No.440801

魔法少女リリカルなのはStrikerS00(仮)--16 派遣1~強制連行~--

ケイさん

再び魔法少女の世界へ降り立ったガンダムマイスター刹那・F・セイエイ。聖王教会から再びロストロギア関係の依頼が舞い込んでくる。今度の目的地は……。魔法少女リリカルなのはA's00~とある日常~(仮)の設定を踏まえたクロスオーバー作品です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。

2012-06-23 14:35:15 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:13217   閲覧ユーザー数:12115

CD一話目。

俺はヴァイス・グランセニック。

機動六課のヘリパイロット。

六課メンバーを所定の目的地へ運ぶのが仕事だ。

現在、ヘリを操縦してミッドチルダの空を飛んでいる。

あ? 何でかって?

そんなもん決まってんだろ。

仕事だよ。仕事。

目的地の転送ポートへ向けて移動中だ。

ヘリ好きとはいえ、部隊のヘリを勝手に乗り回すわけにはいかねぇかんな。

八神部隊長をはじめ、前線の隊長副隊長。

リイン曹長にシャマルの姉さん。

新人どもがヘリに乗っている。

結構、豪華なメンバーだよな。

新人どもは何だか楽しそうにヘリポートに集まって来やがったが……。

何故か、今は後部の雰囲気が暗い。

いや、その暗~い雰囲気を作り出している原因は分ってるんだけどよ。

「はあ~。普通は嬉しいと思うんだがなぁ」

溜息をつきつつ、ヴァイスは操縦桿を握り直した。

 

「あ~。まだ、怒ってる?」

はやてが人差し指で頬を掻きながら尋ねた。

ヘリ内部の暗い雰囲気を作り出している元凶……もとい、人物が閉じていた目を開いてはやての方を見る。

「別に怒ってはいない」

件の人物――刹那・F・セイエイが腕組は解かず、視線だけを動かし軽く溜息をついた。

刹那の態度になのはとフェイトは明後日の方向を見ていた。

その何とも言い難い様子に、FW(フォワード)の4人はどうしたらいいのか分らず、体を固くしていた。

「キュク~?」

刹那の膝の上に乗っていたフリードが、可愛らしく首を傾けて小さく鳴いた。

刹那が何故こんな態度をとっているのか……。

それは、二時間程前に遡る。

 

 

--派遣1~強制連行~--

 

 

「刹那さん。発注していた材料が届きましたよ」

「早かったな」

今日もデバイスルームに篭っていた刹那の元に、シャリオがキャスターを押して報告に来た。

「これ、どうしますか?」

「俺の方で預かる」

「何か手伝えることはありますか?」

「気持ちだけで十分だ。お前はフェイトの副官なんだ。フェイトのサポートに専念してくれ」

「わかりました。では、失礼しますね」

「ああ」

デバイスルームからシャリオを見送ってから、頼んでいた材料が揃っているか、作成したリストと確認しようとした時、放送を知らせる音が鳴り響いた。

『隊員呼び出しです。刹那・F・セイエイさん。至急、部隊長室へお越しください。繰り返します。刹那・F・セイエイさん……』

《館内呼び出しとは珍しいですね》

「ああ。……急ぎのようだし、行くか」

材料確認を後回しにして、足早にはやての元に向かった。

 

