No.446102

魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第二話 放課後、そして買い物

神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。

2012-07-04 23:59:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:45254   閲覧ユーザー数:40969

 朝から体力だけでなく精神も消耗し、疲労感でいっぱいの俺。あれからは授業中に居眠りするレヴィも特に寝言を言わず、何とか最後の授業まで平和に過ごす事が出来た。そして放課後…

 

 「終わった~~~~~~~!!!」

 

 目覚めたレヴィが大声で叫んだ。これもいつも通りの光景だ。

 

 「今日も僕、よく頑張ったよ。ユウ、褒めて褒めて~」

 

 「お前、寝てただけじゃねえか」

 

 授業始まって10分以内には寝るからなコイツは。担任(ロリコン)も寝顔が目的で決して起こそうとしねえし。

※勇紀の中で先生の呼び方は担任(ロリコン)で統一されました。

 

 「ぶう、そんな事無いよ。僕はただ寝てるだけじゃないもん」

 

 「いや、どう見ても寝ておるだけだろ?」

 

 「寝てますね」

 

 「寝てるようにしか見えませんよレヴィ」

 

 帰る準備が出来た三人がこっちに来てそう言った。

 

 「ディアーチェもシュテるんもユーリも酷いよ!僕の言う事信じてくれてもいいじゃん!!」

 

 未だに寝てないと主張するレヴィ。

 

 「じゃあ何やってんだ?」

 

 ここまで反論するので聞いてみる。

 

 「僕は授業で『すいみんがくしゅ~』をしてるんだよ。だから寝てるように見えて実際はちゃんと授業の内容を聞いて勉強してるんだよ」

 

 ……………………。

 

 「ふっふ~ん。四人共、少しは僕を見直した?」

 

 何も言い返さない俺達に対し、胸を反らし勝ち誇ったような態度で喋るレヴィ。これがホントなら何も言う事は無いのだが…。

 

 「…分かった。じゃあ聞くが今日出た問題で…」

 

 俺は今日の授業で出た問題をそっくりそのままレヴィに出してやった。ホントに睡眠学習してるなら問題の解き方や、その後の答え合わせもちゃんと聞いている筈だからな。で、結果は……。

 

 「ユウは嘘吐いてるよ!そんな問題出て無かったもん!!」

 

 ただ寝ていただけで全く答えられませんでした。まあ賢いレヴィなんてのも正直想像出来んし。

 

 「…さてと、晩メシの買い物行かないと。三人共、今日は何食べたい?」

 

 とりあえず俺を嘘吐きだと言い怒っているレヴィは無視し、夕食に何を食べたいか三人に聞いてみた。

 

 「お任せします」

 

 「何でも良いよ」

 

 「お前が好きに決めろ」

 

 シュテル、レヴィ、ディアーチェは俺に任せるようだ。てかレヴィさん。アンタ今まで怒ってたのにいきなり機嫌直して自分の意見言ってきましたね。…まあいい。で、ユーリはというと

 

 「えっと…ハンバーグが食べたいです」

 

 夕食のメニューをリクエストしてくれた。ハンバーグか…ふむ。

 

 「了解。なら今日はハンバーグにするか」

 

 夕食のメニューも決まった事だし早速材料を買いに行こうとすると

 

 「あ、あの…」

 

 ユーリが俺の手を掴んで引き留めた。

 

 「どうしたユーリ?」

 

 「私も買い物について行って良いですか?」

 

 買い物について来ると言い出したユーリ。

 

 「買い物に?それは構わないけど何で?」

 

 「いえ、いつもすぐに家に帰ってばかりなのでたまには違う事をしようかなと思いまして」

 

 それで買い物について来たいのか。

 

 「そうか、じゃあ一緒に行くか」

 

 「はい」

 

 すごく嬉しそうな顔で返事をするユーリ。何か良い事でもあったのかな?そんな事を考えていると…

 

 ジィィィィィッ…

 

 シュテル、レヴィ、ディアーチェの三人がジト目でこっちを見ていた。

 

 「あの…三人共、どうしてこっちを睨んで見ているんでしょうか?」

 

 「別に睨んでなんかいませんよ」

 

 「気のせいだよ」

 

 「ふん…」

 

 そう答える三人だがどう見ても不機嫌そうだ。俺、何も悪い事してないよね?

