No.430184

記憶のライダー11 協力者O/操られし皇女と救いの月光

秋良さん

前回操られた、もう一人のキバの変身者・如月志野。

彼女を救うための作戦が始まる。

※作中に登場するあるコンボとキバの武器・必殺技は、

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2012-05-30 19:40:30 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1564   閲覧ユーザー数:1498

 

『オーベディエンス・ドーパント』と名乗る相手に志野ちゃんが操られさらわれた後、

僕らはしばらくその場で立ち尽くしていた。

 

「ここでこうしていても仕方が無い、かな。行こう、美夜子ちゃん、達也くん。

 事務所へ戻ってオーベディエンスとやらを倒す方策を考えよう」

そして、僕らはその状況を報告するため翔太郎さんたちと合流した。

 

僕ら三人が事務所に戻ると、そこには怒り心頭の翔太郎さんがいた。

 

「畜生、また知り合いがさらわれちまった!!」

「聡里くんが来てから、よく知り合いがさらわれる羽目になるね。

 因果関係でもあるのだろうか」

フィリップさんに失礼な事を言われていたけれど、あえてスルーし質問した。

 

「フィリップさん、報告です。

 相手は『オーベディエンス・ドーパント』と名乗っていました。

 オーベディエンスって確か『服従』とかの意味がありましたよね」

僕の質問に、フィリップさんは即答した。

 

「ああ。オーベディエンスは『他人を服従させ、意のままに操る』能力がある。

 今回はそれで志野ちゃんと『キバット』を操って強制的に変身させているんだろう。

 だが、それだと非常にまずい事態と言える」

フィリップさんのその言葉に、僕も頷き同意する。

と、ここで蚊帳の外に置かれていた亜樹子所長から質問が飛んだ。

 

「ねえ、何がまずいの!?

 変身してれば、ソイツが叩いたりしても耐えられるんでしょ!?」

そう言われ、僕は一応頷く。

 

「確かに、『キバの鎧』はとてつもない力を秘めていて、

 生半可な力では傷つける事はできない。

 けれど、このキバの鎧には欠点がある。『魔皇力』という特殊な力を制御するために、

 鎧を任された『キバット族』、ここではキバットバット三世だね。

 のコンディションにスペックが左右されるんだ。

 実際、『僕の知っている』キバはキバットが風邪を引いたとき全力が出せなかったし、

 さっき言った力を抑えきれずに暴走した事がある」

それで蒼白になっている亜樹子所長に、さらに言葉を重ねる。

 

「そしてこの場合、キバットが強引に操られている以上、

 魔皇力のコントロールは不完全どころかされていない、と見たほうが良いと思う。

 キバットが自由になれば中和できると思うけど、

 今のキバは変身者を考えないで全力を出している以上、

 並みのドーパントは軽く越える恐ろしい強さになるだろうね」

そう説明すると、達也くんが僕に掴みかかってきた。

 

「ふざけんなよ!じゃあ、志野はもう『ファンガイア』だってのか!?

 アイツは優しいんだ!今は操られているだけで……ッ!」

彼は僕を何発か殴ってきた。そして、僕もそれを甘んじて受ける。

 

「判ってるよ。それに、僕にもこの現状を作り出した一因がある。

 僕がもっと早くに現場につけていれば、

 キバットをベルトから引き剥がすくらいはできたかもしれない。

 でも、実際間に合わなかった!また!!」

僕は叫び、デスクを叩く。スチールデスクが拳の形にへこんでしまったけど、

気にしてなんかいられない。

僕はフィリップさんに聞いてみた。

 

「フィリップさん、オーベディエンスメモリの情報から

 志野ちゃんを助ける方法、わかりましたか?」

僕が聞くと、フィリップさんはなんとも複雑そうな表情で話し出した。

 

「ああ、一応はね。

 オーベディエンスはまず、対象に『針』のようなエネルギーを打ち込むんだ。

 すると、そこから対象の体が操られるというわけさ。

 これを無効化する方法はある」

それを聞き、達也くんは顔を輝かせる。

 

