第8話 驚天動地
俺が桃香たち3人と出会って半年が経過した。季節はすっかり秋になり、白露の名が知れ渡るとともに、愛紗や鈴々の勇名もかなりのものとなりつつある。
そんなある日の夕暮れ。白露から借りてる町の空き家の一室で、俺は愛紗と女媧の3人で部屋で相談事をすることにした。
「さて、甄、人払いを頼むよ。俺たちの話が誰にも聞こえないようにしてくれ。」
「わかった。」
「…………。ご主人様、改まって話とは何です?」
「ああ、これからどうするかを話しておこうかと思ったんだよ。最低限の手勢として兵2000は確保したし、張世平と蘇双のお陰で兵糧も米や肉がきちんと集まってる。
白露の元にずっと居ても、ある意味では『邪魔』にしかならな
「邪魔?」
俺の言葉を遮り、愛紗はそう聞いてきた。
「あえてこういう言い方をするけど、自分より能力が高い者を部下としておいておくことをよしとするような懐の広さは白露にはないよ。というか、そんな為政者は本当に一握り、桃香くらいだと思う。」
もしも他に居たら、ソイツは一番危険な
「つまり、私や鈴々が戦功を立てて『劉備』の名が広まっていくのを白露殿は快く思っていらっしゃっていない。そう仰りたいわけですね。」
「ああ。それなら独立してしまったほうがいいと思ったんだよ。で、今日愛紗を呼んだのは他でもない、『天界の技術』というものを見せようと思ったんだ。」
「天界の技術……? なぜそれを桃香様や鈴々には教えぬのです? 私にだけ教えるというのは……?」
「その理由は単純。桃香や鈴々なら他の者に喋らないとも限らないから。で、コレだ。ペンとノオト。」
「これは……? 紙ですか?」
「そう。そしてこっちはまあ、墨みたいなものかな。墨と筆が合わさったものだと思えばいい。ちょっと見てて。」
そして俺は中国大陸の略地図を書いた。といっても横長の長方形にチョコチョコと付け足したような略地図だけど。
「な…………。墨より遥かにに細い……。」
「それだけじゃない。色がつくのもある。」
そうして別のページの余白に赤・青・緑・紫・オレンジのペンで一本ずつ線を引く。赤・青・黒と三色のペン。計7色。あとはシャープペン。こっちではインクの補充ができず、ストックはそれぞれ2本しか無いからかなり慎重に使わなくちゃいけない。シャープの芯は結構あるけど。
学校で、歴史や生物の授業用に、『黒を除いて6色の色ペン』を持つように……と指示されていたのが役に立っているなあ……。
「凄いですね……。これが天界の、ご主人様のいる世界の技術……。」
「驚いてばっかりじゃ困るんだよ。州ごとに分けて、そのうえで都市の場所を書いて貰わなくちゃいけないんだ。まずはこのペンでね。これは書き間違っても、この道具を使えば消すこどができる。こんな具合に。」
シャープペンで線を書き、それを消しゴムで消してみせる俺。
「州と都市ですか……。とりあえずちょっと触らせてもらって宜しいですか?」
「力を入れすぎると折れちゃうから気をつけてね。」
そしてシャープペンを渡した。愛紗は何度か試したあと、意を決したようにして書き始めた。
「西北から、涼州・雍州・益州・司州〈ここは司隸ともいいます〉・荊州・交州・我らのいる幽州・そして西南から并州・冀州・兗州・青州・豫州・徐州・揚州となっていますね。このように。」
