No.433029

SPECIAL EDITION MAGICAL GIRL LIRICAL NANOHA STRIKER’S “GREEED OF GREED” 贖罪者N/かつての恩人と最高神

どうも最高総司令官です。さてさて、この作品も遂に18話目を迎えました。・・・・今回はアンクの過去を知る人物、及び過去がチョロっと明かされます。

これ以外に別段話すことはないので、このまま本編に突入したいと思います。なお、前回から募集しているものは、現在も引き続き募集しています。では、本編へどうぞ!!

2012-06-05 17:13:30 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:3674   閲覧ユーザー数:3556

SPECIAL EDITION MAGICAL GIRL LIRICAL NANOHA STRIKER’S “GREEED OF GREED” 贖罪者N/かつての恩人と最高神

 

 

 

~2か月後・・・。惑星ムディ・第一級危険区域(アンク指定)~

 

惑星ムディ・第一級危険区域・・・。そこは並みの実力では入れないこの惑星の中でも、選りすぐりの化物が多く存在する地域である。

 

 

ドパァアアアアアアア!!

 

 

『ギェエエエエエ・・・・』

 

 

ズズ・・・・ン・・・

 

 

そんな場所に、手から水を滴らせた女・・・高町なのはがいた。彼女は膨大な水を腕から放出、危険区域に生息する、恐竜によく似た生命体を抹殺した。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・ふぅ・・・。脈なし・・・、死亡確認・・・」

 

 

トサッ

 

 

彼女は恐竜が倒れたのを確認、恐竜の死亡を確かめてから、地べたに倒れこむように座り込んだ。そして、自分の手を見つめた。

 

 

パサッ

 

 

「・・・?」

 

 

なのはがくつろいでいると、突然彼女の顔にタオルが被せられた。なのははそれを除けて起き上がって投げられた方を向いた。

 

 

「お疲れさま」

 

 

「あ、カリム様。いらっしゃっていたのですか?」

 

 

タオルを投げたのは、アジトから出てきたカリムだった。なのははカリムの姿を確認すると、すぐさま立ち上がって恭しく礼をした。カリムはそれを、えぇと生返事で返して、なのはが倒した生物を見上げた。

 

 

「しっかしまぁ、たった2カ月でこれだけの生物殺せるようになるなんてね~。流石ってとこかしら」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

カリムはそういってなのはに笑いかけるも、対するなのははシュンとしてしまって元気がなかった。その理由を知っているからか、カリムはため息をついてなのはの頭に手を乗せた。

 

 

ポムッ

 

 

「・・・・大丈夫よ。自覚して罪を償おうとしているだけで十分よ。それを自覚していない奴らだっているんだから」

 

 

「・・・・・・はい」

 

 

そういってなのはは少し元気を取り戻したかのように顔をあげた。

 

実はなのははあの後、カリムとプライムによって、記憶を失う前のなのはとその仲間が何をしたのか、それらすべてを聞かされたのだ。それを聞いたなのはは、カリムに謝罪をした。その際

 

「今までの記憶と人格のない私は、私であって私ではありません。けど、記憶を失う前にした事の責任は、私の責任です。例えこの命を投げ捨ててでも、罪を償います」

 

といったのだ。

 

しかしカリムはそれを突っぱね、そして同時にこういった。

 

 

「別にあなたに命を投げ捨ててもらってもそれは償ったことにはならないわ。それはただ自身の罪から逃げているだけよ。あなたがするべき償いの形は、あなたがアンクに・・・いや、ジンに対してした事を永久に忘れずに生きていくことよ」

 

 

といったのだ。結果として、なのはは復讐をともにしたいとカリムに頼み込み、カリムはアンクが了承したらいいといったのだ。

 

アンクも、「今のあいつは純粋無垢な赤ん坊のようなものだ。今のあいつには害はない」といってあっさりOKしたのだった。そして、カリムが保持していたメダルから新たに9枚の水棲系コアメダル(ただし、OOOの変身には使えるものの、グリード化するだけの力はないもの)を作り上げ、なのはに吸収させたのだ。現在はその力を使いこなすための訓練をしていたのだ。

