(203号部屋 ルカ様の部室)
一行は巡音ルカが部長を勤める部室の前に到着した。
升太:うーむ、今回はメイコさんの部活のように、名称が伏されているんだ
海斗:“生きて帰ってきた”部活関係者の話では、確か“バトルマスター研究部”とか言う名前だったはずだけど、全員、記憶がおぼろげになっているから、実際の所、よく解らないんだよね
升太:な、なんちゅー部活だ・・・。で、テトは今回も“黙り”なわけだ
テト:耳タコになるけど、私の仕事では、そういう規律になっているの。でも場所は教えたでしょ。まぁ今回はあなただけじゃなく、大所帯になっちゃったけど、一応案内はするよ。とにかくタコの鍵で部屋に入ってよ
海斗:では僕が鍵で開けるから、僕を先頭にして、入ってきてね
全員:はい
カチャ ギーーーーーー
ドアはきしむような音をたてながらゆっくりと開いた。
升太:な、なんか、今回はいつにも増して、不気味な部室だなぁ・・・
全員がドアを通過し、部室に侵入した先の地点、そこは半円の砂地だった。そして目線のその先180°は、右も左も広大に見える“ジャングル”になっていた。
キーキーキー バタバタバタ ジャブジャブ
升太:あ、あのー、ここ、本当に部室ですか?
海斗:あ、ああ。間違いないよ、ここは、巡音ルカのバトルマスター研究部の部室・・・・・・のはずだが・・・
テト以外、?マークだらけになっている全員の耳に女性の声が聞こえてきた。声の発信源は、ちょうど入り口のドアがあった壁の上についていたスピーカーだった。
女性の声:ようこそ、バトルマスター研究部へ。私は部長の“巡音ルカ“だ。それにしてもテト、久しぶりだな
テト:そうね、ここまでたどり着いた挑戦者って、数少ないからね。そして・・・
ルカの声:ここを突破できた挑戦者は、片手で数えられるだけ。前の挑戦者から今回の挑戦者まで、随分間があいたな。暇だったぞ
テト:“飴と鞭”・・・“鞭”で部長の貴方と、“飴”で部員のスウィート・アンさん(以下、アン)、暇だった割に、部屋のジャングル度が一段とグレードアップしたように見えるけど
ルカの声:まぁ、そういう所で生き延びる事を研究するのが、我が部の内容だからな。いろいろ仕込んで置いた
テト以外、全員呆然としていた。
ルカの声:さて、本題に移ろう。今回はまた挑戦者が多いな。知っている部室棟の住人とテト以外にいるのが、その男だけだから、本来の挑戦者は彼だけなわけだ。しかし、我が部のオキテ通り、テト以外で、この部室を訪れた者は、問答無用で“挑戦者”扱いとする。文句は言わせない。そして、これから、該当者は“ここの勝負”に挑戦してもらう
海斗:・・・なるほど。部室棟関係者で連絡しにきただけなのに、戻って来れた人員が少ないのは、このためか。やっぱり“戦闘力最強のルカ“は伊達じゃないわけだ
メイコ:き、気の毒というか、めちゃくちゃね・・・
ルカの声:勝負だが、実に簡単なことだ。テト以外の全員で、このジャングルに入って“私”を見つけることだ。このジャングルには、部員のアンと私しかいない。アンはサポートがメインだが、“必要だ”と判断した場合は、近づくことを許している。私は“見つかった事をこちらが確認でき、君たちも確認出来た”時、私の方から返事をして投降することにしている。その手段として、そこのテーブルの引き出しにあるものを使うことにする。テト、頼む
テトは砂地の端にあったテーブルの引き出しを開けて、大きな懐中時計式のレーダー機を人数分取り出して手渡した。
ルカの声:それは“ルカレーダー”。この部室の中限定で、私の位置を知らせるレーダー装置だ。各自それを携帯して、私を捜して欲しい
升太:なんか、凄いことになってきたなぁ・・・
ルカの声:それと細かいルールだが、テトはこの砂地で待っていて貰う。そして君たちはそのジャングルの沢山の入り口からバラバラに時間をおいて侵入してもらう。つまり各自バラバラになって私を捜すということだ。このジャングルを一人で生き抜くサバイバル術、つまり、自然とバトルする事のマスターになることが、この部の意義であり、全てなので、勝負はそれに準ずることにする
ミク:ミク~、もう部活の域を超えているミク・・・
ルカの声:私もそう簡単に見つかるわけにもいかない。当然逃げたり隠れたりするが、その際アンと共同してトラップなどを張らせて貰う。それにかかってゲームオーバーになった人物はアンに気絶させられて、入り口であるテトの元に強制移動させられる。当然、その人物はゲームオーバーだから、全員がゲームオーバーになって戻ってきたら再挑戦でき、誰かが私を見つけてクリアーした場合は、全員クリアー扱いとなり、全員で3Fに進める
リン:要するに、一人を見つける”かくれんぼ”なわけね
ルカの声:君たちは、ジャングルで生き延びるサバイバル術を会得して駆使し、私を見つけなければ、この先へは進めないわけだ。では、ゲームスタートと行くぞ!
