No.424231

黒と赤の死神

十河さん

久しぶりの壊すものと守るもの。

黒百合の二次移行。

2012-05-17 19:46:33 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2040   閲覧ユーザー数:1947

海岸

 

ここで実習を行うために一年生は集まっていた。

そして唯は箒を離れた場所に呼び出した。

 

「さて、約束通り紅椿を持ってきた。・・お前に聞こう。何のために紅椿を求める?」

 

唯の問いに箒は自身の思いをぶつけるように話始める。

 

「正直言ってわからない・・。姉さんに電話したときはただ唯の隣で戦いたいとしか思ってなかった・・。」

「・・・。」

 

唯は箒の言葉をしっかり聞いている。

そして嘘偽りがないかを見極めている。

 

「今日まで考えたが今も答えを見つけられずにいる・・。私に言えるのはこのくらいだ・・。」

「そうか。」

 

箒の答えを聞き、唯は右手を上げる。

すると離れた場所にコンテナが落ちてきて開かれる。

中身は赤のISだ。

 

「唯、あれって・・。」

「力の意味は人それぞれ。そして使い方も人それぞれ。今すぐ答えなんか出せるわけない。悩みに悩んで答えを導き出せ。」

「・・!?」

 

箒は唯が自分を認めてくれた事をうれしく思い、唯に抱きつくが勢い余って押し倒す。

唯の口の中に海水が入り込むが・・。

 

(・・!?塩味がしない・・!それに箒の姿がブレて見える・・!)

 

グリード化により味覚が感じなくなり、箒と青空を見ていると砂嵐が掛かったかの様にブレて見える。

 

「す、すまん。大丈夫か?」

「・・ああ。大丈夫だ。」

 

その後紅椿の性能試験を行った。

箒の表情は真剣そのものだ。

そこへ慌てた真耶が来る。

 

「お、織斑先生!これを・・!」

 

真耶から貰った紙に目を通す千冬。

そして表情を引き締めて生徒たちに指示を出し、何が何だかわからないまま片付けが始まる。

その中で唯は体内で紫のメダルが暴れているのを感じとる。

 

(ユリ・・?)

 

専用機持ちは集められ、作戦会議を開く。

唯は何かが起こると予感していた・・。

臨時本部室

 

「それじゃ、暴走ISを止めるための作戦会議を始めるよ~。」

「ターゲットはアメリカとイスラエルが協同開発した銀の福音。こちらに向かって飛行中。あと数時間でここを通過予定だ。」

 

(何だ・・さっきからユリが暴れているけど・・。)

 

唯は作戦の事が耳に入らず、紫が暴れていることが気になった。

 

「・・唯はどう思う?」

「え、ああ。何だっけ、少し考え事してて聞いてなかった。」

「もう、アプローチをかけるんだけど誰を出したらいいかなって話。」

 

一夏が詳細を説明、唯は誰を出すかを考える。

 

「・・データ取りを兼ねてアタックをかける。偵察も兼ねてるから高機動の機体がいいだろう。出るのは俺、一夏、箒、簪。簪には相手のデータを取ってもらう。データを集め終わったらこっちに戻り、補給と換装を行い、戦略を立てる。」

「わかった。」

「一夏は白夜が鍵になるから少しでもエネルギーを抑えるために俺が牽引する。」

「了解。」

「では30分後作戦を開始する。」

 

一旦お開きになり最後の調整に励む。

30分後、海岸に先発隊が集結。

簪のブルーフレームの装備は効率よくデータを集めるために開発した高感度センサーユニットを頭部に装備、武装はビームサーベルとビームライフルとバズーカとコンバットナイフというシンプルなもの。

 

「箒、気楽に行こう。そしてその感じを忘れるな。」

「唯・・そうだな。」

 

緊張している箒に声をかける唯。

いくらか緊張がほぐれ、少し余裕ができた。

 

「それでは作戦開始!」

 

千冬の号令で先発隊が一斉に空へ飛び出す。

唯の背中に乗っている一夏は黒百合の出すスピードに驚いた。

 

(速い・・!唯はこのスピードを使いこなしてるの・・!?)

