甲府。
甲斐の府中として機能するこの地は、その土地柄、交通の要衝であり農業の一大拠点でもある。
また山々に囲まれていることにより、林業もさかんであり、甲斐の木工職人たちは日ノ本においても高い評価を受けている。
加えて複数の川が流れており、扇状地が多数形成され、果樹栽培にはもってこいの場となっていた。
「ううむ、産業の奨励はより進めるべきだと思うのだがな……米、果樹、養殖漁業と食産業は順調。欲を言えばもっと拡大したい」
紙面に目を走らせながら、硯に手を伸ばし、筆に墨をつける。
「せっかく扇状地があるのだから、果樹だけではなく養蚕にも力を入れてみたいもの。上野や下野などでは養蚕が栄えていると聞く。
近隣なのだし、何とか商人や技術者を呼び込むことができれば、この甲府盆地は彼らにとっても魅力的だろう」
筆を紙に走らせ、書面に書かれた内容に決を下す。
それは……留意。
保留、考慮……言い換える言葉は多々あれど、どれもこれも中途半端と言わざるをえまい。
信繁は書面に書かれた自らの字を見下ろし、硯に筆を置いてから1つ溜息をついた。
「にしても暑いな。前世にしても現世にしても、この暑さは何とかならぬものか……」
顔を上げる。するとその拍子に汗が頬を伝い、一気に書面に落ちる……ところを何とか制した。
今は夏真っ盛り。
甲府盆地は盆地であるがゆえの多湿で、さらに夏は暑く冬は寒い。日ノ本全体で見てもこの暑さは上位に食い込むものであろう。
机の上に置いてある扇を手に取り、開いて扇いだ。
少し上体を後ろに傾け、天井を仰ぐ。しばらくそうしていると、正面の開いた障子の外から涼しい風が入ってきた。
山々に囲まれている甲府盆地の北端にある躑躅ヶ崎館には、それゆえに山からの清涼な風が入る。
甲府の山の森林を通り抜けてきた風は、まだ少しひんやりとしていて心地よい。
少しだけ暑さが紛れた気がして、信繁はゆっくりと上体を戻して外に視線を向けた。
しばしの無言の後、一言。
「……金だな。何にしても」
先立つものがなければ、所詮絵空事にしか過ぎない。
しかし絵空事と切って捨てることはできない。確かな実現性が見込めるがゆえに。
「父上ももう少し領国経営に目を向けてはくれぬものだろうか……」
父である武田信虎は甲斐国を統一した功績があり、
この甲府に躑躅ヶ崎館を築いて家臣団を集住させ、一大城下町を形成させたことは確かな功績である。
しかし経済や民心を考えてのことではないのは想像に難くない。
書面を見ていればわかる。金の使途が戦費に大きく振り分けられているのだ。
この戦国乱世の世、軍事費が大きな比率を占めるのはやむを得ぬことであろうが、それにしても信虎の武略一辺倒は少々度が過ぎる。
息子である信繁からしてもそう映るのだから、家臣や民衆には例外なく不満を持たれているだろう。
「何とか徳政令を出して頂くことには成功したものの……この戦費の中、やはり大幅な収入減は手痛い」
信虎の人生から考えれば、武略に偏ってしまうのはある程度共感できないこともない。
甲斐国内での争乱に打ち勝つには信虎ぐらいの気性の強さは必要だったかもしれない。
しかし甲斐国が統一されて一定の平穏が齎されると、信虎の気性の強さは荒さとして捉えられるようになった。
戦に次ぐ戦。
何とか南の今川、東の北条とは和睦したが、甲駿・甲相同盟は駿相間に破綻を招き、今川と北条は敵対状態になり、
それを招いた武田の信用は両家の中に間違いなく禍根を残したであろう。
信虎は背後の心配がなくなったと思っているようだが、信繁はいつこれを理由に背後を突かれるか心配でならない。
「前世でも甲相駿三国同盟は上手く機能した方だが……」
原因は『尾張のうつけ』と呼ばれる男が甲相駿の一角、今川義元を討ち取ったこと。