さすが……。まあ、当たり前っちゃ当たり前だけど。俺がよく本やゲームで見る三国志の州区分とだいたい同じ感じだ。
「さすが愛紗。じゃあ、それをこれで俺がなぞるよ。」
「なぞる……とは?」
「ん、ああ、消えないようにするんだ。このペンを使うと消えなくなる。」
これで、改めて地理を把握できた。あとは都市だけど……。
「俺の記憶では洛陽がこのへんで長安がこのあたりだったと思うんだけど、当たってる?」
そして俺は司州の真ん中あたりと益州・荊州・雍州の接点に近い雍州を指さした。
「ええ、ほぼ間違いないかと。」
「これに判明している群雄を書くのさ。半年も戦争に付き合っていたのにはそういう理由もあるんだからね。」
「なるほど……。つまり、幽州北に公孫瓚・西に劉虞。冀州は南皮に袁紹・鄴に韓馥。并州は張燕。青州東の北海に孔融。兗州北の濮陽に劉岱・南の陳留に曹操。そして徐州一帯は陶謙。といったところですか。」
「その通り。今のところ判明してるのはこんな感じだね。あとは揚州のどこかに"江東の虎"と名高い孫堅がいるそうだよ。」
俺の知ってる知識だと荊州にある長沙の太守だからな……。やはりズレがあるみたいだ。しかし、”地図”すら売っていないとは厄介だな……。(※1)
「これを見て、我らの狙いはどこに致すのですか?」
「まあ、まずは劉虞を落とすことかな。雪が降る前に落としたいね。そして幽州一帯を白露のものとすれば、だいぶ恩を売った形になるんじゃないかな? お返しに星をなんとか口説けばいいさ。」
「やはり星ですか……。その後はやはり愚将と名高い韓馥を討伐するといったところですか?」
「ああ。星は愛紗を俺の近くで戦わせたときの先鋒にも、あるいは愛紗との二枚看板にも最高だよ。何せ、絶対的に少ないのが兵士を率いる将軍の不足だ。それを何とかしなきゃいけないからなあ……。
流石にわかってるね。まずは韓馥の討伐だ。まあ、鄴を白露か袁紹に献上すればそれほど漢王朝に対する反逆といった問題にはならないだろうからそっちの問題はないと思う。それに、あそこには不遇の将や軍師がいるらしいんでね。」
「それにしても、ただ献上するのはどうも納得がいきません……。鄴の攻略はかなり厳しいものになると思われますのに……。」
「北に白露・東に袁紹・南に曹操。これではあまりに地の利を得ていなさすぎるよ。かわりに兵糧と軍資金をたんまり貰えれば充分だ。できれば袁紹にあげたいけど。何せ、"名門"の袁紹との仲はそれなりに友好にしておいたほうがいいからね。それに、華北に一石を投じるのも面白いじゃないか。」
これこそ『パーセプション・ゲーム』だな。(※2)
「俺は北海の孔融と徐州の陶謙の領土を奪ってそこをとりあえずの拠点にしようと思ってるよ。その前に潁川、つまり許昌の辺りを廻ってあの辺の文士を可能な限り引き抜きたいと思ってる。まあ、それは曹操より先に頂いておかないといけないけどね。」(※3)
韓馥と孔融ごときに預けるには勿体ない将がそれぞれ最低1人は居たはず。そして韓馥の元には袁紹に抜かれる前の軍師が居たはずだ。とりあえずそこに行って将と軍師の確保だな。
「…………。女ばかり増えるのはあまりいい気はしないのですが……。」