 

 

「ふん。ようやくこいつを殺せるようになったか。上出来通り越して上等だ」

 

 

「アンク・・・。いつからそこに?」

 

 

「少し前にな・・・。これから俺は向こうに行くんだが・・・、カリムはどうする?」

 

 

「今回は私もいくわ。前回のような事が起きたらたまらないしね」

 

 

そういってカリムは拳を強く握り締める。どうやらアンクがメダルを奪われたことにずいぶんとご立腹のようだった。その光景をほほえましげに見ながら、アンクはなのはの方に顔を向けた。

 

 

「・・・お前はどうする?」

 

 

「出来れば参加したいのですが・・・」

 

 

するとなのはは、途中までは歯切れがよかったのだが、途中から歯切れが悪くなってしまい、あ~だのう~だの言っていた。

 

 

「・・・・言いたいことがあるならはっきり言え」

 

 

「はい・・・。実は・・・その・・・、あ、新しいお名前を御拝領したく思いまして・・・」

 

 

「「新しい名前?」」

 

 

「・・・・はい」

 

 

そういうと、なのはは肩をすくめてしまった。どうやら人格と記憶が消えた際、性格もおかしくなってしまったらしく、以前は明るく陽気な性格だったのに対し、人格喪失後は引っ込み思案で、なおかつ人見知りが追加され、口数も少なくなってしまった(喪失直後はそんなことはなかったのだが、2週間後ぐらいにアルバスが来た際にそれが発覚した。なお、アルバスに関してはその時に慣れた)。

 

そしてその言葉を聞いた二人は、確かにといった具合で腕を組んだ。

 

 

「そうね。確かに新しい名前は必要ね。あんな性格のをこの娘と一緒にされちゃたまんないし。アンクは何か良いアイディアある?」

 

 

「そうだな・・・。古手梨k「アンク!!それはだめよ!!」・・・チッ」

 

 

アンクのかなりマズイ発言はカリムによって止められるも、アンクはそれ以外に案はなかった。それから10分程案を考えるも、全く浮かぶ気配なしで、最終的にはプライムと偶々様子を見に来たアルバスをも巻き込んで、なのはの新しい名前の考案が始まった。

 

ちなみに今まで3人と1機が出した名前の一覧はこんな感じである(『』の矢印から先の文章は作者の意見)。

 

アンク→『シュテル・ザ・デストラクター』→既に存在するから却下。

 

カリム→『田村ゆかり』→論外。お前も人の事言えんぞ。

 

プライム→『ミケ』→猫みたいだからとアンクが却下した(アンクは猫嫌いです)。

 

アルバス→『ハー○イ○ニー・グ○ン○ャー』→お前らはこの小説を崩壊させたいのか!!!

 

・・・とまぁ、これ以外にも彼らは案を出していたのだが、割愛させていただく。そして、最終的になのはが提案した『((青島 水奈|アオシマ ミナ))』という名前に決定した。

 

そして名前が決まったなのは・・・基、水奈、カリム、アンク、アルバスの4人は転送ポートへと乗り、ミッドチルダへと向かった。

 

 

『I guess I is House Sitting, • • • • • • at any time.( 私はいつでも・・・、お留守番ですね・・・)』

 

 

プライムがつぶやいたその言葉には、誰一人答えてくれる者はいなかった・・・。

 

 

~ミッドチルダ~

 

 

ヒュィイ・・・ン

 

 

「・・・・・ここがミッドチルダですか。随分と寂しい街ですね」

 

 

水奈は着いて早々にそんなことを言い放った。その言葉にカリムは少し驚いた。今カリムたちがいる場所は、ミッドチルダの中でもクラナガンと1、2を争う程の巨大商業施設の中にいるのだ。

 

 

「小さいって・・・、この施設そんなにちいさい?」

 

 