レン:な、なんちゅー強引な・・・
ルカの声:レディーーーーゴォ!
升太:とにかくルール通りじゃないと、アンに強制的にここに戻されるわけだ。全員散開して、ジャングルに突入しよう
ポチ・・・・ピコーン
ミク:ミク~、とりあえずレーダーにはここの地点とルカさんの地点が表示されるミクね。よーし! 行くミクよ!
レン:よ、よし! 行くぞ!
リン:見つけないと始まらないみたいだから、とにかく行くわ
メイコ:はぁ~、せっかくお風呂入った後なのに・・・。見つけた後、私はお風呂に入り直すわ・・・
海斗:携帯アイス・・・・あるな、よし! 行こう!
升太:戦闘力最強か・・・・気を付けていこうか
ザッザッザッザッ
全員、散開してバラバラにジャングルに入っていった。
テト:みんな~頑張ってね~!
(数分後の海斗)
海斗:はぁ~、ここ本当に部室なのか? ヒルとか蛇とか大型肉食動物とか危険な動物はさすがにいないみたいだけど・・・・。携帯アイスもさっき食べちゃったし、ここからはルカを見つける事と同時に、食べ物も確保していかないといかんのか・・・
高い木の枝から紐でぶら下げられた袋入りの“スティックアイス”が、海斗の目線に入った。
海斗:おお! さすがに部室、食べ物はこういう感じで用意されているのか! では、早速食料確保だ!
ザッザッザッ サッ
海斗はなんの躊躇もなく、袋入りのアイスを手に取った。その刹那!
ガバーーーーー!!!!!
海斗:う、うわ!!!!!
海斗はあっさりトラップに引っかかってしまった。上から大きな網が降ってきて、海斗を包んでしまった。
海斗:もがもがもが! ふご!
サッ
地面でもがいている網の中の海斗の側に、迷彩服を着た長身の女性がいつの間にか座っていた。
海斗:もが!
女性:部員のアンです。はい、ゲームオーバー!
ぴこん
海斗:ばたんきゅ~・・・・・がくっ・・・
アンは謎のピコピコハンマーで海斗の頭を叩くと、海斗は気絶してしまった。アンは携帯マイクに向かって全員への連絡をした。
スピーカーの声(アン):はい、一人脱落! 海斗さんですね。皆さん、頑張ってネー!
(15分後のメイコ)
メイコ:まったく海斗のヤツ! 5分程度でゲームオーバーになっちゃって!
ピコーン
メイコ:うーむ、レーダーではまだ奥の方を指しているわね
ムシムシムシ・・・
はらり
メイコは胸元のジッパーを上からかなり下まで開けていた。黒いブラが完全に見えてしまっていた。
メイコ:しっかし、本当に暑いわね~、冷暖房で調整していると思うけど、湿度まで合わせなくてもいいのに・・・・。まぁ個別探索だから、ブラなんて見えていても、恥ずかしくも何ともないんだけどね・・・・。はぁ。この道の先当たりが怪しいんだけど・・・
道の先になにやら行き先看板が立っていた。
←(ジャングル奥) ↓(砂地) (秘湯“タコの湯”)→
メイコ:あ・・・ああああ、“秘湯“!・・・・す、少しくらいいいわよね。もう体べたべただし・・・。大丈夫! ここにマーキングを残しておけば迷わないから
メイコは自分のハンカチを行き先看板の棒の所に縛り付け、右の“秘湯 タコの湯”を目指した。
(秘湯“タコの湯”)
モアモアモア・・・
そこは小さいながらも木製の脱衣所もあるしっかりした温泉だった。
ハラリ・・・ハラリ・・・ハラリ・・・チャポン・・・
メイコは迷うことなく、脱衣所で靴を脱ぎ、服を脱いで、鞄に入れてあった常備品“携帯型タオルとバスタオル”を用意し、温泉に浸かっていた。
メイコ:はぁ~、さっぱりする~。ルカさん、なかなか気が利くじゃないの! “秘湯”だから無問題よね~
いつのまにか、メイコの後ろにタオルを巻いた女性が座っていた。気配は完全に殺していた。
アン:はい、ゲームオーバー♪
ぴこん
メイコ:ぬ・・ぬかった・・・・・・ばたんきゅ~・・・・ゴボゴボゴボ・・・
アンはリタイアしたメイコの体を拭いて、服を着せて、抱きかかえ、テトの地点に抱えて戻っていった。
スピーカーの声:はい、二人目脱落~♪ ふがいないですよ~、もっと頑張ってね~!