「それじゃ、志野は助けられるんですね!?」

「いや、これはあくまで『針だけ』という前提の話だ。

 このメモリは一度コントロールすると、針を取り除いても本人の意識、

 つまり記憶や人格を蝕んで従順な操り人形を作り出す物だ。

 今も彼女の精神は『自分を蝕む』メモリと戦っているはずだよ。

 勿論、キバット君もね」

 

「じゃあ、どうやって元に戻すんですか!?」

「君だよ、達也くん」

そう言われ、面食らったような表情になる達也くん。

 

「俺ですか!?」

「ああ。君と志野ちゃんは恋人同士なんだよね?

 だから、君が志野ちゃんの『心』に呼びかけて、引き戻すんだ。

 彼女は追い出されかけている『体』にね。出来るかい?」

フィリップさんに言われ、彼を見返す達也くん。

その瞳の中には、さっきの弱気はすでに無くなっていた。

 

「アイツを……志野を助けるためなら『悪魔とだって相乗りして』みせる!」

 

「「「!」」」

 

その台詞は、奇しくも『ビギンズナイト』に、

翔太郎さんにフィリップさんが言った言葉だった。

 

「……悪魔と相乗り、か。よし、よく言ったぜ達也!お前も一人前の男だ!」

翔太郎さんが達也くんに帽子をかぶせつつ言う。

 

「だけど、君に相乗りするのは悪魔じゃない」

フィリップさんも彼に微笑みつつ言い、

 

「僕ら、風都の『仮面ライダー』が、相乗りさせてもらうよ!」

僕が言う。モチベーションはこれで高まった。

そして、翌日に向け僕らは作戦を練りはじめた。

 

 

~翌日・志野Side~

 

「来るな……来ないでくれ、達也……」

私は洞窟の中で怯えている事しかできなかった。

一度キバになり脱出しようとしたのだが、結果的に操られ戻らされてしまったのだ。

 

「へっ、もう少しで約束の時間だぜ、お嬢ちゃん。楽しい殺し合いだァ!」

その男は獣のような笑顔で笑う。

その時。洞窟の入り口を写しているモニターに『二つの』人影が映った。

 

「ここか。ドーパント!志野を連れ戻しに来たぜ」

「オーベディエンス、貴方を僕らは許しませんよ。覚悟、いいですか?」

彼らはカメラを発見し、こちらへそう言い放った後洞窟へ入ってきた。

 

「あ、ああ……達也!こちらへ来るな!」

私は絶望感に潰されそうになっていた。

このままでは、私は達也を襲わされてしまう。

 

「嫌だ、私は達也を傷つけたくない……!」

しかし、男がすぐに変身したドーパントは無情にも、私達に命令を下す。

 

「さて、嬢ちゃん、コウモリさんよ。『アイツらを倒して来い』」

 

いやだ。イヤだ!嫌だ!!

 

「嫌だぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

「志野!済ま、ねぇっ!……ガ、ブッ!!」

 

「あぁぁぁぁぁぁあああアアアアアアア!!」

そして、私はまた『ファンガイアとしてのキバ』になってしまった……

 

 

~聡里&達也Side~

「達也くん、落ち着いて。ここは仮にも敵の手の内。

 どんな罠があるか判らないし……」

「んなことは判ってるんですよ聡里さん!でも、志野がどんな目に遭わされているか!」

達也くんが怒鳴った時、絶叫が聞こえてきた!!

