No.421395

真説・恋姫†演義 仲帝記 第三十一羽「錦の姫君は光の中の闇を知り、影となりし友らと再会する、のこと」

狭乃 狼さん

ここ最近では珍しく、合間を余り置かずの、仲帝記、更新です。

ども。似非駄文作家の挟乃狼です。

今回は美羽たちの所に、とある人物が訪れる。そのシーンから始まります。

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2012-05-11 15:45:01 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:7867   閲覧ユーザー数:6419

 世に偶然はなく、すべては必然たることである。

 

 この世に起こる事象のすべては、あらかじめ原初より決まりきっていた事であり、一見偶発的な事象とみえる、天文学的数値な確立の出来事であろうと、それは元より発生の決定していた、『天命』である。

 『運命』なれば人間(ひと)にはいくらでも抗える。だが、天によって定められた『天命』には、人間の身では如何に抗おうとも、それを覆すこと叶わない。

 それは、如何な時代、如何な場所、如何な人間であろうとも同じ事である。

 

 後漢末。

 

 反董卓連合の戦いとして名高い、かの陽人の戦いが終結し、己が領地である汝南の城へと戻った袁術達にも、まもなく、どうにも抗うことの出来ない『天命』が、その頭上に降りようとしていた。

 事の始まりは、袁術の旧領である荊州は北部の宛県において、かの地の豪族らが起こそうとした反乱、それを収めて後の処理に当たっていた彼女らの下に、一人の人物が訪れた事に、その端を発する。

 

 その人物の名は、姓を馬、名を超、字を孟起と言った……。

 

 

 

 第三十一羽「錦の姫君は光の中の闇を知り、影となりし友らと再会する、のこと」

 

 

 

 袁紹の檄に端を発した、洛陽方面における一連の戦いが終息して後、自領に戻った袁術達はすぐさま宛県において反乱を画策している豪族達に対処すべく、その行動を起こした。魯粛がその情報網を使って集めた反乱の『証拠』、それらをもって豪族たちの下を訪れ、彼らを糾弾したのである。

 そんな数々の証拠を突きつけられ、進退窮まった豪族たちが行った行動は、ほとんどやけっぱちとも言える手段、すなわち全ての豪族たちが手を組んでの、袁術軍に対する正面からの攻撃であった。

 数だけ見れば、どこをどうして集めたかは不明ながらも、三万近い軍勢を擁していた豪族達であったが、袁術直卒の近衛軍二部隊、つまり紀霊と一刀が率いる一万強の部隊と真っ向からぶつかったその結果、袁術側にはほとんど被害を与えることも出来ない内に、彼らは散々に蹴散らされた。

 その後、各豪族の長の首と、彼らが以前、袁術に売却した以外の、僅かながらに所有していた、宛県のその土地全てを袁術の直領とする事で、この騒動は一件落着と相成った。

 そして、その事後処理を宛県に留まって行っていた袁術の所に、その二人の人物は姿を現したのである。

 

 「久しぶり、と言うべきかの?馬孟起に、その従姉妹の馬岱…じゃったか?先の戦いでは、互いに苦労じゃったな」

 「あ、ああ。……えと、失礼かもしれないけどさ、その、袁公路どの本人……だよな?あ、いや、ですよね?」

 「ん?妾がどこかおかしいかや?」

 「いやあ、おかしいっていうか、その、連合の時とは何か雰囲気が違って見えるような気が……ねえ、翠姉様?」

 「ああ。言葉は悪いかもだけどさ、その、なんていうか」

 「ああ。つまり、孟起さんはこう言いたいんですね。今のお嬢様は、微塵にも、これっぽちも、お馬鹿で我侭なお子ちゃまに見えないって」

 「あーいや、その」

 

 馬超と馬岱の二人からしてみれば、袁術という人間は袁紹同様の愚者、というイメージしか無かった。とはいえそれも無理の無いことで、彼女らが袁術と直接その顔を合わせたのは、後にも先にもあの連合戦の時だけである。それ以外の、ましてや彼女の普段の姿を見るのは、これが初めての事なのである。

 玉座に座って天使のように無邪気なその微笑を浮かべながらも、その佇まいにはどこか凛とした雰囲気をその身に纏わせている、今の袁公路というその少女の姿からは、かつて馬超達が目にした、己が出自だけをことさら主張する何も分かっていない童、という雰囲気は、微塵たりとも感じられなかった。

