No.432569

新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第006話

ソロモンよ私は帰って来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
・・・・・・えっ?待ってない?

さて、去年は受験ということもあり、こちらはサボりまくって、大学に入学したらしたでいろいろと大変なわけでww

続きを表示

2012-06-04 10:33:14 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1509   閲覧ユーザー数:1309

新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第006話 「こんにちは、覇王様」

ここは魯(山東省)の済南……のとある村の近く。ここでは今この地を収めている曹操軍、村の義勇軍の連合軍(7000)と黄巾党(20000)の戦いが勃発していた。数は圧倒的に黄巾党が上回っていたが、兵の鍛錬や鮮度の違い、誰かが作った村の防壁等の駆使などによって戦局は五分五分だった…が…

※()の数字は兵力である。

 

女性1「夏侯淵さま―!東側の防壁が破られたのー。防壁は、あと一つしか残って無いの!」

 

顔のそばかすが特徴的な少女は于禁といい、話しかけられた青髪の女性は夏侯淵という。二人は焦っていた。いつの時代も数の暴力というものは恐ろしいものがある。いかに訓練された精強な部隊も数の暴力で苦しめられ、最後には敗れ去ってしまう例も少なくはない。

まさに今、連合軍はその窮地に立たされていた。

 

女性2「そりゃあかんて、夏侯淵様!東側の防壁は材料が足りんかったから、すぐ破られてしまいますで!」

 

この胸をさらけ出している上半身ビキニ姿?の関西弁を喋る少女は李典という。

 

夏侯淵「仕方ない。西側は防御部隊に任せ、残る全員で東の侵入を押しとどめるしかない。于禁は前線で戦っている楽進をこちらに合流するように伝えて来い」

 

于禁「判ったの!」

 

夏侯淵は報告を李典の話を聞き指示を出し、于禁は別の場所で防衛している友を呼びに走い出した。

 

夏侯淵「李典は私と共に「報告します!」何事か!?」

 

兵士「街外に大きな砂塵。賊でもお味方でも無い模様です!」

 

夏侯淵「李典。お主ら以外に義勇軍は?」

 

李典「いや、今防衛にあたっとる義勇軍で、全員のはずです」

 

夏侯淵の内心は穏やかでは無かった。なんとか敵軍を抑えているのに、ここで新たな敵軍が現れれば、とても防衛出来る自身が無い。

 

夏侯淵「{華琳様、姉者。お早く}」

 

夏候淵は敬愛する主と姉を思い、救いを待っていた。

 

~???side~

 

ここは戦場の最前線。一体何人、殴っては蹴り殺しただろう?そろそろ腕や足も力が入らなくなって来た。氣を使い過ぎたのであろうか?

 

天の声「この体に所々傷痕のある少女は楽進と言う名の拳闘士である。賊が増えてきた事をキッカケに「自分の村ぐらい自分で守らなければ」っと、自分の友人二人に相談し義勇軍を立て、何時の間にやら現2000の軍の長にいるものだ」

 

楽進「{何故だろう?何処からか私の紹介をされているような気がする}「気のせいじゃないさww」!?喋った!?」

 

賊「余所見厳禁!!」

 

楽進「うっ!!クッソ」

 

何処かへと気を紛らわせてしまった私に、賊は攻撃を繰り出してきた。どうにか対処し賊を蹴散らす事に成功したものの、攻撃された際に少し腕を切られた様だ。

 

楽進「{不味いな。普段ならばこの程度の傷なんともないのだが、今は体力が減りすぎている。それに流血はより体力が削られるから避けたかったが}」

 

于禁「凪ちゃん、後ろ!!」

 

その時、私は後方で戦っているはずの友の私を呼ぶ声で後ろの敵に気が付いたが、振り向いた時には既に賊は私に対し武器を振り下ろしていた。今の私は体力も少なく血を流し過ぎて体が上手く動かない。

 

………時が止まった様に思えた。そして今までの思い出などが頭の中をよぎる。私は目を瞑り賊の斬撃を待った。

 

楽進「{あぁ、私はここで死ぬのか。真桜、紗和、私はここまでのようだ。二人の馬鹿に付き合ってきたのも、今じゃ良い思い出だ。先に逝くが、お前らはもっと遅れて来いよ……………それにしては、なかなか斬撃が来ないな?}「凪ちゃん」{紗和の声が聞こえる。幻聴だろう。}「凪ちゃん!!」さ、紗和?」

 

気が付くと私は紗和に抱き留められていた。そして、目を開けた時に私が見た光景は、謎の軍によって蹂躙されている賊と、私に留めを刺そうとした賊の、鎧も砕け胸に穴が空いた死体だった。そこで、私は再び気を失った。