「え?・・・あぁ、そういう意味ではございません。カリム様やご主人様と比べると人の器が小さいという事でございます」

 

 

「あぁ~、そういうことね」

 

 

しかし、彼女が小さいと言ったのは施設の事ではなかったようだ。同時にカリムは、水菜が他人の人の心を知ることを出来ることを知った。カリムのそんな心はいざしらず、水菜は施設の中を見回していた。ただ、人を見ながら「あいつも心が小さい」とか呟いているので、人間の心の観察は今も続行しているのだろう。

 

 

「そういえばアンク、今回は襲撃をしないの?」

 

 

「あぁ。今回はそれとは違う用事だ。今日は旧知の友人に会いに来たんだ。まぁ、奴等が仕掛けてきたら俺もそれなりに対処するがな」

 

「それなんじゃがの、アンク。儂は別行動をとらせてもらってもよいかの?少しやりたいことがあるんじゃ」

 

 

そう言ってアルバスは申し訳なさそうな顔でアンクに告げた。アンクはそれを無言で首を縦に振る。それを見たアルバスは懐から杖を取り出して一振りする。すると一瞬でアルバスの姿が消えた。アンクはそれに慣れているので、アルバスが消えたのを確認するとさっさと歩きだした。それに続いてカリムも歩き出した。ただし、カリムは水菜を引きずりながら、だが・・・。

 

 

~???~

 

 

「・・・・・あの、アンク?」

 

 

「なんだ?」

 

 

「本当にここで合ってるの・・・?」

 

 

「あぁ。ここで間違いない」

 

 

カリムが不安になるのも無理はない。あれから暫く歩いて、路地裏という路地裏を巡り、ようやく着いた場所は『喫茶-ミッチャン』と書かれた看板が立っている寂れた喫茶店だった。

 

 

「入るぞ」

 

 

ギィ・・・

 

 

カランカラン・・・

 

 

渋るカリムを余所にアンクは取っ手に手をかけてそれを引く。すると扉に付いている鐘が店内の従業員に来客を知らせた。しかしその店内に従業員はおらず、ただ一人のエプロンをした金髪の女性がカップを磨いているだけだった。

 

 

「いらっしゃい・・・。貴方が来るのは久方振りですね・・・。ジンさん」

 

 

「あぁ。久しぶりだな、“ユリア”。1年ぶりか?それと今はジンじゃなくてアンクだ」

 

 

「正確にいえば1年1カ月と3日ぶりですね。貴方様が私を救い出してくれた時以来ですから・・・」

 

 

そう言って金髪の女・・・ユリアと呼ばれた女性は、全員を座るように促す。アンク、カリム、水菜はそれに従ってカウンター席に座る。それと同時に女性はコップに水を汲んで皆の前に置いた。

 

 

「今日はどんな御用ですか・・・?少なくともただお食事をなさりに来たという訳ではなさそうですが・・・」

 

 

「あぁ。今日は少し情報が欲しくてな。上層部の汚職をしていたという確定的な情報が、な」

 

 

「・・・・成程。また面白そうなお話をお持ちになりましたね。少しはありますよ。ご覧になっていきますか?」

 

 

「頼む。それとコーヒーをくれ」

 

 

「わかりました。ちょっと待っていてくださいね」

 

 

そう言って女性は奥に引っ込んだ。入ると同時に服の裾が引っ張られる。アンクがその方向をみると、笑っているカリムがいた。しかし、アンクはそれを見た瞬間、寒気と恐怖に襲われた。何故なら、カリムの目のハイライトが完全に消えていたからだ。怖くないはずがない。

 

 

「ねぇ・・・、アンク?」

 

 

「な、なんでしょう・・・?」

 

 

「あの人・・・だぁれ?教えてくれる?」

 

「あ、はい・・・」

 

 

アンクはカリムに引きながらも、カリムと水菜に説明をしていく。

 

