「元気な曲も暗い曲も結局は作り手が金を得るための手段にしか過ぎない。そんなもので一喜一憂するなんてのは愚の骨頂だよ」
したり顔でそう説き伏せる彼女の表情にイライラしながらも僕はCDを買った。結局のところ彼女は世間に対して嘲笑する事で自分を特別だとアピールしたいだけなのだ。
「そんなことはわかっている。だが音楽が素晴らしい事は紛れもない事実だ。それを否定することは歴史的に見ても不可能だよ」
不機嫌な彼女を尻目に僕は購入したCDを鞄にしまう。彼女は無言だった。
翌日教室でありえない光景を目にする。彼女がイヤホンを耳に当てているのだ。唖然とする僕に気が付くとすぐさま白い耳を露にし話しかけてきた。
「歌もいいもんだね」
満面の笑顔とは対象的に僕は引きつった表情を浮かべたのだが、そんなことも気にせず彼女はまた青白いイヤフォンを着け聴き入っていた。
キンコンカンコンと放送用スピーカーが予鈴を鳴らす。
自分の席に着き、彼女の方を見るともう一時間目の準備をしていた。
いつも通りの日常なのだが、いつもよりは楽しいと感じる。これが幸せというものなのだろうか?そんなことを思っている自分がとても馬鹿らしく感じたのですぐに机に突っ伏し眠る体制にはいった。目を閉じると昨日買ったCDに収録されている歌と共に彼女の笑顔が思い出されたのだが、すぐに夢でかき消されてしまった。恋なんてものは、まぁそんなものだ。
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不思議系な女の子ばかりできてしまう