 

~楽進side~ 了

~???side~

 

私は今、前線で戦っている友達を探しているの。

 

天の声「この時代の最先端のファッションに身を包み、双剣で敵を薙ぎ払って払っている彼女の名前は于禁。今、前線に居るはずの友を探して前線に向かっている途中だ」

 

于禁「幻聴さん、丁寧な説明ありがとうなの。凪ちゃんの場所知らない?」

 

天の声「もう少し先の場所で戦っているはずだよ」

 

于禁「ありがとうなの」

 

私は幻聴さんの言葉を信じて凪ちゃんの下に向かった。

 

天の声「……………何故聞こえた?」

 

そして私は凪ちゃんを見つけた。私が見たときには凪ちゃんは腕を怪我していて、沢山血が流していたの。何時から流しているか知らないけど、足元もふらついているし、あのままじゃ体力も奪われてこのままじゃ危ないの。…!?よく見ると後ろから賊が凪ちゃんに向かって剣を振りかざそうとしているの!!

 

于禁「凪ちゃん!」

 

ダメなの。もっと大きな声で呼びかけなきゃ。

 

于禁「凪ちゃん!!」

 

私の声に凪ちゃんは気付いたみたいだけど、凪ちゃんは足元が動いてない。どうやら体力を奪われ過ぎたの。ダメ!斬撃が当たってしまうの!!神様、どうか凪ちゃんを助けて。そう思った時に凄まじい雷の様な音が聞こえたの。周りを見渡しても何も無い。だけど、神様は凪ちゃんを見捨てなかったのか、賊の斬撃は凪ちゃんに届いていなくて、逆に賊の鎧と胸に大きな穴が開き、賊は絶命し謎の軍が賊達を蹂躙していったの。

 

……今はそれどこじゃない!私は倒れた凪ちゃんを揺り起こした。

 

于禁「凪ちゃん…凪ちゃん!!」

 

楽進「さ、紗和?」

 

よかったの。凪ちゃんは生きていたの。凪ちゃんは何が起きたか判らずに周りをキョロキョロして、そしてそのまま気を失ってしまったの。今すぐに凪ちゃんをお医者さんに見せないと。

 

………それにしてもあの軍は一体なんなの?

 

~于禁side~ 了

そして本編主人公と一堂は今……

 

香蘭「一刀さん。もうすぐ済南です」

 

一刀達が揚州を出て一ヶ月。旅立った時より積極的に近くの賊や野盗を潰しながら進んでいるためか普通より進行速度は遅れていた。凱に兵の半分を預け、更にそのまま孫家に仕える事になった者も含め義勇軍は大幅に減少したが、改心した賊や義勇軍に仕官してきた者も加え、兵数も約3000にまで膨れ上がっていた。そして一刀達は目の前の襲われている村に気が付いた。

 

一刀「……瞳。賊達の規模は判るか?」

 

一刀は瞳に声をかけ瞳は目を凝らし、それと同時に瞳の赤色の目はより濃さを増し、前方の大群を見定める。

 

瞳「そうだね。大体20000位かな?それにしてもあの防戦している軍は凄いよ。大体7000位だけど、良く防衛している」

 

瞳は日本の戦国時代でも5本の指に入る生粋の銃士。より遠くの敵を見定めることなど造作も無く、彼女の戦況判断力もずば抜けている。それが『影村の目』と呼ばれているが所以だ。

 

胡花「ですが私達を止める位なら、25000は連れて来ないと」

 

椿(愛紗)「そうではない胡花よ。50000の間違いだ」

 

瞳の報告を聞き、椿(愛紗)が茶化し、胡花はそうですねと笑いながら答えを返した。一刀は二人を軽くを征し、香蘭に軍の速度を上げるように言い義勇軍は村へ急ぐ。この軍は、元は一刀が「どうせなら10倍位の敵を潰す位の軍にしたいね」っと言い出した事がきっかけで発足された。この時代には鉄砲も発明されていない、そこで一刀が真っ先に馬に目を付けた。

 

日の本の国でもより精強な武田、上杉騎馬隊を使いこなす影村軍にいた三人、一刀、椿(愛紗)、瞳にしてみれば、騎馬を使いこなす等お手の物、しかし馬も安くは無い。馬を買う為に龍の材料も半分売ってしまったが、まだ余裕があった。っとこのような余談を挟んでいると、瞳が何かに気付いた。

 

瞳「……一刀。ちょっと速度を緩めて」

 

一刀「?速度を落とせ!!」

 