部隊長室に入ると、リインフォースが刹那の元に飛んで行き出迎える。

なのはとフェイトも居り机を挟んで立っていた。

「……緊急とのことだが、何かあったのか?」

「うん」

はやてがニッコリ笑った。

その笑顔からは、緊急の用件とは思えない。

なのはとフェイトもニコニコしていた。

「……で?」

刹那は不審に思いつつも、それを表に出さずにはやてに尋ねた。

「実は、聖王教会から仕事の依頼が来てなー」

「聖王教会? 確か、管理局とは別に次元世界や古代遺失物(ロストロギア)の管理を行っている組織だったか?」

「流石、刹那さん。説明が省けて助かりますぅ」

リインフォースが刹那の右肩の座った。

一瞬、リインフォースを見るが、その行動に特に気にせずはやてに視線を戻した。

「少し調べただけだ。詳しいことまでは知らない。先日の(レリック)も聖王教会からだったな」

「そう。今回は、異世界への派遣任務」

「異世界?」

「本来なら聖王教会か機動課の一課から五課までのいずれかが行く案件なんやけれど、どこも忙しくて動けへんらしいんや」

「それで、六課に依頼が来たですぅ」

「俺を呼び出したのは、その異世界への派遣任務に同行させるためか?」

「そのとおりや」

「……メンバーは?」

「メンバー?」

刹那の言葉にはやてが繰り返した。

「異世界へ行くメンバーだ」

「ああ。私となのはちゃん、フェイトちゃん。シグナムにヴィータとシャマル。そして、FW4人」

「勿論、私も行くですよ」

リインフォースが刹那の右肩から離れて、はやての元へ飛んで行く。

「……ザフィーラは?」

「こっちで待機や」

六課隊舎で待機する者の中でまともに戦えるのはザフィーラのみ。

ヴァイスも出来そうだが……。

「シグナムとヴィータが同行するのであれば、俺はこっちに残った方がいい」

「え?」

「刹那……一緒に来てくれないの?」

なのはとフェイトが悲しそうな声を上げた。

「こっちの人手が少なすぎる」

刹那の言葉は、先日の会議内容を踏まえたものだ。

内通者が六課内にいるとは考え難いが、それでもこちらの情報がスカリエッティに渡っている可能性があるとすれば、情報戦での遅れはかなり手痛い。

もし、自分が同行した場合、ミッドで何かあった場合ザフィーラ一人では対処しきれない。

「どうしても残る……と?」

「それが最善の選択だ」

はやてに背を向けて、歩みを進めようとした時だった。

「仕方あらへん」

一言呟き、はやてが徐に立ち上がった。

振り向かず、視線だけをはやてに向けた。

わかってもらえたか?

刹那がそう思った次の瞬間。

「なのは隊長。フェイト隊長」

「「はい!」」

なのはとフェイトがはやてに敬礼をして、刹那の両腕を掴んだ。

というより、腕を組んだ。

「!?」

二人の突然の行動に、流石の刹那も一瞬思考が停止してしまう。

「部隊長命令や! 両隊長は、刹那・F・セイエイを彼の部屋へ連行! 派遣任務の準備を手伝いなさい!!」

ビシっと、右手の人差し指を刹那に向けて、高らかに言い放った。

「「了解!」」

なのはとフェイトが空いている方の腕を上げて、敬礼をした。

「お、おい!?」

「さ、行こう。刹那」

なのはとフェイトに両腕を組まれたまま、ズルズルと引きずられるように刹那は隊長室から出て行った。

 

「ふっふっふっ……私の作戦勝ちや」

「はやてちゃん……悪い顔になってるですぅ」

「失礼やなー。これも刹那君を連れて行くためや」

「刹那さんの言い分は正しいと思いますけど……そんなに連れて行きたかったんですか?」

「行き先が行き先だけになー。……どうしても連れて行きたかったんや」

椅子に座って、はやてはリインフォースに少し寂しげな表情を見せた。

刹那が「残る」と言うことは、はやてにもわかっていた。

刹那の言い分は正しい。

自分を含めて、六課の主力メンバーがミッドから離れるのは、あまり良くない。

バランス良く振り分けたいところだったが、相手はロストロギアだし行き先の事もあったので、どうしてもこの様な人選になってしまった。

そして、刹那にも同行して欲しかった。

何よりこの件を話した時に、なのはとフェイトも同行を望んでいた。

だからこそ、なのはとフェイトに協力してもらった。

あの二人が相手では、刹那も力ずくで引き離す様なことはしないと踏んだのだ。

「私情を挟むのは、指揮官としては失格なんやけどなー」

 