「まあ、それは言っちゃだめでしょ。”天の時”・”地の利”・”人の和”を得れば天下に近づくと言われてるけど、何より人が大事なんだから。」
そして愛紗の頭をなでた。シャンプーとかないのに女の子の良い香りが……。いかんいかん。マジメな話をしているのに、変なところに考えがいっていたぞ……。
「ご主人様の考えは最適かと思います。今日はありがとうございました。」
「そんなに畏まらなくていいよ。でも、まだ桃香や鈴々には内緒だよ。」
「はい。」
そして数日後……。それは突然訪れた。
「ご主人様~。ウチに4人も仕官希望者が来てるよ~。なんでも"天の御遣い"の噂を聞いて来たんだって~。」
「桃香、本当か? そりゃありがたいね。とりあえず話を聞こうか。」
「は~い。入って良いよ~。」
そして桃香につれられて来たのは、すっげー巨乳で青髪の美女、熟女とまではいかないけど……。それと、水色の髪のチビっ娘と金髪のチビっ娘。そして黒髪で短髪の美少女だった。みなさんそれぞれに美人だったりかわいかったりだなあ……。
「えーっと、俺が"天の御遣い"とか巷で噂されてるらしい北郷一刀。水しかないけどとりあえずどうぞ。自己紹介と、ここで何をしたいかっていうのを教えて貰えるかな?」
水を配る俺。正面にチビっ娘2人。右隣に黒髪の女の子、左隣は巨乳のお方。女ってことは4人ともそれぞれ有名な人なんだろうけど……。チビっ娘ねぇ……。
正面の女の子2人の後ろには女媧が。俺の隣には桃香・愛紗・鈴々が控えている。
「わ、私は、あの、性は諸葛、名は亮。字は孔明れしゅ。」
「わ、わた、わたしは、その、ほと、龐統。字は士元でしゅ。」
はい!? 思わず水を吹きだしてしまった。水はちょうど二人の間を通って女媧の太もものあたりへ直撃した。
「何だって!?」
思わず聞き返してしまった。
「お前……。いきなり何をするのだ!?」
「す、すまん、甄。」
女媧さん怒ってますが、それどころじゃないよ……。
「まったく、何をそんなに緊張しているのですかね……。私は徐庶。字は元直と申します。彼女たちは私の学友の諸葛亮、それに龐統です。私たちは軍師を志望しております。」
どうやら聞き違いではなくマジらしい。それにしても、いきなりビッグゲストが3人も来るとは思っていなかったな……。まあ、これで最大の問題だった”軍師の不在”が一気に解決するとは思っていなかったな。
それにしても、、時代は見事にめちゃくちゃだなあ……。正史では、まだ荊州の水鏡(すいきょう)とかいう人の私塾で勉強をしているか、あるいはそんな年にもならないかのどっちかだったと思っていたんだが……。
「わしはこの3人の護衛を水鏡どのから頼まれた厳顔という。お主らに見所があるなら仕えてやろうと思うたんじゃが、噂通りなかなかのようじゃな。しかし、何をそんなに驚いておるんじゃ?」
厳顔は演義では老人の設定だったけど、この世界ではこんなふうになるのか……。
「このような子に軍師……? 徐庶どのはきちんとしておられるようだが……。きちんと務まるのか?」
「まあ、疑問を感じるのも仕方ないけど、人は見かけで判断してはダメだよ。俺から一つ質問をさせてもらうから、それに対する答えで採用するかを決めるよ。じゃあ、いいかな?