曰く、彼女の名前は『ユリア・トレンディーナ』。かつて自分が管理局に所属していたときに、奴隷販売所で売られかけていたときに助け(その際の手柄はメイスティーマによって横取りされたが)、それ以来アンクを慕ってくれていること(ただし恋愛感情はない)。そこでアンクの役に立ちたいということで喫茶店兼情報屋を営んでいること。

 

しかし彼女は管理局が大嫌い故に、特殊な決められた方法で何本もある路地裏を歩き回らないと来られないため、この場所を知る者はアンクぐらいしかいないこと、などを説明した。

 

 

「ふぅ~ん・・・。そうなんだ」

 

 

「お待ちどうさま。はい、情報とコーヒー。コーヒーはジンさんの好きなブルーマウンテンよ」

 

 

「あぁ、すまんな」

 

 

その話が終わると同時に、ユリアがコーヒーと紙の束を持って現れた。そのカップから香ばしい香りが漂ってきた。アンクはその二つを受け取ってから、手を口元にあてながら資料を黙読し始めた。

 

 

「ねぇ、すこしいいかしら?」

 

 

「・・・えぇ。いいけど・・・」

 

 

「私もかまいません」

 

 

「そう。まずは自己紹介ね。私はユリア・トレンディーナ。情報屋兼喫茶店のマスターをさせてもらってるわ」

 

 

それと同時にユリアはカリム達の元へとやってきて、話を始めた。はじめはたわいのない自己紹介や会話から、そしていつしか話はアンクの事に関する話へと変わっていた。

 

 

「ところで、カリムと水菜はアンクの事が好きなの?」

 

 

「はい(家族として)」

 

 

「えぇ、好きよ。それこそアンクの為だったら、全宇宙を敵に回してもいいくらいにね」

 

 

カリムと水菜はユリアの問いに躊躇なく言い切った。それを聞いてユリアはクスリと笑った。その笑っているのを見たカリムは少し機嫌を悪くしながらユリアに問いかけた。

 

 

「そんなにおかしい・・・?」

 

 

「フフフ・・・。いや、ごめんなさい。気を悪くしたのなら謝るわ。でもね、私二人には、特にカリムには感謝してるのよ」

 

 

「・・・・私に?なんで?」

 

 

「そりゃぁ、言い方悪いかもしれないけど、普通だったら聖王教会の騎士で少将にまでなった人が、アンクさんみたいな人にほいほい着いていかないわよ。まぁ、貴女はそれだけアンクさんの事が好きなんだってのはわかったけどね」

 

 

「・・・そう、ね。普通だったらアンクみたいな人にはついていかないかもね。でも、私はアンクに心の底からゾッコンだったから、彼に着いたわ。今までのキャリアや人生を全て投げ打ってでも、ね」

 

 

カリムはユリアの言葉を聞いて機嫌を良くし、顔を真っ赤にしながらコーヒーを啜る。そんなカリムに微笑みながら、それでいて悲哀を込めながらユリアは再び話し始めた。

 

 

「・・・・昔、アンクさんに助けられた当時はね、アンクさん、ピクリとも笑わない人だったの。今でこそニヒルに笑ったり微笑んだりする人だけど、当時は笑わないどころか完全に能面を被っているような感じだったわ。まるで何かに耐えているかのように、ね」

 

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 

ユリアが突然話し始めたアンクの過去話に、水菜とカリムははじめは多少戸惑いながらも聞いており、そのうち一言も発しなくなった。そんな二人を知ってか知らずか、ユリアはさらに話を続ける。

 

 

「当時の私は、彼に助けられたって事もあったから、彼に好意を抱いたわ。それが私の初恋にして最後の恋愛だったけどね」

 

 

そういってユリアは当時を振り返る。彼女の脳裏には、アンクと出会った時の事や今までの事がまるで昨日のことのように思い出された。

 

 

「でも、救われてから2年ぐらい経ってからその気持ちは玉砕したわ。彼のある一面を見てね」

 

 

「アンクのある一面・・・?」

 

 

