも一撃で死ぬレベルの威力だ。

 

それだけに防がれたのって結構ショックなんだよな…。

 

「…貴方は何者なのですか?」

「ん?」

「我々でも苦労しているのに、こうも易々と圧倒できる貴方は何者なのですか?」

「元の世界で化け物と罵られた哀れな転生者ですよ。神様」

「そう…貴方が」

 

『死ね、小僧!』

「しつこいんだよ!【疾風迅雷|(タービュランス)】!」

 

俺は体の中で雷光の槍を精製し、同調させた。そして雷光をその身に纏った。

 

そして放たれた魔力を回避した。【雷光を打ち砕くもの】で回収できる魔力にも限度がある。あの量はさすがに無理だな。

 

「ぐぁっ!」

「ちぃっ!面倒くさいことすんじゃねぇ!【復元する世界|(ダ・カーポ)】!」

 

白い龍の攻撃を受けた女性型の悪魔…まあ、ここには女性しかいないんだが。

 

「大丈夫?」

「あ、うん。ありがとう…///」

「顔が赤いみたいだけど…本当に大丈夫?」

「本当に大丈夫…きゃっ!」

 

「邪魔なんだよ!【総てを呑み尽くす極光の射手】」

 

これは魔乖術。八祖の一家【滅】の第四術法、【総てを呑み尽くす極光の射手】だ。【滅】の第四術法の特徴、それは一撃必殺。これを食らった奴は、少なくとも人間なら一撃で死ぬだろう。そう、人間なら。

 

『甘いわ!』

 

【DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!】

 

瞬く間に俺の放った魔乖術はかき消された。こいつが俺の天敵だな!

 

『退け、白いの!!』

 

赤い龍の口にとんでもない量の魔力が集まっていた。そして共にあの音声が流れてくる。

 

【BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!】

 

【Longinus Smasher!!】

 

「なにあれ!?」

「なっ!?」

 

「皆、固まってくれ!」

 

俺がそう指示を出すと、俺の所に来てくれた。良かった。あんまり頭の固い人達じゃなくて。

 

「お願いします」

 

俺は抱き留めていた彼女を仲間の悪魔に渡した。俺はこんな所じゃ終われないんだよ。だからーー

 

 俺は【雷光を打ち砕くもの】を消して素手になった。そして両手を赤い龍に向けた。

 

「邪魔すんじゃねぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

【高潔なる忠誠心|(アイギス・ブリンガー)】!!

 

あらゆる物理攻撃を防ぎ、魔術を取り込む絶対の盾だ。こいつを打ち破るのは不可能と言っていいレベルだ。だけどあいつらがそんな事を知っている筈もなく。

 

『その程度、突破してくれるわ!』

 

バチィッ!!と音が鳴っただけで、魔力は【傷だらけの忠誠心|(ストームブリンガー)】で防ぎ、それによって発生した衝撃は【高潔なる処女|(アイギス・メイデン)】で無効化する。攻撃を終えたその先には…無傷で立っている俺たちの姿だった。

 

『馬鹿な!?この攻撃にも耐えるだと?』

「そんな攻撃を食らうかよ!!」

 

まあ内心超ヒヤヒヤしてたんだけど。なんだよあの威力?【高潔なる忠誠心】が無かったら死んでたっての!

 

「それで打ち止めか?なら今度はこっちの番だな!!」

 

----【無に還った少女|(ブリンシーガメン)】!!

 

俺の手に手袋が現れ、そこから全部で10本の糸が出て来た。そして5本ずつ赤いのと白いのに巻きついた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!【裏切りの女神|(ダウィンスレイブ)】!!」

 

現象のエネルギーを操作する【無に還った少女】の糸で肉体を縛り付けた後、エネルギーを操作して鱗を破壊し肉体を切り裂く。

 

『『グォォォォォォォォォッ!!』』

 

よし、順調にダメージを与えてるな。原作中でもチート級だったもんな。

 

「さて次は…」

『嘗めるなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

「何!?ぐぁっ!!」

 

油断していたから失敗して攻撃を食らっちまった。一撃で肉体の6割のダメージか。当たれば確かに強いな。

 

「はぁはぁ…前言撤回だ。お前らは強い。だが、世の中にはもっと強い覚悟を持った奴がいるって事を忘れるな!!」

 

----【天地創造の神槍|(グングニル)】!!

 

それは自分の大切な者を失う悲しみを背負った男の最強の【マホウ】。これを打ち破ることが出来るのはその家族のみ。

 

「【概念付加】 【絶対必中】【衝突後に爆発】【魔力と質量変化の無効化】」

『そんな物が…当たるかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

「回避行動なんざな…無駄なんだよぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

なんせこの攻撃は絶対必中。回避行動なんざ無視してその攻撃を直撃させる。この攻撃の前には強者であろうと、再起不能になるだろう。

 

【DivideDivideDivideDivide!!】

 

音声が鳴り響くが、【天地創造の神槍】は姿を変えた様子も魔力の密度と量が変わった姿も見受けられない。

 

『我が力を持ってしても消せないだと!?』

「当たり前だろ!この槍は絶対に外れない。絶対必中の槍なんだからな!!」

 

【天地創造の神槍】は作品と同じように、4の概念を付加する事ができた。これならいける!でも、これで俺の魔力は打ち止め。精々【復元する世界】を一回発動できるか否かぐらいだろう。

 

「なっ!?なんだと!?」

 

重傷ではあったものの、まだ二天龍には戦う意志があった。さすがにこっちは限界なんだが…。

 

そう思っていると、四大魔王と神様が俺の近くに飛んできた。一体何をしに来たんだ!?

