No.445615

緋弾のアリア~調和の担い手~

ライカさん

神様の間違いで死した俺は、転生といった形で新たな生を受ける。
様々な特典を得て、永遠神剣第一位『調和』を担い、『緋弾のアリア』の世界に舞い降りる。
※この作品は永遠神剣シリーズとのクロスオーバー作品になります。
主人公ハーレムモノ、原作キャラの息子等のオリ設定が出てきます、そういうのを許せる方はどうぞ、よろしくお願いします。

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2012-07-04 18:31:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6502   閲覧ユーザー数:6309

 

 

 

「それで、試験中に居眠りとは。一体何夜更かししてたの?」

 

 

女神様が先程、神力とやらで創って淹れてくれた紅茶を啜りつつ、そう口にした。

女神様苛めも何処となく、心を痛めるので俺は話を変える事にした。

この神様はどこか小動物めいていて、自分を殺したとはいえ、保護欲に駆られそうになる。

 

 

「えっと…友人に勧められたラノベが面白くて…つい」

 

 

そう言い、先程虚空より取り出し、テーブルに置いてあったラノベに視線を落とす。

最初“0”と名乗ったのはこのラノベが大元か。

 

 

「まぁ、次からは気を付けてくれ。次があっても困るけどね」

 

「はい、今後はこの様な事は絶対起こさない様にしますので。本当に申し訳ありませんでしたっ!」

 

 

そう言い、女神様が頭を下げる。

頭を上げてくれと、俺は制す。

別にそこまで怒っていない、軽く呆れてはいるが。

女の子に頭を下げさせるなんて、正直気が引ける。

 

 

「まぁ、以後気を付けてくれればいいよ」

 

 

というか、神様の世界でもこういう人間世界のモノがあるんだな。

案外、オタクな神様とかいそうな感じだ。

 

 

「はい、私も人間界のアニメや漫画、小説とか見ますけど、北欧の主神オーディン様とかはもろオタクですよ」

 

「だから人の心読むの禁止、って…えっ…なにそれこわい」

 

 

口に含んでいた紅茶が口から零れそうになる

だって北欧神話の主神オーディンだよ、戦争と死の神様だよ?

あれかな、有名なミーミルの泉はその水を飲む事により知識を得る事が出来るらしいけど、要らぬ方向に知識を蓄えて、もしかして目覚めちゃったのかな?

 

 

「……マジで?」

 

「マジですよ。私の両親とも交流があって私もオーディン様とお勧めの作品とかについて語りあったりしますし。」

 

 

そんな主神まるで想像がつかない。ついたとしてもまるで威厳も何もあったモノじゃないなシュール過ぎる。

というか、交友関係凄いなこの女神様。相手主神クラスだぞ。

 

 

「話が脱線したけど、俺に転生しろって言ったっけ?それで、一体何処に転生するの?」

 

「あっ、はい。本当に話が脱線してしまいましたね。」

 

苦笑をその顔に浮かべ、女神様は空間にモニターの様なモノを展開する。

 

「私の力を使って転生させる事が出来る世界はこの三つですね」

 

そう言い、展開されたモニターに三つの転生先が表示される。

 

 

・『緋弾のアリア』

 

・『カンピオーネ!』

 

・『ハイスクールD×D』

 

 

どの作品も生前読んだ事があるが、どこも死亡フラグ満載ですね。

 

 

「……この三つの世界以外に転生出来る所はない?死亡フラグ満載なんだが」

 

 

三つとも死亡フラグ満載だが、下二つの世界は絶対に嫌だ、何の力も持たない俺が人外どもと相対なんてしたら、せっかく転生したのに瞬殺だぞ。

 

よく見る二次創作の転生モノでは原作介入はデフォとかあるしな。

 

 

「…すみません、私の力で転生させられるのはこの提示した世界だけです。後、転生の際に幾らかの特典を付ける事が出来ます。」

 

「特典?」

 

これも二次創作モノではお約束か。

 

 

「はい、既存の作品の能力や基礎能力アップとかです。私はまだ未熟なので5つが限度ですね。」

 

「ふむ」

 

「あっ…後、強すぎる力やモノは枠を大きく消費するので気を付けて下さいね。」

 

 

そうなると、貰う能力によってはあそこが一番平穏に過ごせるか。

それに俺が嫁と呼ぶあの子もいる。

 