そんなわけで、刹那は部隊長命令という名の強制連行をされた。

「ごめんなー。ちょーワルノリしてもうて」

「それはもういい」

隊長室でのやりとりの事で、はやてが手を合わせて謝る。

刹那はその事について咎めることはしなかった。

本音としては説教でもしたいところだが、如何せんスバル達の前で部隊長を説教するわけにもいかないため、仕方なく不問にした。

「それで、何処に行くつもりなんだ?」

「あ、私達も聞きたいです」

刹那の言葉に続いて、ティアナが手を上げて質問をした。

「……おい」

前言撤回。

少し強く出た方が良さそうだ。

「な、なんや」

刹那の低い声に、はやてが少し怯えた。

強制連行(・・・・)の俺は別として、FWのやつらには事前に説明をしておいてやれ」

「きょ、強制連行……」

スバルが苦笑いしながら、刹那の言葉を繰り返した。

「人聞きの悪い言い方やなー」

「事実だろう?」

今回の派遣任務のため、FWの4人がヘリポートで待機していると、なのはとフェイトに両腕を掴ま……組まれた刹那が連れて来られた。

そしてその時の刹那は……諦めにも似た表情をしていた。

「それで? 何処なんだ?」

「……第97管理外世界」

「なに?」

「現地惑星名称【地球】」

「海鳴市でロストロギアが発見されたそうだよ」

はやて、なのは、フェイトが言葉を紡いでいく。

そうか……それで俺を連れて来たのか。

部隊長命令という大義名分まで使って……。

「地球って確か、八神部隊長となのはさんの……」

「うん。生まれ故郷」

ティアナが確かめるように呟き、なのはが笑顔でそれに答える。

「そして、刹那さんの生まれ故郷でもある」

「……そうだな」

キャロの言葉に、刹那は少し間を置いてから返事をした。

それは、刹那にとっては生まれ故郷の地球ではないため、即座に返答することが出来なかったからだった。

「第97管理外世界……魔法文化なし。次元移動手段なし。……魔法文化なし?」

ティアナが確認するかのように、データを読み上げる。

「魔法文化がない世界から、八神部隊長やなのはさんのようなオーバーSランク魔導師が?」

「偶々……かな。稀に現れるそうだよ。高い魔力資質を持った人が」

「ただ、魔法文化がないから魔法に出会えなければそのことに一生気づかへんやろうなー」

「私もはやて隊長も偶然だったしね」

「そうやなー」

なのはとはやてがFW達に説明をしたが、どこか懐かしむように話をしていた。

 

なのは達の話に一区切りついた頃、シャマルがリインフォースに服を差し出した。

妖精とも言い表すことの出来るリインフォースにとって、差し出された服は明らかに大きい。

というより、大きすぎる。

エリオとキャロも不思議に思っていた。

すると、リインフォースの体が光り、瞬く間にエリオやキャロと同じくらいの体格(サイズ)になる。

「リインさん!?」

「一応、これくらいのサイズにもなれるんですよ。……刹那さんは、あまり驚いていないみたいですね?」

「昔、お前のようにサイズを変えられるヤツがいたからな」

「あ、それってもしかして……」

フェイトが刹那の言葉に察した。

「アルフだ。アイツは元気か?」

「うん。元気だよ。」

フェイトの使い魔であるアルフもサイズを変えることが出来る。

そういうことが出来ることを知っているため、刹那はそれほど驚きはしなかった。

「服といえば、刹那君の私服姿って久しぶりだね」

「そうやなー。いつもは陸士隊の制服やから、何だか新鮮な感じや」

現在、刹那は陸士隊の制服ではなく、黒いシャツにジーパンというラフな格好をしている。

刹那がミッドチルダに来たばかりの時に、なのは達に買ってもらったものだ。

中に着ている白いTシャツの胸元には首から下げている翡翠の宝石――エクシア。

「制服姿が当たり前になっちゃったね。六課が始まる前は、毎日部屋で見ていたのに」

なのはの言葉に、FWの4人が大きく目を見開いた。

「ん? みんな、どうしたの?」

自分が落とした爆弾になのは気づかず、キョトンとした。

「な、なのはさん。……毎日。へ、部屋でって……」

「そ、それって……つまり……」

「? スバルにティアナ。どうかしたの?」

余りにも衝撃的な発言だったのか、スバルとティアナが声を震わせがら、なのはに説明を求めていた。

しかし、なのははまだ事態を呑み込めずにいた。

「刹那さんと……その~……」

「一緒に……暮らしていたって……ことですよね?」

「……あ!」

スバルとティアナの言葉に、ようやく自分が言った事を理解した。

「え、えっとね。その……ちが……違わないんだけど……そうじゃなくて!」

なのはが両手をパタパタと振って、何とか説明しようとするが、テンパっているため言葉が出てこない。

「落ち着け」

そんな様子を見かねて、刹那が口を開いた。

というより、当事者の一人である刹那は何故落ち着いているのか、スバルとティアナには不思議だった。

「六課が始まる前に、色々と準備や会議に呼ばれることが多かった。地球とミッドを行き来するのは大変で、ミッドに来ていた方が楽なんだが、俺はこっちに家が無い。それで、六課が始まるまでの間、なのはが部屋を提供してくれた」