 

 「なるほど、二人の気持ちも分からんでもないかの。……あの戦いの時は、裏の事情のため、やむなく麗羽姉様…袁本初に合わせるような、無能で子供の妾を演じて見せていたからの」

 「演じて……た?そ、それじゃ」

 「……詳しくは話せぬが、あの時はどうしても、ああせねばならなかった、深い理由があるのじゃ。袁本初の阿呆が私欲で起こした、くだらぬ戦いを無事、済ませるためにはの」

 「いや、あの、蒲公英が言うのもなんだけど、袁公路様?本初様は公路様にしたら、実のお姉様でしょ?その人を阿呆呼ばわりって」

 「阿呆で十分じゃ。ゆ……董相国が、名門出の自分を差し置いて、皇帝の傍近くに仕える身分になった、それがただ妬ましいというだけで、ありもしない罪をでっち上げて悪人に仕立て、皆でよってたかって叩こうとするような者、阿呆というのももったいない位じゃ!」

 

 やむを得ずとは言え、袁紹が私欲の為に出した檄文に、真実を知りながらも乗らざるを得なかった、その己の行為を未だ自分でも許せていない袁術は、誰はばかる事無く、実の姉である袁紹の事を阿呆と呼び、苦悶の表情でそう吐き捨てた。

 そんな彼女と、そしてその場に同席する他の袁術軍諸将の表情を見た馬超は、その台詞が真実のものである事を瞬時に理解し、それと同時に激しい後悔と怒りの想いをその胸中に沸き立たせた。

 

 「……なら、あたしらがあの戦いに参加したのは、一体何のためだったってんだ!あの戦で死んだ兵達は、一体、何のために……っ!」

 「……翠姉様……」

 

 反董卓連合の戦いの真実。

 それを、この時になって漸く知った馬超は、俯き、唇を噛んで、己が過去の行為を恥じ入り、そして後悔していた。その彼女の斜め後ろに立っていた馬岱もその思いは同様らしく、馬超と共にその顔に暗い影を落としていた。

 

 「……その想いだけで、十分、連中も報われるさ」

 

 そんな忸怩たる表情で居る二人に声をかけたのは、その席に居合わせながらもこれまで只管無言を貫いていた華雄だった。

 

 「……華雄……?ああ、そうか。お前、公路殿の下に降ったんだったな。……その、あたしは」

 「皆まで言うな、孟起。……私とて、あの場では多くの者をこの手にかけたのだ。大義を信じ、主君のためにと命をかけた、何も知らぬ多くの兵達をな」

 「華雄さんの言うとおり、罪に染まったのはみんな一緒さ。だから、俺達がするべきは後悔じゃない。これからどうするか、さ」

 「……そう、だな……。……ところで、あんた、誰だ?公路殿の配下の人みたいだけど、あの時は見なかった顔だよな」

 

 華雄に続いて馬超に声をかけた、馬超にとっては始めて見る、その白を基調とした衣服に同色の胸当てをつける青年、すなわち一刀に、馬超がその名を尋ねる。

 

 「ああ、そういえば、貴女とは初対面でしたっけ。申し遅れました。姓が北郷で名は一刀と言います。字は持っていません。袁公路様の近衛の一隊を率いさせてもらっています。以後、お見知り置き下さい」

 「ふーん。近衛の将軍さんって割には、あんまりぱっとしない感じだな。あたしは馬孟起。よろしくな、北郷将軍」

 「ええ、こちらこそ」

 

 (馬超、か。……史実では後に、蜀の五虎将にその名を連ねる猛将……か。美羽の敵にならないこと、祈りたいものだな……)

 

 この時、馬超の事をそう思いながら見ていた一刀だったが、後に、この時の不安が見事に的中し、しかも、その彼女と直接矛を交えることになろうとは、露ほどにも思っていなかったのであった。

 

 

 「でもちょっと待ってお姉様。アレが全部嘘だったとしてよ?だったら、あの時討たれた董相国さんは」

 「そ、そうだ!相国は無実で死んだ事になるじゃないか!それに、相国を討ったのは」

 

 洛陽で馬超も含む連合諸侯を、皇帝を連れた袁術らが出迎えたとき、確かに袁術は董卓のものだと言う首を諸侯に対して見せ付けた、その筈では無いかと。しかも、その董卓を討ったのは袁術配下の紀霊、その人ではなかったかと。