 

福音があと少しというところで一夏を降ろす。

 

「行くぞ!攻撃開始!」

 

唯の号令と共に一夏と箒が突っ込み、唯はメガキャノンで動きつつ援護射撃を行い簪はデータ取りを開始。

一夏の斬撃が当たる瞬間、反転して後退の姿となって身構えた。

 

『敵機確認。迎撃モードへ移行。銀の鐘、稼動開始。』

「二人とも、来るぞ!」

 

機械音声が聞こえ、唯は二人に注意を促すと同時に福音は一斉に砲口を開き、光の弾丸を撃ち出した。

唯はビームガトリングで落とし、一夏は弾いていく。

その中で箒は弾幕を潜り抜けて二刀流で突撃と斬撃を交互に繰り出す。

紅椿の機動力と展開装甲による自在の方向転換、急加速を使って福音との間合いを詰めていく。

この猛攻には、流石の福音も防御を使い始めた。

 

『La・・♪』

 

甲高いマシンボイスが響く。

それを聞き、唯は箒に指示を飛ばす。

 

「箒!例の広範囲兵装が来る!気を付けろ!」

「わかった!」

 

福音のウィングスラスターはその砲門全てを開いた。

全方位に向けての一斉射撃。

 

「やるなっ・・! だが、押し切る!」

 

箒が光弾の雨を紙一重でかわし、迫撃をする。

隙が出来、唯は光弾の雨をかわし、一夏に指示を飛ばす。

 

「一夏、行け!」

「うん!零落白夜展開!」

 

唯がそう指示したと同時に動き出すが簪から連絡が入る。

 

「織斑くん、密漁船が・・!」

「・・チィ!一夏!密漁船が入り込んだ!・・うっ!?」

「わかった!」

 

一夏は零落白夜を解除。

唯は全身装甲の下の目が紫に光る。

 

「~~~!」

(ああ、ほーちゃん煩い。あいつ壊しちゃえ。イライラしてるからちょうどいいや。)

 

箒がなにかを言っているが唯・・ユリは宙返りをしながらIS-Dを発動。

 

「待て!」

「・・・。」

 

ユリは足止めにメガキャノンをローリングしながら放ち、ブースターを全開で吹かし、赤い軌跡を描いてビームサーベルをスレ違い様に何度も切りつける。

 

(壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊す壊すこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすこわすコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワスコワス・・!)

 

箒は唯に言いたい事を忘れ、戦いを見ていた。

一夏も密漁船を護衛しながら見ていた。

 

「何だ・・あの動き・・。」

「唯・・?」

 

福音を滅多切りにしたユリ。

福音の装甲のあちこちから火花が上がっている。

 

「おりゃあ!」

 

ユリは福音を海へ蹴り落としメガキャノンを低出力で連射して動きを封じる。

そして福音にメガキャノンの狙いを定め・・。

 

「消えちゃえ♪」

 

最大出力で放った。

 

「だめー!」

 

だが一夏が前に立ちふさがり唯は正気を取り戻す。

 

「・・あ?一夏!」

 

メガキャノンは一夏を飲み込みISが解除、海へ墜落。

 

「ごめん・・がはっ、うっ。」

 

唯もISが解除されて海へ墜落。

それを見た箒は本部へ連絡を入れ、データを取り終えた簪と共に宿舎へと帰還。

作戦失敗ということで待機を命じられた箒たち。

データを解析してプランを練るためだ。

一夏は火傷、唯は長時間のIS-D使用による殺人的加速により内臓を損傷、黒百合も殺人的加速とむちゃくちゃな機動を行ったためフレームが損傷。

 

「唯・・それに一夏。必ず勝って帰ってくる。」

「行くわよ、箒。」

 

箒は部屋を後にする。

目的は福音に勝つこと。

布団の下では唯の腕がグリードに変わっていた・・。

 

???