 

「あぁぁぁぁぁぁあああアアアアアアア!!」

「志野の声だ! 志野!今行く!!」

その声に刺激され、達也くんが走って行ってしまった。

 

「ちょっと達也くん!?まずい、あの声の感じだと、すでにかなり参ってるか。

 となると、暴走してることを考えておかないと!」

僕もその後を、ベルトを巻きながら追いかけた。

 

「志野!!」

達也くんが先行していった先には、キバが居た。

しかし、キバは様子がおかしかった。

 

「志野、俺だ! 達也だ!! 正気に戻ってくれ!!」

「が、あっ……たつ、や……!」

志野ちゃんは、必死で動こうとする自分の体を押さえ込んでいた。

 

「達也……私を、殺せ!」

「え!?」

キバにいきなり言われ、達也は驚き、うろたえていた。

 

「達、也。私は、お前を殺す、よう言われ、てしまった。

 早く! もう、抑え、られ、な、い、いぃぃぃぃぃぁぁあああああアアアアア!」

そう叫び、キバの仮面が完全にステンドグラスのような輝きを放ち、暴走を始めた。

そして、キバは『吸血刀・紅蓮』を振るい達也に斬りかかる!

 

「うわっと! 仕方ない、志野!手荒くなるが、許してくれ! 変身!!」

達也くんも変身し志野ちゃんの剣を交す。

しかし、ファンガイアの力を全て使っている分早く、

どんどんダメージが蓄積してしまう。

 

「志野!くそ、ここは、耐えるしかない!」

言いつつ、達也くんは三枚のコアメダルを取り出し、スキャン。

 

[コブラ!][カメ!][ワニ!]

[ブラカァァァァワニッ!]

 

「よし、こいつの防御力なら、どうにか……!」

と腕に付いた『ゴウラガードナー』で紅蓮を受け流すオーズ・ブラカワニコンボ。

そしてそこに、ようやく僕が追いついた。

 

「やれやれ、やっと追いついたか。……ッ、キバ!? マズいな、これは!」

[Memory!]

 

「達也くん、抑えるのを手伝うよ!変ッ身!!」

 

[Memory!]]

 

僕は変身し、オーズたちに駆け寄ろうとする。

しかし、横合いからのそりと現れる一つの影が。

 

「くっ、オーベディエンスか!」

そう、現れたのは右手が針を打ち出す銃のようになっており、

体にいくつもの円が描かれているドーパント、

『オーベディエンスドーパント(以下Oドーパント)』だった。

 

「おぉっと、テメェの相手は俺だぜ!来いよ!だが、俺はいつでもあの女に

 『自分を斬れ』って命令できんのをわすれんなよ!!ヒャッハァ!」

と叫び、ソイツは僕に針を撃って来た!

 

「くっ、卑怯にも程があるでしょうが!」

僕は叫ぶけど、鼻で笑われる。

 

「ハッ、勝てば官軍ってなぁ!!要は勝ちゃいいんだよ勝ちゃあな!」

「ンな頭の悪い諺の解釈すんな!!」

僕はやむを得ずカブト・マスクドになり持久戦を展開するが、

しかし一方的な攻撃に耐え切れず僕ら二人は限界を迎えてしまう。

 

「くっそ、打つ手なし、かよッ!」

「くっ……(こうなったら、自滅覚悟の『ツインマキシマム』で速攻で……)」

そこまで僕らが考えた所で、いきなり黒い物体が洞窟に飛び込んできた。

 

「(あれは……!そうか!!)」

それが何か気づいた僕は、メモリーブレードを構えオーベディエンスに突撃する!

 

「やあぁぁぁっ!」

「テメッ、あの女がどうなってもいいっつのか……うぉわまぶしっ!?」

Oドーパントがキバを操ろうとしたとき、いきなり暗がりから閃光が光り、

ドーパントが怯む。

それは、メモリガジェット『バットショット』の特殊なフラッシュの光だった。

 

「遅くなったな、聡里、達也!」

『さあ、達也くん!今なら彼女を呼び戻せる! 呼びかけるんだ、彼女に!!』

翔太郎さんとフィリップさんは、作戦通りに事を運んでくれたらしい。

 

「志野、! お前がこんなヤツに操られるような『弱い女』じゃない事ぐらい、

 俺はちゃんと知ってるんだよ!」

「ガアァッ、達、也……ッ!」

コントロールが揺らいだのを見て、達也くんは渾身の一声を放つ!

