それはいつものように訪れた朝。
まだ眠い。布団の中から一歩も動きたくない。
そう思いながらも、いつものように身体をのそりと動かしてどーにか起きるオレ。
「ふあ…ぁ…ぁ……」
寝ぼけ眼をこすり、カーテンの間から差し込む朝日を受けて欠伸をする。
そんな感じでいつも通りに朝が…
……い、いつも…通りに…?あれ…?
おかしい。目をこすった感触がどーもおかしい。
いつもの感じじゃない。なんかゴム手袋をつけてるよーな、そんな感じ。
いや、顔にもなんかゴムだかシリコンだかのマスクがついてるよーな…
えっと、なんてぇの?まるで…オレがオレじゃない感じ。
きっと寝ぼけてるんだなと思って頬をつねってみる。
おかしい。肌触りが明らかにおかしい。どーやら痛みは感じるみたいだが、やっぱりおかしい。
ふと、右腕が痒くなったんでかるく掻いてみる。
…なんかヘンだ。やーっぱおかしい。
本来ないはずの継ぎ目が何でこんなところにあるんだ?
…どーにも恐くなったオレは、まぶたを開いて自分の手を見てみたんだ。
「……うわあああああ!!ロ、ロボになってるうぅぅううううううう!?」
オレロボ!~オレがロボットになっちゃったら!?~
第1話『ロボットになっちゃいました』
と、ここまでバタバタしてて自己紹介遅れちまったな。
オレの名前は
…『だった』ってゆーのは、さっきのドタバタでわかるとーり…オレがオレじゃなくなってたってゆーか…まぁ、平たく言うと。
『朝起きたらいきなりロボットになってた』
…SFマンガみてーな話だって思うだろ?でも悲しいことにこれは今この瞬間現在進行形で起きてるんだ…。
洗面台にやって来たオレはじっと鏡を見つめてみる。
首にも肩にもヘンな継ぎ目はあるし、肌なんてどー見たって明らかに作り物だ。
それに顔をよく覗き込むと、瞳の内部でなんだかわけのわからんメカが動いてやがるし。
挙句の果てにゃ、お約束みてーに耳がヘンなアンテナに換わってやがったんだ!
「…もーヤだ。ぜってーアイツのしわざだ」
その、オレをロボットにした犯人ってのは…まーだいたいわかってるんだけど。
…オレは血走り眼…まあ、ロボットの目が血走るかどうかは別にして、とにかく目をギンギンに光らせて…ある場所へと向かったんだ。
やって来たのは地下室だ。そこは研究室になってる。
その研究室にはマッドサイエンティストがこもって怪しい実験してるんだが、そのマッドなヤツっていうのが…。
「姉ちゃん!これ一体どーゆーことだよっ!!」
オレは勢いよく扉を開け放って怒鳴り込んだ。目の前にいるのは白衣を着たポニーテールの美女。
彼女はオレの姉で科学者の
見てわかるとおりの結構な美人…なんだが、『残念な』美人だと言っておいたほうが正解なのかもしれない。
コイツはとんでもねー発明バカっていうのかな、なんの役に立つかもわからんよーな…
いや、役に立ってるのかもしれないけどそこまでやるか的な発明品を作っては、オレを実験動物代わりにして楽しんでやがるんだ。
そんな変態科学者のやることだからある程度想像はついたんだが、よりによってオレをロボにするか普通?
「あら、勇くんじゃない。おはよー」
「おはよーじゃねーよっ!オレの身体がヘンなことになってんだけど!!」
「ヘンって、いつもの勇くんじゃない」
「すっとぼけんじゃねーよ!いきなりロボってどーゆーことなんだよ!!」
相変わらずのほほんとした顔でこの女は…。流石に今回ばかりは…マジで頭きたんで怒鳴りつけずにはいられなかった。
が、彼女はそれでもなお余裕ブッコいてやがる。…それどころか、こんなこと言ってきたんだ。
「いやぁ、勇くんがあんまりにもカワイイから…寝てる間に改造しちゃいました☆」
いやいやいやいや、寝てる間に改造手術ってどんなだよ。つーかカワイイとか言うのそろそろやめろこの変態姉貴。
あーもー、ダメだ。怒鳴る気力もなくなった。理由が理由だったもんで、オレはすっかり脱力してしまった。
「…メシ食ってくるわ…」
オレはふらふらとした足取りで食卓に向かう。しかし背後から姉ちゃんの声がオレを呼び止める。
「あ、待って」
「…んだよ」
いちいち怒鳴るのもめんどいので、オレは振り向きざまにバカ姉貴を睨みつける。
すると返ってきた言葉は…。
「言っとくけど、そのボディ充電式だからご飯食べられないわよ」
マジ…かよ……。…オレの思考はそこでストップした。ただただ涙を流して立ち尽くしているしかなかった。
「ほかに質問は?」
「……ないです…サーセン…orz」
気力も何も無くしたオレは、よろめきながら部屋に戻るのだった。
嗚呼、オレはもう一生メシ食えねーのかな…?
~つづく~
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ふっと降りてきたアイデアを書きなぐってみました。
人体改造系ほのぼのコメディだったらいいなと思うw