一刀の言葉に、騎馬隊は速度を緩める。瞳の気付いた異変を気にして、一刀はどうした?と声をかけ、瞳は真っ直ぐに村の戦闘が行われている場所に指差した。一刀も目を凝らし、指差した方向を見ると、大量の賊をなぎ倒す女の子が居た。どうやら女の子は腕を怪我しているらしく、瞳は背中の弓の下の鉄砲を取り出し構えた。一刀は全員に「耳を塞げ」と叫ぶ。瞳はこの大陸に来て鉄砲は数発しか撃っていない。火薬をそれ程所有していないからだ。

 

この大陸来たとき、重昌に火薬をある程度貰ったが、「この大陸で火薬を作れるとも限らないから、私が作るまで乱射は控えろ」っと言われていた。無論この大陸に鉄砲など存在しない、だから鉄砲の轟音に人は慣れていない為、皆に耳を塞がせた。この中でも慣れているのはやはり先程騎馬のくだりで説明した三人だけであろう。

 

瞳の鉄砲から轟音が響く。狙ったのは先程の、疲労で疲れて果てていて、賊をなぎ倒す女の子…を狙って切りかかった賊だった。矢でも届かない範囲をあっさり賊を撃ち抜いた瞳に対し、周りは「おぉ~~」っと畏敬の声を上げる。だがそんな事をしている暇は無いらしく、一刀は再び進軍命令を軍に轟かせる。そして、賊と接触し…

 

賊A「うわぁぁ!何処から出やがった、こいつら!!?」

 

賊B「ぎゃぁぁぁぁ!助けてーー!!」

 

賊頭「何してんだテメェら!!こんな小規模の軍だろ!!防いじまえ!!」

 

賊C「無理ッスよ!奴等速すぎて捉える事が出来ません!」

 

賊頭「テメェら引くな!!戦えだらしねぇ「だったらアンタが戦ってみたらどうだ?」誰だ!?」

 

蹂躙され、取り乱している賊の中、普通より大きめの馬に乗った青年が賊頭の前に姿を現し名乗り出す。

 

一刀「義勇軍大将、北郷」

 

賊頭「ほう。テメェがこの軍の長か?ちょうどいい。これほどの軍だ、さぞかし名前が知られているのだろう。テメェを倒せば、俺の名も上がるかもな。行くぜ!!」

 

賊頭は意気揚々と一刀に襲いかかった。だが強さの次元が違い過ぎた。賊頭が一刀を通り過ぎた後、賊頭の馬の上に乗っているのは、首の無くなった賊頭だけであった。

 

賊D「うわぁぁぁぁぁ!頭が殺られた!」

 

賊E「逃げろ!!妖術使いが居るぞ!!」

 

賊は混乱し、蟻(あり)の子を散らすように逃げ出した。一刀が使ったのは抜刀術。名の通り鞘から刀を抜き、相手を神速の刃で沈める技だが、一刀は重昌の下で日の本の戦乱を収めた一人。戦乱の中、技は進化し素人の目から見ては、鞘に手をかけた事すら判らないぐらいまで成長していた。

 

暫くして……

~???side~

 

女性1「…桂花。確か賊が出たとの報告があったのは、この付近のはずよね?」

 

女性2「はい華琳様。確かにこの辺りのはずなのですが…」

 

天の声「この華琳と言う真名?のクルクルツインテールの女性は曹操。後に天下に覇を唱え、大国『魏』を創るその人である。そして近くに控えている女性。ネコミミフードは荀彧、オールバックで頭に一本のアホ毛が出ているのが夏侯惇、後の『王佐の才』、『魏武の大剣』である」

 

夏侯惇「しかし華琳様。敵など何処にも居りませぬが?」

 

荀彧「アンタ馬鹿じゃないの?それが判らないからこうして悩んでいるのじゃないの。あぁ、これだから脳筋は」

 

夏侯惇「なんだとぉ(怒)」

 

曹操「止めなさい二人共!!」

 

私の一喝で二人は大人しくなった。こういう非常時ぐらいは、仲良くやってくれないかしら。

 

天の声「夏侯惇は武の腕は曹軍一で実質的に軍の頂点に居るものだが、頭は残念なのでよく妹の夏侯淵に諌められている「なんだとぉ(怒)」説明に入らないで(汗)」

 

曹操「そこの貴方」

 

天の声「ハイハイなんでしょう?」

 

曹操「この辺にいた私の軍を知らない?」

 

天の声「それならもう少し行った所に村があるから、そこに皆さん溜まっておりますよ」

 

曹操「ありがとう」

 

荀彧「…華琳様?一体誰とお話なさっているので?」

 

曹操「……何でもないわ。ありがとう。さぁ、急ぎましょう」

 

そうして、私は軍を動かし始める。一体何故私は空に向かって話していたのだろうか?