 

「だから、目を覚ませ! 志野ぉッ!!」

「ア、アァァァァぁぁぁぁぁああああっ!!」

キバは達也くんの声を受け、思い切り叫ぶ。

そして、仮面のステンドグラスのような色が砕け飛び、元の黄色い仮面に戻った!

 

「よしっ、成功だ!!」

僕はガッツポーズ、Oドーパントはよろよろと後ずさる。

 

「ば、バカな。俺のコントロールから脱した!?どうやったんだよ!」

うろたえるドーパントにフィリップさんが説明する。

 

『対象の精神を操作するための『針状のエネルギー』は、

 ルナメモリを入れたバットショットのフラッシュで消させてもらったよ。

 後は、本人の意思をより強く目覚めさせれば、この通りさ』

 

「達也……すまない。私は、お前を……」

「いや、お前のせいじゃない。俺こそ、お前を守りきれなくて、悪かった」

達也くんと志野ちゃんはお互いに謝罪しあい、許しあったらしい。

 

「それじゃ、こっからは人質なしだ。真っ向からぶつからせて貰うぞドーパント」

僕の台詞に、キバ、オーズ、ダブルも横一列に並ぶ。

 

「くっそ、こうなりゃヤケだ!とことん相手してやるぜ!」

[T-Rex!][Iron!][Iceage!]

 

Oドーパントはどこからか三つのメモリと三枚のセルメダルを取り出し、

メダルにメモリを突き立てる。すると、メダルの力かなんなのかその場に

『T-レックス』『アイアン』『アイスエイジ』の三体のドーパントが現れた。

 

「てめぇらも相手してやれ!」

Oドーパントの号令で一斉にドーパント達が襲い掛かってくる。

そして、僕らも応戦しそれぞれ一対一の図式ができあがった。

 

 

~キバ対T-レックス~

「この程度の力で私を倒そうなど、甘い!」

キバは言いつつ吸血刀・紅蓮を振るい、確実にドーパントにダメージを与える。

 

「キバット。操られた分、しっかり決めるぞ!」

「任しとけって志野!『グレン・バイト』!」

キバがキバットに紅蓮の刃を噛ませると、その部分から魔皇力が紅蓮に送り込まれ、

刃が赤く、まるで血に染まったような輝きを放つ。

 

「はぁぁぁっ!『紅蓮・牙一閃』!」

 

その刃でT-レックスを両断すると、

切った部分から敵にキバの紋章が浮かび上がり、砕けたメモリとメダルを残し消えた。

 

「これで少しは恩が返せたか、達也?」

 

 

~ダブル対アイスエイジ~

「おぉっと、コイツは相手を凍らせるドーパントみてぇだなフィリップ!」

冷気をかわし言う翔太郎に、フィリップも返事を返す。

 

『ああ、翔太郎。だが、こちらにはちょうどいいメモリがあるだろう?』

「そうだな、じゃ、こっちはそのままだ!」

[Heat!][Joker!]

 

「さぁて、熱い一撃をお見舞いしてやる!」

言い放ち翔太郎は、ベルトのマキシマムスロットにヒートメモリを入れ、起動させる。

[Heat! Maximum-Drive!!]

 

「はぁぁぁぁっ!」

翔太郎たちは力を溜め、右手に炎を纏わせている。

その状況でまずいと察したのかドーパントが放った冷気も、

マキシマムドライブ中のヒートの熱量の前には無力だった。

 

「行くぜ!」

『ああ!』

そしてダブルは一飛びでドーパントの懐へ飛び込み、

 

「『ジョーカーグレネード!!』」

炎を纏った右腕でドーパントを殴り飛ばした。

ドーパントはたまらず吹き飛び、メダルとメモリが割れ消滅した。

 

「俺のほうもどうにかなったか」

『翔太郎。それを言うなら、『俺たちのほうも』だね』

 

 

~メモリー対アイアン~

「アイアンは、メタルと同じく硬い格闘系か。だったら、アレで行くか!

