お願いって何なんですか?」
管理人室で霧島 時雨が書き物をしていたが、その声に手を止め振り返り、一言。
「君にある部屋の掃除を頼みたいんだ・・・」
「・・・マジですか?」
とある暑い夏の日。セミが鳴く中、鹿野上 悠馬は冷や汗をかいていた。
「うん、君にお願いしたいんだ」
管理人室で時雨が微笑みながら言う。
「あの、俺はあそこにはあまり入りたくないんですが・・・」
「そこを何とか頼むよ、君にしか頼めないんだ」
「ですけど・・・」
「僕は今、すごく忙しくてね。でも彼女の部屋の状態も改善してやりたいんだよ」
「・・・分かりました、出来るだけやってみますよ」
悠馬はしぶしぶ承諾する。
「さすがだな、ありがとう。宜しく頼むよ」
時雨はそう言うと書き物を再開した。
「とりあえず、本人に話してからだな」
悠馬は管理人室をあとにし、目的地へと向かう。
そして目的地に着いた悠馬は深呼吸をして。
コン コン
「俺です、入りますよ?」
ドアをノックして声をかける悠馬だったが・・・。
「反応が無いな、どうするんだ悠馬?」
二階堂 真紅が声をかけてきた。
「開けるしかないだろ?」
そう言うと悠馬はドアのノブに手を掛ける。
ガチャ
目的地のドアを開けた悠馬。
「酷い・・・」
目の前には本の海が広がっていた。
「片付くのか、コレ・・・」
「片付けるしかないんだろう?頑張れ、悠馬」
真紅は廊下から部屋の様子を伺っていた。
「やっぱり、やめようかな・・・」
「だけど、もう引き受けてしまったんだろう?」
「そうだけどさ~」
あまり乗り気ではない悠馬。
ドサドサ
突如本の山が崩れ、一人の女性が現れた。
「あれ~悠君?何してるの?」
「掃除しに来たんですよ、鈴さん」
本の山から現れたのは部屋の主、夏目 鈴だった。
「ん~掃除?頼んでないけど」
鈴はあくびをしながら言う。
「時雨さんに頼まれて来たんですよ」
悠馬は本の海を見渡しながら返答する。
「そんな事より、ご飯は?悠君!」
「・・・ありません」
悠馬は無事に清掃が出来るか不安になっていた。
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ある夏の日、悠馬は時雨から頼みごとをされるのだった。