 

天の声「あっるぅれぇ?俺、意味無く無い?」

 

それから暫く進んだ後、秋蘭達が防衛しているあろう村に着いたが、既に事後だった様だ。戦いの痕跡は残っているが、賊は撃滅されたか撤退したかの様だった。

 

夏侯淵「華琳様」

 

曹操「秋蘭。よかった無事の様ね。この者の名前は夏侯淵。弓の名手で先程誰かが紹介した、夏侯惇の妹よ」

 

天の声「私の仕事、取らないで(泣)てか、見えてるの?見えてないの?ねぇどっちなの?」

 

曹操「黙りなさい、ゴミムシ」

 

天の声「………グスン」

 

夏侯淵「………華琳様?一体空に向かって誰に説明しているのです?」

 

曹操「画面の前の聴衆によ」

 

夏侯淵「……?」

 

秋蘭は腕組みをして考え出す。ホント私って一体、何故こんなことをしているのかしら?

 

曹操「それより賊は20000居たとの報告を受けていたけど、貴女達が退治したの?」

 

私は気を取り直し、秋蘭に話しかける。

 

夏侯淵「いえ、私と流琉の率いた兵を合わせて、この村の義勇軍にも助けを借り、7000の兵で防いでいましたが、華琳様の到着が間に合ったかどうかも……」

 

曹操「それなら貴女達はどうやって賊を?」

 

夏侯淵「とある謎の小規模の騎馬軍に助けられました」

 

曹操「村の義勇軍と謎の軍は?」

 

夏侯淵「今は村で体を休めて居るはずです」

 

曹操「そう。疲れている所悪いけど、案内頼めるかしら?」

 

夏侯淵「御意に」

 

村の義勇軍にはお礼を言わなければね。それに騎馬と言えど小規模。20000の賊を蹴散らすなんて、どのような者達なのかしら?

そして暫くして、この村の義勇軍と思わしき二人がやって来た。

 

李典「どうも大将はん。ウチは義勇軍の将の一人、李典ちゅうもんや」

 

于禁「私は于禁なの。曹操様、よろしくなの」

 

曹操「私は曹操よ。こたびの防衛の手助け、感謝するわ」

 

李典「そんなん気にせんでええ。自分の村は自分で守る位の気概ないと」

 

于禁「そうなの。困った時はお互い様ですのなの」

 

なんて素晴らしい心意気。こういう者達は私の部下に欲しいわ。

 

曹操「それより、貴方達二人でこの軍を保っているの?」

 

李典「いや、うちらの友達がこの軍の大将なんやけど…」

 

于禁「それがケガをして、今治療をしている最中なの」

 

曹操「そう……貴方達、私の所に来ない?」

 

李、于「えっ!?」

 

曹操「貴女達みたいな将、是非とも欲しいわ。私は後にこの大陸に覇を唱え、民達が安心して暮らせる世の中を作ろうとしている。そのためにも、貴女達の様な者に助けてもらいたいの。どうかしら?勿論義勇軍も」

 

李典「どうする、紗和?」

 

于禁「私は別に構わないけど、凪ちゃんも…」

 

李典「せやな。大将はん。うちらのもう一人のさっき話した友達で、楽進っておるんやけど。それも一緒やったらええよ」

 

曹操「へぇ、今は会えるのかしら?」

 

于禁「もう治療も終わってるはずなの。こっちなの」

 

この者達の友達……どんな人物なのかしら?

 

っと、そうこうしている間にどうやら着いたみたいね。ここは?さっき秋蘭に聞いた、謎の騎馬軍の天幕みたいだけど。…成程。確かに20000の賊を蹴散らしただけあって、良い馬が揃っているわ。あの天幕の前に立っているのは?

 

于禁「姜維さん」

 

胡花「于禁さん。一体どうしたのですか?」

 

李典「凪の様子を見に来たんや。ちと客おるけど、かまへんか?」

 

曹操「初めまして。私は曹操。この地を収めて居るものだけど。軍の長に会わせてくれるかしら?あと、後ろの二人は付き添いね」

 

胡花「それはよろしいですが、武器は預からせて貰いますね」

 

夏侯惇「貴様ぁ!華琳様が不意打ちでもするような者とでもお思いかぁ!?」

 

胡花「何を言っています?いきなり会った事も無く、性格も判らない人が訪問するなら、用心して警戒するに決まっているではありませんか?」

 

夏侯惇「なにぉ~!「止めなさい春蘭!!」華琳様ぁ~」

 

華琳「貴女は私の顔に泥を塗る気なの?」

 

夏侯惇「………」

 

華琳「ごめんなさい。ウチの部下の非礼を詫びるわ」

 

姜維と名乗る者は「いえ」と一言言い、私達を天幕の中へ案内した。それにしてもここに居る者達は良く訓練されている兵だわ。さぞかし長も素晴らしい人材に違いない。

 

胡花「一刀様。この地方の太守殿をお連れいたしましたが」

 

一刀「………」

 

あの布を羽織っている男が、この軍の長かしら?