 

唯は暗闇の中にいた。

幼い頃の過去を見せられていた。

 

「あ~。」

「唯をあの施設に預けましょう。」

『小さかった俺は両親の目論見通り悪魔の病院へと送られた・・。事故と見せ掛けて重傷を負い、死亡扱いにされた俺・・。』

 

そこで映像が切れ、ユリが現れる。

 

「さて、唯の体を貰いにきたよ。」

「無駄だ!」

 

ユリは唯の体を要求。

しかし唯はそれを拒否。

それを見てユリはクスッと笑う。

 

「手を見てもそんな事を言えるのかな?」

「・・?・・!?」

 

唯は手を見る。

グリード化が進行、ついに手がグリードへと変わっていた。

 

「ボクに身を委ねれば唯をこんな体にしたアイツも壊せる力が手に入るよ?」

「力・・子供で無力だった俺が掴んだオーズの力・・。もっと・・もっと力が欲しい・・!」

 

自分がグリード化したことで絶望、力の誘惑に屈しそうになる唯にユリが手を差し出す。

ユリが差し出した手を取ろうとする。

その時、ネックレスが輝く。

 

「この光は・・!?」

「・・そうだ、俺は約束したんだ。あいつらを守るって、絶望しないって・・!」

 

唯は約束を思い出し、ユリに背を向けて歩き出す。

残されたユリは・・。

 

「まああと少しかな。体はもう少しで完全にグリードになるからあとは意識だけ。でも厄介かな。唯は抑え込む事に馴れてるから。」

 

一方千冬たちは勝手に出撃した箒たちに頭を抱えていた。

そして愛琉はある人物と対峙していた。

眼帯をしている初老の男だ。

 

「ふふ、まさかあなたが来るなんてね。今のタイミングとか趣味が悪いわ。はぁ!」

「・・・。」

 

愛琉は水流弾を放つ。

男は水流弾を避けて愛琉の腹を貫き、大量のコアメダルを奪い取る。

 

「かはっ・・。」

 

その際意識を内包したシャチコアにヒビが入り愛琉は倒れる。

 

「あとはあいつが持つ恐竜メダルと他のコアメダルだ。」

 

その人物は姿を消す。

海の上では目覚めてなぜか回復した一夏を交えて箒たちが福音と戦っていた。

二次移行を果たし、圧倒的スピードで翻弄する福音。

 

「速すぎる・・!」

「まさか学習した・・!?さっきの唯の機動を・・!」

「箒・・さっきのもう一回いける?雪羅と着いていくためのウイングスラスター展開でかなりエネルギーヤバめなんだよね。」

「さっきのはよくわからないまま発動したんだ!今も使いたいが使えない!」

 

箒も自身のワンオフ・絢爛舞踏を発動して一夏にエネルギーを与えるも状況は変わらなかった。

油断した隙をつかれ一夏が福音に掴まれる。

そしてエネルギーが収束。

 

(ああ、私死ぬのかな・・唯に好きって言いたかったな・・。)

 

その時、何かが福音の腕を切り落とし、一夏を救出。

距離を取って一夏を下ろす。

 

「大丈夫か?」

「唯!その機体・・。」

「黒百合も二次移行を果たした。この機体は黒百合・刹那だ。」

 

黒百合に黒の羽根が装備、さらに赤のエネルギーの羽根が展開。

その姿は死神に相応しい。

IS-Dを解除するとエネルギーの羽根も解除。

唯は手に持ったライフルを前に出し、こう言った。

 

「スバルじゃねぇが、タイマン張らせて貰うぜ!」

 

だが唯は知らなかった。

福音にワナが仕掛けられていることを、そしてそれは唯を苦しめる事になることを・・。

久しぶりの更新。

 

二次移行を果たしました。

 

次は仕掛けられたワナが唯を襲います。

 

詳細はこちら。

 

黒百合・刹那

 

黒百合が二次移行を果たした姿。

 

IS-Dに置ける圧倒的機動力に掛かる負荷の改善が図られ、IS-D発動と同時に展開する赤のエナジーウイングで体を覆うことで負担を軽減。

 

武装も改善が図られ、取り回しに難のあったメガキャノンとハイパーバズーカをオミット、銃口を二つ持ち、実弾とビームの撃ち分けが可能なライフルを装備。

 

銃身を展開することでメガキャノンに匹敵する威力を持つバスターライフルを使用可能。

 

ビームサーベルは変わらず。

 

簡単に言えば聖天八極式とアルビオンのエナジーウイングとスーパーヴァリスを黒のユニコーンが持った感じです。

 

では、感想待ってます!


 
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