今川家の家督を継いだ今川氏真は、お世辞にも当主に相応しい器とは言えず、前世の信玄はこれにかなり失望していた。
かつての生において、信繁は三国同盟がどうなったのかは知らない。
けれどきっと、遠からず破綻したのではないかと考えていた。
この戦国の世においては、身内ですら信頼できない。
下剋上。家督争い。
家臣が主人を殺し、一門同士で家督を奪い合う世なのだ。
前世でも実の兄は父を追放することで武田家の家督を手に入れた。
ただあの一件は家臣や領民たちの理解を得られ、支持されただけよかった方だ。
尾張の織田信長、駿河の今川義元、越後の長尾景虎……名だたる傑物も、家督争いの末に家を継いだ。
家中を分裂させ、激しく罵り合い、利権と欲望が渦巻く中で戦い……そうして手に入れたのだ。
それに比べれば前世の武田信玄はかなりましな部類であったと言えよう。
信繁自身が当主の座に執着するでもなく信玄に忠誠を誓い、信玄もまた信繁を高く評価し、信頼してくれたから。
信繁はかつての『兄上』を心から信頼し、尊敬していた。それは今でも変わらない。
だからこそ言える。
――甲相駿三国同盟は信頼関係とは別物なのだと。
(甲斐の武田信玄、相模の北条氏康、駿河の今川義元……いずれも乱世の世にその名を知られた傑物。
あの三国同盟は信頼から成り立ったものではなく、各々の利害が上手く一致したからに他ならない)
武田は信濃攻略、今川は京への上洛、北条は関東進出。
それぞれがそれぞれの思惑を持ち、そのために背後を気にしたくなかった。
そして各々が各々の実力を正確に捉えられる『目』を持っていたからこそ、この同盟は破らない方が得だとわかっていた。
一定の信頼関係はあったろうけれど、利が見込めなくなれば破棄したであろう。その程度のもの。
実際、『信玄』は桶狭間にて義元が戦死する前から、密かに織田と接触していたし、
義元が上洛したのも、まさに長尾景虎が北条の小田原城を攻めたときのこと。
北条から後ろを突かれることはないし、北条の援軍や海津城の築城に当たっていた武田にも駿河へ出兵する余裕はなかった。
そういう機会がなければ義元も安心できなかった。つまりはそれだけ信用していなかったということなのだ。
(結局のところ、甲相駿三国同盟は一時的な目的達成のために必要だったもの。それが達成なれば逆に邪魔になってくる)
しかし確かに意義があったことは事実。
軍事的な意味はもちろん、政治的にも今川や北条との同盟は大きかった。
「しかし父上はどこまでも戦をすることを前提とした行動ばかり……武田の気質が最も現れた方なのであろうな、父上は」
その点、『信玄』は如何に勝てる戦いをするかに重点を置き、調略や情報収集に力を注いだ。
戦をすることを前提にするのではなく、『戦に勝つ』ことを前提とした軍略と領国経営。
やはり信繁にとって『兄上』は理想的な君主であった。
「……正直、言ったところで無駄だと思うが、何とか父上に上申してみるか」
かつて父に寵愛されていた記憶が蘇るが、それも前世での話。現世では信繁と信虎の仲は決して良いものではなかった。
前世と現世では信繁と信玄の兄妹関係は逆転している。
それに伴って、まるで父の寵愛も逆転したかのように、信虎は信玄の器量と才覚を何より愛した。
信繁でさえ信玄の器量と才覚を認めているし、そんな信玄に対して嫉妬心はない。
あるのはただ『ああ、やはり武田信玄とはこうなのだな』という納得した気持ち。
前世での記憶があるから、信繁は信玄に対していつも『兄上』の面影を見てしまう。
(……風貌はまるで似ていないがな)
初めて『兄上』がこの世では妹であると知ったときの複雑さは言葉で表せるものではない。
それこそ一月は云々と唸ったものだ。
ただでさえ女子の地位が高いことに違和感を拭えなかった当時、信玄の名を持つ少女が『兄上!』と呼んで笑いかけてくるのだ。