 

天の声「注意。一刀と愛紗はフランチェスカの制服で、この時代では珍しい物なので、重昌に時が来るまで服は伏せろと言われている」

 

その男に腕を出して、向かい合って座って居る者が、さっき李典達が話した楽進ね。一体何をしているのかしら?他にも天幕の中には横たわって休んでいる者も居る、ウチの兵の姿も居るわ。傷がある者は、一人一人丁寧な治療が施されてる。

 

夏侯惇「貴様ぁ!華琳様がおわすというのに、無視するとn「止めて貰いましょうか」何ぃ!?」

 

椿(愛紗)「今は治療中で、しかも針を塗って傷を塞いでいるのです。騒音などでご主人様の集中力を切らさないでもらいたい」

 

夏侯惇「な、貴s「姉者、いい加減にしないか」しゅ、秋蘭~~」

 

夏侯淵「見たところ、ウチの兵も世話になっているようだ。感謝の言葉は述べれても、罵詈雑言を浴びせる理由は無い」

 

曹操「その通りよ。貴女、名前は?」

 

椿(愛紗)「私は、姓は関、名は椿、字はありません」

 

曹操「あら?字が無いの?」

 

椿(愛紗)「私とご主人様、そしてそこに居る伊達はこの大陸の人間では無いので」

 

この大陸の人間では無い?面白いわね。それにこの関と言う者。私は春蘭や秋蘭程、武があるわけでは無いが、これでも前線で戦える将。一目でこの者が春蘭、秋蘭と同等…いや、それ以上の者と判る。それ程の武気、全く空きが無い。その気になれば私達が武器を手にする前に一瞬で胴と頭が別れるわね。それに美しい。ますますこの軍が欲しくなったわ。

 

曹操「それで、あとどの位待てばいいのかしら?」

 

椿(愛紗)「楽進殿の治療が終われば直ぐにでも「お待たせした。曹操殿」」

 

そう言い、一刀と言う真名?の者は私の下にやって来た。さて上手く引き抜けるかしら?

 

~曹操side~ 了

~一刀side~

 

賊達を蹴散らした俺達は、今怪我人の治療を行っている。そういえば重昌さんをかばった時、誰かが自分のみたいにならないように勉強した医術も、この大陸でも充分に役に立つらしい。

 

それもそうだ、今は戦乱。前の世界の無知な頃の俺とは違い、俺は少しでも人を救えているだろうか?これでもまだまだ重昌さんの足元にも及ばない。……考えるのは止めよう。あの人と俺では、積み上げて来たものが違い過ぎる。まだまだ適いそうも無い。今は治療に集中しなくては。

 

一刀「ほら、出来たぞ。暫くは動かさず、安静にしているんだ」

 

曹兵士「ありがとうございます」

 

一刀「さて、次は楽進だが……この傷は…」

 

楽進の傷は思ったより深かった。致死量では無いが、少し血を流し過ぎだな。暫くは戦場に出さない方がいい。

 

一刀「楽進。今から消毒をし針を塗って傷を塞ぐから、決して淫らに腕を動かすなよ」

 

楽進「判りました」

 

俺は楽進の腕を消毒して、一本一本丁寧に針で傷を縫う。普通の者は少し痛がり、身を揺らすのだが、この子はなかなか我慢強い。針の痛みに全く動じず、ただ静止している。だがこういう子に限って自分の身を省みず、仲間の為に命を投げ出す傾向が強いからな。そうとしている間に、誰かが来たようだ。だが今は治療に専念だ。愛紗が相手をしてくれている。

 

一刀「よし終わった。とりあいず暫くはこの熱湯で消毒した布を被せておいて、血が止まるのを待ちなさい。決して強めに抑えずに、強めに抑え過ぎて、塗った所が切れたら大変だからね」

 

楽進「はい、判りました「それから」?」

 

一刀「暫くは安静にすること。戦ってもいけないし、君は武道家だろう?修行も控える事。賊が出て来ても、君は戦わず、安静にしている事」

 

楽進「なっ!?何を言っているのですか!?」

 

やっぱり食いついたか。

 

一刀「不満か?」

 

楽進「当たり前です。修行は判りますが、何故賊が出ても戦っていけないのですか!?」

 

不平を漏らすのは当然だろう。いきなり戦うなと言われたのだから。

 