 とりあえずさっさとこの場を離れた方がよさそうだと思い教室を出ようとすると…

 

 「ふむ。ユーリさんと買い物とは羨ましい限りだね勇紀」

 

 謙介がニヤついた顔で喋りかけてきた。

 

 「何言ってんだオマエは?ただ買い物に行くだけだぞ?」

 

 夕食の食材を買いに行くだけなのに羨ましいとか言われてもなあ。

 

 「いやいや、買い物に行くだけでそんなに仲良く手を繋ぐとは思えないんだがねえ?」

 

 そういえばさっきユーリに引き留められた時から手を掴まれたままだった。

 

 「っっ!!///」

 

 謙介に言われ気が付いたユーリはすぐに手を離した。その顔は真っ赤に染まっていた。

 

 「ユーリ、顔が赤くなってるけど大丈夫か?熱があるようなら無理はしない方がいいぞ」

 

 「だ、大丈夫です。熱がでた訳じゃありませんから」

 

 「そうか?」

 

 「は、はい。心配してくれてありがとうございます///」

 

 ふむ…本人が言うなら大丈夫なんだろうが無理はさせないようにしておくか。

 

 「はあ~。君は本当に鈍感なんだねえ」

 

 溜め息を吐く謙介。失礼な奴だ。まるで俺が何かに気付いていないみたいじゃないか。

 

 「まあいいさ。さっさと二人で制服デートを楽しんでくると良いよ」

 

 「いや、デートじゃなくて買いも「「「「「「「「「「ユーリさん(長谷川)と制服デートだとおおおおおおおおっっっっっっっっ!!!!!!!!」」」」」」」」」」の……」

 

 いきなり現れたクラスの男子達と担任(ロリコン)。教室に残っていた奴らだけでなく、部活に行った奴らや帰ったはずの奴らまでいるし。いつの間に!?てか担任(ロリコン)よ、貴様職員会議の最中なんじゃないのか!?

 

 「職員会議などどうでも良いわ!!愛しき少女(リトル・レディ)に手を出す貴様は放っておけん!!!」

 

 心を読まれた!?いや、今はそんな事よりも

 

 「どうでも良くないでしょ!?会議抜けたらダメじゃん!!他の先生方の迷惑になってるよ!?」

 

 「心配いらん!!この学校に赴任してもう13年、もう俺がどういう人間かは他の教師は誰もが理解している。会議を抜け出すのも今に始まった事ではない!!」

 

 本格的に駄目人間じゃねえかコイツ!!よくクビにならねえな!?てか教師になれたよな!?不思議でしょうがねえよ!!

 

 「我がクラスの担任は小学生にしか興味が無いらしいよ。教員免許取ったのも小学生の女の子とお近づきになるためらしいし。あくまで噂だけどね」

 

 謙介が担任(ロリコン)について教えてくれるが

 

 「噂じゃねえよ!!確定事項じゃねえか!!」

 

 こんな奴がいるから犯罪が起きるんじゃねえのか!?もうクビにした方がいいだろ!!こんな奴が一年間クラスの担任なのかよ!!と色々言いたい事が頭に浮かぶ。

 

 「それよりも貴様のような奴が長谷川とデートする事なんぞ俺が絶対に許さん!!!どうせ買い物に行くと言いつつ路地裏にでも連れ込んで何かするつもりなんだろうがあ!!」

 

 「そうなのかい!?流石は勇紀だ!!是非、路地裏で何をしたのか明日教えてくれたまえ!!」

 

 担任(ロリコン)だけでなく謙介(ムッツリ)まで暴走し始めた。それに周りの男子達は殺気全開で臨戦態勢。こんな状況に巻き込まれてる俺の精神ライフはもう0だよ…。

 そんな俺に更なる追い討ちがかかる。それは…

 

 「…ユウキ、ユーリとデートするのですか?」

 

 「…へえ、買い物に行くのは嘘でユーリとデートするんだ?」

 

 「…いい身分だなユウキ。我らを放ってユーリとデートか?」

 

 黒いオーラを纏いこちらを見つめるお三方。笑顔なのだが目は笑っておらず瞳の色が単色になっている。ヤベエよ。今日が俺の命日になりそうだよ。もしも今が夜ならば北斗七星の脇に輝く小さな星がハッキリと見えそうだよ。隣のユーリも三人に怯え俺の腕に抱きついてきた。それを見た男子共、担任(ロリコン)謙介(ムッツリ)、お三方は

 

 「「「「「「「「「「貴様あああああああっっっっっっっ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 「愛しき少女(リトル・レディ)を離せええええええええええっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」

 

 「ま、まさかここでするつもりなのかい!?」(ブバッ!)