 

「よし、決めたぞ。俺は“緋弾のアリア”の世界に転生する」

 

「はい、わかりました。能力の方はどうしますか?」

 

「そうだな、永遠神剣シリーズって知ってる?」

 

「はい、永遠のアセリア・聖なるかな等ですよね。私も過去にプレイした事があります。…まさか」

 

 

どうやら俺の思考をまた無断で読み取っていた為、俺の言いたい事が分かるらしい。

 

 

「そっ、その作品の中から第一位の永遠神剣が欲しいんだけど」

 

 

第一位クラスとなると一撃で世界を崩壊させるクラスの代物とか、思っただけでその存在を消滅させる程のモノがあるが、俺が欲しいのはそう言ったモノじゃない。

 

 

「俺の考えた架空の神剣なんだけどさ。“鞘”の直系の永遠神剣が欲しいんだ」

 

「“鞘”と言えば永遠神剣・鞘『調律』ですよね」

 

 

“調律”は神剣宇宙に置ける、コズミックバランサーの位置に属する、最上位の永遠神剣の一つだ。

“鞘”は永遠神剣の“天位”と“地位”が争わぬ様にその力を、神剣自体の力を封じる力を持つ一振り。

だが、今は失われ別の永遠神剣として転生している。

 

架空ではあるが、その鞘の直系に当たる、名称・永遠神剣第一位『調和』が欲しいのだ。

 

 

「それクラスのモノでしたら枠を三つは使用しますよ?」

 

「ああ、構わないよ」

 

「それにもし手にしても、“調和”が貴方を主として認めない可能性もあります」

 

 

永遠神剣というモノは使用者に絶対的な力を与えるが意思を持つ。

人同様、その性格はそれぞれ個性がある。

主に従順な者、捻くれ者な奴。中には所有者の身体を乗っ取る様な存在もいる。

 

 

「まぁ、何とかするさ。」

 

きっと何とかなる、どこか謎めいたそんな確信があった。

 

 

「では、残りの枠は二つですね。どうしますか?」

 

「う~む、身体能力のアップかなぁ」

 

「貴方に、それ系統のスキルは必要ないのでは?」

 

「何でよ?」

 

「“あのモード”を使えば、思考力・判断力・反射神経・運動能力が常人の15倍まで跳ね上がるんですよ?」

 

 

この女神様は俺の生前の特異性について知っているのか。

 

 

「実習中に貴方の個人情報は書類で拝見させて頂いているので。それぐらいは」

 

 

人権侵害だな。って、神様にそんな事を言っても意味ないか。

心も読まれまくりだし、プライベートも何もあったものじゃないな。

 

「う~ん、我ながらチートな身体能力だよな。残り二つねぇ」

 

顎に手を当て、真剣に悩む。…そうだ。

 

 

「なぁ、一つ君が決めてくれないかな?」

 

「私が、ですか?」

 

 

俺の問いかけに目をパチクり…と見開く女神様。

というか、俺。この子の事を女神様とか君とか読んでいて名前を知らない。

俺の個人情報は知られているのに、どこかフェアじゃない気がする。

当然、“0”と名乗った名は偽名だろうし。

 

 

「そう、君が。それで、君の名前を教えて欲しいんだ。」

 

「私の名前ですか?」

 

「そうだ。俺の事は知ってるだろうけど改めて、俺は|暮桜霧嗣《くれざくら きりつぐ》。」

 

 

俺は“0”と名乗った女神様に視線を向ける。次は君の番だという意味を込めて。

俺の意図に気付き、女神様がコホンっと軽く咳払いをして…

 

 

「では改めて、私の名前はユーミルと言います。よろしくお願いしますね、暮桜さん」

 

自らの本当の名を口にした。

 

 

「名字は好きじゃないんだ。出来れば名前で呼んで欲しい。」

 

 

俺がそう言うと。彼女、ユーミルは顔を仄かに赤くし、モジモジとして何事か呟き、恥ずかしそうにしている。

……何故?

どこか恥ずかしがる要素があったか?