「えぇ。それはあなたが関係してるわ。カリム」

 

 

「私が・・・?」

 

 

カリムはユリアに聞き返すと、ユリアはそれを肯定するかのように首を縦に振る。そしてさらに話を続けた。

 

 

「彼が私の喫茶店に来た時に何の気なしに聞いたのよ。「親しい人とかいないのか?」って。そしたらアンクさん、あなたと一緒に写った写真が入ったロケットを握りしめて「親しい人はいないけど、大切な人ならいる」って・・・」

 

 

「それ聞いた時に何となく悟っちゃったのよね。“あぁ、この人の隣にいるべき人は私じゃないんだな~”って」

 

 

そう言ってユリアは、一遍に話したらのどが渇いたといってキッチンに戻ってコップいっぱいの水を持ってきて目の前で一気に飲み干した。

 

 

「プハァ!!・・・まぁ、そんなこんなで、私の初恋は玉砕の運命をたどったってわけよ。って、カリムどうしたの?」

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

ユリアが話し終わってカリムの方を向くと、そっぽを向いていた。ユリアは最初は何かが原因で怒っているのかと思ったが、それは杞憂に終わった。何故なら、カリムの顔は耳まで紅くなっていたからだ。

 

 

「・・・・もしかして、照れてる?」

 

 

「・・・・・・/////」コクッ

 

 

カリムはそれを無言の頷きで肯定する。それと同時に、資料を読み終わったのかアンクが近付いてきた。

 

 

「ユリア。この資料もらっていくが、いいか?・・・それと、何でカリムは顔が紅い?」

 

 

「ふふふ・・・。その資料は差し上げますよアンクさん。それと、恋する女の子には秘密があるものですよ♪」

 

 

「ふ~ん・・・」

 

 

その後、ユリアとアンクは少し話をしてから、会計をして全員でアジトへと帰った。そしてその際、ユリアはカリムに耳打ちをした。

 

 

『こんないい人他にいませんから、絶対に手放しちゃだめですよ♪』

 

 

当然の如く、カリムの顔は暫く真っ赤になっていた。

 

 

~おまけ~

 

 

キィ・・・

 

 

カランカラン・・・

 

 

「いらっしゃい。何か食べる?」

 

 

「そうじゃのう・・・。『水晶コーラ』と『ポテトネズミのフライドポテト』、それと『ジュエルミートのハンバーガー』をいただきますかの」

 

 

「わかったわ。少し待って頂戴。用意するから」

 

 

アンクが帰った数分後・・・。ユリアが経営する喫茶店に一人の客が来た。その客は何とアルバスだった。

 

アルバスはまるで古くからの知り合いのような態度でカウンター席に座り、聞いたこともないような注文をする。そしてユリアも一度キッチンに入ると、数分後にはジョッキに無数の気泡が立ち上るコーラ『水晶コーラ』、背中にフライドポテトを生やしたネズミ『ポテネズミ』、香ばしい香りとたっぷりの肉汁が染み出る肉『ジュエルミート』を挟んだハンバーガーをトレーに乗せてアルバスの前に置いた。

 

 

「はい。注文の品よ」

 

 

「ほほぅ、相変わらず旨そうですのぉ。では、いただきます」

 

 

アルバスは手を合わせてからそれぞれの料理を堪能していく。そしてそれらをすべて食べ終えたところで、ユリアがアルバスに話しかけた。

 

 

「それにしても久しぶりね。あなたが来るなんて・・・。・・・どっちの名前で呼んだ方がいい?昔の名前と今の名前」

 

 

「今の名前でお願いできますかな?ユリア様・・・いや、『最高神様』」

 

「それじゃ、私もアルバスと呼ぶからあなたもユリアと呼びなさい。最高神は遥か昔に引退したんだから」

 

 

「わかりました。ユリア様」

 

 

「で?どうして私のところで来たの?」

 

 

アルバスはユリアのその問いには少し沈黙し、ジョッキのコーラに口をつけ、少し飲んでから顔つきを険しくし、ユリアに本代を告げた。

 