(30分後のミク)
ミク:ミク~、二人脱落ミク~。脱落のペースが早いミク~・・・ん? ミク! このにおいは!
ミクの歩いていたあぜ道の向こうには、長ネギが大量に植えられており、何故か洗浄用の水道まで完備されていた。
『横の水道で洗って、ご自由にお食べ下さい』
ミク:ミク~! 突撃ぃ~!
ミクは条件反射的に畑に突撃していき、数本引き抜いて、洗い場まで持っていって、良く洗った上で、一本をおもむろに手に持って、口を大きく開けた。
ミク:ミクぅ! いっただっきま~す!
その後ろに、もんぺ姿の女性が息を殺してピコピコハンマーを構えていた。アンである。
アン:(3人目、いただき!)
ミク:・・・擬似太陽ライトを“背にして忍ぶ”のは失敗ミクよ
アン:!
ミク:“影”が丸見えミク!!!!
シュ!!!
ミクは長ネギをブレードのようにして、振りかざしながら後ろを振り向いた! しかし、そこには誰もいなかった。
ミク:! ミク!? どこ!?
アンの声:私は役割的に見つかるわけには行かないのよね。さっきはうっかりしていたけど、私の“忍術”ならコレくらいのリカバリー、大したことないのよ
ミク:どこミク!
アンの声:さて問題です。私は“どこから”あなたの背後に来たでしょうか?。
ミク:・・・・・・・・・! ミク! まさか・・・・下!
アンの声:ご名答! だから貴方に次はないのよ
ぴこん
ミクの足下の前の地面から、ピコピコハンマーを持った“手”が出てきて、ミクの足下を叩いた。このハンマーの効果は相手のどの箇所でも構わないようだ。
そう、アンは忍び寄る前に、ミクの近くの地面に潜って待っていたのである。はい上がり忍び寄った直後、すぐに潜っていた地面に戻り、カモフラージュ布で覆い、ミクの行動を地上に出したCCDカメラで観察していたのである。
ミク:な・・・・なんて人ミク・・・・・ばたんきゅ~・・・ミクミク・・・・
ばたん
アン:ふぅ~今回はちょっとやばかったわね。まさか擬似太陽ライトを背にしていたとは。気づくこの人も凄いけど・・・。
アンはいつものように携帯マイクを使って、報告した。
スピーカーの声:はい、3人目脱落~! なかなか手強かったわ。コレくらいの、次もお願いね
アンはミクを背負ってテトの所まで運んでいった。
(40分後のレン)
レン:ふぅ~、レーダーではまだこの周辺ではない・・か。そろそろ食料を確保しないと。バテてきてる・・・ん?
レンの前にあった看板にはこう書かれてあった。
『この上のバナナの木のバナナ、ご自由に (ルカより)』
レン:お! 気が利いているな! では早速・・・・
パラ・・・パラ・・・パラ・・・
レンはなにか小さい豆のような物を落としながらバナナの木に近づき、バナナを数本手に取った。
プチッ プチッ プチッ
レン:・・・・こんな子供だましに・・・・引っかかると思ったか!
シュッ!
レンは振り向きざまに、バナナをブーメランのように投げた!。しかしそこには誰もいなかった。
レン:ちっ! 逃がしたか! “豆が潰れる音”から考えて、“歩いて”近づいたことは明白。音のとぎれた時間から考えて、少し後方か
レンは後方の風景をよく観察した。ジャングルだけあって、隠れられる所はさすがに多かった。バナナブーメランで切り倒されていた木は数本あったものの、それでもまだまだ隠れるには十分だった。
アンの声:“忍びが使う技“を逆に使うとは、こりゃおねーさん、一本取られたわ。どうやら今回は”忍術合戦“になりそうね
レン:・・・・わざと引っかかったんだろ、アンさん!