”前方には谷があり、道は1人ずつしか通れない、小さな吊り橋があるのみだ。俺たちは100人の集団で、ここから逃げるつもりだけど、後ろからは敵将が追撃にきている。敵将は、こちらの将が一人降伏するならば他の将や兵は見逃してくれると言っている。”
さて、君たちに判断を委ねられたなら、どうする?」
「……。一つ教えて下さい。それ以外の情報はないのですか?」
そう諸葛亮が聞く。
「ない。」
そう俺が言うと、三人は頷き合い、
「その状況になってみるまではわかりません。」
三人共にそう答えた。何の相談もせずに。
「え……。」
唖然とする桃香たち。俺は拍手をした。
「その通り。よく引っかけに気づいたね。敵の将の質やこちらの百名の陣容といったような情報がないのだから、そんな状態では判断することができない。こちらの将と敵将の力に開きがあるのなら、殿を任せて、その間に逃げることもできる。谷の形や地理によっては、橋を渡る以外の選択肢があるかもしれない。
まあ、合格かな。真価は、これから劉虞を倒しに行ったときに判断させて貰うよ。」
と俺が言うと、彼女たち
――特に諸葛亮と龐統――
にほっとするような表情が広がるのが見てとれた。
「はわわ~。よ、良かったです~。私の真名、朱里を預けます。」
「あわわ~。どうなることか心配でしたが、良かったです。私は藍里といいます。」
「水鏡先生から『絶対に大丈夫だ。』というお墨付きをもらっていたのですし、そこまで緊張して不安がることは無いとずっと言ってきたのに……。私の真名は福莱といいます。
ところで、桔梗様はどうなさるおつもりですか?」
「ふうむ……。わしは主君だけでなく、仕えとる将の質を見て決めさせて頂くとするかの。ほれ、わしの後ろにおる女子じゃ。わしと戦ってはくれぬか?」
女媧さんをご指名ですか……。まあ、最強であることは間違いない。けど……。本気でやったらどうなるかわからないし、絶対にやめてもらわないとな……。軽く振っただけで3人の野盗の首は飛ぶし、挙げ句の果てには愛紗の強烈な一撃を指で止めるくらいなんだから。しかし、女媧を”女子”呼ばわりってのも凄いな……。
「悪いが、そいつは俺の護衛以外では戦うことが無い。俺の将で一番強いのは彼女、愛紗だよ。」
「む~。鈴々のほうが強いのだ~。」
「そうむくれるな、鈴々。しかし、ご主人様のご指名とあらば、この関羽、全力でいかせていただきましょう。」
「鈴々は単騎の実力では上だけど、戦場での駆け引きを加味すればやはり愛紗のほうが強いんだよ。」
一応、そうフォローしておいた。今ひとつフォローになってない気もするけど、まあいいか。
「……。まあ、良かろう。」
厳顔さんはあんまり納得していないようだけど、一応は了承してくれた。さっきから、愛紗は厳顔さんの上から目線の物言いに相当イライラきてるようだが……。厳顔といえば正史では劉璋配下で最大の猛将だ。油断すればいくら愛紗といえども負ける可能性がある。
「愛紗、いつも通りやればいい。ただそれだけさ。」
「はい!!」
俺がそうアドバイスをすると、愛紗は雑念を振り払うかのようにそう返事をして、自分の頬を叩いた。相手は戟と弓を持っている。といっても、今回使うのは戟のようだけど。戟は呂布みたいな片刃ではなく両方に三日月形の刀がついているタイプのようだが。
「偃月刀 対 戟か……。まあ、愛紗なら大丈夫だろう。」
「愛紗ちゃんなら絶対大丈夫ですよ。」
俺の言葉に桃香はそう返した。
5合ほど打ち合い、愛紗が勝った。
「全く、噂に聞いてはおったが、”天の御遣い”殿の軍は率いる将の質も素晴らしいのう……。負けじゃ。わしは厳顔。真名は桔梗じゃ。存分に
「人は”モノ”じゃないから、俺は味方を”
そして桃香たちとの自己紹介も終わった。
その数日後、俺は「大切な話がある。」と言って白露や星、それに桃香たち8人と女媧に集まって貰った。
「北郷、改まってどうした?」
「そろそろ、俺たちも独立すべき時かな……と思ったんだ。