 

 「「「二人共、O☆HA☆NA☆SHIしましょうか?(しようか?)(するか?)」」」

 

 更に殺気と黒いオーラを強くして俺とユーリを威圧してくる。謙介(ムッツリ)は鼻血を吹きだして倒れてしまった。コイツはまあどうでもいいか。それにしても、もう覇王色じゃねこれ?普通に意識を保つだけでいっぱいいっぱいなんだけど…。

 とりあえず無事に教室(ここ)を抜け出さねば。そう判断した俺は殺気とオーラに耐え、意識を思考する事に集中する。

 その瞬間、世界から色が消え周りの時間が停止する…。

 

 『高速思考(ハイパーハイスピード)

 

 俺の持つ希少技能(レアスキル)の一つ。高速で思考することにより、擬似的に時間を停止させ無限の思考時間を手に入れた状態となる。しかも高速思考に高速思考を重ねることで膨大な情報を処理することもできるが、脳の負荷が大きくなるため非常に危険である。更にコントロールの出来ない奴が使用すると発動後は時間の流れが何倍も遅く感じてしまい、孤独を感じる人間ならばそれに精神が耐えきれずに死んでしまうだろう。もっとも俺は魔力でコントロールを完璧に行っているので脳への負担も無く、発動後も時間の流れが遅く感じる事は無い。

 

 とにかく無事に脱出できる方法か……さて、どうしたものかな。

 

 

 

 1.全員完膚無きまでに叩き潰す⇒シュテル、レヴィ、ディアーチェ以外は容赦無くいけるが、三人は家族なので手が出せない⇒O☆HA☆NA☆SHIを受けてしまう⇒BAD END⇒却下。

 

 2.とにかく逃げる⇒逃げ切れる自信はある⇒家に帰ると三人が待っている⇒O☆HA☆NA☆SHIを受けてしまう⇒BAD END⇒却下。

 

 3.ユーリを生け贄に⇒ユーリを含めた全員が敵になる⇒フルボッコされた後、四人にO☆HA☆NA☆SHIを受けてしまう⇒BAD END⇒却下。

 

 4.ユーリだけ逃がす⇒本末転倒⇒フルボッコされた後、三人にO☆HA☆NA☆SHIを受けてしまう⇒BAD END⇒却下。

 

 5.ユーリと買い物に行くのを諦める⇒ユーリが悲しむ⇒男子共と担任(ロリコン)が狂戦士化⇒それでも倒せるがやっぱり三人には手が出せない⇒三人にO☆HA☆NA☆SHIを受けてしまう⇒BAD END⇒却下。

 

 etcetc…………。

 

 

 

 BAD ENDばっかじゃねえかあああああああっっっっっっっ!!もう三人のO☆HA☆NA☆SHIを受けるしかないのか!?

 ……いや、まだだ。どんな些細な事も見逃すな!何としても乗り切るんだ!!!考えろ、考えるんだ俺!!!

 男子共と担任(ロリコン)はどうとでも出来る。問題はシュテル、レヴィ、ディアーチェの三人だ。この三人のO☆HA☆NA☆SHIさえ回避出来ればこの窮地を脱出できる。何か…何かある筈だ。例えば父さんが母さんを怒らせた時はどう対処していた?思い出せ、そして考えろ!思考を止めるな!!まだ俺はこんな所で死ねないんだ!!

 

…………一つ可能性があった。父さんが母さんに許して貰っていた方法がある。あれならば何とか出来るかもしれない。リスクはデカく限りなく0に近いが0じゃない。だがここはこの方法に賭ける!!!!

 

 

 

 ……世界に色が戻り時が動き始める。もっとも完全に停止していた訳じゃなくそう感じるだけ。ただ1秒にも満たない時間でいくつもの可能性を考え、最善の策を絞り出す。それが『高速思考(ハイパーハイスピード)』。

 

 さあ、試してみよう。男子共と担任(ロリコン)を無視し俺は三人に話しかける。

 

 「…三人共……」

 

 「「「何?(ですか?)(だ?)」」」

 

 くっ、怯むな俺。

 

 「頼むからO☆HA☆NA☆SHIだけは勘弁してくれないか?その代わり三人の言う事を一つ、何でも聞いてやるから」

 

 …そう、俺の父さんはこうやって母さんの機嫌を直していた。そしてどんな無茶な願いも叶えていた。時には高級なレストランでの食事、時には服や指輪、バッグのような物品、時には手術の練習台に己の身体を。……最後のやつについては人体実験としか思えなかったがね。まあそんな窮地を脱出してきた父さんの技?を今ここで使う。 これで駄目なら後は無い。覚悟を決めた俺は三人を見る。すると…

 

 「「「………………」」」

 

 瞳に光が戻っていた。そして何かを考えている。

 

 「…本当に何でも言う事を聞いてくれるのですか?」

 

