プロデューサーに初めて会った時の感想ですか?
そうですね……一言で言うと恐そうなおじさんって感じでしょうか。
元々、男の人がちょっとだけ怖い私ですが、プロデューサーを見た時はどうしようかと悩んだくらいです。
この人と上手くやっていけるのだろうか? この人の側に居ていいのだろうか? そんなことを考えてました。
でも、それは私の思い違いだって言うのがすぐに理解出来ちゃいました。
何故なら、プロデューサーは不器用で、だけど凄く優しい人だったんです。
「はうぅ……また失敗してしまいましたぁ……こんなダメダメな私は穴を掘って埋まってますぅぅぅ!」
いつものように失敗してしまった私。悔しさから、恥ずかしさから穴を掘って埋まってようと思い言った言葉。
その言葉を聞いてプロデューサーは……
「雪歩にだけに穴を掘らせるわけにはいかないよな。いいぞ俺も一緒に掘って埋まってやる」
――なんて言ってきたんですよ? 他の人なら止めるはずなのに、この人は私についてくると言った。
「だ、だだ、ダメですぅ! プロデューサーも一緒に埋まるだなんて……」
「偶にはこういうのもいいだろ。それにまだ俺と雪歩の距離が遠いからな。一緒に埋まれば少しは距離も縮まるだろ」
ははは、と笑いながら言葉を続けるプロデューサー。
この後、本当に一緒に埋まっていると律子さんに見つかって二人して、たっぷりと怒られました。
特にプロデューサーさんは律子さんに激しく怒られていましたね。いい大人が変なことをしているんじゃないって。
それを聞いたプロデューサーさんはまた笑っていました。そしてまた怒られていました。一回りも年下の律子さんに。
この時、あぁ……この人は凄く優しい人なんだと思ったんです。
それからですかね。私のプロデューサーに対する気持ちが変わってきたのは。
怖いと思っていた感情から違う感情に――え? どんな感情なのかですか? えへへ……それは秘密ですぅ♪
――と、こんな感じでしょうかね。私のプロデューサーに初めて会ってからの感想は。
皆に『おっさん』とか『おじさん』とか呼ばれているプロデューサー。確かにプロデューサーはおじさんですけど、いい人ですよ。
「プロデューサー。お茶です」
「お、ありがとうな雪歩」
私の淹れたお茶をズズズと飲んでいくプロデューサー。何だかここだけを見ているとお年寄りみたい。
縁側で日向ぼっこをしているお年寄り。そんなイメージを抱いてしまう。
「やっぱり雪歩の淹れてくれたお茶は美味しいな」
「えへへ……あろがとうございます」
「どーせ、私の淹れたお茶は美味しくないですよーだ」
プロデューサーの言葉を聞いて、小鳥さんが落ち込んでる。別に小鳥さんのお茶が不味いって言ったわけじゃないのに。
「貶してないのに勝手に落ち込むなよ。お前の淹れるお茶も美味しいからな小鳥」
「……ぴへへっ♪」
あ、小鳥さんが嬉しそうな顔をしてる。プロデューサーに褒められたからって単純なんですから。
「――で、何で今度は雪歩が不機嫌そうな顔をしているんだ?」
「ふぇ? そんなこと……」
――ない。とは言えないかもしれない。小鳥さんが褒められて私、少し嫉妬しちゃってるかもしれません。
結局私も単純な人間なんだろうなぁ。
「はぁ……何で雪歩が不機嫌なのかは分からないが、雪歩は笑顔の方が似合ってるんだから笑ってくれよ」
「――――っ!?」
ナデナデ、と私の頭を撫でていくプロデューサー。
温かくて優しい手の平が私の頭を撫でていく。あぁ、やっぱり私は単純な人間だった。
こうして頭を撫でられているだけで、とても嬉しく思ってしまうし、幸せを感じてしまう。
「ん、んぅ……♪」
「あらあら、雪歩ちゃんったら凄く幸せそうな顔をしてますね」
「あぁ、やっぱり雪歩にはそういう顔が似合うよ」
「えへへ……♪」
頭を撫でられながら褒められてしまう。これだけで暫くは頑張れそうな気がする。
それくらいにプロデューサーの言葉は私にとって大切なモノになってきている。
プロデューサーが居るから頑張れる。プロデューサーが居るからアイドルを続けられる。プロデューサーが居るから……
「プロデューサー。一緒にトップを目指して頑張りましょうね」
「当たり前だろ。雪歩なら絶対にトップアイドルになれるからな」
「はいっ♪」
トップアイドルになれたらその時は……私のあなたへの気持ちを伝えてもいいですか?
私のこの想いを――プロデューサーに対するこの想いを。
『大好き』という言葉と共に。
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お久しぶりです。そしてアイマスネタです。
アイドル視点でのおっさんとのお話です。短編ですが、出来るなら全員分いきたいなーて。