温泉から帰ってきてそれから数日経った4月26日になりました。
……あの後はアリサちゃんも自重して何もしてこずに帰ってきたのですが、お互いに気まずい状態になってしまったのです。
学校には一緒に行きますがお互いに気まずくてすずかちゃんを通して話しているような感じでした。
それが数日間続き、今日の学校もそんな感じだったのです。フェイトちゃんと戦った後も余り話さないで歩いていましたからね。
そんなこんなで今日まで続いているのです。
それで今日の夜は確かフェイトちゃんが街中にあるジュエルシードを強制発動させて反応するはずなのですが……
――どうしてジュエルシードの反応が無いのですか!?
もう日付が変わりそうな時間帯にまでなっていました。
ちょっと待ってください。前と同じ通りにやっている筈なのに反応が来ないってどういう事ですか!?
今まで前と同じ通りにしていた筈ですし、ジュエルシードの事で違った事は一つも……
――もしかして、アリサちゃんが見つけたあれですか!?
そういえばアリサちゃんが私にジュエルシードを拾ったと言っていましたし、あの時は余り気にしていませんが、あの時のジュエルシードってXIVで書いてあった事を今更思い出しました。
あれ、これって大変な事なんじゃ……
あの時って確か次元震が起こって、それで管理局が来ることになったのではありませんでしたっけ?
……どうすれば良いのですかこれ?
完全に予想外の事態なんですが…… 急遽管理局を呼ぶような事をしないといけないという事ですよね。
正直言うと、フェイトちゃんとジュエルシードをデバイス同士でぶつけ合うのはやりたくはないとは思っていたのですけどね。
……仕方ありません。明日は確か海辺の公園でジュエルシードが反応しますが、それよりも先にあっちをやれば管理局が来るかもしれませんからね。とりあえずこの後は家を出てあの場所に行きますか。
私がそう思ってこの後の予定を決めると、こんな深夜近くに突如電話が鳴りました。
携帯電話を持って開くと、そこにはアリサちゃんから通話が来たようで、すぐに私は出ました。
「もしもしアリサちゃん、こんな時間帯に何の用ですか?」
『ちょっと、この前の公園でまた会わない? ちょっと話したい事があって』
「別に構いませんが、どうして急に?」
『それは、後で話すよ。とりあえず待ってるから』
そう言うと電話を切られ、私はすぐに家を出る準備をします。
ちょうどよかったです。元々ジュエルシードを手に入れるために今すぐ出ようとしていた所でしたからね。こんな日付が変わりそうな時間帯に出かける理由も出来ましたし。
とりあえずお兄ちゃんやお父さんたちに理由を言って家を出て行き、すぐに公園へ向かいました。
そして公園に着きますと、すぐにアリサちゃんがベンチで座っているのを見つけ、駆け足でそちらに向かいました。
アリサちゃんも私に気づき、手を振ってきました。
「それで、こんな時間帯に何の用ですか?」
アリサちゃんの近くに来て、アリサちゃんが座っているベンチの隣に座ると、私は聞きました。
「こ、ここ最近、温泉での出来事のせいでお互いに気まずい状態になっているじゃない? そ、そろそろ耐え切れなくなって……」
「……そ、それはそうだね」
……その話ですか。
正直その話になると、何故かアリサちゃんと話しにくくなります。っていうよりお互いにあの時のやりすぎた事でお互いに見れなくなっていたのです。
フェイトちゃんに見られた事もありましたが、その他にも密かにアリサちゃんの事を気にしてしまったのです。余り顔を見る事も出来ない状態で、お互いに目があうと逸らしてしまうのです。
今でもアリサちゃんの顔は余り見れず、今も顔をなるべく見ないようにしています。見るとお互いに顔を少し赤く染めますし……
……今、何その初々しい恋人同士みたいと思った奴。後でO☆HA☆NA☆SHIが必要のようですね。
「あ、あのね。きょ、今日呼んだことは、あ、ありがとうって言いたくて……」
「きゅ、急にどうしたのですか?」
「に、二年前のあの時、すずかをあたしが虐めていた時になのはが入ってきたじゃない?」
あぁ、あの時の事ですね。
すずかちゃんに一度言われて、あれから思い出そうとしてやっと思い出したのですが、あれは今思うと我ながら恥ずかしい事を言いましたねと思いましたよ。
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あれは二年前、アリサちゃんがすずかちゃんを虐めていた頃ですね。
前と同じようにすずかちゃんがアリサちゃんに物を取られた時に、私が乱入したのです。
もちろん、前に言った通り『一発ぶん殴って黙らせてからお話しする』という事はせず、おはなしで済ませました。
「一体、あなたは何をやっているのですか? 人の物を盗んだり人をからかったりして何が楽しいんですか?」
「あんたには関係ないじゃない!!」
私はアリサちゃんの腕を掴んで、アリサちゃんに最初に言った言葉がこれだったと思います。