若干、事実を捻じ曲げている気もするが、全てが嘘ではないから……まぁ、大丈夫だろう。

「そ、そう! そうなんだよ! にゃははは……」

刹那の説明になのはが愛想笑いをしながら取り繕った。

しかし、どういう経緯があったにせよ。なのはが刹那と一緒に暮らしていたという事実が消えることはない。

そして、それが表沙汰になればミッド全体に衝撃が走ることは間違いない。

ここで、ティアナが何かを思い出したかのように呟いた。

「そういえば……」

「ティア?」

「ほら、一時期噂があったじゃない。すぐに無くなっちゃったけど……」

「噂……ですか?」

「どんな噂だったんですか?」

エリオとキャロがティアナに尋ねた。

「なのはさん……というか、なのはさん、フェイトさん、八神部隊長に……その……お、男の人の噂……」

「「「……えええええぇぇぇぇ!!!!?」」」

これには、なのは達も流石に驚いた。

三人の大声の所為か、ヘリが少し揺れた。

「な、なにそれ!? フェイトちゃん知ってる!?」

「し、知らないよ!」

「私も初耳や!」

「あ、思い出した。確か、六課が始まる二カ月くらい前だ」

スバルも思い出したかのように呟いた。

「どういうこと!?」

なのはがスバルに詰め寄った。

「え、えっと。ただ、なのはさん達と親しくしている男の人がいるっていう話です。私服の男性だったので、仕事絡みのお付き合いには見えないっていう……」

「どうやら、あの時のことのようだな」

「「「え?」」」

傍観していた刹那が口を開いた。

「俺が六課への協力を承諾した日に、喫茶店に入った時だ。覚えていないか?」

「「「あ」」」

なのは達も思い出したように小さく声を上げた。

「確か、出版関係の仕事をしていると言っていた。情報源はそこからか、または、他の客か。どちらにせよ、あの時のことだろう」

「そ、それじゃあ」

「噂の人って」

「俺だろうな」

「「えええええぇぇぇ!!!?」」

今度は、スバルとティアナが大声を上げた。

と、またヘリが突然揺れた。

『さっきからどうした!? 何かあったのか!?』

ヴァイスが通信用のモニターを開いて、先程からの大声について確認をとる。

どうやら、何か事件か事故でも起きたのかと思ったようだ。

「す、すみません。何でもありません」

『何だよ。脅かすなよ。手元が狂っちまった』

モニターが閉じると、ティアナが軽く息を吐いた。

「喫茶店でただ茶を飲んでいただけなのにな。何故、そういう事になるのか……わからないな」

なのはの部屋から出てくる姿を目撃されたのであれば話は違ってくるが……そもそも、そんなことが無いように外出時には注意を払っていた。

にも関わらず、一緒に茶を飲んでいただけで、どうしてそんな噂になるのかさっぱりわからない。

当事者であるはずの刹那は、真剣に考え込んでいた。

その様子を刹那以外が呆気に取られていた。

 

はやて、シグナム、ヴィータ、シャマルの4人は途中でヘリを降りた。

何でも寄る所があるとのことで、あとから現地で合流するとのことだ。

地球への転送ポートに着きヘリを降りる。

「新人ども。頑張って来いよ」

異世界へ向かうメンバーを見送るためか、エンジンを切ってヴァイスもヘリを降りて来た。

「ありがとうございます。ヴァイス陸曹」

「頑張ってきます」

「キュク~」

「おう」

ヴァイスがエールを送ると、スバルとエリオ、フリードがヴァイスに答えた。

ティアナとキャロも敬礼でそれに応えた。

「気ぃつけて行ってこいよ。刹那」

「ああ」

「何だよ。まだ、不満があるのか?」

刹那の無表情かつ短い受け答えにヴァイスは眉を顰めた。

「つーかよ。仕事とはいえ、なのはさんやフェイトさん。八神隊長と一緒にお出掛けなんて、普通は嬉しいと思うんだがなぁ」

「何故だ?」

「何故って……」

ヴァイスの言っている意味が分からない。

「なのはさん達は管理局内問わず、一般のヤツらにも人気のある美女だぞ。そいつらにしたら、一緒に仕事ができるだけでも嬉しいもんだぜ」

「そういうものか?」

「……あ~。お前さんは、なのはさん達と結構付き合いが長いんだったな。そういう感覚はねぇか」

「俺にはよくわからない」

「わからないって……」

「……行ってくる」

「お、おう」

刹那の背中を見ながら、ヴァイスはため息を一つついた。

「不思議なヤツだよなぁ」

あえて表に出さないようにしているのか、常にポーカーフェイスで感情の起伏は読みとり難い。

戦闘技能はトップクラス。

聞いた話によると機械類に強く、デバイスも弄れるとか。

超人なんじゃねぇのか?

と思えるようなヤツなのに……。

ヘリに寄りかかって、空を見上げる。

暫く流れて行く雲を見つめて、

「……さて、隊舎に帰るか」

ヘリに乗りこんで、操縦桿を握り絞める。

「行くぜ、ストームレイダー」

読了おつかれさまでした。

今回から、ドラマCDの内容が入ります。

初回から自分が描きたい内容にならず、改めて難しいなと思った次第。

また、誤字脱字があるかもしれませんm(_ _)m


 
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