 当然といえば当然の疑問を、その場で袁術に投げかけた馬超と馬岱。袁術はそれに対し、その視線を隣に立つ張勲へと送りつつ、ただ一言、その彼女の名を呼んだ。

 

 「……七乃」

 「はーい。……皆さん、特に華雄さん?お二人に、“あの二人の事”、お教えしちゃっても、良いですかね?」

 「孟起殿が口の固いお方であれば、教えても構わないでしょう。華雄将軍も宜しいですか?」

 「ああ」

 「馬孟起殿。そして馬岱殿。これからここで見聞きする事、けして口外しないと、生命をかけて誓えますか?」

 「……良く、分からないけど、あたしはこれでも西涼一口が固いのが自慢なんだ。約束する。蒲公英の奴も、まあ普段は軽口ばかり叩くやつだけど、大事な所ではその辺りしっかりしてる。信じてくれて良い」

 「普段は、ってのがちょっと引っかかるけど、蒲公英も、一度した約束は絶対守ります!絶対口外しません!」

 「……美羽様」

 「うむ。……一刀、あの二人、ここに連れてきてたも」

 「御意」

 

 馬超と馬岱の二人から、しっかりと確約を取った上で、袁術は一刀に対し、件の話題の対象となっている、その二人を連れてくるよう促す。

 それに応えて一刀が一旦謁見の間から退出し、再び戻ってきたその時、その傍らには二人の少女が立っていた。

 

 一人は、薄い紫の、ウェーブのかかった髪をした、小柄で儚げな雰囲気を纏う少女。もう一人は、ショートカットの緑の髪に、少々きつめな目つきをした、眼鏡の少女。

 どちらも、その出で立ちは、白と紫を基調とした、フリルのたくさんついた、前掛け付きの可愛らしい衣装、いわゆるメイド服と呼ばれるそれを身につけていた。

 

 「美羽様。月と詠の二人をお連れしました」

 「うむ。ご苦労なのじゃ、一刀。月と詠も、仕事中にすまぬの」

 「へぅ。あ、あの、いえ、それは構いませんけど」

 「ったく、やっと洗濯物干しが終ったばかりだってのに、一体何だっての……翠?蒲公英?」

 「ゆ……え?え?それに、詠……か?」

 「ちょ!二人ともなんでここに居るのさ!確か、今はどっかで太守だか何かしてるって、いつだかの手紙に書いていたじゃん!」

 「ほよ?お主ら……顔見知りなのか?」

 

 思わず。旧知の顔を視界に捉えて動揺する馬超と馬岱と、そして、思いも寄らぬ展開に目を丸くする袁術らと。三者三様の反応をそれぞれが見せる中、その口を開いて説明を始めたのは詠であった。

 

 「……まあ、ね。……と言っても、実際に僕らが顔を合わせたのは、もっと小さい頃、つまりまだ、僕達が加冠してちゃんとした姓名を名乗るようになる、その前の話だけどね」

 

 加冠。つまり、元服の儀式の事。この時代、年齢こそ一定ではないが、それが済んだ後、漸く姓と名、そして字の名乗りを許されるようになり、一人前の大人とみなされるようになって居るのである。

 付け加えるならば、加冠が済むまで名乗る、いわば幼名と言うものが、大人になって漸く本来の真名としての意味を持つようになる。それより前の童の頃は、親が子に自己紹介をさせた、その時点から加冠までの間に限り、勿論、親が同伴の上で、直接、相手に自己紹介をさせた、という大前提はあるが、本人の許し云々という(くだり)が無くとも、その名を呼ぶことが出来るわけである。

 

 閑話休題。

 

 

 「……あー、そうか。だから、孟起さんも馬岱ちゃんも、月と詠の事が分からず、連合側に着いたんだ」

 「ど、どういうことだよ?」

 「……あ、もしかして……」

 「馬岱ちゃんは気がついたようですね。……そう。つまりはそういうことなんですよ」

 「どういうことだよ、蒲公英」

 「んー。……あのね、翠姉さま。蒲公英も翠姉さまも、月ちゃんと詠ちゃんのことは、その姓名と字までは知らないよね?」

 「そりゃあな。これまでにやり取りした手紙にも、幼名っていうか、真名でしか文面は書かれて居なかったし」

 「手紙に今の姓名を書かなかった理由は、大人になった今でも、何時までも、子供頃の様な関係で居たい、そう言う想いがあったんだけど。それが裏目に出ちゃったかしらね」

 「そうだね……ちゃんと文面で、私達の姓名を書いて二人に教えていたら、あの戦いで、少なくとも、翠ちゃん達とは戦わなくて済んだかもしれないね」

 「……おい。まさか、今のお前らの姓名って……」

 「……この間、捨てることになっちゃったけどね。そ。僕の姓名は賈駆、字は文和。そして月が」

 「董卓、字を仲頴……か?」

 「……うん」

 

