No.445951

料理が趣味な一般人(自称) 「第二話 ピンクの少女と小さな竜との出会い」

Delayさん

別の世界に飛ばされた海斗、そこで出会うのは……小さな少女と小さな竜だった

2012-07-04 22:42:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2396   閲覧ユーザー数:2288

 学校の授業も難なく終わり、昼になった。普通ならばここで弁当を食べるのだが今日は違う。

 今日は午前中だけ授業をやって、そのまま下校のため、弁当を持ってくる必要がないのだ

 

 

「え〜、皆さん、今日の学校はこれでおしまいです、そのまま寄り道せずに家に帰るですよ〜それでは日直さん、帰りの挨拶よろしくです」

 

「さようならー」

 

 

『さようならー』

 

 

 帰りのSHRを終えたのでみんなが帰り始める。

 

 

「海斗、一緒に帰ろう?」

 

 

「すまない司、今日は一人で帰りたい気分なんだ」

 

 

 理由としては、今日弁当を作ってきたにも拘わらず、食べることができないというショックな出来事があったから。我ながらしょうもないな

 

 

「ってか、まだ引きずってたの?」

 

 

「肯定」

 

 

 司は多分、いや間違いなく、「こいつめんどくせぇ」とでも思っているんだろうな、俺はそう思いながら「今日は一人で帰るから」と司にいい教室から出て行った。

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「なんだ、これ」

 

 

 学校から出て弁当をどこで食べようかと思いながら歩いていたら、赤い結晶体と青い菱形の結晶体、そして白くて丸い結晶体の三つの結晶体が地面にころがっていた。

 その三つの結晶体を俺は拾って眺めていたら

 

 

 ピカーン

 

 

 急に白い結晶体が光り出し俺の体を包み込んだ。

 

 

「え、ちょ、なんだこれ!?うわ、まぶしっ!!」

 

 

 流石にこの見事なまでの不意打ちには対処しきれなく、俺の体全体を包み込んだ。

 

 

 

 光が収まった後そこには海斗の姿はなかった。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「(ドサッ)いてて、何だったんださっきのは、急に光りだしたから対処できなかったぞ、……そしてここはどこだ、俺はさっきまで商店街に居たはずなのだが、まあそんな細かいことは後にして……飯食うか」

 

 

 今日、作っておいて正解だったな、と思いながら弁当を食べていると、視線を感じたので、その方向を見てみると

 

 

「(じーーー)」

 

 

 小さい竜みたいなのが物欲しそうに見ていた。

 

 

「……欲しいのか」

 

俺がそう問うと、俺の言葉が聞き取れたのか

 

 

「きゅくる〜」

 

 

 と鳴きながら首を縦に振っていた。別におかずの一つぐらい構わないと思って、卵焼きの一つを箸で掴み、ちび竜の口元まで持っていった。それをちび竜が口の中に入れ咀嚼し

 

 

「きゅくる〜♪」

 

とうれしそうにしている。もしかして今まで何も食べていなかったのだろうか、

 

「もう一個食うか?」

 

 

「きゅくる〜(首を縦に振る)」

 

 

 俺がもう一個いるかと問い、ちび竜が食べると頷いたためもう一個あげようとしたら

 

 

「フリードー!どこにいるのー!いたら返事してー!」

 

 

 と俺とちび竜の前方にピンクの髪の少女が現れた。

 その少女がこっちを向いたため俺と目が合う、そしてちび竜は何を思ったのか俺の背中に隠れている。

 

 

「こんにちは」

 

 

 目があったのでとりあえず挨拶をする。

 

 

「あっはい、こんにちは」

 

「ところで君は何か探し物でもしているのかな?」

 

「えっとフリードという名前の白竜なんですけど見てませんか?普段は小さい姿なんですけど」

 

 すごい見覚えがあるんだが、そう、例えば俺の背中に隠れているやつとか、俺は背中にへばりついているちび竜を引っぺがし

 

「もしかして君が探しているのはこれじゃないかな」

 

 少女へと手渡した。

 

「えっはい!この子です!ありがとうございます!!」

 

「いや、別にかまわないよ、ところで、君はなんでこのちび竜──フリードだっけ?──だけ連れてこんなところに来たんだい?この森には俺も初めて来たが、君はまだ5歳にもなっていないだろう、大人の人に注意はされなかったのかな?」

 

 俺がそう聞くと少女はビクッと体を震わせていた。……はあ何やってんだ俺は、この子はまだ子供じゃないかそんな子供になんてことを聞いてんだ俺は、そう自分に自己嫌悪して、まずこの現状を何とかしようと、少女の頭に手を乗せ

 

「え!?」

 

 撫でる、そして抱きしめる。俺は抱きしめながら

 

「ごめんな、言いたくないことでもあったんだろう?言いたくないことなら別に言わなくていいだが、君が悲しんでいる姿はあまり見たくない。泣きたいのなら俺の背中でも貸してやる。だから悲しまないでくれ、自分のやることに後悔しないでくれ、どのようなものにも縛られないでくれ」

 

「……じゃあ、ちょっと背中借りますので後ろ向いててくれますか?」

 

「ああ、了解した」

 

 それから少しの時間森の中に一人の少女の泣く声が鮮明に響いていた。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「ところで俺はまだ君の名前を知らない、教えてくれるかな」

 

「私の名前はキャロ・ル・ルシエです、この子はフリードリヒ、フリードって呼んでいます」

 

「キュクル~(よろしく~)」

 

「そうか、キャロっていうのかいい名前だな、それにフリードもいい名だね、キャロとフリードが名乗ったのだから俺も名乗ろう、俺の名前は八雲海斗、料理が趣味な一般人だ」

 


 
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