アリサちゃんはこの時私の腕を離そうとしますが、私は離さないようにしていました。
もちろんこの場にはすずかちゃんも居たのですけど、ちょっと私たちから離れたところで私たちの会話を聞いていました。
そして私は確信を付くかのようにアリサちゃんにこう言ったのです。
「……心が弱いんですね、あなた」
「っ!?」
その言葉にアリサちゃんは動揺したのですが、尚も私はアリサちゃんの目を見ながら言葉を続けました。
「だから人を傷つけるような事をして、からかったり盗んだりするのでしょ? 自分から逃げるように壁を作って」
「う、うるさい!! あなたに何が分かるのよ!!」
尚もアリサちゃんは私の腕を振り払おうとするのですが、なかなか離れません。まぁ、私がそうしていたのですが。
そして私はそのままアリサちゃんに抱き着き、そこでアリサちゃんの腕を掴んでいた手を離して両手を背中に回しました。
「確かに分からないよ…… でも、そんな事をしていたらずっと一人ぼっちですよ。誰にも助けてくれる人が居ない、そんな風になりたいのですか?」
「ぁ、」
抱き着いてきた私をどうにかして離そうとしていたアリサちゃんは、私の言葉を聞いてその動きを止めました。
またこの時私がアリサちゃんに抱き着いて気づきませんでしたが、私の言葉にすずかちゃんも何か思ったらしいです。あれから少しして聞いたのですけどね。
「だから、自分から逃げるのは止めなさい。仮にもこんなに可愛いのですし、また綺麗な顔なんですし、私は好きですよ?」
「か、可愛いっ!?」
私がそう言うと、アリサちゃんが可愛いという言葉に驚きます。
「えぇ。だからこんな事は止めましょう。きっと良い事もありますよ。だから彼女に謝ってください」
「う、うん///」
この時私はアリサちゃんに抱き着いていたので、アリサちゃんが顔を赤く染めていた事に気づかず、そして私が抱き着くのを止めるとすずかちゃんに謝ったのです。
「勝手に盗んでごめんなさい!! これからは盗んだりしないから」
「うん、私もはっきり言えなかったし……」
とまぁ、そんなこんなでアリサちゃんとすずかちゃんは謝ったのですが、どうしてこの時の私は自分が言った台詞に気づかなかったのでしょうね。あれではまるで告白みたいじゃないですか。
このあとはまぁ、アリサちゃんとすずかちゃんと友達となり、今に至る訳です。
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「私は、あの時なのはに助けられた。あの時言われていなければこのようにはなってないからね」
「それで、あの時言った私の言葉を聞いて、かっこいいと思って惚れましたと」
「うん/// って私がなのはに惚れてるって知ってたの!?」
いや、あれほど私に密着したり、腕を組んだりしたら誰だって分かるでしょ。っていうか温泉の時に堂々とキスしようとしていたじゃないですか!! そのせいでフェイトちゃんに変な目で見られるし……
「と、とりあえず、私が話したかったのはその事。なのはにはかなり助けられたと思っているし、恩人だと思っているから」
「そうですか」
とりあえず、アリサちゃんが私をこんな時間帯に呼んだのはなんとなく分かりました。ここ最近気まずい感じではありましたし、それも含めて二年前の事を話したのですね。
私はそう思うとベンチから立ち上がり、髪につけていたリボンを外します。
「アリサちゃん、明日までこのリボンを持っていてもらいますか。ちょっとこれからやる事がありますので」
「これからって、まさか今からジュエルシードを手に入れにいくの!?」
「えぇ、今回に限っては今すぐやらないといけない事情がありまして。場所が場所ですし、もしリボンが解けたら大変ですからね」
まぁ、一度あの場所ではフェイトちゃんがやっているので大丈夫だとは思うのですけどね。
「分かった。明日まで持ってるよ」
「それと、アリサちゃんの告白に付いてですが、もう少し待っててください。私が良いと思うまでは答えないつもりですので」
「わかった。頑張ってきてね」
厳密に言えば、アリサちゃんは告白まではしていないのですけどね。
アリサちゃんが頷くと、私は公園を出ていくように歩いて行きました。
さて、ここからが正念場ですね。多分、ジュエルシードを手に入れるのに一番大変なものだと思いますので。
そう思いながらも、私は目的の場所へ向かうのでした。
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新暦85年、高町なのははある任務の途中で死亡する。
任務は全て嘘であり、全てはなのはを殺害するための一部の管理局員による計画だった。
なのははその計画通りに殺されるが、その任務に向かう途中に偶然何故か落ちていた拾ったジュエルシードによって、なのははタイムリープをするのだった!!
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