 

「お疲れさま。ここからは私達がやるわ。生命力も魔力に転換すれば、きっと殺せる」

「そんな事は分からないだろう!?そんな不確実な可能性に命を賭けるって言うのか!?」

 

「でも!このまま放っておいたら、あの2体はまた暴れる!それを放っておくなんて出来ない!」

 

「この…分からず屋がっ!!」

 

民のために命を賭けるその思想は立派なもんだ。だけど、残された者はどうなる?悔しさを、悲しみを背負って生きていけって言うのか?ふざけるな!!

 

「それが!大切な者を残してまで!悲しみを背負わせてまでする事なのか!?ふざけんな!!愛する人に置いて逝かれる、そんな人達の気持ちを考えたことがあるのか!?」

「じゃあどうするって言うのよ!?貴方はもう魔力も切れてる。そんな状況であいつらを確実に討伐するにはこれしかないのよ!!」

 

5人は一斉に飛び立った。最後に悪魔の1人が泣いてしまっている俺の涙を払いながらこう告げた。

 

「ありがとう、心配してくれて。でも、大丈夫。私達はちゃんと生き残るから」

 

そして俺の頬にキスすると、他の4人を追って飛び立った。

 

「俺はまた失うのか…?俺が弱いから?俺はもう失いたくないと思ったから、修行を積んできたのに!俺はもう守りたい人を守る!そう決めたんだ!!」

 

俺がそう叫ぶと、どこからともなく声が聞こえてきた。いや、聞こえてきたのは俺の内側からだった。

 

『良い覚悟じゃねぇか。その思い、忘れんなよ?』

 

「っ!?今のはまさか…【復元する世界】の芳野零二!?」

『そうだ。俺はお前の【守りたい】という強い意志に惹かれて覚醒した』

「という事は他の【マホウ】も…?」

『ああ。魂を宿してるな。まあ、それは置いといて本題に入るぞ』

「はい。お願いします」

『硬いなぁ。まあ、いいか。お前、明人とか言ったか?【復元する世界(ダ・カーポ)】を使って、一旦魔力貯蔵量を零にしろ。そこへ自前の魔力を流す。分かったな?それと1つ問うぞ』

「はい。何でしょう?」

『お前は彼女達の為なら、何でもする覚悟はあるか?壁があるなら、それをぶち抜き、全てを斬り開き、世界が阻むならその世界を焼き尽くす。そんな覚悟がお前にあるか?』

「笑止千万!当たり前じゃないですか。大切な者を守るためなら、俺は容赦なく戦う。相手が世界なら、俺は周りにいる大切な者を守る為に世界を滅ぼします」

『アッハッハッハ!面白いな!実に面白い!お前らもそう思うだろ!?』

『零二、君は相変わらずだね?』

『まったくなんだよ!!久しぶりの再会なのに…零二の馬鹿!』

『まあまあ、落ち着いてサクラちゃん。でも、さすがに今回はサクラちゃんに同意かな』

『まったくお硬い連中だぜ。そう思うだろ?』

 

俺は返事を返すことが出来なかった。なんせ各【マホウ】の所持者の意志が次々と目覚めたんだから。

 

「え?【雷光を打ち砕くもの|(イルアン・クライベル)】の皇樹龍一さん?【黄金色の誓約|(ティルヴイング)】の鈴白なぎささん?それに【穢れなき桜光の聖剣|(レーヴァテイン)】のサクラさん?」

『そうだけど…どうかしたかい?』

 

どうかしたかい?じゃねぇよ!!あの【最終戦争|(ラグナロク)】で戦った魂が俺の中にいるというだけで興奮するわ!

 

ちなみに【マホウ】というのは、戦略破壊魔術兵器の略だ。

 

『僕たちも君に協力するよ。なんせ零二が最初に認める程の子だし、さっきの返答は僕も気に入った。なぎさはどうする?』

『もちろん私も協力するよ。我が剣汝の願いの為に、ね?サクラちゃんはどう?』

『零二のいる場所が私の居場所。もちろんお供するんだよ。よろしくね?明人|(マスター)』

「こちらこそ、よろしく。さあ、我が願いの為に!起動せよ、【復元する世界|(ダ・カーポ)】!!」

 

俺の身体の傷が消えていき、同時に俺の内包魔力も尽きた。

 

『テメェの道は自分で切り開け!テメェの女はテメェで守れ!なに、きちっとサポートはしてやる。だから、俺たちにテメェの生き方を見せやがれ!』

「上等だ!俺は俺の願いを叶えてやらぁ。そのために、俺について来い!!」

 

俺の身体の魔力がなんと全回復した。今度こそぶち殺してやるぜ!!赤い龍さんに白い龍さんや!!


 
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