一刀「傷が思ったよりも深く、血も流し過ぎている。幸い、僅かに致死量は免れたが、今この状態で再び戦ったらまた傷が開き大量の血が流れ、死は免れない」

 

楽進「だから何です!?自分は武人です!死ぬのは戦場と決めています!それで命が散っても本望です」

 

いるよな、死に散るのが武人の美学と思っている人が。意気込みは嫌いじゃないのだけど、こういう手の者は…

 

一刀「本当にそう思っているのかい?」

 

楽進「勿論です!「ぬるいな」何ですって!?」

 

一刀「君の命だ。君がどういう風に使おうが、俺は口出し出来ない。だが、残された者はどうなる?」

 

楽進「残された…者?」

 

ちょっと怯んだかな?

 

一刀「賊を退けた後、この医療天幕を建て他の患者を治療している時、泣きながら君を連れて来て。『頼むから、この子を助けてくれ』っと言った者はどう思う?君が死んだ事を聞けば、嘆き悲しみに打ち拉がれる。そっちの方が罪俺は罪だとおもうが?」

 

楽進「………」

 

…もう一押し。

 

一刀「いいかい。命は一つしか無い。何かを守る為に命を投げ出すのは悪いとは言わない。だが自分の命も守れない者に他人の命を守れるかい?『無謀は勇無き者がすること也』。それに休む事も武人の仕事だぞ」

 

楽進「……判りました。暫くは自重して体を休めます」

 

一刀「それでいい。納得出来ない事も今はあるだろうが、今はそれでいい」

 

判ってくれたか、よかったよかった。こういう娘(こ)を諫めるには飴とムチ。それに若く新しい可能の目を紡ぐのは趣味じゃないしね……なんか考え方が年寄り臭くないか?重昌さんの影響かな?俺は俯く楽進の頭を撫でてやる。俯いている楽進は何故か顔を赤らめている。風邪かな?さて、客人を待たせているのかな?さっき胡花の声が聞こえたからね。

 

…!?華琳!?前の世界と服装が違うな……いや、この世界の華琳か……。あの目は良い人材を見つけた時にする獲物を狩る蛇の眼だ。もうこの部隊に目を付けたかな?だが俺達が仕える人はただ一人。丁重に断って、貰える物は貰おうか。

 

一刀「お待たせしました。曹操殿」

 

~一刀side~ 了

一刀に対面する曹操の顔に、一筋の汗が垂れる。一刀は前の世界の力の無い一刀ではない。重昌の下で戦乱を駆け、武・知・風格も身につけた一刀の前に、こちらの世界の華琳…曹操も警戒の意を示す。反対に一刀は涼しい顔で対応する。この涼しい顔で対応する意味は、対面している者にしか判らない。『俺はお前より上だ』っと言っている様な物であった。そして、先手を取るように曹操の方から話し出す。

 

曹操「こんにちは。貴方は?」

 

一刀「人に名前を聞くなら、まず自分から名乗るのが礼儀じゃないのかい?」

 

夏侯惇「貴様ぁ!ここにいるお方をどなたと心得る!」

 

いきなり突っかかってきた夏候惇に対し、一刀は挑発気味に話し出す。

 

一刀「誰であろうと関係無いよ。今はそれぞれの君主同士の対話だ。家臣は黙っていてくれるかな?それにいちいち家臣が話に割り込んで来るなんて、その家臣を仕う主に問題があると思われないかい?」

 

一刀の言葉に夏候惇はより突っかかるが、曹操に静止させられる。

 

曹操「すまないわね、ウチの家臣が無礼な真似を働いて。私の名は、姓は曹、名は操、字は孟徳。先ほどより私の名前を知っている様な素振りを見せていたけど?」

 

一刀「俺は、姓は北郷、名は颯馬、字は無い。ウチの情報網も中々のモノでね。ある程度の大陸の情報ぐらい網羅しているよ」

 

嘘である。たかが3000ばかりになった、義勇軍にそのような情報網が存在する筈も無い。これも相手を油断させない為である。

 

一刀「まぁこんな所より、場所を変えよう。後ろにいるのは、于禁と李典だったかな?友達はもう回復しているから、会ってあげるといい」

 

楽進、于禁、李典は三人でたまって話し出し、一刀と曹操は自分達のそれぞれの家臣を呼んで別の天幕へと移動する。一刀側は後の事を胡花と香蘭に任せ、曹操側は許緒と典韋という者に任せた様だ。…そして場所は義勇軍本陣の天幕。

 

曹操「今回の件だけど。ウチの部下達が世話になったわね」

 