 愕然。

 月こと董卓、詠こと賈駆の、その告白を聞き、馬超と馬岱はまさにその状態に陥り、先に知った連合の戦いの真実と合わせ、強く打ちひしがれたのだった。

 

 「……母上も、知らなかったのか、な……」

 「……多分、知らなかったと、蒲公英は思うな。だって、あの伯母様が二人の事を知っていて、それでも連合の方に乗っかるなんて事、するとはとっても思えないもの」

 「だよな……月、それと詠」

 『?何?』

 「……すまなかった!」

 「ちょ!翠!」

 「翠ちゃん!」

 

 突然。その場に土下座し、月と詠に対して、その頭を床に思い切りこすり付けて、謝罪の言葉を叫んだ馬超。その彼女に続き、馬岱もまた従姉妹のその隣に並んで土下座をし、先の戦いの事を涙を流して謝り始めた。

 二人の行動に面食らった他の面々が、狼狽しながらもそんな二人を慰め、馬超と馬岱が漸くその顔を上げて立ち上がったのは、それからおよそ半刻(およそ一時間)程も経ってからのことであった。

 

 

 

 宛の城の謁見の間で袁術らと馬超らによる、そんな会見が行なわれている、ちょうどその時。袁術の居城である汝南の城に留守役として居残っている、陳蘭と雷薄、そして諸葛瑾の所にも客が訪れていた。

 

 「どうも~。この度は~、風たちの仕官~、認めてくれて嬉しいのですよ~」

 「改めまして、私は戯志才と申します。こちらは程立。暫しの間に御座いますが、よろしくお願いいたします」

 

 頭の上になにやら人形のようなものを乗せた、金髪の少女と、眼鏡をかけた理知的なその少女が、今は留守の主に代わって彼女らを出迎えた金髪の少女、諸葛瑾に対して拱手を取る。

 

 「これはご丁寧な挨拶、痛み入ります。私は、現在汝南の留守居、その総代を務めます、諸葛子瑜ともうします。……路銀稼ぎの為の仕官と聞いておりますが、客将と言う立場にて、文官のお仕事をお望みということで、宜しかったでしょうか?」

 「はいー。どうか思いっきり、稟ちゃんをこき使ってやって欲しいのですー」

 「ってこら風!貴女も働くの!」

 「……ぐう」

 「寝るな!」

 「おおう。つい夜風に誘われてー」

 「……今は思いっきり昼間だろうが」

 『ツッコミ厳しいじゃあねえかよ、え、兄ちゃんよお』

 「げっ!人形がしゃべった?!」

 「あら~。これはこれは~、面白そうな~、人が~、来たものですね~。にゅふふふ~」

 

 程立の頭の上に鎮座していた人形が、おもむろに喋り出したのを聞き、陳蘭は思わず驚愕の声を上げ、雷薄は心底楽しそうに朗らかに笑う。

 

 「これこれ、宝慧。今は大事な所なのですから、お喋りは控えてくださいねー」

 「宝慧って、いうのか、そいつ。なあ、それ、一体どんなからくりで動いてるんだ?動力は?やっぱ気か?あ、それとも程立の嬢ちゃんの腹話術かなんかか?」

 「それは秘密ですよー。むふふ」

 「……あの~。そろそろ、お話を元に戻しても良いでしょうか……あぅあぅ」

 「はっ。す、すみません!ほら、風。貴女も謝る!」

 「どうもすみませんでした……ぐう」

 「だから寝るなと言うに!」

 「おおう」

 (……本当に大丈夫なのか、こいつら雇って?)