その奇妙さ、筆舌に尽くしがたい。
胸中複雑な心境がつい顔に出てしまい……
――――『……兄上、私は何か兄上のお気に触ることをしてしまいましたか?』
と不安にさせたり……
――――『兄上はどうして私が抱きつくとそういう顔をされるのですか!? 信廉や信龍だって同じことをしているのに、私のときだけ!』
と怒らせてしまったり。
何度かそんなことがあった。
それにもさすがに慣れた。よくよく考えれば、『武田信玄』と武田信玄はまるで姿形が違う。そも性別が違う。
ゆえに『兄上』の面影というのも、正確には、信玄の器量と才覚にこそ『兄上』の面影を見てしまう、と言うべきか。
だから信繁は信玄に対してわだかまりはない。無条件に慕ってくれる信玄を、兄として嬉しく思うし、支えてやりたいと思う。
それに、前世において信虎はその器量と才覚を疎ましく思っていたが、現世ではそれを愛していることが、信繁にとって好ましかった。
前世での信虎と信玄の父子間の確執は、傍目にも辛いものがあったのだ。
今ならわかる。父から煙たがられる気持ちが。ああ、『兄上』もこんな気持ちだったのだろうかと、時折思う。
こんな思いを、例え姿が違うとはいえ、信玄に味わわせたくはない。現世の信玄が女子であるというのもある。
そんなことに思考を傾けながらも、嫌われ者には嫌われ者としての利点があると自らに言い聞かせ、
そしてこんな思いをするのは『兄上』と自分だけで充分だと頷く。
「――ん?」
ふと顔を上げた。廊下から騒がしい足音がする。
また信龍だろうかとも思ったが、そうではない。足音が大きすぎる。まだ幼い信龍の立てるものではない。
そうなると……と思考を巡らせ、信繁は眉を顰めた。
こういう場合は良くない知らせ。前世での人生経験も相まって、信繁は身構えた。
やがて開いた障子の向こうに家臣が現れ、走ってきた勢いのままに慌ただしく廊下に座り込んで頭を下げた。
「の、信繁様! お館様が!」
また父上絡みか。そんな嫌気もある。
だが信繁はそれが顔に現れるのをなんとか耐え、顰めた眉も今は何事もなかったように戻している。
しかしそれも一瞬のことであった。
「落ち着け。いったい父上が何とした?」
「はっ、お、お館様が、工藤様を――!」
「――父上!」
信繁は先ほど家臣に落ち着けと言った手前であることも忘れ、全力で館を走り、信虎のいるという軍議の間に飛び込んだ。
が……時すでに遅し。
信繁はその光景を見て息を飲み、喉を鳴らした。
「何じゃ、信繁か。騒々しい奴よの、ちっとは信玄のように落ち着きを持たぬか」
信繁の耳にその言葉は言葉として捉えられなかった。ただただ雑音のように通り過ぎるのみ。
信繁の視線は、意識は、鬱陶しそうに鼻を鳴らし、つまらなそうに目を逸らす信虎の足下――
血を流してうつぶせに倒れている男に向けられていた。
「……あにうえ……」
「っ!」
その声に我に返る。
武田の重鎮たちの中に紛れ、小柄な少女が、信玄が、そこにいた。
倒れた男の近くにいたためか、その頬にはわずかに血糊がついており、袖や裾にも飛んでいる。
その顔は青白く、よくよく見ればその唇は、体は、小刻みに震えていて。
呼吸も荒い。発作を起こしたように。
「――板垣殿!」
「あ……は、はい!」
「信玄を!」
「し、承知いたしました!」
今まさに信虎に物申そうとしていたところだったのであろう。
乗り出していた身を止め、板垣信方は一瞬戸惑ったものの、すぐに信玄を見やってその状態を瞬時に見極め、
信玄の肩に手をやり、すぐにこの場から信玄を連れて出ていく。
信玄の足取りは心許なく、信繁は振り向こうとする信玄に対し、倒れている男が視界に入らないように間に割り入った。
信玄と信方が軍議の間より出ていくのを、襖を閉じる音を以って確認すると……
「っ、工藤殿!」