一刀「軍を進めている時にたまたま賊に出くわしただけだよ。それに目の前で人が苦しんでいたら、手の届く範囲でなんとか助けなくちゃね」

 

そう言う一刀に曹操は少し食い付く。

 

曹操「あら、貴方の『手の届く範囲』は何処までを表しているのかしら?」

 

一刀「言葉通りだよ。自分の力の届く範囲までの人はなんとか助けるさ」

 

曹操「なら貴方は自分が助けられる者は助け、助けられない者はあっさり切り捨てるのかしら?」

 

一刀「そうは言わない、だが物事には限界がある。100を救う力を持っていたとして、1000を救おうして自分まで自滅すれば元も子もない。出来もしない事をやろうとして、100を失えば只の馬鹿だからね」

 

一刀の返しに、曹操は口元をニヤリとつかし答える。

 

曹操「貴方……おもしろいわね」

 

すると一刀は少しため息を吐き…

 

一刀「そりゃどうも。お眼鏡にかなってなによりだね」

 

曹操「貴方。私の下で働かない?」

 

一刀「{やはりか。何処の世界でも華琳は華琳だな}」

 

前の世界では邪魔が入ったとはいえ、あの曹操と戦った一刀である。有能な人材を逃さない性格も熟知している。だが、一人のネコミミフードがそれに食い付く。

 

荀彧「お待ち下さい華琳様!このような輩を召し抱えるおつもりですか!?」

 

曹操「あら?桂花は反対なのかしら?この者達は中々優秀な人材だと思うのだけれども」

 

荀彧「当然です!他はいいとして、目の前の輩は反対です!あの野蛮な多少力が取り柄だけの、たかが”男”が有能な訳ありません!!あぁ~けがわらしい!!」

 

そのやり取りを見ていた一刀は……

 

一刀「一つ言っておくが、俺は曹操殿に仕えるとは一言も言っていないぞ」

 

その一言でネコミミはより一刀に突っかかる。

 

荀彧「なんですって!?華琳様の前に出ることもおこがましい男が、華琳様の誘いを断るなんて!これだから”男”は!」

 

一刀は荀彧のこの男嫌いも判っているので、やはりこの反応かと思い、あえて静かに挑発する。

 

一刀「男男と君は言うが、君は、女は男より全てに優れ、男は女に下僕として従うだけの存在とでも言うのかい?」

 

荀彧はわかっているじゃない、っと鼻を鳴らし胸を張るが、一刀は無視し曹操に話を振る。

 

一刀「曹操殿。物事を判断出来る者を連れてきた方がよかったのでは?」

 

曹操「ごめんなさい。ウチの部下が…この子はウチの軍の筆頭軍師よ。自称だけど」

 

荀彧は一刀に何か喚き散らしているが、曹操はため息を吐き謝罪をする。

 

一刀「全く、猪の武官に物の先が読めない軍師。この軍の底が見えるようだよ」

 

一刀の一言に曹操はムッとする。何か言いたくても尤もで言い返せず、夏侯惇と荀彧がより喚き散らすが、それを夏侯淵が静止させる。

 

夏侯淵「止めないか二人とも「「秋蘭!!」」二人がそうだから、相手に舐められるのだ。華琳様の顔に泥を塗る気か?」

 

その一言に二人は顔をしかめ押し黙るが、夏侯淵も自らの軍を馬鹿にされるは、曹軍…つまり頂点である主をも馬鹿にされるに等しい。そこまでされ黙っている程お人よしでもない。そこで北郷義勇軍に勝負を挑んだ。勝負と言っても実際に軍を戦わせる訳にもいかないので、将同士の一騎打ち。姉の夏侯惇は完全に頭に血が上っているので勝負は自らが出、北郷側よりは同じ弓使いと事もあり、瞳が出る事に。弓の矢は当たればそれなりに痛いが、先を潰し刺さらない様にし、夏侯淵の小剣と天弓も刃を潰した者を使用との事だ。

…両者平地にて向かいあった。

弓使い同士の対決。両者弓の弾数30発。勿論遠距離戦での勝負になるが、夏侯淵も馬鹿では無い。相手の武器の形を見て、瞳は接近戦でも戦えると判断し、思考する。相手は義勇軍とはいえ精強な軍の将。油断していると、こちらが足元をすくわれる。自身は接近戦の訓練も怠っていたわけではないが、専門は弓なので、どちらかといえば苦手な部類に入る。なので、接近戦に持ち込まれたらまず勝ち目は無いと判断し、相手の矢が無くなった時に勝負に出る作戦に出た。

しかし、そんな事を考えていると、瞳の口が声を発し動き出した。

 

瞳「夏侯淵。私は貴女を矢で仕留めるよ♪」

 