これから、劉虞を討伐したら白露はそう遠くない日に”州牧”に任命されると思う。俺たちがいつまでも白露に甘えている今の状況は良くないと思うから、来年の春に独立しようかな……ということだよ。」(※4)
「そ、そうか。確かに、ずっと頼りっぱなしだったからな……。だが、北郷や桃香たちにはかなりの恩がある。それに、今度の劉虞を討伐するときにもまた力を借りるだろうと思う。私に何かできることは無いか……?」
来た。この為に最初の戦以外では特に恩賞は貰わないようにしていたんだ。まあ、俺たちの住居と兵の食料と金は並の兵と同じくらい恵んで貰っていたけど。
「それなんだが……。もし、星さえよければなんだが……。仲間として俺たちの元に来る気はないか? ”客将”として白露のところに居るということは、ここにずっと留まるつもりは無い……っていうことなんだろ?」
「ふ~む。北郷殿の目指すものが何なのかもまだわかりませぬし、答えようがないですな。」
「せ、星……。」
白露がびっくりしてるが、まあここは仕方ない。
「天下泰平。まあ、俺の治めるところ一つじゃなくて、例えば白露と二分したっていいわけだけどさ。自分の領土にいる民も将も平穏に、笑って暮らせる世の中をつくれればそれでいいかなと思ってる。まあ、その為の手段は選ぶつもりはないけど。」
「汚い手も使うと?」
「大義の為には全てが正当化される、という考えだよ。綺麗事だけじゃ世の中は渡っていけない。」
「…………。ところで、白露殿はどうなのです? 私が北郷殿のところに行ってもかまわぬのですかな?」
「ダメ、と言いたいけど、ここまで来たのは北郷や桃香たちの力が大きいからなあ……。星が行きたいなら止めはしないよ。」
「とりあえず様子見とさせていただきますかな。私の目指す天下と北郷殿の目指す天下が同じならばその時は仲間とさせていただきましょう。それまでは客将でいい、という条件ならば。但し……」
「相容れないと思ったならば居なくなるってのは無論、構わないよ。それはそれで俺の不徳の致すところ……。ということだし、仕方ないよ。」
「それでも良いというのなら加わらせていただきますかな。ところで……」
「勿論、あの店で売っているのと同等かそれ以上のメンマは用意するよ。俺はそれなりに料理もできるし、ありがたいことに味つけも教えて貰えたからね。それに、あの壺も貰えることになっているよ。」
「おお、流石に分かっていらっしゃる。」
星を仲間にする。その一心で頑張ったんだよ。ひたすら通って常連になって酒呑み仲間になって……と。
「星!! これからは共に戦えるな!!」
「やったのだ!! よろしくなのだ!!」
「星ちゃんもこれからよろしくね~。」
愛紗たちも大喜び。だが……。
「まずは劉虞を雪が降るまでに倒すことだよ。そこから始まる。」
そして、劉虞の本拠地、”薊”を落とすことに成功した。愛紗・鈴々・桔梗・星の4人の武力に加えて藍里たちの的確な献策があるのだから、負ける要素がない……。と言ってしまえばそれまでだけど。
結果、降伏した兵も含めた俺たちの配下の兵は4000人ほどまで膨れあがった。
愛紗たちも朱里たちの実力を認め、俺たちの勢力は完全に一枚岩になることができた。朱里を中心に糧食の準備を、愛紗と福莱を中心に兵の鍛錬を行い、星と藍里を中心に間者を鍛えあげ、そのうちに雪どけを迎えた。(※5)
さて、ここから本当の戦いの始まりか。
解説
※1:地図・・・この時代に”市販の地図”があったとは思えないので・・・。
※2:パーセプション・ゲーム・・・。外交には2種類あり、そのうちの一つがこれです。外交が国民にどう受け入れられるか……という話です。
※3:潁川・・・荊州と並ぶ文人(軍師など)を輩出した一大サロン。有名人がわんさか。
※4:州牧・・・要するに州知事ですね。軍権を持ち、州を統括する役職です。
※5:間者・・・・間諜と呼んだのかもしれませんが、要するにスパイです。
キャラクター紹介
このコーナーは久しぶりですね。
諸葛亮 孔明 真名は朱里
劉備と並んで英雄となっている蜀のスーパースターにして天才軍師。伏龍、あるいは臥龍と称される。