 

「単刀直入に言いましょう。天界にお戻りください。天使や上級神の面々は貴方様の御帰還を望んでおります」

 

 

「そんな事だろうと思ったわ。悪いけど、断らせてもらうわ。以前ポセイドンが来たときにも言ったけど、もう私達老兵の出る幕じゃないわ。後は新しい者達に任せるべきよ」

 

 

「その任せるべき者達が、あなたの望んではいない方にベクトルを向けていたら、どうなさいますか?」

 

 

「・・・どういうこと?」

 

 

アルバスの言葉に只事ではないと感じたのか、ユリアも眉間に皺を寄せてアルバスに詳細を求める。

 

 

「・・・下級神のアマテラスとミカエルの両名が、天界に反旗を翻し、天十戒のうち8つを既に破っております」

 

 

「なんですって!?」

 

 

その言葉にユリアは驚愕して、つい立ちあがってしまった。

 

天十掟・・・。それは、天使、神、最高神などの、世界を管理する者達が決して破ってはならない掟で、その中には『下界に干渉してはならない』、『特例以外で転生者を生んではならない』『転生者に能力を付与してはならない』などの20にも及ぶ掟がある。アマテラスおよびミカエルはこの20ものうち、7つを破ったのだ。

それは、神どころか天界にも決してあってはならないことであり、全ての神に対して喧嘩を売っているようなものである。アルバスは尚も話を続ける。

 

 

「さらにミカエル、アマテラスの両名は、天界神器である『人生創造の書』、『道具引出の書』、さらに『秘術の書』を持って逃走、自らの蘇らせた転生者を使って、この世界の悪変を進めています」

 

 

「人生創造の書に秘術の書ですって・・・!?ヤバいものばかりじゃない!!守護神は何をやっていたの!!」

 

 

「・・・その時宝物庫を守護していたのは阿修羅様です。しかし、あの二人が阿修羅様に対して作った一瞬の隙を突いて、二人はそれらを奪取、同時に阿修羅様に深手を負わせていったそうです」

 

 

「そう・・・阿修羅が・・・。彼もそろそろ交代の時期かしら・・・」

 

 

ユリアは悲しそうに笑うと、再び椅子に座りなおす。アルバスはそんな彼女の姿を目に留めながらも、話を続ける。

 

 

「それと阿修羅様は、その後すぐに復職なされております。まぁそれはさておき・・・、先程申し上げています通り、現在天界はこれまでに例をみない程混乱しております。それを正すためにも、戻ってきてはいただけないでしょうかユリア様」

 

 

そう言ってアルバスは椅子から立ち上がり、ユリアに向けて頭を下げる。その態度にユリアは眉間を抑えながら、アルバスに答えを放った。

 

 

「・・・・わかったわ。条件付きで戻ってあげる」

 

 

「・・・その条件とは?」

 

 

「私の恩人であるアンク・エドゼロンという人を、全面的にバックアップして頂戴。彼が転生者達に復讐を終えたら、私は天界に戻り事態を収めるわ」

 

 

そのユリアの発言に、アルバスは驚愕したような表情を浮かべ、そして笑いだした。

 

「ほっほっほっ!まさか貴女様も彼と知り合いだったとは!・・・ご安心ください。彼のバックアップは儂が行っております」

 

 

「・・・そう。ならあんしんね」

 

 

そう言ってユリアは本当に安心したかのような表情を浮かべる。その顔にアルバスも安心したかのような顔を浮かべ、扉に近づいていく。

 

 

「・・・アルバス。ひとつ聞いていいかしら?」

 

 

「・・・なんですかな?」

 

 

「どうして貴方はあの人に力を貸したの?興味本位?この世界にかつての仲間がいたから?」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

ユリアのその問いにアルバスはすぐには答えず、すこし沈黙し、一言だけ言って彼は店を出た。そしてその答えを聞いたユリアは自嘲めいた笑いを浮かべた。

 