 メモリイジェクター、イジェクト・電王!」

[Den-O! Ax!!]

 

僕は『電王・アックスフォーム』になり、あごを押さえて『ゴキッ』と首を鳴らす。

 

「僕の強さは、泣けるよ!……なんてね。さぁて、片付けますか!」

といい僕はウェポンスロットに電王メモリを入れ、デンガッシャーを召還する。

そして襲ってくるドーパントをつっぱりで吹き飛ばしつつ、

デンガッシャーをアックスフォームに組み替えた。

 

「オーベディエンスにいいたいことが一杯あるし、速攻で決めさせてもらうよ」

[Den-O! Maximum-Drive!!]

 

そう言い電王メモリをマキシマムスロットに押し込み、起動。

そしてドーパントの頭上にデンガッシャーを投げ上げ、

ドーパント自身を踏み台に飛び上がる!

 

「喰らえッ!」

そして空中でデンガッシャーを掴み、縦一閃に地面まで切り裂いた。

 

「ガァァァァァァァァァッ!!」

キンタロスの力である怪力にはかなわず、ドーパントのメダルとメモリは砕け散った。

 

「ダイナミックチョップ、ってね」

 

 

~オーベディエンス対オーズ~

「お前だけは許さない!」

「テメェに許すも許さないもねぇんだよ、ここで倒されるからな!!」

オーズ・ブラカワニとオーベディエンスは接戦を繰り広げていた。

 

「そうかい!だったら、オーズの本領を見せてやるよ!」

オーズは二枚のメダルを取り出し、コンボチェンジする。

 

[タカ!][クジャク!][コンドル!]

[タァ~~ジャァ~~~ドルゥ~~!]

火炎系の『タジャドルコンボ』になったオーズは、

腕の『タジャスピナー』から炎を打ち出し攻撃。

 

「コイツは、操られた志野の痛みだ!受け取れッ!」

「がぁぁぁぁぁっ!?」

オーベディエンスは火炎弾が連続であたり、苦しむ。

 

「まだまだぁっ!!」

と言いつつ、今度は別のメダルをドライバーに入れ、スキャンする。

[ショウグン!][サムライ!][ヒキャク!]

[シィーーーーグサキ!!]

 

そのコンボメロディと共に、オーズは戦国時代のコンボ、

『オーズ・シグサキコンボ』にコンボチェンジ。

 

「お前、そこに直れ!切り捨ててくれる!!」

オーズが一喝すると、オーベディエンスの体がすくみ動けなくなる。

 

「な、なんなんだよ、この威圧感は!」

ショウグンヘッドの力は、威圧感で動きを封じるもの。

そして動けなくなったオーベディエンスを、

サムライアームの力で取り出した刀『霧映(きりばえ)』で袈裟切りに斬りつける。

 

「斬り捨て、御免!!」

「ガァァァァッ!!」

 

 

 

そして、オーベディエンスに、

「貴様、よくもこの私を操ってくれたな……!」

怒りをあらわにする志野ちゃんが、

 

「俺の恋人を好き勝手しやがって!!」

志野ちゃんを普通に『恋人』と言ってしまうほど切れている達也くんが、

 

「いい加減くだらない理由で風都を泣かせるお前のようなヤツは、

 お仕置きしてやらないとな!」

『奇遇だね翔太郎。僕も同じ気持ちさ』

風都を泣かせる相手に怒る、翔太郎さんとフィリップさんが、

 

「ここまで好き勝手やったんだから、いい加減終わりにしようか」

これまた相当立腹している僕がそれぞれ言い放ち、技を放とうとする。その時。

 

[Kiva!][OOO!]

と、二つ連続でメモリーメモリから音が流れ出してきた。

 

「キバとオーズの力……!それじゃ、使ってみようか!