レンはバナナを“くない”のように逆手持ちし、後ろを振り向きざまに看板にバナナを突き立てた!。その看板にはこう書かれてあった。
『なかなかやるわね』
レン:ちっ! 僕の後ろに回り込んで看板を“空蝉(うつせみ)の術”に使ったのはわかったけど、また逃したか! 次はどこだ!
アンの声:ふぅ~あぶないあぶない。バナナを“くない“に出来るとはね。じゃあ、おねーさん、本気出すわ
レン:どこだ・・・どこなんだ・・・
レンは気配を読みながら、360°の周囲を回りながらアンの居場所を探っていた。
シュ!
レンの前方の向こうから、ハンマー部分を90°倒した“ピコピコハンマー”が高速で飛んできた!
レン:な! 飛び道具!
サッ!
レンは寸での所でハンマーの飛んできた方向の斜め前へ回避出来た。しかし、アンは一枚上手だった。
ピーーンッ!
ピコピコハンマーは急激にレンが回避した方向に方向転換して飛んできた!
レン:な・・・“ピアノ線”を付けて投げていた!
そう、アンはハンマーに結んでいたピアノ線を引っ張ったのである! ハンマーは当然レンの方向にイレギュラーに方向転換し、回避途中だったレンを襲った!
ぴこん
レン:く・・・・・無念・・・・ばたんきゅ~・・・
ばたん
アン:ふぅ~。なかなか凄腕だったわね。私と忍術勝負でほぼ互角とは。まぁいいや仕事仕事
アンは前と同じように携帯マイクに向かって連絡をした。
スピーカーの声:ふぅ~、これで4人目脱落よ。ちょっとやばかったけど。これで残りはリンさんと升太さんですね。二人とも頑張ってね~
アンはレンを背負い、テトの所に戻っていった。
(50分後のリン)
リン:はぁはぁ・・・や、やばい・・・・残りは私と升太さんだけ・・・。なんとか見つけないと・・・
ポチッ
リンはルカレーダーを再確認した。
リン:私たち6人でレーダー付きで追いかけているのに、レーダーのポイントは全員の動きを知っているかのようにかいくぐっている。まるで・・・・・・・・・・
背後で声が聞こえた。
アン:ご名答。でも、そのトリックに気づいても、仲間への連絡手段は無し。でもって、あなたはここでゲームオーバーよ
しかしリンは後ろも振り向かず、そのままの姿勢で、語りを進めた。
リン:・・・・・チェックメイトは貴方の方よ
チャキッ
アン:な・・・ばかな・・・・なんで私が背後を取られるんだ・・・
アンの後ろにはジャングルのアイテムで迷彩して、木を削って作った木製ナイフをアンの背に突きつけた“升太”が立っていた。
升太:アンさん・・・・・王手だよ
アン:何故、背後を取れた?
リン:私たちは“一緒”には探していなかった。升太さんは私の通った道を追跡していただけ。勿論“タッグでこの罠を仕掛ける”事は出発前に確認済みだったけどね
升太:そして“僕たち二人だけになる”時を待っていた。リンがルカの発信地点から遠い所を移動し、僕が迷彩状態で隠れて動いていれば、暫定最後に狙われるのは“必ず”リンさんになる。それをずっと待っていた
アン:そして、その“罠”に私が引っかかった・・・・・と? しかし、見つかったのは“スウィート・アン”である部員の私だ。ルカさんからは罰則を受ける事になる程度であり、ルカさんを見つけた事にはならんよ?
升太:“王手”だっていっただろ、アンさん・・・・・いや、“巡音ルカ”さん?
アン:・・・・・何を根拠に?