 「あ、ああ…俺に出来る事なら」

 

 「拒否したりしないよね?」

 

 「流石に無理な事じゃなければな」

 

 「…その言葉に偽りは無いな?」

 

 「ありません」

 

 俺に確認をし、三人が顔を見合わせ頷いた。

 

 「…わかりました。O☆HA☆NA☆SHIは止めてあげます」

 

 「その代わり、今言った事は絶対守ってよ」

 

 「もし破ったりしたら…」

 

 「大丈夫です!!男に二言はありません!!!」

 

 そういうと三人は黒いオーラを収めてくれた。

 

 た、助かった…。何とか生き延びる事に成功した。三人に何を要求されるかは分からないが今はこの窮地を脱出できただけで充分だ。ユーリも生き残れた事に涙を流し喜んでいた。後は周りの連中だが…

 

 「《四人共、とりあえず教室から出てくれないか?》」

 

 念話で教室から出るように頼む。四人は頷きランドセルを背負って教室を出る。そしてユーリが教室を出る前にこちらを向き

 

 「《ユウキ、私は校門の前で待っていますので早く来て下さいね》」

 

 「《了解。すぐに行くから》」

 

 お互いに頷き合い、ユーリも教室から出ていく。そして教室には俺と狂戦士共だけになった。

 

 「「「「「「「「「「さあ、覚悟はできたか?最後に遺言ぐらいは聞いてやる!!!!」」」」」」」」」」

 

 「今、目と目で会話してたな貴様!!もう許さん!!!ここで貴様の息の根を止めて俺が愛しき少女(リトル・レディ)達を救ってみせる!!!!」

 

 コイツらの放つ殺気が極限にまで達している。普段の俺だったら多少は怯むけどさっきまでシュテル、レヴィ、ディアーチェが放っていた黒いオーラのおかげか今は怯む事無く立っていられる。

 さて、ユーリを待たせるのも何だしとっとと終わらせるか…。俺はポケットに手を入れ一つの玉を取り出し地面に投げつけた。すると

 

 ブシュウウウウウ…

 

 玉から煙が噴き出し教室内が煙で包まれる。

 

 「何だこりゃ!?」

 

 「煙幕のつもりか!ちょこざいな」

 

 「窓を開けろ窓…を……!?」

 

 「か…身体が……痺れ………」

 

 「は…長谷川……貴様あっ……何だこの……煙は……?」

 

 煙を吸い込んだ狂戦士共は突然身体が動かなくなった事に混乱している。

 

 「心配しなくてもいいッスよ。ただの痺れ薬ですから」

 

 そう、玉から出た煙は吸い込んだ者の身体を痺れさせる即効性の痺れ薬だった。

 

 「何で…そんなモン……持ってんだよ……?」

 

 クラスの男子が聞いてくる。何でって言われてもなあ…

 

 「毎日毎日意味も分からず殺気ぶつけられてるからな。いつか俺が襲われた時にと思って一応作っておいたんだが?」

 

 準備しといて良かったぜ。

 

 「というか…何でテメエは……動けんだよ……?」

 

 「そりゃあちゃんと中和剤飲んでるからな」

 

 「い…いつの間に……」

 

 「朝メシ食った時。自分の薬で痺れるようなヘマをするアホではないのだよ」

 

 悔しそうに俺を睨んでいる狂戦士共。動けないのを良い事に何かしてやりたいがユーリを待たせる訳には行かない。

 

 「まあ2時間もすれば痺れは解けるんでそれまではのんびりしといてくれ」

 

 そう言い残し俺は教室を後にした…。

 

 あの後すぐに校門前に来た俺。ユーリは俺が来たのに気付くと笑顔で迎えてくれた。その時、ユーリを見ていた男子生徒達の視線が殺気をのせ俺に向けられた事は言うまでもない。

 

 「待たせたユーリ。あれ?シュテル達は?」

 

 「三人共先に家へ帰りました」

 

 「そっか。ならさっさと買い物行くか」

 

 「はい」

 

 俺達はスーパーに向かって歩き出した…。

 

 

 

 時刻は4時過ぎ…。タイムセールが始まるまで1時間半はある。いつもならタイムセールを狙うのだがあの戦場にユーリはついて来れないだろう。時間を潰す方法も無いし、今日は普通に買い物を済ませよう。安売りしているのもいくつかあるだろうし。

 

 「あ、レヴィとの約束もあったな。ついでに買っとくか」

 

 「約束?」

 

 聞き返してくるユーリ。俺は朝レヴィを起こした際に交わした約束について話した。

 

 「…むう」

 