 イジェクト・キバ、オーズ!」

僕の声に呼応し、キバとオーズのメモリが射出された。

それを掴みウェポンスロットへ入れ、

僕はオーズの『メダジャリバー』と、キバの『ザンバットソード』を取り出す。

 

「達也くん、翔太郎さん!コイツで決めよう!!」

僕はそう言い、キバはすでに紅蓮を持っているため、

オーズにオーズメモリと、メダルの代わりにメモリを入れるスロットがあるメダジャリバーを、

ダブルにはキバメモリと一緒にザンバットソードを投げ渡し、

僕もメモリーブレードを装備。

そして全員基本のフォーム・コンボに戻り、必殺技の体勢に入る。

 

『グレン・バイト!』

[OOO! Maximum-Drive!!]

[Kiva! Maximum-Drive!!]

[Memory! Maximum-Drive!!]

 

「「『「はぁぁぁぁぁぁっ……」』」」

全員がそれぞれの武器に力を込め、それぞれの武器が輝き始める。

 

「くっそ、誰か一人でも操れりゃあ!!」

とやけになって針を乱射するも、

全員が放出するエネルギーが強すぎて一発も通らない。

 

「これで決める!」

僕の叫びと共に、四人全員が一気に距離を詰めドーパントを縦横斜めに切りつける!

 

「「「「ライダー・カルテットスラッシュ!!」」」」

「ぎゃあああああああああっ!!」

僕の叫びと共に斬られたオーベディエンスは叫び、メダルが排出されブレイクされた。

 

 

[『如月志野嬢誘拐事件』報告]

[かくして、京都からきたライダー二人を巻き込んだ事件は終結しました。]

[あの後如月さんが倒れて病院に運び込まれましたが、軽い過労のような症状で、]

[命に別状はないようで、安心しました。]

[彼らは今回のことで、より一層縁が深まったと僕個人では思います。]

[さて、例の犯人ですが、何者かが裏で手を引いていたようです。]

[そもそも、オーメダルはまだここでは扱われていないもの。]

[また多数のマスカレイドメモリを持っていたし、なぜそれを持っていたのか聞いても]

[『知らない』の一点張りでした。実際、何も知らないようです。]

[この風都でまた、大きな事件が起こされてしまいそうな、そんな気がします……]

 

「……さてと。今回はこんなものかな」

僕はそういい、伸びをする。そろそろ、達也くんたちともお別れだしね。

 

「もう帰っちゃうの?もうちょっとゆっくりしてたらいいのに」

亜樹子所長はすっかり二人の事が気に入ってしまったらしい。

 

「いえ、俺たちは京都でもすることがありますから」

「私達の友人が戦ってくれているが、できるだけ早く戻りたいしな」

そう、彼女たちは京都で戦っているのだから、本来長居できるわけではなかったのだ。

 

「それじゃ、一つ約束をしようか。二人とも」

僕が言うと、二人ともこちらに注意を向けたらしい。

 

「君達が僕らの力が必要なときは言ってくれ。

 僕らはいつでも助けに行くからね。でしょう、翔太郎さん、フィリップさん」

僕の問いに、翔太郎さんたちは頷く。

 

「ああ。同じ仮面ライダー同士、助け合おうぜ。な、フィリップ」

「勿論。僕も、いつか京都には行ってみたいしね」

 

「まあ、一言でまとめると、『ライダーは助け合い』ってことさ。

 京都に戻っても、元気でやれよ、達也くん。

 それと、如月さん、大事にしてあげなきゃダメだぞ?」

 

「「なっ!?」」

僕がちゃかすと、二人とも顔を真っ赤にして照れていた。

 

「聡里さん、いきなり何を言うんですか!」

「そ、そうだ!で、でもその、今でも達也は私のことを十分大事にしてくれているぞ……」

二人はいいムード、青春してるねぇ。

 

こんな笑顔を、世界中で見られる世界になったらいいんだけどね。

 

続く。

 

 
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