No.425778

(改訂版)真・恋姫無双 ~2人の飛将軍~ 第4話

cavalさん

森からの脱出中に偶然見つけた神殿(?)。そこにいた人物とは・・・?

以前ぶっ飛ばした修行編になります。あいかわらずの稚拙な文ですが楽しんでいただけたら光栄です。
第1話の変更はありません。
第1話⇒http://www.tinami.com/view/226737

続きを表示

2012-05-20 21:32:34 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:8200   閲覧ユーザー数:6826

改訂版 第4話 

 

音々音が作った落ち葉の寝床で一晩過ごした一刀たち御一行。

 

早朝日の出から恋の動物的勘を頼りに森からの脱出を図っていた。途中、蛇に音々音が襲われそうになったり、木の根に一刀がひっかかりそうになったりと、小さなハプニングはあったものの、森の中を進んでいると・・・

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

目の前に石造りの神殿風建物が現れました。

 

「いやいや・・・なんで神殿が・・・ここに・・・」

 

茫然とする一刀と音々音をよそに、眠たそうにしていた恋が方天画戟を構えた。

 

「・・・ご主人様、ねね・・・下がる」

 

恋が急に戦闘モードに入ったことで一刀は刀を抜き、音々音は2人の後ろに下がった。

 

 

 

「ほほぉ・・・儂の殺気に気が付くとはさすがじゃのぉ」

 

「「「!!!」」」

 

するといままで誰もいなかった神殿(?)の入り口に白髪に白い法衣をまとったお爺さんが立っていた。そして愛紗が持っていた青龍偃月刀によく似た龍の紋様が描かれている槍を持ってこちらを見つめていた。

 

相手がお爺さんと思い、一刀が刀を下しかけた瞬間。

 

「一刀殿!」

 

音々音の悲鳴に一刀は視線を戻すと・・・

 

「なっ!」

 

15メートルほど離れていたはずのお爺さんが一刀の目の前に迫り、槍を上段に構えていた。一刀は慌てて刀を構えなおそうとするが、一度切れた緊張が体をうまくうごかしてく

れない。

 

―――やられる!

 

体に襲ってくるであろう激痛を覚悟し目をつぶる一刀。しかし、それはいつになっても現れない。次に聞こえたのは爺さんの驚きの声だった。

 

「む!?」

 

「・・・ご主人様はやらせない!」

 

ギリギリで一刀に迫る凶刃を防いだ恋は、そのまま爺さんと斬り合いを始める。一刀の記憶のなかで恋とタイマンで斬り合えた者はいない。愛紗、鈴々、星の3人でも恋には勝てなかったのだ。

 

「それなのに・・・あの爺さん何者だ?!」

 

一刀は目の前の光景が信じられなかった。天下無双と呼ばれ、飛将軍とまで称された恋が白髪の爺さんに押されている。

 

恋の剛撃を爺さんは年齢を感じさせない軽やかな動きで回避しつつ、鋭い突きを恋へ放つ。

その突きは星が戦場で見せていた物以上の速さに一刀には見えた。

 

それから10分程度斬り合っていると、急に恋が後方に飛び下がって武器を下した。

 

「・・・お爺さん強いけど・・・本気じゃない」

 

恋の突然の言葉に一刀と音々音は驚いたが、お爺さんは目を細めた後、突然笑い始めた。

 

「ほっほっほっほ!!さすがは人中の呂布!!貂蝉からは聞いておらなんだら負けておったわ」

 

「な!?なぜ恋殿が呂布だと知っているのです!!」

 

音々音が叫ぶとお爺さんは予想外の言葉だったらしく目を点にした

 

「なんじゃと?お主たち、貂蝉からここに来るように言われてきたのではないのか?」

 

「いや・・・その前におれたちはその貂蝉にすら出会ってないが・・・」

 

「ここに来たのは偶然というわけか・・・まぁ、よい。お主は北郷一刀だな?いや、こういったほうがいいかの、天の御使い殿?」

 

「爺さん・・・あんた何者だ・・・」

 

この世界に来て2日目の一刀たちの知名度は0に等しい。また一刀の存在は前の世界でも天の御使いの名は知られていても、本名まではごく一部にしか知られていなかったはずである。

 

