Side:Alisa
こうやって私の視点で話すのは初めてになるのかな?
ってなわけでアリサ・バニングスです。
えっと……何を話せば良いのだろう?
とりあえずここ最近はなのはが持っていたもう一つの家?に来たりして、そこに住んでいるアリシアと一緒になのはから魔法の練習をしてもらっているわね。
この前フェイトがなのはをキスするところを見てしまって、数日前になのはとその……やってしまったのだけど、正直言ってやり過ぎたなという後悔がかなりあるのよね。温泉の時みたいに押し倒しちゃったし、今回はなのはが落ち込むことはなかったけど、下手したらその時と同じような事が起こっていたと考えるとやりすぎちゃったかなと思っていたりと。
だから、その数日前からずっとなのはが近くに居るとさけたくなっちゃうのよ。今回二回目だし、一度なのはから距離を取った方が良いかなと。
だけどまぁ、なのはが好きな事は変わりないし、私がやっている事は自分を苦しめるだけだという事は分かってる。それでも私は一度自分を暴れさせないようにと自重するようにしていたのだった。
そのおかげで今はアリシアと一緒になのはから魔法の練習をする時と、魔法の練習をするためにもう一つの家?へ来るときになのはが使う転移魔法の時ぐらいしか近づくことはここ最近ないのであった。学校でもなるべく一緒に居ることは避け、昼食のときだって私となのはの間にすずかを間に挟んでいたりしていて、さらにはスキンシップもここ最近はしていない。多分すずかも私がなのはを避けているという事は気づかれていると思うし、私が避けている本人であるなのはにもその事には気づかれているだろうと思ってる。だがそれでもこれは私のけじめだし、なるべく暴走しないようにするためだと思っているのだ。
だけど――
「はぁ……」
魔法の練習が終わって休憩時間になると、なのはから貰った自分の部屋にあるベッドでうつ伏せになりながらため息を吐いていた。
なのはの事を考えると胸が苦しくなるのだけど、それでも我慢するつもりでいた。そうでなければこんな事をする必要はないのだから、我慢してでも貫き通すつもりでいた。
自分勝手になるつもりはない。そのせいでなのはに迷惑をかけるのならば、余りべたつかなくても良いと思っていた。魔法なんて言うものを私が知らなかったら未だになのはにべたついていただろうと思うが、魔法というものを知ってしまい、なのはが何かをしでかそうとしているのが分かってしまえば私が我慢すればいいと思ってしまったのだ。
だからあの時なのはにやってしまったことは反省している。ここに居る時のなのはは授業よりもかなり真面目だし、私たちに魔法の練習を教えることも真剣になっているので、これ以上なのはに迷惑を掛けたくないと思ったのだ。
「ミリアですが、入ってもいいですか?」
「別にいいわよ」
私がベッドに倒れていると突然ドアからノックの音が聞こえきて、私が誰か聞く前にミリアだと名乗ってきたのだった。
特に断る理由もなかったのでミリアさんを中に入れさせることにした。
そういえばエリナさんもそうだけど、いつの間にかメイド服姿が定着しているし、今になっては全く違和感を覚えなくなっていた。命を救ってくれたからと言って一生メイドとして生きる道を選んだ事に、なのは自身分かってないらしいし何度かメイドなんてやらなくていいと言ってもそれだけは譲れないとか。なのはもその事についてはもう諦めたらしいけど。
って、そんな余談はどうでもいいわね。っていうより一体何しに来たのだろう?
「それで、一体何の用なの?」
「えっと……」
ミリアさんは何かを言いたげな感じであったが、何も話してくれなかった。
話を待っているとなんかかなり時間が掛かりそうだったから、魔法で何を聞きたいのか確認しておこうと思って魔法を使う事にした。相手の考えが読めるって案外楽だよね。
〔き、来てみたのは良いけど、まずこの前の事を謝らないといけないし、他にもたくさん話さないといけないから、何から話せば……〕
成程ね。この前私に教えた事を謝らないといけないと思ったのね。別に私は気にしてないのだけどね。確かにアドバイスはもらったけど、あの時はフェイトがなのはにキスされたせいで温泉の時の出来事を忘れて、何としてでもなのはとキスをするつもりでいたからね。まぁ、あんなことをしたのはアドバイスを言われて私もそうしようと思ったからなんだけど、それでも悪いのは私だから。
とりあえず、このままでは話が進まないと思うので私から話そうか。まぁ、魔法を使ったことを気づかれないようにしながらね。
「もしかして、この前の事で謝りたいとか?」
「っ!? ど、どうしてその事を!? も、もしかして魔法で私の考えている事を見たのですか!?」
「いや、なんとなくやってきた理由がそうじゃないかと思ってね。まぁ、今からでも確認してもいいのだけど」
「止めてください!!」
あまりなのはは私が相手の思考を読み取る魔法で怒ったりしないが、やはり他人からそのような事をされたら嫌なんだろうね。私からすれば楽しいことなんだけどね。
っていうかミリアさんって私より年上なんだよね? なんかからかっていると私と同い年のように思えてしまうのだけど。
とりあえず私はミリアさんをからかうのを止めて、真面目に話を聞くことにした。
「それで、大体話の内容は分かっちゃったけど、私に謝りたいわけ?」
「……えぇ、アリサさんには余計な事を教えてしまってなのはさんに怒られてしまいましたし」
「でもそんなの良いわよ。あの時の私はなのはに何としてでもキスをするという事だけしか考えてなかったから」
「それでも、あんなことになってしまったのは私たちのアドバイスですから、何か手伝わせてほしいのです!!」
……前になのはがオリフィア姉妹の事を、自分たちを助けてもらったり悪いことをしたら何かお礼や手伝わせてもらわないと気が済まないと言っていたのだけど、その通りなのかもしれないわね。こりゃ、なのはがメイドにならなくていいという事を説得するのを諦めるわけだわ。
多分私が断ったとしてもこの話を何時間経とうと続けるのだろうと私は思った。そう言う事に関してはエリナさんもミリアさんも挫けないのだろうと思い、なのははそれを一度経験しているから諦めたのかもしれないと思ったのだ。なのはが経験しているかが本当なのか分からないけどね。
とりあえず私はミリアさんに手伝わなくて良いという事を説得するのを諦めて、何かを手伝わせることにするのだった。っていうかこんな感じだったら本当にどっちが年上なのか分からなくなるのだけど。
「……分かった。手伝ってもらう事にするわ」
「はい!! それで、何を手伝えばいいのですか?」
とは言ったものの、何か手伝わせてもらうことはないんだよね。本当ならなのはの事でどうしようか考えようとしていたぐらいだし、何かをするつもりはなかったというか……
う~ん……どうしようかな……
……あ、良いことを思いついた。
「……一つだけ手伝ってもらいたい事があるのだけど」
「はい、一体なんですか!?」
「それはね――」
そして私はその手伝ってもらいたい事をミリアに伝え、私はこの後やる事を考えていると楽しみになっていたのでした。
Side:End
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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