血に濡れるのも構わずに屈み込み、男の体を抱き起こした。
そして奥歯を噛み締める。
――もう無理だ。
医術を心得ているわけでもない素人ではあるが、前世でも現世でも戦の場に出てきた身として、死の臭いを感じたのだ。
それは周囲にいる武田の重臣たちから見ても同じことであろう。
肩から脇にかけて袈裟切りにされた、工藤虎豊は、もはや力なく瞼が落ちてきているその目に信繁を映しているかどうかもわからなかった。
「……の、ぶ、とら……さま……」
虎豊は口から胸から夥しい血を流しながらも、空気が漏れるような微かな声で主君を呼んだ。
しかし当の信虎はまるで意に介しておらず、刀に付いた血を、震える小姓から引っ手繰った布で拭っているだけ。
怒り冷めやらぬというところだろうか。その肩は大きく上下しており、頬を伝う汗も多く、荒ぶる声もどこかかすれていた。
「これはいったい……父上、なぜ!?」
「ふん。虎泰、説明してやれ。そこな愚か者の犯した罪をのう」
「……は」
信虎に視線を向けられた甘利虎泰が信繁のそばに屈み込んだ。
武田家随一の軍略家である彼は年齢以上に皺が多い。それを揶揄して皺の数だけ彼には策がある、などと言われるほどだ。
その彼は今、真一文字に口を引き結び、口の両端の皺を引き延ばしていた。
口惜しや……そんな言葉が聞こえてきそうだった。実際に彼が開いた口からそんな言葉はなく、ただ淡々と事実だけが出てきたけれど。
彼によれば、とある者たちが助けを求めて武田家にやってきたが、信虎はこれをすべて切腹させよと命じたという。
それを虎豊は諌めようとしたらしいが、それに信虎が怒り、斬り捨てた。
「甘利殿! 板垣殿でも横田殿でも小山田殿でも誰でもよい! なぜ私に知らせてくれなんだ!?」
「申し訳ありません! ですが私どももまさかこのようなことになるとは……」
助からないと知って、しかし工藤虎豊ほどの重臣を失うことを、信繁は認められなかった。
ああ、どうしてこうなったのか。歴史は変えられないと言うのだろうか。
そんな信繁の心など知るはずもない虎豊は、死に体の体をそれでも動かそうとする。
信繁はそれを止めようとするが、虎豊は構うことなく床に両手を付き、頭を下げた。
「どう、か……かの、者たちを……処断、するは……お、おや、めに……!」
「くどい」
だが最後の命を懸けた嘆願も、信虎には通じなかった。
「我が名の一字すら与えた身でありながらその不忠、死んで贖うがよい。お前にはほとほと失望したぞ」
「……おや、か、た……さま……!」
「信繁、その反逆者の始末をしておけ。それから虎昌、工藤の家は取り潰せ」
「お、お館様……今、何と?」
「取り潰しと申したのじゃ。そうせねば今川の家に余計な疑いをかけられかねん。それすらわからぬほど耄碌しているわけではなかろうに」
信虎が言っているのは、今川家との同盟の件のことだ。
元々武田家と今川家は抗争状態にあったのだが、当主である今川氏親が病死すると、嫡子である義元と庶子である玄広恵探の間で家督争いが起き、
つい先日、義元方が勝利して義元が今川家を正式に相続した。
その際、武田家は義元方に加担しており、これを以って武田と今川は友好・同盟関係へと至った。
そして今回、武田家に頼ってきた者たちは、この争いに敗れた玄広恵探方についていた者たちだったのだ。
この者たちを受け入れることは、義元に疑心を抱かせかねない。信虎の言っていることは、確かにわからないではない。
だがだからと言って、意見を述べた家臣を斬り捨てることまでないだろうに。
信繁は隠すことのない非難の目を以って信虎を見据えたが……その口から発されるはずであった言葉は出てこなかった。
「……父上?」
「何じゃ、その目は?」
「……いえ……失礼いたしました」
「ふん……信繁、虎昌、確かに命じたぞ。よいな?」