夏侯淵は苛立ちを覚えた。戦う前より、自分をどう倒すかとなどと宣言をされてしまい、「舐めているのか!」と言う言葉が喉まで出掛かりなんとか抑える。相手の調子に呑まれれば思う壺、っと思い必死に頭を冷やす。だが、最初に仕掛けて来たのは瞳であった。

 

瞳は夏侯淵に向かい走り出し、足元を狙い3本矢を放つ。夏侯淵はバックステップで矢を避け、お返しとばかり矢を2本放つ。(淵28瞳27)

直ぐ様、瞳は追い討ちとばかりに5本の矢を放ち。夏侯淵は矢を弾き、避けるなどし、かわしていく。そしてまた夏侯淵も3本弓を打ち返す(淵25瞳23)

ところが瞳は空に向け一本の矢を威嚇射撃する。この矢の示すところが判らぬまま、両者は矢を使う(淵25瞳22)

1本、2本、そしてそれぞれの矢が淵10、瞳4になった頃、夏侯淵が口を開く。

 

夏侯淵「伊達殿。貴女の矢はそろそろ尽きそうですが?」

 

瞳「そうだね」

 

夏侯淵「今でしたら、先程の発言は取り消し出来ますが?」

 

瞳「言ったでしょ。貴女を”矢”で仕留めるって」

 

夏侯淵「しかし残りの矢が尽きて締まってはどうしようもない」

 

余裕の笑みを浮かべる夏侯淵に対し、瞳は夏侯淵に向かって矢を放ちながら走り出す。夏侯淵はその動きを読んでいたとばかりに、その矢に対応する。また1本、瞳は矢を放ち夏侯淵は対応する。夏侯淵との距離、残り30m。残りの矢、残り2本。瞳はまた1本放ち距離を詰める。距離、残り10m。そして瞳は足場の砂を巻き上げさせ、夏侯淵の顔目掛けてかける。夏侯淵は手で目を隠し怯み、そこに瞳が最後の矢を放つ。しかし、放った矢を夏侯淵はぎりぎりの反射神経で、左肩の髑髏型の鎧に当て防ぎ、直ぐに瞳に矢を構えなおす。距離は5m。とても避けきれる距離ではない。

 

夏侯淵「勝負あったようだな?」

 

瞳「なんで?」

 

夏侯淵の質問に対し、瞳は気の抜けるような声で返事を返す。

 

夏侯淵「放つものも無くなり、この距離の貴様に勝機は無い」

 

瞳「放つものなら…あるよ!!」

 

そう言い返し瞳は自分の持っている武器を夏侯淵に投げた。意表を突かれた夏侯淵は体勢崩し直ぐに体勢を立て直そうとするが、だが夏侯淵の目の前には、弓矢の矢を手に自らの喉元に突き立てている瞳の姿が写っていた。夏侯淵は何が起こったか判らず驚愕で目を見開く。だが、最初に声を上げたのは曹操だった。

 

曹操「…いったい何が起こったと言うの?伊達の矢は尽きていたはず。あの矢はどこから取り出したの?」

 

荀彧は胸を左手で押さえたまま、夏侯惇は口を空けたアホ顔のまま固まる。そんな三人に対し、一刀は口を開く。

 

一刀「空だよ。…瞳が空に放った矢の落ちる場所に夏侯淵を誘導して、そして落ちて来た矢を掴み夏侯淵の喉に突き刺す。言った通りにしっかりと”矢”で仕留めたね」

 

一刀の解説に対し曹操が食い付く。

 

曹操「しかし、そんな事が可能なの!?」

 

一刀「風の動き、自身の射程力を読めば出来なくもないよ。少なくても、俺はこんな離れ技が出来るのは、瞳を含め二人しか知らないけど」

 

そんな一刀と曹操の会話後に、瞳は構えを解き夏侯淵は喋り出す。

 

夏侯淵「完敗だよ。まさかあのような方法で私を打ち負かせるとは。しかしなぜ普通に戦わなかった?武器の刃を使えば私に圧勝出来たはずだが?」

 

瞳は夏侯淵に投げた弓を取り、振り返り笑顔で言った。

 

瞳「命のやり取りじゃないのだから、ちょっとぐらい遊びを交えてもいいじゃない?人生一度切り。楽しく行かなきゃ」

 

夏侯淵「……ふっ、普通であれば”舐めているのか?”と怒り返すのだが、こうもはっきり言い切られては怒るにも怒れまい。私の真名は秋欄だ。どうか受け取って欲しい」

 

瞳「私の真名は瞳だよ。よろしくね秋欄♪」

 

こうして、二人の弓使いの間に、新しい友情が芽生えたのであった。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
6
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択