 

 

「えっと…その、では……霧嗣、さん?」

 

 

小さな、耳を澄まして漸く聞こえる声で俺の名前を呟いた。

 

 

「その、無理なら名字でもいいよ?」

 

「はうぅ…無理とかじゃないんです!その、同年代の様な男性の下の名前を呼んだ事がないから。それに知り合いに若い男性の方がいないですし…」

 

「そっか、まぁ無理はしないで。それで君に決めて貰いたいんだが」

 

「あっ…そうでしたね。一つ、ですか」

 

 

顎に白く細い指を当て、思案顔になるユーミル。

彼女のその容姿も相まってか、どこか様になって知性的に見える。

そして、しばらくの熟考後、ユーミルは口を開いた。

 

「ハイスクールD×Dからなのですが、|神器《セイクリッド・ギア》はどうですか?」

 

「んっ、どんなの?」

 

「はい。これも架空のモノですけど、《心剣創造》と言った能力です。」

 

 

ユーミルは展開してあったモニターに能力の説明を映す。

能力的には原作に出てきた神器「魔剣創造」や「聖剣創造」の亜種と言った所か。

自身の感情、人間が持つ六つの感情、喜・怒・哀・楽・愛・憎。

その六情に当て嵌まる、属性の刀剣を作り出す能力。

 

「いんじゃないかな。中々に面白い。それで禁手化は?」

 

「…それはご自身で発現させてからお確かめ下さい」

 

 

どこか、悪戯っぽくユーミルが微笑む。

 

 

「ふむ、ならその時を楽しみにしておこうかな」

 

「ええ、特典の方は残り一つですね。既に決まっていますか?」

 

「ああ、決まってる」

 

 

ユーミルが考えている間に、俺は自分の考えを纏めていた。

最後の俺の望み、これは転生の際の特典とは関係ないが、これが最後の一つだ。

 

 

「最後の望みだが、特典とは関係ないがいいかな?」

 

「…?ええ、内容にもよりますが」

 

 

生前の人生に未練はないと言ったが心残りがない訳ではない。

だから、過去を払拭する為に俺はこう宣言した。

 

 

「俺の存在を、記憶を世界から抹消してくれ」

 

 

それが俺の最後の願い、俺がこれまでの人生で連なってきた人達に迷惑は掛けたくない。

それは親代わりに俺を育ててくれた父の妹夫婦であったり、親友であったり、大学のちょっと無口な後輩であったり、酒飲みでよく絡んできた先輩であったり。

 

 

「俺を、暮桜霧嗣という存在を世界から抹消してくれ」

 

 

それは俺の身勝手な願い。残される者達にその感情すらも許さないただの我儘。

 

 

「いいのですか?そんな事をしてしまえば、きっと……」

 

「いいんだ。どうせ俺は死んだ人間だ、死して皆に迷惑は掛けたくないんだ。」

 

 

俺は転生といった形で新たな生を歩む。きっと俺が死んだ事を彼らが知れば心を痛めてくれるだろう。

叔母さんやおじさんは子供が出来なくて、俺を本当の息子の様に育ててくれた。

二人ならきっと「私達の息子は死しても自慢の息子だ」と涙しても言ってくれるだろう。

 

 

 

そんな人達に迷惑は掛けたくない。それに俺は―――

 

 

「後悔はしてない、たとえそれがユーミルの間違えによって起きた事でも。あの子を救うと決めたのは俺だ。」

 

「…そうですか、ではあなたを世界から抹消します。本当によろしいんですか?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 

確かな意思を込めて、俺は頷いた。

それに対し、ユーミルは「わかりました。」と俺の意思を汲み取ってくれた。

 

 

「これで。特典も決め終わったな。いつ転生すればいいんだ?」

 

「転生の方は準備が出来ているので…そこの扉を潜って頂ければ、それと同時に貴方は世界から抹消されます。」

 

 

ユーミルの視線の先、そこには先程まで存在していなかった群青色のドアが存在していた。

 

 

「そうか、じゃあ行くわ」

 

 

俺はチェアを立ち、ユーミルに背を向ける様に扉に手を伸ばす。

すると背後から声を掛けられた。それに顔だけ後ろに向ける。

 

 

「…あの霧嗣さん」

 

「んっ?」

 

「私が言うのはおかしいですけど、貴方の新たな生に幸あらん事を」

 

「ああ。じゃあな、駄女神様」

 

 

ドアに向き直り、薄く笑みを浮かべながら俺はドアを開いた。

 

 

 

 

その日、俺はその群青色の空間より、世界よりその存在を消した。

 

 

 

 
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