が……。個人的にはもっとも過大評価されすぎている人物に思えてなりません。
諸葛亮の凄さは内政と外交、すなわち政治家であり、軍師として献策をするのはあまり上手ではなかったのでは? と思います。
また、魏延や馬謖、果ては荊州を任せた関羽にいたるまで、どうも人物評にも優れているとはお世辞にも言い難いのでは……? とも思うのです。
まあ、他の様々な名将や名軍師が全て彼によって陰に隠れてしまっているように思えるのがどうも気に入らない……。というのが私の中で彼の評価がマイナスに傾く最大の理由です。
それでも、彼が死ぬまでは三国中では最弱の蜀が魏や呉と対等に渡り合ったことを考えると、やはり彼がかなり優秀だったことに疑いの余地はないと思います。
そんなわけで今作の諸葛亮は"はわわ政治家"です。
(コメント)
劉備が”三顧の礼”で迎えた人物。自分と諸葛亮の関係を”水魚の交わり”と例え、関羽と張飛が嫉妬したとか。まあ、ポッと出の奴がいきなり大きな顔してればそうなるのも仕方ないと思います。
龐統 士元 真名は藍里
真名は雛里だとどうもしっくりこないなあ……という個人的感情 (雛里なら朱里じゃなく伏里とか臥里だし、そもそもいつまでも羽化しない雛じゃないんだから……)によって、誠に勝手ながら変更させて頂きました。
諸葛亮と並び称された悲運の天才軍師。こちらは伏龍に対し、鳳雛と称される。
劉備に蜀(劉璋・成都)攻略を進言した人物。ところが攻略中に敵の矢に当たって討ち死に。
あまり活躍する場もなくお亡くなりになってしまった……。どうもブサイクな顔だったらしいですねえ。
今作においては主に軍師として活躍します。”あわわ軍師”でございます。
(コメント)
”落鳳坡”という所で討ち死にしたようです。自分の馬の調子が悪かったらしく、劉備が貸した白馬に乗っていたため劉備と間違われて射殺……というのが演義での亡くなり方。
今作では死にませんのでご安心下さい。
徐庶 元直 真名は福莱
諸葛亮・龐統とは同門で、荊州の私塾”水鏡塾”にて勉強していたようです。
劉備が初めて手にした軍師。ところが曹操軍の参謀(たしか程昱(ていいく))によって母親を人質にされて曹操軍に引き抜かれる。
その時に諸葛亮を推薦した方。
今作では臆病な朱里と藍里の姉のような存在に。
文武両道の頼もしいお方。真名の由来は本名の単福(ぜんふく)と、福つながりの徐福(じょふく)が目指したという蓬莱島(ほうらいじま)、まあ、日本のことですが……から。本名には諸説ありますが、もともとは福がついていたそうなので。
(コメント)
Msオールラウンダー
厳顔 字は不明。 真名は桔梗
もとは劉璋配下の猛将だったが、黄忠と共に劉備軍に加入し、じじいコンビで活躍……という話になっているが実際どうだったのかはよくわからない。
恋姫ではなぜか部下に魏延が居たのだが、(少なくとも)演義では別人の配下なので今作で魏延が配下にいることはありません。
入蜀(成都攻略)の戦いまで出てこない (出さない)となると登場まで相当時間がかかってしまうな……といったこと。それに、かよわい女の子3人での旅は危なかろう……。というのが彼女を今作で早々と登場させた理由です。
魅力が高いのは姉御肌だからと解釈ください。
武器を変えたのは豪天砲とやらの現実味があまりに薄かったからです。
あの時代最もメジャーな武器は戟と剣だったらしいので。
(コメント)
蜀、いや北郷・劉備連合軍における母親といった存在になります。
黄忠はそのうち登場します。
張飛に悪態をつくものの、その態度が逆に張飛に気に入られ……というエピソードは別の形で……。
後書き
申し訳ありませんが、ここで、一度更新を中断させて頂きます。
再開は7月の中旬から下旬を予定しております。
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第1章 ”天の御遣い”として
天界(一刀の住む世界)の言葉は仕方がないので全部カタカナで表記しました。読みにくいでしょうがご勘弁下さい。