 話を聞き終えたユーリは頬を膨らます。若干不機嫌そうだ。

 

 「レヴィばっかりズルいです」

 

 「ズルいって…」

 

 「大体ユウキはレヴィを甘やかし過ぎではないですか?」

 

 「そう…かなあ?そんなつもりは無いと思うんだけど」

 

 「いえ、甘やかしてます。シュテルとディアーチェも私と同じ事を思っているはずですから」

 

 断言するユーリ。俺にそんな気は無いのだがシュテルとディアーチェもそう感じているなら多分そうなのだろう。

 

 「まあ、今後は気を付ける」

 

 「そうして下さい」

 

 そんな他愛ない会話をしながら俺達は買い物を続けるのだった…。

 

 

 

 それから30分程経った現在、レジで精算を終えた俺達は…

 

 「少し買い過ぎたな…」

 

 「そうですね…」

 

 色々と買い過ぎていた。

 

 始めはトイレットペーパーや洗剤が残りわずかだったという事を思い出して日常品売り場に向かって行ったのだが今日に限って調味料やゴミ袋等、安売りしている物が多かった。それらをカゴの中にどんどん詰め込み、気が付いたら大量に購入していた。俺とユーリの両手だけでは荷物を持ちきれないぐらいだ。

 

 「シュテル達を呼びますか?」

 

 「いや、いいよ。『収納』すればいいだけだし」

 

 「収納……あ、そういう事ですか」

 

 理解してくれたユーリ。

 

 「じゃあユーリは人がいないか確認しといてくれ」

 

 「わかりました」

 

 それからユーリと人通りの少ない住宅路に移動し、周囲を確認してもらう。誰もいないのを確認したユーリはこちらを向き首を縦にふる。

 

 「じゃあ、収納しますかね。…『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』」

 

 俺は自分の持つ希少技能(レアスキル)を使用する。

 

 『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)

 

 かつて人類最古の英雄王と呼ばれた男が、世界が一つであった時に全てを手に入れ、後の世に伝わる『宝具』の元になった『宝具の原典』を宝物庫に保管していた。その宝物庫そのものが彼自身の宝具として祭り上げられたもの。宝物庫自体は異次元にある為、俺以外には中身を取り出す事は不可能である。

 

 スーパーの袋が空間に飲み込まれていく。

 

 「このスキル、ホント買い物の役に立つよな~」

 

 そう、俺はこのレアスキルを買い物によく使う。今回のように買い過ぎた時には収納する事で手荷物を減らせるからな。

 

 そして全ての袋を収納し終えると

 

 「収納完了っと。ユーリ、もういいぞ」

 

 ユーリに声を掛けるとユーリはこっちに向かって小走りで近寄ってくる。しかし

 

 「きゃっ!」

 

 俺のすぐ前で足をつまづき転びそうになる。

 

 「危ない!」

 

 そのまま俺にダイブしてきたユーリを受け止める。それほど勢いも無く、ユーリ自身も軽かったのでお互いに転ぶ事は無かった。

 

 「大丈夫かユーリ?」

 

 「あっ、はい。ありがとうござい……ま……す………」

 

 ふと顔を見上げたユーリと視線が合った。見つめ合って数秒後

 

 「~~~~~~っっ!!////」(ボンッ)

 

 顔が真っ赤になった。今日はよく真っ赤になるな~。

 

 「なあユーリ。ホントに熱無いのか?」

 

 「だだだ大丈夫でしゅ。全然問題無いでしゅ」

 

 噛んだ。

 

 「そそそ、それより早く帰りましょう!シュテル達が心配します」

 

 「確かにな。じゃあ帰るか」

 

 そう言ってユーリを離す。

 

 「あ…………」

 

 何だか少し残念そうな表情になるユーリ。

 

 「どうした?」

 

 「あっ…いえ、何でもないです」

 

 「そう?じゃあ帰るぞ。」

 

 そう言い俺はユーリの手を握る。

 

 「ゆゆゆ、ユウキ!?何故手を!?////」

 

 「誰かさんがまた転んだりしたら大変だからな」

 

 「そそ、そうですか////」

 

 先程ではないがまた顔が赤くなる。何か本当に大丈夫なのか不安だ。早く帰って休ませよう。

 そして俺達は手を繋いだまま家に帰った。手を繋いでいる間のユーリはすごく幸せそうな顔をしていた。

 

 

 

 そして家に帰ってきた時、手を繋いだ俺達を見たシュテル、レヴィ、ディアーチェは黒いオーラを解放し、結局俺とユーリは三人にO☆HA☆NA☆SHIされた。…………なんでさ。


 
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