 (まあまあ~。千ちゃんの気持ちも分かりますけど~、ここは少し~、様子を見ましょう~。……棗さんからのお話通りなら~、この二人~、かなり~、優秀な逸材だそうですからね~)

 

 陳蘭が程立と戯志才のやり取りを見つつ、不安げに半ば呆れた溜息を吐いていると、その横から小声で、魯粛から事前に受け取った調査内容を信じよう、と。雷薄が陳蘭への慰めというか、程立たちのフォローのような、そんな声をかける。

 

 「えと、では、お二人には早速、文官見習いとして働いていただきます。そちらに居る雷薄殿の後について」

 

 諸葛瑾が程立と戯志才の二人に対し、雷薄に着いて仕事をするよう言いかけた、まさにその時。

 

 「申し上げます!」

 「!何事ですか!」

 「魯子敬様より火急の報せにございます!兗州牧、曹孟徳の軍勢が、洛陽に向けてその軍勢を進めたとの由!」

 「なっ!」

 「……あらー」

 

 それはまさに、風雲急を告げる報せだった。

 都で何かが起こったのか?だとしても何故、一州牧に過ぎない曹操が、単独で都に軍を進めるのか。しかし、事はそれだけでは収まらなかった。

 

 「御注進!魯子敬様より火急の報せ!」

 「こ、今度は何だよ!」

 「徐州にて乱が勃発!その旗頭は、劉玄徳と!」

 「……え?え?え?」

 

 そしてまた更に。

 

 「寿春の孫文台様より使者が参っております!荊州は江夏攻めのため、至急、援軍を請うと!」

 「あぅあぅ……!ちょ、美紗ちゃん、ど、どうしましょう~……!」

 「落ち着きなさい、翡翠!太守代行の貴女が慌てても仕方ないでしょう!千ちゃん!」

 「分かってる!お二人さん、悪いが仕事は暫く無しだ!誰か!早馬をすぐに用意しろ!宛県に居る公路様にすぐ、こちらに戻られるよう使者を出すんだ!」

 

 雷薄が気合の篭った一喝で諸葛瑾を落ち着かせると同時に、陳蘭はすぐに宛県へと早馬を立てるべく、その場から一息に駆け出していく。諸葛瑾が冷静さを取り戻したのを確認した後、命あればいつでも出陣出来るように支度を整える、その為に慌しく走り去る。

 そしてその場に残された程立と戯志才は、一人その場に残って他の兵に指示を出す諸葛瑾を横目に、こんな会話を小声で行なっていた。

 

 「……ねえ、稟ちゃん?」

 「……何?」

 「風たち、ちょっとばかり、色々と、間を間違えたみたいですねー……」

 「……そう、ね……。さて、私達は一体、どうしたものかしら、ね……」

 

 顔にかけたその眼鏡を人差し指でその位置を直しつつ、その奥に光る蒼い瞳に、小さく、しかし凛とした輝きを灯して、戯志才は僅かに思考をめぐらせた後、未だその場で兵士達に指示を出し続けている諸葛瑾に対し、一つの提案を行なったのであった……。

 

 ~続く~

 

 

 狼「動乱の時、ついに動きたり。そんな感じの第三十一羽でした」

 輝「今回は、更新までちょっと早かったわね。・・・モチベーション、帰って来た?」

 狼「・・・たぶん」

 命「・・・まだ家出せねば良いがの」

 

 狼「さて、今回も色々動き出しましたが」

 輝「馬家からは何を依頼しに来たわけ?まだそこまで書いてなかったけど」

 狼「それは次まで持ち越し」

 命「・・・思いつかんかったのか?」

 狼「秘密♪」

 輝「あのね」

 命「ま、話の構成は親父殿の頭の中にしかないから、妾達にはなんとも言えんがの。ところで、今回出て来た真名とか名前に関する話は、親父殿のオリジナルか?」

 狼「もしかしたら、どこかで他に書いてる人も居るかもだけどね。自分で創作したけど、結果的に被った、なんてことは良くあるからな」

 輝「というわけで、そのようなことがあったら、誰か知ってる人、もしくはそのご本人さま、柔らかーくツッコミを入れてくださいw」

 命「勿論他にも、ツッコミや各種おかしな点等あったら、出来る限り、オブラートに包んだ言葉でコメント、してやってくれな?」

 

 狼「では、今回はこの辺にて」

 輝「それでは皆さん、また次回」

 命「仲帝記の第三十二羽にて、お目にかかろうな?」

 

 『それでは、再見~!』

 


 
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