よいなと確認しつつも、それは確認ではなく、強制であった。
『甲山の猛虎』とさえ呼ばれて畏怖される飯富虎昌ですら、視線を左右に動かしていて。
だがややあって頷いた。頷くしかなかった。
それを見届けることもなく、信虎は怯えている小姓に何をしているかと怒鳴って納刀した刀を持たせ、そのまま小姓を連れて軍議の間より出ていった。
(……何だろうか……激昂しているのはわかるのだが、嫌に父上の顔色が悪かった気が……)
汗の量はこの真夏の暑さによるものであり、肩の上下や息の荒さは興奮していたことによるもの。
そう思っていたのだが、そのわりに顔に赤みというものはなかった。
まるで先ほどの信玄のようで……。
「お、おや、かた、さま……!」
が、信繁の思考はそこで打ち止め。虎豊の微かな声に反応して彼を見下ろす。
すると彼は力の入らない体をなお動かして信虎の後を追いかけるように這いずろうとしており。
「工藤殿! もうおやめになられよ!」
見ていられず、信繁は虎豊を止めた。
もうあの暴君に、彼ほどの忠臣が虐げられるのを見ていられなかった。
信虎の足音が小さくなり、やがて聞こえなくなると、力尽きたように虎豊が倒れ込んだ。それを何とか抱きとめる。
「の、ぶしげ、さま……ここ、で、彼の者、らを、みな、ごろしに、して、しまえ、ば……」
「わかっている! 貴殿の言いたいこと、私はわかっておる!」
「……なら、よう、ございます……ごふっ」
「っ!」
血の塊を吐く虎豊。
もはや命の灯は僅か。
ここで父の勘気を謝罪などしても何の意味もない。謝罪したところで虎豊は助からないのだ。
ならば。
「……工藤殿、何か……何か言い残すことはないか? 何でもよい。私が必ず、責任を以って成し遂げよう」
「…………我が家の、とり、つぶしは……もはや、さけ、られませぬ。ですが……一族、だけは……!」
虎豊が震える右手を上げた。力なく、すぐに落ちそうなその手をしっかりと掴む。
「わかった……! 工藤の者たちは、貴殿の奥方、ご子息子女、一族郎党、みな必ず助けるがゆえ、ご安心召されよ……!」
「……あり、がたく、存じ……」
虎豊の瞼が静かに閉じていく。
「工藤殿!」「虎豊殿!」と周囲の重臣たちが呼びかける中、信繁は最後にこれだけは言い置きたくて虎豊の手を握りしめた。
「我が武田家に尽くしてくれたそなたの忠節! 私は忘れぬ! そなたは反逆者などではない! 武田家随一の忠義者ぞ、工藤殿!」
「…………」
握った手が、わずかに握り返してきた。弱いながらも、それは確かに信繁の心に届いた。
そしてそれが……最後の力だったのだろう。
虎豊の瞼は完全に閉じられ、手に込められた力が失われた。
「工藤殿……!」
いつの間にか流れる涙を、信繁は拭わないままに虎豊を強く抱きしめた……。
――続く――
【後書き】
武田信虎は甲陽軍鑑において粗暴で傲慢な性格であったと伝えています。内藤家・馬場家・山県家・工藤家が少なくとも信虎によって当主が手討ちにされて断絶させられたとされていますね。後年、その名跡は武田四名臣の内藤昌秀・馬場信春・山県昌景らによって引き継がれています。
今回手討ちにされた工藤虎豊は、後年に内藤の名跡を継ぐ内藤昌秀(旧名・工藤昌豊)の父です。ちなみに工藤家は虎豊の嫡子である昌佑が継いだとされています。
とりあえず史実でも嫡子昌佑が一族を率いて甲斐を脱し、昌秀もこのとき共に逃げて落ち延び、後に信玄の元に帰参したとされています。拙作でもそのあたりは受け継ごうと思いまして。まあ、そうでないと、戦極姫にも登場する内藤昌秀をどうするんだということになりますしね。(笑)
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戦極姫を基にした二次創作ものです。
3話目になります。