「ほっほっほ・・・なに妖とかではないから安心せい。儂は花岳(かがく)。この場所にくる修行者に教えを授けているしがない道士じゃ」

 

いきなり修行をつけてやると言われて、「お願いします!」と言う人間はいないだろう。

 

「バカ君主どうするのですか?」

 

「さっきは一刀っていわなかったっけ?音々」

 

「そ、そんなわけないのです!お前なんかバカで十分なのです!それよりもどうするのかと聞いてるのです!」

 

「・・・あのお爺さん強い。もしかしたら恋よりも・・・」

 

音々音と恋の会話を聞きながら一刀は気になっていたことを頭の中の記憶の中から引っ張りだそうとしていた。

 

「花岳・・・花岳・・・花・・・そうだ!花岳!いてぇ!」

 

一刀の頭に1つの結論が飛び出し、つい一刀は大声を上げてしまい、音々音に足を蹴られた。

 

「急に叫ぶななのです!びっくりするのですよ!

 

「悪い悪い、花岳っていう人は天の世界にまで伝わっている人でね。武芸一般を教えていたはず・・・」

 

一刀の戦闘能力向上は再度乱世を進む以上最優先事項であることは3人で共通していた。3人は悩んだあげく、花岳に師事することを決める。師事させてほしいということを花岳に話すと快く引き受けてくれた。

 

修行に入る前に神殿内にあった鍛錬場にて、3人は花岳から適正試験ということで1人1人花岳と手合せを行った。試験後に集められた3人は花岳から今後の修行について話していった。

 

「呂布殿の武はもうほぼ完成されているが、それを完成させるために、氣についてお主に教えよう。内氣功は無意識にできておるから後は、外氣功のみじゃ」

 

「陳宮殿は、武はある一点においては優秀じゃが、磨いても余力は無さそうじゃの。この場所には多くの書物がある。これらを読み、その知を高めるといい」

 

「一刀殿はまさしく宝石の原石じゃ。武も知も磨けば磨くほど身についていくことじゃろう。そのため儂は、お主に儂の武や知、そのすべてを授ける。その代わり、修行は大変じゃ。覚悟をしておくことじゃな」

 

こうして花岳から修行の方針を聞いた3人はそれぞれの修行を開始していった。

花岳の修行はその言葉通り厳しく、特に一刀は花岳との試合中に吹っ飛ばされ壁に激突。そのため気を失うことがたびたびあり、そのたびに恋や音々音が心配し、目が覚めるまで手当をしていた。

それでも2か月ほど経過していくと、一刀の体格が変化し始めて花岳の動きにもついていけるようになり、気を失うことも少なくなっていった。

 

ではすこし、修行中の3人の様子を紹介しよう。

 

鍛錬場では刀を構える一刀と恋が向かい合っている

 

「はぁ!」

 

振り下ろされる日本刀。そしてそれが方天画戟の柄とぶつかり、火花を散らす。

 

「っ!フッ!」

 

負けじと恋が刀をはじき、体勢が崩れた一刀の腹に向かいふるう。はじかれた一刀は慌てることなく後方にステップしその斬撃を躱す。そして、また同じように恋の間合いの内側を狙い飛び込んでいく。

 半年ほどの花岳との地獄の修行によって一刀は剣術・槍術などの武芸十八般や、六韜(りくとう)三略の教えを花岳から叩き込まれた。その結果、半年前では考えられなかった恋との1対1での手合せが実現のである。

 一刀の戦闘スタイルは連撃と氣弾。当初はこの世界の武将のような膂力を手に入れる予定だったが、内氣功をするセンスが一刀にはなかったようで、愛紗達、武将クラスには届かなかった。また縮地も一度に進める距離が短く、回数が必要になってしまった。しかし、外氣功に関しては恋以上に成長した。

 

「はぁぁぁ!」

 

ジグザグに縮地を使い恋の方天画戟の間合いの中に入り込んだ一刀は氣を込めた刀を突きだす。恋は戟を使いその軌道を逸らそうとしたが、恋の背中にゾクッと悪寒が走った。

 

「っ!」

 

恋は慌てて体を捻る。今まで恋がいた場所を一刀の刀が通過する。よけられると思ってなかった一刀は体をよろめきながらも恋から離れ、再度構えなおす。

 