 

「『かつての自分をみたから』か・・・。相変わらずね、彼は・・・」

 

 

そう言ってユリアはカウンターに置いてあった一枚の写真を手に取った。そこには、赤、黒、着、青、ピンクのジャケットを着た男女5人が笑顔で写っていた。

 

 

「貴方はまだ・・・過去を吹っ切れていないのね・・・。『アラタ』・・・」

 

 

そう言って、ユリアは写真をもとの場所においてキッチンへと戻って行く。その写真の右端には、小さく手書きでこう書いていあった。

 

星を守るは天使の使命

 

と・・・。

 

~THE NEXT STAGE~

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

というわけで、第18話、これにて閉幕でございます。

 

さて、皆様に謝罪をしなくてはなりません。実はなのはの処遇としては本来、コアメダル内に封印するはずだったですが、此方のちょっとした出来心によって、プロット上にあったものを急遽改変しました。ご了承ください。

 

ついでに言えば、この回もプロット上にはありませんでした。本来ならば、記憶をなくしたなのは・・・基、水菜とフェイトを合わせ、対戦させる予定だったのですが、あまりほのぼのした回がなかったことに気づき、急遽この回を作りました。

 

結果、オリキャラ出しちゃった・・・orz

 

しかも、前々から存在が示唆されていた元・最高神を出してしまった・・・。本来ならもっと後に出てくる予定だったのに・・・。

 

・・・まぁ、過ぎちゃったことは仕方ない。

 

なお、次回からはいままでどおりに戻しますのであしからず。

 

それから、こんな回を書いてほしいというご要望がありましたら、ご一報お寄せください。可能ならば書きます。

 

ではまた、次の章にて。

 

( ★ω★)ノシ

 

以下、オリキャラ説明。

 

 

名前・・・ユリア・トレンディーナ

 

年齢・・・永遠の18歳(本人談)

 

身長・・・180cm弱

 

体重・・・秘密よ♪

 

性格・・・陽気

 

詳細

 

喫茶店のマスターにして情報屋、かつ元・最高神であり、かつてのアルバス直接的な上司に当たる。

 

最高神になる前は『トリコ』の世界の管理をしていた為、その世界の道具や食材などを取り寄せること可能。

 

最高神を辞めた後にミッドチルダに来ていたが、高い魔力に目を付けた管理局によって捕縛、実験動物扱いされていたが、アンクになる前のジンによって救出された。

 

その当時はアンクに対して恋心を抱いていたが、カリムの事を話す際に僅かにアンクがほほ笑んだのを見て、その恋心を心の奥底に封じ込めた。

 

アルバスから天界の現状を聞き、すべてが終わった後の後始末を請け負うことになる。

 

 

天十戒

 

読みは『アマツジュッカイ』。天界における10の掟で、日本で言う憲法に当たる。無論、これらを破った場合には、罰則が下る。以下、10戒。

 

1.『下界への干渉は原則禁止とする(例外あり)』

 

2.『仕事上のミスは決して許されない』

 

3.『無暗に転生者を生み出してはならない(例外あり)』

 

4.『神同士で争ってはならない』

 

5.『下界の者を神へと昇格させる場合、すべての神の同意及び最高神の承諾が必要』

 

6.『天界の聖域に触れてはならない。聖域にあるものを持ち出すことも禁ず』

 

7.『下界における、世界の修正が行き届かなくなった場合のみ、神の介入を認める』

 

8.『天界のみの技術を下界へ持ち出してはならない』

 

9.『無暗に神ということをバラしてはならない。ただし、神に対する協力者のみ、正体を明かしてもよい』

 

10.『これらの掟は、一部の死神には当てはまらないとする』

 

・・・などがある。ちなみに掟を破れば破る程罰則が厳しくなり、8つの掟を破ったアマテラス及びミカエルの二人は、逮捕された際には、神の権限剥奪及び、輪廻転生の輪から外れ、さらに無間地獄への投獄が決定している。

 


 
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