リン:私たちはずっとレーダーに映っている“ルカの発信地点”と仲間がやられていく時の“法則”を見ていた
升太:放送があり、仲間がやられていく前後で、レーダーは必ず“止まっていた”。そして放送が終わると、再び動きだす
リン:毎回、100%私たちから逃げられるコースで動いていた。こんなこと“私たち全員の居場所”をルールに則った上で全部知ることが出来なければ、できっこない事
升太:それが出来るのは、“レーダーに映らずに自由に行動出来る人物”、つまりアンさんだけだ
リン:そしてレーダーの発信地点が止まっている時間は、“放送があり、アンさんが仲間を見つけて作業していると思われる”時間と一致。作業と同時には操作出来なかったようね、“発信器を取り付けたラジコン”を動かす事は
アン:・・・・・
升太:そもそも、この部活には“スウィート・アン”なんて人物、存在しなかった。そのトリックを漏らさないために、例え部活棟関係者でも、厳しくチェックしたか、記憶をおぼろげにしていた
リン:巡音ルカさん? さすがは“バトルマスター”ですね? はっきり言って最強でしたわ
アン:・・・・ゲームクリアーよ。しかし、クリアー人物がリンと升太のタッグだったとはね
アンはカツラと変装マスクを外した。そこにはピンク色の綺麗な髪の毛を持った“別人”の顔が出現した。
巡音ルカ(以下、ルカ):まさか、このトリックを見破られるとはね。そう、スウィート・アンという部員は存在しないわ。レーダーのポインターは発信器を取り付けた球形浮遊ラジコン。やっぱり今回は“挑戦者の人数が多かった”のが直接の敗因かもね
リン:確かに、私たちがタッグを組めず、さらに複数の仲間がやられていく法則を見抜けなければ、解らなかったでしょうね
升太:今回は、正直、本気だしたよ。迷彩塗装に木のナイフまで作ったしね
ルカ:喉に“変声機”を仕込んで話していたけど、小手先の技だったわね。さぁ、テトの所に戻りましょう
その場の3人は走ってテトのいる“出発地点”に戻っていった。
(203号部屋・スタート地点)
テト:おかえり。どうやらゲームクリアーみたいね
升太:今回はいやに出発の時のテトの話が少ないと思ったら、こういう事だったか
テト:ボロを出すわけにはいかないからね。保険のためにあんまり喋らなかったわ。まぁクリアーしたんならいいわ。とりあえずお疲れ様、みんな、アーンド、アンさん、いや違った、ルカさん?
ルカ:いやー、まさかクリアーされるとは思ってなかったわ。まぁでも負けは負け。はい、これが3Fへの防火扉の鍵で、こっちが、301号部屋の鍵よ
ルカは前に貰った“防火扉の鍵”と、人参マークの入った“勇気めぐみの鍵”を升太に手渡した。
ルカ:あとね、私も付いていっていいかな?
升太:へ?
ルカ:だって、ああ完璧にトリックを見破ったメンバーだもん、3階、4階の最強二人に勝てるのか、私も見届けたい・・・いや、協力して、“最後の部活”までたどり着きたいじゃない!
升太:よ、4階!?
ルカ:そ。4階が最後のフロアでその上は屋上だから。3階はめぐみさんの“大手の部活1つ”だけで席巻されているの。そして最後の4階も1つだけ。話では“紫の侍のコスプレをした変な人の部活”なんだって
テト:でもって、その上、つまり“屋上”までたどり着いた挑戦者は一人もいないわけ。しっかし、ルカさんまで加わっちゃうとはね。大所帯よね~
ルカ:今後とも宜しくね
升太:よ、宜しくです。とりあえず先に進もうか
一行全員は、ルカレーダーを引き出しにしまい、203号部屋を出て、2Fの防火扉に移動した。
***
(2F・上り階段前の防火扉)
カチッ
升太は鍵で防火扉を開けた。
升太:しっかし、なんでここは通路に“防火扉”をやたらに設けてあるんだ?
テト:・・・・・まぁ先に進めばわかるんじゃない?
升太:まぁ、そうだろうけど・・・。まぁいいや、階段を上って、“勇気めぐみの部活”へ進もうか!
全員:おーーーー!!!!
こうして、一行は階段を上り、301号部屋を目指すのだった。
(続く)
CAST
主人公・墓火炉 升太(ぼかろ ますた)=升太:とあるボカロマスター
案内役の死神小悪魔・重音テト:重音テト
料理研究部部長・初音ミクさん:初音ミク
技術研究部部長・鏡音レンさん:鏡音レン
模型研究部部長・鏡音リンさん:鏡音リン
温泉&お酒研究部部長・咲音メイコさん:MEIKO
アイス品評研究部部長・工藤海斗:KAITO
バトルマスター研究部部長・巡音ルカさん:巡音ルカ
バトルマスター研究部部員・スウィート・アンさん(ルカの変装):SWEET・ANN
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○ボーカロイド小説シリーズ第8作目の”おいでませ! 木之子大学・部室棟へ♪“シリーズの第5話です。
☆初めて、ボカロキャラ以外の“ボカロマスター”を主役に、UTAUのテトをヒロインに持ってきました。
○ノリはいつもの通りですが、部室棟という今までと違った場所での対決をメインにしているのがウリです。
○部室棟や大学のモデルは、私の母校です。
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