「ふぅ・・・さすが恋だな。もし受け止められたら氣刃を使うつもりだったのに・・・」

 

振り返った一刀の刀は蒼い氣に包まれ、刃先からは氣の刃が伸びていた。

 

「・・・危なかった」

 

一刀と恋はお互いに愛器を構え、じりじりと近づいていく。そして、2人は同時に駆け出し、鍛錬場の真ん中で激突した。大きな爆発音と周囲に衝撃波を撒き散らした後、一刀が恋からの圧力に耐え切れず吹っ飛ばされて壁に叩きつけられた。

 

「ぐはっ!」

 

一刀はその衝撃に気が飛びそうになるが、内氣功で辛くも繋ぎ止める。恋が慌てて、一刀に駆け寄り看病を始める。

 

「ご主人様・・・大丈夫・・・?」

 

恋は、心配そうな目で一刀の体を触り、骨折している所がないか探す。一刀はそんな心配そうな目をする恋を安心させようと頭をやさしく撫でてあげる。

 

「おお、一刀よ。死ぬとは情けない」

 

「死んでねぇよ!このじじぃ!」

 

花岳が自分の愛槍である天龍槍を肩にかけ、倒れている一刀に向かって笑みを浮かべていた。しかし、バカにされたと感じた一刀の返事に花岳はすっと目を細めて、つぶやいた。

 

「ほほぅ、まだ元気が有り余っているようじゃの・・・」

 

「げっ!やばっ!」

 

嫌な予感がした一刀は慌てて立ち上がり、恋との距離を取るように逃げていく。花岳は逃げる一刀へ体を向け、朱色の氣を天龍槍の刃にためていく。槍が氣を蓄積できる限界に達し震え始めると、花岳は一気に槍を振り下ろした。

 

「くらえ!バカ弟子!石○!天○拳!!」

 

「いや、その技いろいろ問題がっ!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

拳の形をした巨大な氣弾は見事に一刀に命中。一刀は宙を舞った。

そしてとても無事とは思えない音を立てて背中から地面に激突した一刀の意識は暗転していった・・・。

 

Side Kazuto

修行開始からもうすぐ2年。恋と手合せをして、2回に1度ぐらいの頻度で一刀が勝つことができるようになっていた。

 

「ふぅ・・・」

 

寝台に横になり、部屋の天井を見つめる。昨日世間の状況を確認するためと食料確保のために恋、音々音と下山した際、ついに黄巾党に関する噂を耳にした。

 

「ついに始まるのか・・・」

 

―――この世界が自分の知っている通りに進むのならば、もうじき、桃香たちが桃園で義姉妹の誓いをしている頃だろう。あの時は桃香たちに押し切られる形で「天の御遣い」を名乗ることになったが・・・

 

「『天の御遣い』か・・・」

 

コンコンと部屋の扉をノックする音が聞こえた。一刀は起き上がり寝台に座って来客者を迎える。

 

―――おそらく恋と音々音だろう。

 

この世界に来てからというもの、各自に部屋を花岳は与えてくれているのにもかかわらず、2人は夜になると一刀の部屋に集まり、一刀のそばから離れなくなっていた。一刀が返事を返すと、一刀の予想通りの2人が入ってきた。

 

「一刀・・・きたよ」

 

「今日の修行中恋殿に吹き飛ばされていたみたいですが、大丈夫なのですか?」

 

寝間着姿であったはずの恋はいつの間にか下着姿になって、一刀の布団にもぐりこんでいく。そして音々音は寝台の上に膝立ちして一刀の体に異常がないか触診をしていく。

 この2年間で、音々音は、軍略だけでなく医療(薬学)、料理の知識も得て、恋と一刀の専属軍師として必要とされた才能を開花させた。その開花は一刀に「月と詠の才能を持った音々音」と言わせるほど。

 そして、恋は元々究極に近かった武が意識的に氣を使えるようになったことで、遠近に隙がなくなり、おそらく恋と1対1でなんとか斬り合えるのは今だと一刀と彼らの師匠である花岳ぐらいだろう。

 そして武威以外では、料理に手を出している。理由は修行によって底なしに思われていた食欲が更に向上してしまい、食費が以前以上にかかるようになり、恋自身が躊躇するようになった。そこで、一刀と音々音が我慢する恋に見かねて、自分で食べたいだけ作ったらいいのでは?と助言したからである。現在恋にできるのは蒸すと炒めるのみ。包丁をつかったりする細かな作業にはまだ苦戦している。しかし蒸すに関しては、元々饅頭屋に通い詰めていただけあって、音々音と花岳が1度だけ教えただけでほぼ完全に習得してしまったというのは恋らしい。

 

触診を終えた音々音も寝台に上がり、一刀の肩に頭を預け寄りかかる。

 

「一刀殿・・・これからのことを考えていたのですね」

 

「そう見えた?音々」

 

「・・・一刀、黄巾党の噂を聞いてから、いつも難しい顔してる」

 

潜り込んでいた恋がいつの間にか這い出て一刀を背中から抱き着きながら話しかける。体にかかる心地よさに一刀はすこしだけ目を閉じた後、言葉をつないでいった。

 

「天の御遣いとして動く時がきたのかなと思ってね」

 

「音々もそれには賛成なのです。一刀殿が『天の御遣い』という名を広げるには黄巾党討伐がおそらくもっとも早いと思うのです。義賊集団でもなんでもいいですが・・・一刀殿のその表情からするに、ほかのことが気にかかっているのですね」

 

「音々に隠し事はできなくなったな。桃香たちも気になるけど、いま一番心配なのは月と詠の2人だ」

 

月と詠。十常侍からの要請で洛陽に入り善政を行ったが、策略により反董卓連合が組まれ敗北。奇跡的に一刀と出会い2人は命を失うことはなかったが・・・名を失うことになった。

 

「黄巾の乱の途中で月たちは洛陽向かってしまう。前回と違って、恋と音々音がいない以上、彼女たちの配下にいる武将は華雄と張遼だけのはず」

 

一刀の言葉を聞いていた音々音は一度一刀の言葉を遮った。

 

「言いたいことはわかったのですよ。その上で一刀殿、音々は河北に向かうことを進言するのです」

 

「河北に・・・?どういうことだい?我が軍師よ」

 

「いまの音々音たちに必要なのは名声なのです。つまり黄巾の乱が始まる前に功績を上げるには匈奴や烏丸相手をする必要があるということなのです。音々音の記憶が正しければ、このごろに烏丸は2度ほど河北に侵攻し、麗羽と白蓮がなんとか撃退しているはずなのです」

 

音々音の言葉に一刀は1つの言葉を思い出していた。その強大な武をもって烏丸や匈奴に当たり恐れられた武将へ送られた異名。最強の武の証。

 

「飛将軍・・・」

 

 

 

あとがき

更新が遅れてすみません。今回は前回一切描かなかった修行編になります。何話かつづけてもよかったのですが、作者の文章力ではgdgdになるのが目に見えたので、1話に留めました。

 

今回改訂版第4話にて、新キャラ「花岳」を登場させました。この方は「花関索伝」とよばれる関羽の息子(関索)が主人公の作品中に関索の武の師匠として登場する方です。作者自身「花関索伝」を読んだことはないのですが、三国志大戦のUC関索の説明文に「武の師匠の名が「花」であったことから「花関索」と名乗るようになった」とあったので、探してみると「花岳」と呼ばれる人物がいることがわかり折角ですので、一刀たちの師匠として登場していただきました。

 

花岳の設定ですが、管理者の1人。武器は天龍と呼ばれる龍の紋様がある十文字槍。本来の戦闘能力は卑弥呼クラスだが、この世界によって制限をくらい恋ぐらいになっているといった感じ。今後しばらくは舞台からは消えますが後に貂蝉たちと共に登場する予定です。

 

今後の展開ですが、以前では丁原(茜)の元で烏丸と戦闘しました。しかし、今回は丁原さんではなく、ふつうの人こと白蓮の元で戦闘を行っていきます。文章を読んでいるとわかりきってますが、白蓮√には入らずに月・詠√に入っていく予定です。桃園の3姉妹に関しては一刀の心理内や会話では登場しますが、一刀と出会うのはしっっっばらくないと思いますが、ご了承ください。

 

では次回改訂版第5話河北編で会いましょうノシ

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
54
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択